インタビュー

「アラド戦記」の楽しさを込めた新作!「The First Berserker: Khazan」開発者インタビュー【TGS2024】

「成長を遂げるとジャンルが変わるような体験に」

【The First Berserker: Khazan】

2025年初頭 発売

価格未定

 今回の「東京ゲームショウ2024」(以下、TGS2024)では、40台近くの試遊台が用意されていたネクソンのハードコアアクションRPG「The First Berserker: Khazan」(以下、Khazan)。本作は「アラド戦記」の世界観を継承しつつ、もうひとつの物語として描かれたタイトルである。

 その「TGS2024」2日目となる9月27日に、Neople CEOで「アラド戦記」エグゼクティブ・ディレクターのユン・ミョンジン氏とクリエイティブディレクターのイ・ジュンホ氏、アートディレクターのイ・キュチョル氏にお話をお伺いすることができた。こちらの記事では、その模様をお届けする。

写真左より、イ・キュチョル氏、ユン・ミョンジン氏、イ・ジュンホ氏

「Khazan」は“挑戦”がテーマのアクションRPG

――今回の「東京ゲームショウ2024」に出展してみて、手応えはいかがですか?

ユン・ミョンジン氏:ゲームを作っていく上でマーケティングなど難しいことがいっぱいありましたが、発売を前にすると緊張のほうが強くなってきました。昨日1日(9月26日)に体験していただいた皆さんの反応もすごく良くて、「楽しみにしています」という意見をたくさん頂きました。

 いろいろな国でテストを行っているのですが、日本の皆さんはプレイがすごくお上手だったので、そちらも印象深かったところです。

――本作が誕生した経緯を教えていただけますか?

ユン・ミョンジン氏:「アラド戦記」は原作があります。そちらは、とても長い間サービスを提供してきています。この「アラド戦記」が持っている物語や深みのあるキャラクターについて、もっと多くの人にお届けしたいと考えました。そこで、いろいろなゲームをたくさん作ってその物語をお伝えしたいと思いました。その結果のひとつが、今回の「Khazan」になります。

――本作は「アラド戦記」ユニバースのひとつとして作られているとお聞きしました。他にはどのようなタイトルがあるのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:「アラド戦記」は今から拡張していく段階にあります。ゲームはもちろんのこと、ほかにもアニメーションや漫画など、いろいろな形で展開していく予定です。

――ゲームジャンルが「アラド戦記」とは大きく異なり、どちらかというとかなりコアゲーマー向けのタイトルになっていると感じました。このようなジャンルにしようと考えた理由を教えていただけますか?

ユン・ミョンジン氏:今でこそ「アラド戦記」はカジュアルな雰囲気のゲームになっていますが、発売当初は簡単なゲームではなくアクション性のある難しいゲームでした。

 個人的に今の「アラド戦記」も好きですが、リリースされた当初の、挑戦しがいのあるほうも好きだったので、新しいゲームを作ることになったとき、昔の「アラド戦記」が成功した、そのきっかけになった部分を評価する作品を作りたいと思いました。それでこのようなゲームジャンルになっています。

――原点回帰ということですね!

ユン・ミョンジン氏:そうですね(笑)。

――キャラクターのみグラフィックスがアニメのセル画調にした理由を教えていただけますか?

イ・キュチョル氏:個人的にも、3Dアクションゲームのグラフィックスが好きなので、そうしたところも参考にしています。今作は「アラド戦記」のIPということもあり、「アラド戦記」ならではの味を活かさなければなりません。そのふたつをどのように組み合わせるかで悩みました。

 元々ハードコアアクションRPGのようなジャンルが好きな方の好みと、「アラド戦記」の味の部分を組み合わせた結果、今回水彩画のような背景に、セルアニメーション風のキャラクターを描いていくというグラフィックスのスタイルを選んでいます。

――先日2時間ほどゲームをプレイさせていただきました。最初はかなり難しく感じたのですが、とくにゲーム序盤は徐々にプレイヤーのスキルを鍛えてくれるような、丁寧に作られていた印象です。こうしたレベル調整などを含めて、初心者向けに配慮した部分はございますか?

イ・ジュンホ氏:今回の「Khazan」は、「アラド戦記」を知らない方にもその魅力を伝えたいと思いながら3Dアクションゲームを作りました。こういうゲーうを遊ぶ方の中には、うまい人とそうでない人がいます。その後者の方にも「アラド戦記」の魅力を伝えたいと思って、ゲームを徐々に進めていくことでユーザーのスキルが鍛えられていくような設計になるように、気を付けて作りました。

――「Khazan」の企画から開発まで、これまでどれぐらいの時間が掛かったのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:開発期間は約1年半ぐらいです。元々「プロジェクトBBQ」というものを開発していました。そちらが中断してプロジェクトが変わり、それが今回のゲームになっています。そのプロジェクトを始める前に、しっかり最後まで計画を立てて進めていった結果、比較的早い段階で完成させることができました。

――ちなみに、「プロジェクトBBQ」とはどんなゲームだったのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:「プロジェクトBBQ」自体はすでに外部にいろいろと情報が出ていますが、「Khazan」は背景だけリアルなグラフィックですが、「プロジェクトBBQ」は全体がトゥーン3Dのオンラインアクションゲームになっています。

――「Khazan」を開発する上で、もっとも苦労した点はどこでしょうか?

