2017年12月28日 12:00
PS Storeでは12月14日から1月10までの期間限定で、「コーエーテクモゲームス 年末・年始セール 2017-2018」開催されている。そのラインナップの中には筆者が前々から気になっていたPS4/PS Vita向けRPG「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」があるのを発見した。
「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」はPSストアで1月10日までの期間限定で、40%OFFの5000円で配信中だ。この冬休みに遊ぶソフトにお困りだったら手に取ってみてはいかがだろうか?
本作の魅力を第一に挙げるなら、人気イラストレーター岸田メルが持つ、透明感と柔らかいタッチで描かれた女の子の可愛さ! 正直これだけでプレイする動機としては十分なくらいなのだが、それに加えて世界観も面白い。
ごく普通の女子高生たちが魔法少女に変身して、異世界で異形と戦うRPGなのだ。この設定は筆者のハートを打ち抜いた。以前から気になっていたものの買う機会を逸していたが、今回のセールはまたとないチャンスとなった。想い入れを込めて語っていきたい。
平穏な日常に潜む闇の世界で、少女たちは戦う
「BLUE REFLECTION」のスタート地点は現代の日本、星ノ宮女子高等学校という女子校が舞台となる。学園もののRPGは数あれど、筆者は女子高を舞台にしたRPGはかつてプレイしたことがない。ちょっとドキドキしながらプレイを開始した。
本作の主人公「白井日菜子」は、将来を有望されていたバレエダンサーだった。しかし事故で足に怪我を負い、それ以来バレエが踊れなくなってしまったのだ。目標を失い、心を閉ざしてしまった少女という、いきなりの重い設定である。しかし日菜子は事故のショックを引きずりながらも前に進むことを決め、高校に通い始めるシーンからゲームがスタートする。
登校初日。ある女生徒との接触がきっかけとなり、日菜子は深層心理の異世界「コモン」へと導かれる。そこで2人の少女「司城夕月」と「司城来夢」から力を与えられ、「リフレクター」と呼ばれる魔法少女となり、世界を救うための戦いへと巻き込まれていく。
本作は章仕立てでストーリーが展開していくタイプのRPGだ。各章ごとに中心となるメインキャラクターの女の子が登場し、その子に起こる事件を解決していくという流れで物語が進んでいく。
このゲーム最大の特徴は、学校での日常を楽しめるアドベンチャーパートと、異世界で戦う戦闘パートの2つにわかれているところ。アドベンチャーパートでは放課後の学校内を自由に動き回れ、女の子たちとコミュニケーションをとって仲を深めることができる。
会話中に出る選択肢によって女の子たちの好感度が上がり、さまざまなイベントが発生するという、筆者が大好物な恋愛シミュレーションゲームの要素もある。女の子と仲良くなる以外に、アドベンチャーパート内にはミッションが用意されている。主には校内にいる生徒(モブキャラクター)たちの悩みを解決させてあげるというもの。
その解決の方法が「不安」や「怒り」などの自分の中で抑えられない暴走した感情を、コモンに入って安定させるというもの。コモンは人が持つ深層心理の世界。怒りの感情なら溶岩の世界。喜びの感情なら楽園の世界など、暴走している感情によってダンジョン(コモン)の景色や構造が変化する。
戦闘パートに突入するタイミングで、変身ヒロインものには欠かせない、筆者が待ちに待ったリフレクターへの変身シーンが挿入。おなじみの謎の空間で全身が光に包まれて変身するアレである。変身時のモーションはキャラの特徴を活かして日菜子ならバレエのような軽やかな動き、そして変身後は髪の色が変わるという、お約束を守っていて、「やるじゃない……」と1人で熱くなってしまった。
