美少女×メカ×3Dシューティング=「アリス・ギア・アイギス」レビュー

アリス・ギア・アイギス

キャラクターを愛で、メカに燃え、シューティングでアツくなる。夢のようなゲームがスマートフォンに

ジャンル:
  • 3Dアクションシューティング
発売元:
  • コロプラ
開発元:
  • ピラミッド
価格:
基本プレイ無料(アイテム課金あり)

 「美少女×メカ」。今や萌えの1分野として確立され、ゲームやアニメなど様々なジャンルに萌え広がる概念だ。そこに「3Dアクションシューティング」というゲーム性が加えられた本作「アリス・ギア・アイギス」は、キャラクターの可愛らしさやメカの美しさはもちろん、「スマートフォン向け」でありながらシューティングゲームとして高いポテンシャルを秘めた作品となっている。

 本作のキャラクター監修・デザインには、「ストライクウィッチーズ」シリーズをはじめ様々な作品のキャラクターデザインを務める島田フミカネ氏、キャラクターデザインには「フルメタル・パニック!」シリーズの海老川兼武氏、「劇場版マジンガーZ / INFINITY」の柳瀬敬之氏など豪華クリエイターが参加している。

OPアニメより。わかる人にはこの時点で誰がどのキャラクターをデザインしたかがわかってしまうかも

 そして開発は「パタポン」シリーズや「ダライアスバースト」シリーズなどを手掛けるピラミッド、音楽はタイトーのサウンドチーム・ZUNTATAが手がけている。この名前にピンときたら、というやつである。本稿では筆者がゲームを体験することで感じた、熱意と愛に満ちあふれた本作の魅力を可能な限り語っていきたい。

舞台は未来の(経営の危機にある)中小企業

 舞台は未来、突如として地球に襲来した機械生命体「ヴァイス」から逃げるために建造された脱出船団「ムーンシャード」のひとつである「東京シャード」。ストーリーはそこに存在する中小企業、「成子坂製作所」を中心に展開される。成子坂製作所に就職したプレーヤーは新任の隊長として、ヴァイスと戦う力を秘めた「アクトレス」たちを指揮して宇宙を放浪する人類を救うのだ。

 ただしこの成子坂製作所は、経営の危機にあった。プレーヤーと同じく新人の「比良坂夜露」と先輩アクトレスである「兼志谷シタラ」、「百科文嘉」とともに、まずは経営難を脱せねばならないのである。

比良坂夜露
成子坂製作所に入ったばかりの新人アクトレス。中学卒業を機にアクトレス免許を取得し、人助けのためと奮闘する
兼志谷シタラ
成子坂製作所の先輩アクトレス。あんなアニメやこんなゲームのセリフをよく使うにぎやかなオタク気質
百科文嘉
成子坂製作所の先輩アクトレス、そして夜露やシタラのツッコミ役。才女にして知識が豊富で、製作所の事務仕事も請け負っている

 そして、同じく東京シャードにはライバルともいえる巨大企業「叢雲工業」のアクトレス「吾妻楓」、「日向リン」、「小鳥遊怜」の3名がいた。ストーリーはこの6名を中心に展開していく。

吾妻楓
叢雲工業のエース。その活躍から世間の注目を集めているが、性格は古風で真面目
日向リン
叢雲工業のアクトレス。高い身体能力でアクトレスとしても上位にあり、明るさと野生のカンで動く小動物的な面が魅力
小鳥遊怜
叢雲工業のアクトレス。感情をあまり表に出さないため「冷たい人」と思われがちだが、家族思いで責任感が強い

これだけで1日楽しめる?ホーム画面

 さて、そんな成子坂製作所の新任隊長となったプレーヤー。スマートフォンを通してアクトレスたちとコミュニケーションが取れるようになっており、スライド操作でカメラを回し、アクトレスたちをタップすることで色々な反応が返ってくる。

 まずここで注目したいのが、表示される情報の濃厚さだ。カメラを動かすとアクトレスたちの顔に合わせて四角の図形と名前が表示される。顔認証だ!後述の管理画面でチームを複数名で編成している場合はこのホーム画面に最大3名のアクトレスが現われ、タップすることでそれぞれの配置場所に応じたカメラに切り替わる。床を見ればロボット掃除機が稼働していたり、アクトレスたちが事務作業に当たっているのもなかなか凝った演出といえる。

 また、ホーム画面右下に表示されている受話器のボタンをタップすればいま注目しているキャラクターの衣装などを変えられる「ドレッサー」画面に移行する。ここではアクトレスの姿を360度ぐるりと眺められるほか、ゲーム中で得たプレゼントで信頼度を上昇させ、アクトレス固有のエピソードを閲覧できる。

 エピソードはガチャから入手できるキャラクターの★の数とそのレベルに応じて開放される「キャラエピソード」と、信頼度やバトルを重ねて上昇する「ファン数」によって解放される「絆エピソード」の2種類がある。「キャラエピソード」はキャラクターたちの周囲の事情や性格を描いたもので、「絆エピソード」はキャラクターとプレーヤーの間で紡がれる関係を描いたものだ。

