「ストリートファイターV アーケードエディション」レビュー

ストリートファイターV アーケードエディション

シーズン3になった「ストV」最新バージョンのファースト・インプレッションをお届け!

ジャンル:
  • 対戦格闘
発売元:
  • カプコン
開発元:
  • カプコン
プラットフォーム:
  • Windows PC
  • PS4
価格:
4,620円(税別)より
(Windows版)
4,990円(税別)
(PS4版)
発売日:
2018年1月17日
(Windows版)
2018年1月18日
(PS4版)

 「ストリートファイターV」が正式にリリースされてから約2年。シーズンごとに新たなキャラクターが追加され、現在は30名近い戦士たちが熱い戦いをくり広げている。そんな「ストV」に、本年2月、新たな風が吹く。

 先日、「ストV」の新章とも言える「ストリートファイターV アーケードエディション」(以下「「ストV AE」)が登場した。これはさまざまな新システムが搭載されたバージョンアップ版で、パソコン版は2月17日、PS4版は2月18日に発売されている。また、すでに無印版を持っているユーザーは、無料で「ストV AE」版へアップデートすることが可能だ。

 今回は「ストV」発表当時から注目し、過去3回のベータテストすべてに参加した筆者が「ストV AE」をプレイ。無印版から変更された点や新たに追加された要素を紹介していく。これから「ストV」シリーズへの参戦を考えている人はもちろん、最近「ストV」から離れていた人も、ぜひにご一読願いたい。

商品概要

デラックスには、さくらをはじめとするシーズン3のキャラクターパスがついてくる。どうせ購入するなら、今後も見据えてデラックス版を選びたいところだ

 まずは商品の概要から説明しよう。パッケージ版にはシーズン1とシーズン2のキャラクターパスが同梱されており、初期キャラクター16人のほか、アレックスから是空までを加えた合計28人が使用できる。

 一方、ダウンロード版は通常タイプとデラックスの2種類。通常タイプはパッケージ版とほぼ同じ内容だが、デラックスにはシーズン1、2のキャラクターパスに加え、シーズン3のキャラクターパスも同梱されている。すでに発表されているさくら、サガット、ファルケ、コーディー、G、ブランカの6人が、追加され次第遊べるようになるわけだ。

新システム

アーケードモード

 無印版におけるCPU戦は、敵と1ラウンドだけ戦うストーリーモードのみだった(トレーニングモードで疑似的なCPU戦を行なうこともできたが)。当時としては画期的なシステムではあったものの、一般的なアーケードモードがなかったため、面食らったユーザーもいたのもまた事実であろう。そんなユーザーの戸惑いを受けてか、本作ではかつてないほどアーケードモードが充実している。

 アーケードモードは、初代「ストリートファイター」から「ストV」まで、「ストZERO」を含む計6シリーズの追体験が可能。当時と同じコスチューム、懐かしのミュージック、過去作を彷彿とさせるステージ群は、往年のオールドファンの心をかき立てずにはいらなない。逆に、今の若い世代のゲーマーにとっては、かえって新鮮に感じられるのではないでろうか。

 アーケードモードをクリアすると、特典としてギャラリーイラストが手に入る。単なるオマケ的な要素かと思いきや、これがまた泣かせる仕様。雑誌の付録や攻略本の表紙、かつてゲームセンターで見たポスターなど、各シリーズにまつわるイラストは、古き良き時代を感じられること間違いなしだ。

グラフィックスは一新されたものの、コスチュームやステージが当時のままなため、どこかノスタルジック。昔のままのボーナスステージがあれば、もっとよかった(笑)
クリアすれば昔懐かしいギャラリーイラストを入手できるが、ハードのラスボスはなかなかに手ごわい。これだけでも相当に遊びごたえがある

エクストラバトル

 チャレンジモード内のコンテンツの一種で、決められた期間内にクリアすれば報酬を得られる特殊なバトル。現在発表されているのは下記の4種類だが、今後も定期的に配信されていくであろうことは想像に難くない。なお、挑戦する際には2,500FM(ファイトマネー)が必要。最初のうちこそストーリーモードやサバイバルをクリアすることで大量のFMを得られるが、徐々に頭打ちになってしまう感は否めない。ぜひメーカーには、FM獲得の恒久的な手段を導入していただきたいところだ。

