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【特別企画】ついに登場! 変形芸術作品「超合金 太陽の塔のロボ」

その姿は神か悪魔か!? イマジネーションをかき立てられる「超兵器発動形態」

「もっと思い切った変形を!」という平野館長の応援から生まれた「超兵器発動形態」
足の関節はクリック機構でしっかりしており、片足立ちも可能
バンダイ本社から見えるスカイツリーをバックに。大きな建物と組み合わせたくなる素材だ

 「超合金 太陽の塔のロボ」は、ロボ形態からさらに“超兵器発動形態”へと変型する。実はこの形態は企画時はなかったが、超合金化の許可を得るため岡本太郎記念館を訪れたところ、館長の平野暁臣氏が「もっと思いっきりアレンジして欲しい」と応援してくれたため、企画を練り直し、さらに“ロボ化”を大胆に進めたのがこの超兵器発動形態だという。

 太陽の塔の中央にある太陽の顔が観音開きで開き、中からガトリングガンを思わせる砲口が現われる。首部分も左右に開き、円盤状の部品が重なった“首”が現われる。パラボラアンテナ状の黄金の顔も相まって、円谷特撮映画に登場する「メーサー砲」のように見える。

 首部分を覆っていた外装は内側が真っ赤な鱗状のパターンとなっており、このインパクトも大きい。さらに指を大きく開いた開き手の交換パーツをつけると、力強さは一層強まる。秘めた力を全開にした超兵器発動形態はこうして完成する。白主体のシンプルで力強い太陽の塔の面影を残しながら、力強さと、どことなく不気味な“怪獣”を思わせる形態への“変身”はとてもワクワクさせられる。

 各関節は可動範囲は広い上にしっかりとした強度も持っており、手を横に広げたり、足を伸ばしたり、中腰にするポーズもしっかり決まる。バランスに気をつければ「片足立ち」も可能で、実際に泉氏に実践してもらった。また、変型用の手は指が稼動し、握り拳もできるので、パンチポーズも可能だ。

 「超合金 太陽の塔のロボ」は見るものの“特撮マインド”を大きく刺激する。冒頭に紹介した特撮風のプロモーションビデオは多くの人が共感する、“太陽の塔のロボの活躍する姿”ではないだろうか。今回は、バンダイから見える「スカイツリー」を背景に写真を撮ってみた。太陽の塔のロボは、ジオラマを作ったり、合成写真を作ってみたい素材だ。発売されれば、多くの人がロボを様々なシチュエーションで撮影するだろう。その写真がとても楽しみだ。

 さて、次からは泉氏に本作の企画の経緯や、開発者が込めた想い、バンダイの技術が注ぎ込まれた部分などを質問してみた。インタビュー形式で紹介していきたい。

【太陽の塔のロボ 超兵器発動形態】
首部分が開き、レーザー砲のような「太陽熱線」を発射する機構が現われ、胸の“太陽の顔”が開き「次元爆発砲」の砲口が出現する
通常の手は、指が可動し握り拳にできる
「太陽の塔のロボ 超兵器発動形態」の設定書。ノリノリな感じが楽しい

開発者インタビュー、巨大建造物がロボに変わる、“男の子の夢”を実現!

泉氏は超合金ブランド全般の統括を担当している
太陽の塔のロボのお尻部分にはバーニアがある。「これでジャンプくらいはするかもしれません」と泉氏。ロボがどのような活躍をするかは、あえて設定していない
塔形態に戻すとき、足がきれいに折りたたまれるところも注目ポイントだ
首部分を覆っていたガワの内側は、真っ赤な鱗状になっている

――最初に泉さんの担当分野と、「超合金 太陽の塔のロボ」の企画の経緯を教えてください。

泉氏: 私は、超合金ブランドの統括担当をしています。この商品も含め、超合金ブランド全体を見ています。「超合金 太陽の塔のロボ」の企画の経緯はデザイナーの強い思い入れからです。玩具の企画を考えていく中で、「太陽の塔をロボット化しよう」というのが、そのデザイナーのインスピレーションから生まれたんです。

