ダイアクロン「ビッグパワードGV」レビュー

ビッグパワードGV

タカラトミーの技術の粋を詰め込んだ、大型合体変形玩具の決定版

ジャンル:
  • アクションフィギュア
発売元:
  • タカラトミー
開発元:
  • タカラトミー
価格:
27,500円(税別)
発売日:
2017年11月25日

 タカラトミーが2016年より展開しているオリジナル玩具「ダイアクロン」の最新商品となる「ビッグパワードGV」が、11月25日に発売となった。

 同社が1980年代に発売していた「ダイアクロン」を現代の技術でリブートした新生のシリーズで、昨年その第1弾として発売された「ダイアバトルスV2」に続く大型商品となる。今回この商品を実際に購入し、そのプレイバリューについてレビューしてみた。

 この「ビッグパワードGV」は「ダイアバトルスV2」などと同様に、1981年に発売された旧シリーズの「ビッグパワード」のコンセプトを継承している。「初代」と設定されている「ビッグパワード」は、「マッハパワード」、「ランドパワード」、「アースパワード」の3機のパワードマシンが「集合合体」して人間型のロボットとなり、さらに胸部にはダイアクロン隊員が搭乗する「パワードスーツ」が収納できるというギミックを持っていた。

7月の「ダイアクロンExpo」に展示された初代ビッグパワード。サイズはそれほど大きくはない
この「ビッグパワードGV」は、5機のメカが合体変形し、様々なモードに展開する
【ダイアクロン 集合合体!ビッグパワードGV!!】

無限に広がる合体変形の楽しさ

「ビッグパワードGV」のパッケージ。かなり大きめながら、実は「ダイアバトルスV2」とさほど変わらないサイズだ
「ビッグパワードGV」の内箱。余剰パーツが少ないため、意外にも構成はシンプルだ
縦列連結時は、戦闘指令車を連結させられる。別途発売される「連結戦闘トレーラー」がこの形状だ

 この「ビッグパワードGV」は初代「ビッグパワード」から数えて6世代目にあたるマシンであり、堅牢な装甲と各部に配された様々な武装システムで構成された無敵の重装甲戦闘マシンという設定がある。「GV」は「GATHER-V」の略であり、「集合合体」を意識しているようだ。それが表わす通り、「ビッグパワードGV」は5機のパワードマシンが合体するという構造なのだが、実際に商品を触ってみると、単純な「合体」だけでは片付けられないギミックが多数用意されている。

 「ビッグパワードGV」を構成するパワードマシンは、パワード01からパワード05までの5機が存在する。そのうち左右の脚となるパワード04とパワード05は同一のデザインとなっている。もちろんこれらはダイアクロン隊員の搭乗ビークルとして単体でも遊べるほか、それぞれが合体変形機構を備えている。パワード01と02が「スカイパワードモード」、パワード03~05が「ガイアパワードモード」という2機の大型ビークルに合体し、ここからメインとなる「決戦モード」をはじめとする、様々なモードへの合体変形を実現している。

【パワード01~05】
パワード01。ビッグパワードGVの胸部となる重機動戦車で、内部に頭部を収納している
コクピット部は独立した「戦闘指令車」(手前)に分離。隊員を2名乗せられる
付属のパワードスーツや、パワード04・05のコクピットとなる「ボレットモジュール04・05」の合体も可能
後部には合体モードのパワードスーツを格納できる。ハッチを閉じると奥に入っていくギミックがある
パワード02。ビッグパワードGVの両腕になる重戦闘機。手のグラビトンフィンガーミサイル砲がそのまま武装となっている
武将を成長させることで多彩な技を修得していき戦いの幅が広がる。強敵を相手にするには武器の強化も重要だ
パワード02の中央部に位置する「ボレットファイター」。着陸脚が別パーツで付属する
重機らしく、先端のパワークローが開閉。ボレットモジュール左右のアームも展開できる
コクピットのボレットモジュール02・03は取り外して逆向きにも付けられる
後部には合体モードのパワード-スーツを懸架させられる
パワード02の中央部に位置する「ボレットファイター」。着陸脚が別パーツで付属する
後部には合体モードのパワード-スーツを懸架させられる
単独で変形し、二足型メカの「メックモード:ランドウォーカー」となる
ランドウォーカーには、合体モードのパワードスーツを合体できる
パワード04とパワード05。ビッグパワードGVの脚部となる2台の多機能型トレーラー
パワード04と05のコクピットとなる、「ボレットモジュール04・05」。アンテナを開閉可能
上部にあるアームは伸縮や展開、取り外しも可能。また後部にはレイドチェンバーを搭載できる
それぞれの格納庫が展開し、「リペアベースモード」へと変形
リペアベースモードには、ボレットモジュール02・03やパワードスーツ、別売りのバイク「ロードヴァイパー」などを格納できる
キャタピラの「リアクローラー」を格納庫に収納した「アタックモード」
アタックモードでは、格納したリアクローラーが「ヴィッカースマッシュ砲」として展開
アタックモードは縦横に連結が可能。キャタピラには車輪があり、コロ走行を楽しめる
【パワードスーツEタイプ・ダイアクロン隊員】
ビッグパワードGVの心臓部となるパワードスーツE(エクストリーム)タイプ。武装等は付属しない
パワードスーツの「合体モード」。ビッグパワードGVへの搭載時などはこの形にしておく
ダイアクロン隊員はブルーを基調とした3名が付属。約3cmの大きさで、全身9カ所が可動
本体に貼ることで、足裏にマグネットがある隊員を立たせやすくなるスチールシートも付属
ガイアパワードから変形する「メックモード:ガイアクエイカー」

