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ネクソン式“死にゲー”登場! 「The First Berserker: Khazan」プレイレポート【TGS2024】
「アラド戦記」スピンオフ。何度も死ぬ厳しさの中に“優しさ”を感じるゲームデザイン
2024年9月26日 10:00
- 【The First Berserker: Khazan】
- 2025年初頭 発売
- 価格未定
9月26日より幕張メッセで開催されている日本最大のゲームイベント「東京ゲームショウ2024」(以下、TGS2024)。そのネクソンブースに出展されているのが、2025年初頭に発売が予定されているハードコアアクションRPGの「The First Berserker: Khazan」だ。
本作は世界中の累計プレーヤー数が8億5,000万人以上を誇るネクソンの代表的なIPのひとつ、「アラド戦記」をベースにしたタイトルである。同社では、この「The First Berserker: Khazan」を「アラド戦記」ユニバースのひとつと位置づけており、「カザン」や「オズマ」といったおなじみのキャラクターは登場するものの、本編とは異なるifのストーリーを描いた作品として展開している。
ジャンルもハードコアアクションRPGとなっているように、いわゆる「死にゲー」と呼ばれるような、アクションゲームが得意なゲーマー向けタイトルだ。今回の「TGS2024」に先駆けて、試遊版と同じ内容のものをプレイできたので、そのレポートをお届けする。
なお、今回プレイしたものは開発中のバージョンだ。そのため、製品版では異なる点が出てくる可能性もあるので、ご了承願いたい。
「アラド戦記」の死にゲー。セルアニメ風のグラフィックスが特徴
この「The First Berserker: Khazan」の主人公は、ペル・ロス帝国の大将軍「カザン」だ。かつて帝国を襲った狂竜ヒスマを倒して英雄になったものの、皇帝から謀反の濡れ衣を着せられて拷問を受けたのちに、雪山ハインマフに追放されてしまう。
メインストーリーでは、この雪山への護送中に雪崩に巻き込まれてしまうという場面から始まる。瀕死の重傷を負ったカザンであったが、そこでブレードファントムと呼ばれる不思議な存在から冥界の力を得て復活を遂げる。そして、ペル・ロス帝国の首都を目指すために冒険に出ることとなる。
こうしたコア向けのアクションゲームといえば、フォトリアリズム寄りの3Dグラフィックスをイメージしてしまいがちだ。しかし、本作ではあえて3Dキャラクターをセルアニメ風に描いている。背景自体はリアルなグラフィックスで、そこにアニメ調のキャラクターが描かれていて、最初は違和感があるのだが、慣れてくるとこれがなかなか馴染んでくるから面白い。
「死にゲー」が苦手でも“優しさ”と配慮を感じるつくり
メインストーリーの「HEINMACH」では、先ほどご紹介した冒頭のドラマが流れた後で、プレイアブルになりマップを移動していくことになる。ゲームとしてはオープンワールドではなく、細かい道が分かれているところも少しだけあるものの、基本的には一本道だ。道中には様々な敵が待ち構えており、それらを排除しながら先を目指して進んでいくことになる。
このゲームのコンセプトは「爽快なアクション性とダイナミックな戦闘」だ。タイミングよく相手の攻撃をかわして打ち合うなど、アクションゲームの中核となる楽しさに重点が置かれて作られている。そのため、戦闘では一般的なブロックやパリィ、ジャストガードを活用したアクションなどもしっかりと用意されている。
今回はPCにPS5コントローラーのDualSenseを接続してプレイしたのだが、基本的なアクションは□ボタンでクイックアタック、△ボタンで強攻撃。△ボタンを長押しすることで、チャージ攻撃ができる。また敵をロックオンしたいときは、「R3」ボタンを押せばOK。このあたりは、一般的なアクションゲームを踏襲している印象だ。
敵の攻撃は、L1ボタンを押すことでガードできる。ガードすることで体力が減るのを抑えることはできるが、その代わり気力が消費される。このゲームでの「気力」は持久力のようなもので、切れた状態では次の攻撃が出せなくなる。気力自体は自然回復するが、ガード状態で移動すると回復速度が落ちてしまう。
このメインストーリーの序盤は、まさにそうした基本的なアクションを徐々に学んでいくことができるチュートリアル的な内容となっていた。必要な場面に合わせてその直前にアナウンスが画面で表示されるため、実際にプレイですぐに試せるようになっているところも素晴らしい作りだ。
本作で最初に出会った敵は、鎧を身にまとった帝国兵士であった。だが、ただのザコキャラだろと思って油断してしまうと、痛い目に合ってしまう。実は、ふたりめの兵士と戦うときにすっかり油断してしまい、このゲームで初めての死を経験することになった。しかし、これはたんなる悪夢の始まりであったことを後々痛感することになる。