 デザイナーは“巨大な建造物をロボットにしたい”という想いを持っていました。我々も含めた“男の子”ならば誰でも共感できるところじゃないですかね。建物の1部がばかっと開いて何かが出てくるんじゃないか、巨大な人型に変型して、歩き出すんじゃないか、または、地下に何か仕舞ってあるんじゃないの(笑)?という想像、するじゃないですか。デザイナーは2003年に太陽の塔を見て、そういう考えを持っったとの事です。

 そのアイディアから試作品を作り、「太陽の塔をモチーフとしたロボットを作りたい」と岡本太郎記念館に許可してもらうようお願いしにいったんです。その時は太陽の塔に手足が生えた、上半身は太陽の塔そのままの、“ロボ形態”の試作を持っていった。持っていった企画チームは「事によったら、怒られて追い返されるかもしれない」という気持だったそうです。しかし、岡本太郎記念館館長の平野さんがこの企画をとても気に入ってくれたんです。

 しかもさらに「これは素晴らしい挑戦だから、ぜひもっと変化させて欲しい。上部分がばかっと開いたり、中に何か詰めたり……」といった感じで、応援してくれたんです。そこで私達はもう1度再設計を行ない、現在の3形態へ変形する「超合金 太陽の塔のロボ」の形となりました。

――製作期間はどのくらいでしょうか?

泉氏: 岡本太郎記念館に話をしにいったのが去年の秋頃で、発売の発表が5月、発売が9月ですから、製作は9カ月くらいですね。私達の製品としては標準的な期間です。ちなみに早いものは6カ月くらいで商品化しますし、長いもので1年以上かかるものもあります。

――変型に関しては、グニャグニャと形を変えるモーフィング変型を企画して、パーツ差し替えで再現するといった方法もあったと思うんです。しかしそうではなく、クランク機構など、様々なアイディアを込めきちんと再現できる変型システムを採用したのはどうしてでしょうか。

泉氏: 最初はできるだけ太陽の塔を崩さない方向も考えていましたし、実際に実現可能な機構で変型させたかったんです。我々が考える変型システムは外側の“ガワ”が割れて中から何かが出てくる、何かを折りたたんだり引き出す、といったものがあり、そういった経験を活かして設計しています。もとの形状から全く違う形に変えるなど、バンダイは様々なアイディアと蓄積を持っています。

 今回、最初の企画では太陽の塔に手足が生えたロボ形態でデザインしました。そして変形機構を入れた超合金で商品化することとなった。だから次に取り組んだのが「どう太陽の塔に戻すか」だったんです。

 足はこういう風に折りたたまれると入る、手はこう収納するのがいい、そういった方向でデザイナーにベースとなる変形機構を考案してもらい設計していきました。「超合金なのだから、きちんと変型させよう」という思いのもと、社内の変形機構設計のベテランなどとも相談しながら進めていきました。

 実際の変型で重視したのは、手足を収納したとき、“ガワ”の部分がぴったり閉じ、きれいな形で太陽の塔にならなければいけないということです。このための調整は製品サンプルから念入りにやりました。ちなみに、ガワのひびは左右非対称になっています。ここもこだわりの部分です。

 また、塗装も苦労したポイントです。表面のコンクリート+スタッコのような手触りは、弊社の「大人の超合金 スペースシャトルエンデバー号」の燃料タンクの塗装法を活用しました。手足の赤さびが浮いたような金属の質感は、下地と塗装のバランスで表現しています。最初は茶色い下地に鉄の色を乗せる予定でしたが、試作品を見比べて、下地を鉄の色にして、茶色の塗料を塗って拭き取る汚し塗装にするのが良いという結論になりました。

 首部分を覆っていたガワの内側の赤い部分は幾何学模様になっています。今はコンピューターでこういった処理はできますが、昔だったらここも手作業でやってましたね。この赤い部分は万博で太陽の塔が展示されていたときに、内部の空間が赤かったところからの発想だと思います。もちろん、頭部の「太陽熱線」を発射する際、ここで太陽光を吸収するんだとか、設定を考えるのも楽しいと思います(笑)。

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