 面白いのは、それぞれを単純に分離/合体させるだけではなく、合体のプロセスを楽しませる演出が施されている点だ。例えばパワード01とパワード02をスカイパワードモードへと変形させるとき、パワード02を01の上部へと乗せ、椀部ユニットを01側にスライドさせてから、パワード02中央部の「ボレットファイター」を取り外すというプロセスを説明書にて解説している。

 単にスカイパワードの形にするだけなら、パワード02から椀部ユニットを取り外してパワード01に取り付ければいいわけだが、それをあえて「パワード01と02の合体→椀部ユニットのスライド→ボレットファイターの離脱」という合体プロセスを楽しませるというところに、強いこだわりが感じられた。実はこれは「ダイアバトルスV2」の合体にもあった設計である。

【変形時の機構】
スカイパワード変形時の機構。2機を上下に合体させて、溝に沿って椀部を下にスライドさせる
【スカイパワードモード・ガイアパワードモード】
パワード01と02が合体した「スカイパワードモード」。大型戦闘機の形態だ
コクピットとなった戦闘指令車を下にスライドさせると、着陸モードになる
機体後部にはボレットファイターや、コクピット部を取り外した「ボレット02ブースター」を合体させられる
パワード03・04・05が合体した「ガイアパワードモード」。輸送や回収などに使われる重機動陸送マシン
ガイアパワードによるマシンの輸送。写真では前後を逆にし、ボレットモジュール04・05を先頭に取り付けている

5体合体では全高27cmに! ファン待望の「基地モード」も搭載

 5体が合体した「決戦モード」は、全高27cmにもなる大きさで、「重装甲戦闘マシン」の肩書きにふさわしい迫力を持っている。「6連速射破壊砲」や「フリーゾンミサイルポッド」、「グラビトンフィンガーミサイル」など、非常に多くの武装を持った攻撃的な機体である一方、合体時のモードによっては、輸送やメンテナンスなどの作業向きのマシンになるという一面を持っている。

 それを象徴するのが「基地モード」の存在だ。旧「ダイアクロン」シリーズの「ロボットベース」から受け継ぐ、ダイアクロン隊員や各種ビークルなどを絡めた「基地遊び」を可能としていて、特に男性ファンは非常にときめくものがあるはずだ。またこの新生「ダイアクロン」ファンにとっても待望のモードであり、これまで集めてきたシリーズをさらに深く遊ぶことのできる存在として、その価値を高めている。

【ビッグパワードGV・決戦モード】
スカイパワードとガイアパワードが合体して、「決戦モード」となる
決戦モードへの変形途中。スカイパワードは前後を逆にし、腕を180度回転させておく
胸部ハッチと上部のヘッドユニットハッチを開けておいてパワードスーツを固定。胸部ハッチを閉じると、頭部がせり上がってくる
ビッグパワードGV決戦モードの完成。パワードスーツを核とした全高15mの巨大な攻撃用メカという設定だ
背後には各機体のキャタピラがむき出しの状態で配置され、無骨さが強調されている
ダイアバトルスV2との比較。同じ赤と青の配色でも、色味は異なっている
旧シリーズのような直立ポーズも似合う。手前の2機のマシンを含めれば、余剰パーツはない
目には集光素材を使用。上部から光を当てると、目が光っているように見える
フェイスガードを展開すると、人間的な口のモールドが現われる
可動範囲はさほど広くないが、股関節はかなり広げられる。一部関節にはクリックもある
肩の6連速射破壊砲は上下に可動。また胸部ハッチ左右のF/Zミサイルポッドは展開する

 今回触っていて驚かされたのは、これだけ大きいサイズを誇り、さらに複雑な合体をするにも関わらず、余剰パーツがほとんどなかったということ。最大の決戦モードになったときでも、パワード01の戦闘指令車とパワード02のボレットファイターが機体として残るのみで、その他のパーツは全て合体に使用、または本体内部に収納される形となる。

 収納などができない小さなパーツはボレットファイターの着陸脚1個だけなので、パーツを紛失してしまうことが少ないのも嬉しいところだった。この辺りはタカラトミーの「トランスフォーマー」などで培われた玩具デザインのノウハウが生きているところなのだろう。欲を言うなら、指が根元しか動かないので、ポーズに表情が付けられる平手や拳などのパーツが欲しかったところだ。

 またパワード04・05のキャタピラを内部に収納するとき、パーツ同士のクリアランスが狭いためか、かなり固く感じられたので、既に発売が決定しているバリエーション商品などでは、このあたりの改善に期待したいところでもあった。

 価格は27,500円(税別)とかなり高額ながら、それ以上の価値があるプレイバリューを誇っている感じられた。とにかくどう触っても楽しめる商品であり、さらにこれまでのシリーズと絡めることで、その価値は倍増する。市場にはまだ若干在庫があるようなので、懐かしくも新しい合体おもちゃの楽しさを楽しんでみてほしい。

【ビッグパワードGV・5機合体の各種モード】
スカイパワードの戦闘指令車及び、ボレットモジュール02・03をコクピットとした「機動要塞モード」
機動要塞モードからコクピット部分を取り外し、パワードスーツを合体させた「エクゾマニューバモード」
決戦モードに移行しやすい状態で移動するための「重戦車基地モード」
パワードマシンが連結した状態で展開して簡易基地を構築する「基地モード」
パワードマシンが連結した状態で展開して簡易基地を構築する「基地モード」
筆者の手元にあるシリーズで、基地モードを遊んでみた。隊員やパワードスーツが多いとかなり楽しい