イ・ジュンホ氏:苦労したことはいろいろなものがありますが、何よりも難しかったのは、弊社はコンシューマーのシングルゲームを作るのが初めてだったところです。そうしたゲームを作りながら、なおかつ原作で有名なキャラクターの話を描いていくなかで、プレイヤーが十分共感できるようなストーリーを描く方法を作ったり、その状況に没入できるような戦闘やアクションの面白さを作るのが、経験したことがなかったということもあり、悩みも多かったし苦労もしました。

 そうした中で、ここまでできたらいいだろうという妥協のポイントがいくつか出てきたのですが、妥協せずに何度も振り返って磨いていきました。ユーザーの皆様から激励を受けながら、ゲームを完成させていったところはすごく苦労したなと思います。

 前回の「gamescom」や今回の「TGS2024」でユーザーの皆様に楽しんでいただいていますが、頂いたフィードバックを元に、本作を改善していいゲームにして出したいなと思っています。

――開発側からここは特に推したいというポイントはございますか?

ユン・ミョンジン氏:先ほどのお話とも少し繋がりますが、パッケージのコンシューマーゲームを作るのは始めての経験だったので、すべてにおいて完璧なものが作れるとは思っていませんでした。そうしたなかでも明確に集中した部分があり、それは戦闘の攻防に関する部分です。

 たとえば、モンスターの攻撃が不条理に感じないように意識しています。難しいボスキャラに出会って、負けて死んでしまったときに、そこに納得できないという感じが出ないようにしています。もう少し、こうしたらできるのに、という部分がわかる仕組みを作っています。このバランスや仕組みづくりに努力しましたし、皆さんにも知っていただけたらなと思います。

――ゲームのボリュームはどのぐらいになるのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:プレイタイムでいうのは難しいですね。このゲームは単純にアクションを楽しむだけではなく、装備をいろいろと集めたりビルドを作ったり長く楽しめる様々なコンテンツがあります。そうした場合は、長く楽しんでいただけると思います。最短でプレイしたとしても、それほど短い時間にはなりません。

――メインストーリーとは別にエンドコンテンツ的なものが用意されているということでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:そうした方式とは少し異なります。

イ・ジュンホ氏:私から少し補足しますと、たとえばストーリーのエンディングを見るためだけにプレイしても、それほど短くはありません。それ以外にも、戦闘や冒険を楽しんだり、クエストを楽しんだり、いろいろな装備を集めて、自分のプレイスタイルに合わせたビルドを作ってみることができるようなゲームになっています。

――装備などのアイテムはどのような形で手に入れていくことができるのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:私たちは挑戦することを重要に考えています。たとえば、冒険もひとつの挑戦です。あるいは、難しい敵を倒すことも挑戦です。それには報酬が付いてなければいけないと思っています。強い敵を倒したときは、装備そのものを獲得することができたり、材料やレシピを獲得したりといったことができます。

 冒険をすることで、隠れたアイテムを手に入れることもあります。あるいは、隠れた商人がいて、そこから購入することもできます。

――スキルはどのように取得していくのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:スキルは、どのようにプレイしたのかということによって、カザンの戦闘経験が上昇します。これは単純にたくさんの敵を倒すということだけではなく、どのような行動をしたのかということによって、スキルポイントがたまりやすくなります。そのスキルポイントを集めて、解放していくことで取得することができます。

 今回の「TGS2024」のビルドには含まれていませんが、10月に予定されているクローズドベータテストには、セットアイテムというものがあります。特定のセットアイテムでしか手に入れられないスキルというものもあります。

――セットアイテムというのは装備に付けられるものですか?

ユン・ミョンジン氏:そうです。

――装備や武器の種類はどれぐらいあるのでしょうか?

ユン・ミョンジン氏:今回の「TGS2024」のビルドでは両手で使うものを持っていますが、大剣と槍の3種類があります。その種類の中に、数は正確にはいえませんがすごく多いとだけさせていただきます。様々な敵や素材から得られるコンテンツで、たくさんの装備を作ることができるので、楽しみにしてください。

――最後に本作の発売を楽しみにしている日本のファンに向けて、メッセージをお願いします。

ユン・ミョンジン氏:最後の装備集めという話にも繋がりますが、「Khazan」は本来「アラド戦記」の楽しさを、どうすればもっと多くの皆さんに届けることができるか悩んで作ったゲームです。最初は難しく感じるところからどんどん成長を遂げると、まるでジャンルが変わったように感じられ、原作の「アラド戦記」のような豪快なアクションが楽しめるところがこのゲームの特徴だと思っているので、楽しみにしてください。

――本日はありがとうございました!