ミッションはさまざまなクリア条件があり、今回は指定された敵を一定数撃破することが目的だ。本作はシンボルエンカウント制で、一目でターゲットが確認できるのでこの条件は比較的簡単だ。目的以外の敵は無視しながら探索すると、さっそく目標の敵を発見した。
パーティメンバーは日菜子、夕月、来夢の3人固定で、戦闘はオーソドックスなコマンドバトルだ。シンプルな戦闘システムながらも、スキル(技)によって攻撃範囲の広いものや、敵の行動順を遅らせるものなどがあり、なかなかに戦略性が高い。
ターゲットを撃破し、現実世界に戻ればミッションクリア。一定数のミッションをクリアして、来夢たちに報告をすることで物語の本筋であるメインストーリーが進んでいく。さらに、ミッションをどんどんこなしていくと成長ポイントが得られ、「アタック」、「ディフェンス」、「サポート」、「テクニック」の4つのパラメーターに振り分けることができる。一点突破で成長させるか、バランス型にするか、育成の自由度がある。ポイントの振り分け次第でさまざまなスキルも覚えていくので、覚えたいスキルを成長方針にするのもありだ。
校舎を超える巨大な敵「原種」と対決。
普段は現実世界ではないコモンの中だけに存在する魔物だが、中には現実の世界に現われる魔物もいる。それは「原種」と呼ばれる巨大な魔物で、体も力も規格外の脅威の存在。
ボス戦ともいえる原種との戦い。コモンでは敵にやられても現実世界に戻されるだけなのだが、現実世界の原種戦では敗北=ゲームオーバーになってしまうので油断ができない。
学校の校舎よりも遥かにデカく、そして闇の化身ともいえる禍々しい姿はまさにラスボス級の存在感。見た目に違わず原種の強さは今までの魔物とは桁違い。コモンにいる魔物の体力は300程度だが、それに比べて原種は3,000もあったりと、無類の強さを誇る。
原種との戦いでは、絆を深めた女の子たちがサポートキャラとして一緒に戦ってくれるのだ。日菜子・夕月・来夢それぞれに最大4人のサポートキャラをつけることができる。仲間の持つサポート能力は回復系や、一時的にステータスをアップさせるものなど効果はさまざま。誰にどのサポーターをつけるかで戦局が大きく変わってくる。
原種の攻撃は広範囲かつ、強力なものが多く、まともに食らっていたらすぐに全滅してしまう。通常の戦闘ではあまり使う機会がないが、ここではエーテル(MPみたいなもの)を消費してできる“ガード”が有効だ。敵の攻撃に合わせてガードをすれば、受けるダメージを大幅に減少させることができる。またエーテルチャージを使うと、エーテルをためることができるので、うまく使い分けて戦うに臨もう。
敵からのダメージをガードで抑えつつ、こちらの攻撃のターン。底なしの体力がある原種を相手に普通に戦っていたのでは埒があかない。サポート能力で攻撃力を上げ、エーテルを消費して“オーバードライブ”を発動させる。
オーバードライブは、使うことで1ターンで行なえる攻撃回数を増やすことができるのだ。それも、オーバードライブは重ねがけすることも可能。重ねがけするたびに増えるのは攻撃回数だけではなく、攻撃力もどんどん上昇していく。原種戦では活躍する戦術だ。
オーバードライブで一気に攻め込み、ごっそりと体力を奪ってやると、そこでムービーシーンが入る。原種の放つ滅びの光を日菜子はバリアで弾き、光の槍で原種を貫くと、闇を四散させながらその場に崩れ落ちた。
長期戦の末ようやく原種を撃破した。しかし、原種は倒した1体だけではなく他にも数多く存在しているのだという。世界を滅ぼす存在の原種とはどこから来て、一体何者なのだろうか?
戦うだけが全てじゃない! 青春だって満喫できる!!