隊員たちのエピソード。それぞれの性格から起きる悩みなどを描いたものから、隊長であるプレーヤーとのアレコレを描くものまで

ギアを纏ったアクトレスをじっくり鑑賞&カスタマイズ

 筆者がプレイしていて「痒い所に手が届く」と感じた点。それはチームメンバーの編成を行なう「管理」画面から確認できる「3D MODEL」の項目だ。ただギアを変更したり、キャラクターを変更するだけならそれぞれのアイコンをタップするだけで行なえてしまうのだが、わざわざこの項目を用意したということがたまらない。

 「3D MODEL」画面では、アクトレスとギアの構成を文字通り3Dモデルでカスタマイズできる。遠距離攻撃用の「ショット」、近距離攻撃用の「クロス」、そしてHP、防御力、スピード、「ギアスキル」を決める「トップス」と「ボトムス」の4種からなるギアの構成を変更できるのだ。

 ここで!360度どころか全周囲ぐりぐりとモデルを鑑賞できるのだ。しかも画面両端に用意されたギアスキルのボタンをタップすれば、トップスとボトムスのギアに可動ギミックが搭載されている場合それが動く!もうこれだけで暇がなくなるレベルで楽しめる!コスチュームやキャラクターも変更可能!そして変更した項目は編成に反映される!

 この画面だけで十分すぎるほどに楽しめるうえ、「このギアはどんな動きをするんだろう……」とワクワクしながらギアを集める楽しみも生まれる。キャラクターをタップすれば武器を構えたポーズに変更でき、ピンチ操作でズームイン/アウトが可能で、右上のボタンをタップすればキャラクター周囲に表示される情報を消すこともできる。楽しい。SS撮影やファンアートのための作画資料に最適。

 なお、「そんな時間ないよ!」という場合でも安心の簡単操作もばっちり存在。管理画面のキャラクターをタップすれば簡単に変更が行なえるし、キャラクターをドラッグするように動かせば編成順も変えられる。少し小さいがギアのアイコンをタップすればそれぞれのギアも変更できる。

閑話休題

 ストーリーを少し進めると、ギア専用の強化や売却を行なうメニューである「ギア整備室」が開放される。

 ひとつ述べておくと、作業着姿のメンバーが登場する。いいぞ。

バトルの基本は片手で操作、単純明快シューティング

 さて、このままひと晩ホーム画面で遊び倒してしまえる勢いだが、本作のもうひとつのメインコンテンツであるバトルパートの解説に移りたい。筆者がプレイした限りでは爽快感のあるアーケード系シューティングと現代的な3Dアクションが融合したような感触だ。

 バトルは片手で移動や攻撃のすべてを行なえる。遠くの敵をロックオンしているときに画面をタップすればショット攻撃を行ない、タップし続ければ固有の溜め攻撃を、近くにいればクロスによる近接攻撃を行なう。上下左右に軽くスライドさせれば通常移動、大きくスライドさせてダッシュ、スワイプすると回避ができる。ダッシュや回避には専用のゲージが存在し、それを消費しきってしまうと素早い行動ができなくなる。敵が撃ってくる弾の中にはダッシュや回避を使用しなければ避けきれないものもあるため、ゲージ管理は生存のカギとなっている。

攻撃はダイナミック&華麗。溜め攻撃の軌跡が何条も飛んでいくさまは目を見張る

 もちろん両手(2カ所以上のタップ)操作にも対応。移動中にギアスキルを繰り出したり、近接攻撃をキャンセルして回避することもできる。また敵を直接タップすることでロックオン対象を変更することも可能だ。

 また、チームは最大3人(+サポートキャラクター1人)の編成が可能。戦うメンバーは戦闘中にワンタッチで切り替えが可能となっており、雑魚やボスなど、敵に合わせた武器構成のメンバーを編成して戦える。

 このバトルシーンで重視されているのはやはり「爽快感」であろう。格好良く動いて華麗に敵を駆逐し、流麗な溜め攻撃の尾が画面を彩る。ボンボンと爆発し倒れていくヴァイスなど、すべてが爽快感を演出するために作られているのだ。ヴァイスたちが”シューティングゲームの敵らしく”デザインされている点もプレイしていて楽しい点といえる。

種別いろいろ、迷いに迷えるギア構成

 アクトレスが装備するギア、とくに武器には多彩な種類が存在する。まず武器の形状で「ショット」には標準的な「ライフル」、射程が短く小回りが利く「デュアル」、爆発する弾丸を投射する「バズーカ」、射程が長く貫通する「スナイパー」の4種。それぞれに弾丸を撃つものとビームを撃ち出すようなものの2種が存在する。

 そして「クロス」には素早い攻撃が可能な「片手剣」、標準的な「両手剣」、突きを行なう「ランス」、衝撃波を起こす「ハンマー」の4種がある。

 これに「焼夷」と「冷撃」、「電撃」と「重力」の4属性が付加され、無数の特徴が存在するのだ。「トップス」や「ボトムス」にも属性が付与されており、これは耐性とギアスキルの属性に関係する。さらにアクトレスにも得意属性、得意ギアが存在し、少々ややこしいが重要なシステムとなっている。