・チャレンジ1:1月16日~1月25日
・チャレンジ2:1月26日~2月1日
・チャレンジ3:2月2日~2月8日
・チャレンジ4:2月9日~2月15日

エクストラバトルをすべてクリアして珠を4つ揃えれば、「ビューティフル ジョー」のコスチュームを獲得できる。挑戦時にFMを消費するので、慎重に戦おう

チームバトル

 オンラインには対応していないものの、複数対複数のチーム戦が可能になった。最大で5人まで参加できるほか、何ラウンド先取にするか、各ゲージを次の勝負に持ち込めるか、勝ち抜き戦にするか星取り戦(団体戦)にするかなども事細かに設定できる。残念ながら今回は他のプレーヤーたちのスケジュールが調整できず、実際にプレイすることはできなかったが、友人や格ゲー仲間たちとの対戦会で行なえば、かなり盛り上がりそうだ。

5on5なら、最大10人まで参加してのチーム対戦が可能。テーマやコンセプトを決めてチームを組むのもおもしろい

トレーニングモード

 厳密には新要素ではないものの、ぜひ触れておきたいのがトレーニングモードのパワーアップ。なんと、攻撃の動作フレームがリアルタイムで表示されるように! これによって各技の全体動作をはじめ、攻撃をヒットさせた時やガードさせた時の有利・不利がハッキリと数値で見えるようになった。連係・連続技の開発といった自キャラクターの研究はもちろんだが、新キャラクターの参戦時に「どんな性能のキャラクターなのか」をつかむうえでも役立つ手段になるだろう。

タイムチャートの表示で、各技のフレームが視覚的にわかるようになった。キャラクターも色分けして表示される(青が有利フレーム、赤が不利フレーム)

VトリガーII

 文句なく「ストV AE」における最大の目玉と言える。Vトリガーは、特定の技を当てたり攻撃を受けたりすると溜まっていくVゲージを消費してくり出すキャラクター固有の特殊能力。本作ではそのVトリガーがもう1つ追加され、キャラクター決定後にどちらを使うか選択できるようになった。「ストIII」におけるスーパーアーツや「ウルIV」におけるウルトラコンボのような感覚か。キャラクターによっては、選んだVトリガーで戦術・戦略が大きく変わってくることも。とりあえず両方を使ってみて、自分の戦い方とマッチしているほうを選ぶといいだろう。

旧キャラクターのVトリガーIIのなかには、過去の作品にスーパーコンボとして登場したものも。いずれも連続技を伸ばすパーツに利用しやすい
それまでの試合の流れを1発でひっくり返すような、とんでも性能のVトリガーもある。前作にくらべてVゲージの重要性がさらに増したと言えよう

総評

 ここからは本作をひととおりプレイしたうえでの印象をまとめてみた。前項の追加システムの解説とは異なり、主観的な意見を交えてのレポートとなるが、1プレーヤーのファーストインプレッションとしてご一読いただければ幸いだ。

 本作をプレイする前に、いくつかの公式トレーラーを見て感じたのがお祭りムードの強さ。まだ見ぬ強敵たちが次々と映り出されるオープニングしかり、今までは考えられなかった新コンボが展開されるVトリガーIIの紹介ムービーしかり。良くも悪くも「マーブル VS. カプコン」をはじめてプレイした時のような奇妙な感覚に襲われた。思わず「永久コンボがあるのでは?」と思ってしまったが、それは杞憂だったようだ(笑)。

 では、実際のプレイ感はどうか。まず言うまでもなく、ゲームのボリュームは大幅にパワーアップしている。そのおもな理由は、言わずもがなアーケードモードの導入だ。29キャラクター×6種類で合計174とおりのストーリー(というかエンディング)が用意されており、すべてクリアしようとすると、かなりのプレイ時間が必要になるだろう。サバイバルモードと違って最大でも11連戦なので、毎日1~2回プレイするなどして少しずつクリアしていくのも楽しいかもしれない。

 そして、肝心の対人戦。VトリガーIIが実装され、一部のキャラクターには新必殺技が追加された。目に見えぬ部分では攻撃判定やフレーム、各技のダメージまでが見直され、それぞれに細かな調整が施されている。VトリガーIIの性能によっては、戦い方が大きく変わったキャラクターもいるだろう。

 しかし、ゲームの本質に変わりはないように感じた。やや緩やかなゲームスピード、全体的にリーチは短め(もちろん、ダルシムは別だが)&ヒットバックは大きめなので、小技はそれほど多くは刻めない。賛否両論のあった弱Pの超お手軽対空や強力極まりない打撃と投げの2択、基本技or必殺技→Vトリガーからの驚異的な逆転性などは、いずれも健在。シーズンが変わっても、これまでの戦いで培ったテクニックは本作でも十分に通用しそうだ。

けん制や対空を主体にていねいに立ち回るよりも、強引に近づいて当て投げしまくったほうがお手軽で強い
どんなに絶望的な状況でも、Vトリガーがらみの連続技で流れをつかみ、打撃or投げの2択でスタンさせれば、逆転は可能