筆者の個人的なRPGをプレイする上での重要なポイントが“主人公に共感できるか?”というところだ。主人公に自分を投影してプレイしているわけでもないが、曲がったことは許さない正義の化身や、欠点無しのパーフェクト主人公だと、どうにも物語りに入り込めない。
本作の主人公は女子高生だ。筆者のような大人の男性に共感ができる部分は……正直、ない。しかし最初はそう思っていたが……受け答えで結構自分に近い価値観があって、ドンドン感情移入していったのだ。
例えば女生徒から恋の相談をされるシーンで、日菜子たちが助言をするも、相手の女の子は「告白するなんて恥ずかしい」、「失敗したら関係性が崩れる」、「どうしたらいいんだろう」などなどもうイライラする返事ばかりで、プレイしていて正直、「勝手にしろよ!」とTV画面に向かって毒づてしまった。
そして女の子が、再度、どうしたらいい? と日菜子にアドバイスを求めると、「そんなの知らないよ! 2人の気持ちなんてわかんないし!」と日菜子はピシャリと言い捨てたのだ。別にキレるところでもないのかもしれないが、この煮え切らない態度へのイライラする感じにすごく共感し、日菜子というキャラクターに惹かれたのだ。人間味が垣間見えた気がした。
ゲームの中ではこういったやりとりが多い。本作のキャラクターは、主人公の日菜子をはじめ、どれもゲームやマンガなどでよく見ると感じる「作り物の理想系の女の子」ではなく、現実にいそうなリアルさを感じられるキャラクター像なのだ。このリアルなキャラクターが、魔法少女という非日常の存在になるという設定が、余計に面白さを引き立たせている。
キャラクターの魅力は、日常パートで発揮される。絆を深めることができるのは、サポートキャラになる個性豊かな12人の女の子たちだ。その中で筆者が気に入ったのは、ポニーテールが似合っているテニス部の女の子「真田凛」だ。
さっそくテニスコート前にいる凛とコンタクトを取ることに。凛はお気に入りのジュースがあって毎日飲んでいるとかで、今日も3本目に突入しているのだと言う。そこで出た選択肢は「頑張ってるんだね」と「飲み過ぎじゃない?」の二択だ。
正直どう考えても「飲み過ぎじゃない?」の選択の方が正しい。むしろ「頑張ってるんだね」って返しの方が色々おかしいくらいだ。そうは思いながらも、自分の意思を捻じ曲げて、トゲのない「頑張ってるんだね」を選択した。
それだけ水分を欲しているということは部活を頑張っている証拠と言うと、凛は満面の笑み浮かべ、好感度がグーンとアップした。選択は正解だった。“女の子にはキツイことを言わない”というギャルゲーの掟が通用してよかった。
好感度を着実に上げていき、ついにデートまでこぎつけた! デートの行き先は完全にランダムで、行く先々でさまざまなデートイベントが楽しめる。
今回のデートはお化け屋敷。入るや否、お化け屋敷で大絶叫の凛。出口に着いた頃にはヘトヘトで、怖すぎて疲れたという。だからパフェを食べに行こうという謎理論に日菜子も筆者も困惑である。結構食い意地を張っている子なんだと知る。デートイベントではこのように、本筋のストーリーでは見られない、彼女らの意外な一面を見ることができるのだ。
色々な場所でデートをしていて気づいたことがある。デートに行く先々で必ずといっていいほど、凛の口から先輩(男)というワードが出てくるのだ。
遊園地に行っても「先輩と一緒に観覧車に乗りたい」と言ったり、古墳ってチョイスもどうかと思うが、古墳に行けば「先輩が万が一古墳マニアだったときのために勉強しなきゃ」とか、とにかく何かにつけて先輩なのだ。デート中もモヤモヤしっぱなしである(もちろん日菜子は別に気にしていない)。これだけ先輩先輩言っている凛だが、先輩との恋の行方も気になるところだ。
RPGなのに、恋愛シミュレーションゲームのような楽しみ方もできる、まさに1度に2度おいしい本作。普通の少女たちが異世界で魔物と戦うという、なかなかにマニアックな世界観だが、そこがツボにハマるなら全力でオススメできる1本。ただ1つ残念なところを言わせてもらえば、“パーティメンバーが固定なところだ”。「姉御肌娘」や「無気力ギャル」、そして「スーパー高校生女優」など、こんなにも個性溢れるキャラがたくさんいるのにも関わらず、なぜサポートキャラというポジション止まりでパーティメンバーに加入しないのかという1点だけである。凛をはじめ、みんなが変身する姿を正直見てみたかった。
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