属性、武器種、ギアスキル。組み合わせは限りない。敵にも弱点が存在するため、それに合わせて編成を変えてもいい

 ここで筆者が気に入っている武器種を申し上げておくと、雑魚掃除に向いている「バズーカ」、次点でビーム系の「スナイパー」だ。爆風で雑魚を一掃するのはもちろん、当たり判定が残るビームを撃つスナイパーが強く爽快感がある。反面、手数では「デュアル」や「ライフル」には劣るため、バランスを考えたチーム編成が必要だ。

武器やキャラクターの成長にはバトルが必須

 本作におけるキャラクターの育成やギアの強化には、ヴァイスを倒して得られるアイテム「シェル」が必須となっている。「シェル」は「解析」画面で解析を行なうことでキャラクターの成長に使用する「アニマ」や武器のレベルアップに使用する「ゴールド」、そしてギアそのものを獲得できる。

 シェルの解析は最大4個まで。複数個を同時に解析すると再使用に必要な時間が短縮される。再使用までの時間はゲーム内通貨である「カラット」、または各所で獲得できる「解析でんち」を使用することで短縮することも可能となっている。

シェル解析の様子

強くなる方法はガチャに限らず

 本作では、キャラクターの獲得方法はストーリーの進行とガチャ要素である「スカウト」の2通り。★2以上のキャラクターはガチャのみの登場で、専用コスチュームの獲得方法もスカウトからとなっている。スカウトはゲーム中に得られる「スカウトポイント」を貯めて獲得できる「スカウトカード」、もしくは「カラット」が必要だ。

 スカウトで登場する★2以上のキャラクターは、★2で制服、★3で私服、★4で専用スーツを纏っての登場。★が増えるほど能力も高く、レベル上限も高い。なお”ダブり”が出た場合はそのキャラクターのレベル上限が1つ開放され、加えてアクセサリーガチャに使用できる「アクセサリーチケット」を獲得できる。★4キャラクターが重複した場合はさらに「コス交換所」で使用可能な「コス交換券」がプレゼントされる。

 ここまで書くとゲームを有利に進めるにはスカウトが必須のように見えてしまうが、★の少ないキャラクターでも「アニマ」を使用してレベルを上げたり、「ゴールド」でレベルを上げたギアを装備させることで十分に強いキャラクターに成長させられる。ギアの★の数によっても強さは大きく変わるため、強くなるには強いギアを入手することも大事なのだ。

 ――そしてここで語りたい、そのモデルの精巧さ。「兼志谷シタラ」を例に挙げれば、彼女はよく動く。タップしても動く、可愛い。そしてよく揺れる。何とは言わないが。スマートフォンだからと内心侮っていたのだと思う。だがこの揺れとあざと可愛い動きで確信した。このゲーム、メカ好きだけでなく通常のゲーマーも等しく沼に引きずり込もうとしている。画面に手を突っ込んだらそのまま成子坂製作所にワープできないかな……!できないよな……!

俺より強いギアに会いに行く……!「フロンティア・プロジェクト」

 ストーリーをある程度進めることで、成子坂製作所の面々はヴァイス撃退のために設立された行政機関「AEGiS」より新たな「調査任務」、「フロンティア・プロジェクト」を任されることとなる。

 この「フロンティア・プロジェクト」が本作の最大のキモといえるシステムとなっている。ここでは6角形のマス目「へクス」で分けられたフィールドを探索し、ヴァイスを撃退したり探索を続けることで様々な報酬を得られる。出現するヴァイスからは★2、★3のシェルがもりもり出現し、運が良ければさらに強力なギアやアクトレス専用のめちゃんこカッコイイギアを獲得することもできる。★4キャラクターと専用ギアの組み合わせはまさにエースといった風貌で、気に入ること間違いなしだ。ただし専用ギアの出現率はかなり低めに設定されているようなので、諦めず繰り返し挑戦することが必要だろう。

 なぜこの「調査任務」が最大のキモかというと、メインストーリーの任務で手に入るシェルはそのほとんどが★1か★2。アイテム収集や成長アイテムを効率的に収集して手早く強くなるためにも、この「調査任務」は重要なコンテンツとなっている。

へクスにはヴァイスと戦闘するマスやアイテムが見つかるマス、様々な効果が得られるマスが存在
めちゃんこカッコイイ専用ギアの一部。是非とも獲得して眺めていたい

 さて、ここまでで本作が萌えと燃えとカッコイイ、3つの属性によって成り立っていると感じた――ということは伝えられただろうか。是非ともリリースの暁には本作をインストールし、心ゆくまで現代のシューティングゲームを味わい、魅力にあふれたアクトレスたちを愛で、”超”!カッコイイメカデザインに心の中の少年を踊り狂わせて頂きたい。

 個人的には兼志谷シタラちゃんをゴリゴリと推していきたい次第。彼女と1980年代のアニメと最近のゲームの話をしたい。そして読者の皆様にも思い思いの推しキャラクターを見つけて頂きたい。アクトレスたちは誰もが個性的かつ魅力的だ。――というところで、本レビューを締めくくらせていただく。

リリースの暁にはシタラちゃんをどうかよろしくお願いします