ちなみに筆者は、ソウルライクシリーズなど「死にゲー」と呼ばれるアクションゲームはそれほど遊んでおらず、どちらかというと苦手なジャンルだ。これは少し食わず嫌いな部分もあるのだが、今回2時間ほど本作をプレイして感じたのは、「厳しさの中にも優しさが染みこんでいるような作りになっていた」ということであった。
なんなの、その甘塩っぱいみたいな表現は? といわれそうだが、これは敵との戦闘を繰り返していくことで、徐々にプレーヤー自身が成長していけるような作りになっているという意味である。
名もなき中ボスに「基本が大事」と教えられる
ザコキャラ相手でも道中で何度も死んでしまったのだが、実は今回の試遊で最も時間がとられたのが、名もなき中ボスキャラである。いや、本当は何かしらの名前が付けられているのかもしれないが、ボスキャラとは違って名前も明らかにされないまま唐突にそこに存在しており、プレーヤーをこれでもかというぐらいにいたぶってくれる存在であった。
特にこのゲームを始めたばかりの初心者にとっては、とてつもない門番のようなものが現れたなという印象を受けそうだが、単純に強いキャラを配置しているというよりは、プレーヤーにアクションの基本を学ばせるために存在しているということが後からわかった。
この中ボスは、斧と槍が融合した巨大な武器のハルバードを大きく振り回してくるだけではなく、ときおり突き刺すといった攻撃も加えてくる。特にこの突き刺し攻撃が思っていた以上にリーチが長く、それだけでやられてしまうことが多かった。大きく横に振り回してくるときは隙も多いため避けやすいのだが、それでも当たってしまうとダメージは大きい。
初期段階では回復薬は3回しかできず、倒されてしまうと少し手前にあるリスタート地点からふたたびやり直しとなるため、再戦にも少し時間がかかる。そのため、なかなか有効な攻略方法を見つけることができずにいた。
この時点で、2時間用意されていた試遊時間も残り1時間を切っていたことから、ガン無視して逃げ切ることができるか試してみたものの、どこまでも追いかけ回されてしまう。つまり、どうやっても倒してからでないと先には進ませてもらえないことがわかった。
しかし、諦めずに何度か戦っていくうちに、攻め続けることで敵の体力を大きく減らすことができることがわかった。だが、あと一歩のところで及ばない……。そこで試したのが、敵の攻撃に合わせて攻撃し、武器を弾くというアクションだ。
実際に試したところ、何度か失敗したものの、タイミングさえドンピシャならばダメージをくらわない。また、攻撃を弾くことで敵の気力が少し減るため隙も生まれやすくなる。それを利用して攻撃を加えていき、なんとか撃破することに成功した。
雪山の大猿は「ジャストガード」で撃破!
先ほどの中ボスを撃破したあとでたどり着いたのは、雪山の外の世界であった。こちらは一歩踏む場所を間違えると、足場となる氷が崩れて奈落の底に落ちてしまうという危険な場所だ。雪山には猿たちがいて、強いわけではないものの死角から襲いかかってくることに加えて、ジャンプ力が高い。そのため、油断しているとやられてしまうことがある。
崖の下に移動しきったところで待ち受けていたのが、これまでいた猿たちとは異なる巨大な白い大猿であった。この大猿は、ジャンプで勢いよく手を振り下ろしてくる一方で、その手が地面に刺さって抜くのに手間取るなど、少しだけお茶目なところもある中ボスキャラクターだ。しかし、ときおり巨大な雪球を投げつけてきて、少しでもこちらが油断すると大きなダメージをくらってしまうことがあった。
1度目の対戦では負けてしまい、ふたたび猿たちが暴れる崖を下りてくることになったのだが、その間に思い出したのが先ほど苦戦した中ボスとの戦いだ。そちらは敵の武器を弾くことで攻略の糸口を見つけることができたが、実はこの大猿の対戦の前にジャストガードについてのアナウンスが出ていたことを思い出した。
実際に敵が攻撃を仕掛けてくるタイミングでジャストガードをすると、大猿がひるむ。その隙に攻撃を加えていくことで、驚くほどあっさりと撃破することに成功したのである。先ほどの中ボスではそれこそ何十回も負けてしまったのだが、今回は2度目の対戦でクリアすることができた。
先ほどもプレーヤー自身が成長していくことができるような作りになっていると述べたが、このように実はひとつひとつの敵キャラは絶妙に配置されている。それらを順番にクリアしていくことで、緩やかにプレーヤー自身のスキルも伸ばしてくれるというような優しい作りになっているのである。
初見でプレイするときは、少々辛く感じるところもあったのだが、実際には意外にも丁寧で優しい部分が念密に織り込まれているため、遊び続けていくうちにゲームの世界にも没入していけるようになっていた。
ここまでは良かったのだが、なんとか大猿を倒すことに成功したものの、残りの体力はわずか。回復薬も無いという状態でギリギリの勝利だったわけだが……その直後、ザコの猿たちに襲われてしまいあえなくダウン。ふたたびこの場所に舞い戻ってみると、大猿もしっかりと復活を遂げていた。というところで、今回の試遊は時間切れとなってしまった。
TGS2024ではさらに強いボスキャラとの対戦が可能!
今回は、メインストーリーにほとんどのプレイ時間を割いてしまったため、試遊で用意されているボスキャラとは1~2戦戦った程度だ。こちらはかなり手強いため、普段からこうしたアクションゲームに慣れ親しんでいるプレーヤーにぜひとも挑戦してもらいたい相手である。
TGS2024では、「ボルバイノ」と「ランガス」という2体のボスと対戦できる。どちらも近くにある建物の扉を開けることでバトルがスタートする。敵の強さに合わせてカザン自体もレベル61、装備も初期状態と比較するとかなりゴツい、いい装備を身に着けている。通常の攻撃に加えて3種類のスペシャルスキルが使えるようになっているなどあらかじめ育成が進んだキャラクターだったのだが、さすがはボスキャラということで、筆者は全く歯が立たず思いっきりいたぶられてしまった。
ボルバイノは、とにかく驚かされたのが、ここまで戦ってきたどのキャラクターと比較しても、動きが素早かったところだ。
いきなりバトルがスタートしたかと思うと、猛突進でこちらに攻撃を仕掛けてくる。それ自体にびっくりしたのだが、左右の手に大小異なるサイズのハンマーを持っており、そちらを打ち下ろしてくる攻撃もかなり強力であった。
もうひとつ、「TGS2024」用のボスとして用意されていたのが、パレミオン城砦にある地下脱出路にいるボスキャラの「ランガス」だ。こちらはボルバイノのようなスピード感はないものの、巨大な斧を振り回してくる攻撃がかなり強烈なボスとなっていた。
通常の攻撃に加えて、ときおりロープを使って移動するような攻撃もしてくるため、かなりトリッキーに立ち回る。回復をするため、あえて距離をとっていたところ、なんと遠隔から一撃で倒されてしまった。一体何が起きたのかはまったくわからなかったのだが、事前に気力を溜めているような動きをしていることから、その動作に入ったときには回避行動をとる必要があったようだ。
丁寧なつくりと成長要素が魅力。食わず嫌いせずに遊びたい良作
ゲームを遊ぶ前は、2時間の試遊は少々長すぎるのではないかと思っていた。だが、想像以上にどっぷりとゲームの世界にハマってしまったということもあり、あっという間に時間が過ぎ去ってしまった。これは特にゲーム序盤における作り込みが素晴らしく、普段この手のアクションゲームをプレイしない初心者でも楽しめるように配慮して作られているということも影響しているのだろう。
また、ハードコアアクションRPGというジャンルになっているように、単なるアクションゲームとしてだけではなく、レベルアップでステータスを強化していったり、あるいは道中で手に入れた装備を身に付けていったりというように、ハックアンドスラッシュ的な成長要素も盛り込まれているところも魅力だ。もう少し育てていったら、どのように強くなるのかという興味も湧いてくるような作りになっているのである。
さすがに、中ボスにすら勝てない時点で挑んだ2体のボスキャラには全く歯が立たなかったのだが、少しずつ順を追って経験を積み重ねていくことで、プレーヤーとしても成長していくことができることがわかった。そのため、可能ならば最初から最後までぶっ通しで遊びたくなるようなタイトルといえそうだ。
コアゲーマーはもちろんのこと、普段あまり「死にゲー」タイプのアクションゲームを遊ばない筆者のようなプレーヤーでも楽しめるような作りになっていたので、食わず嫌いせずにぜひとも挑戦してほしい作品である。
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