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オリンピックイヤーに開催される賞金総額50万ドルのアマチュアeスポーツ大会「Intel World Open」詳報

ついに日本にも“eスポーツのインテル”がやってきた! カプコン小野氏「採用されて光栄」

【Intel World Open】

2020年7月22日~24日:決勝大会(東京)開催

決勝イベント会場:Zepp DiverCity

 インテルは9月11日、都内で発表会を開催し、同社がワールドワイドパートナーを務める東京オリンピック2020に先駆けて、インテル主催のeスポーツトーナメント「Intel World Open」を開催することを明らかにした。

【Intel World Openロゴ】

 「Intel World Open」は、平昌2018冬季オリンピック競技大会に先駆けて実施されたeスポーツイベント「Intel Extreme Masters(IEM)平昌」を発展させたもので、昨年から成長傾向が続く日本のeスポーツ界においてエポックメイキングなeスポーツイベントとなる。

 というのも、日本ではインテルといえば半導体のメーカーだが、海外では、世界最大手のeスポーツ運営会社ESLと共にグローバルのeスポーツを10年以上にわたって牽引してきたeスポーツ界のビッグネーム。その“eスポーツのインテル”にとって、未踏の領域が日本だったからだ。

 発表会では、駆けつけたメディアに対して、いかにインテルが世界のeスポーツ界を牽引してきたか、具体的には、最大のメジャー大会IEM Katowiceを頂点にいかにeスポーツのステージを育て、ヒーローを生み出してきたかが語られた。さらに2018年の平昌オリンピックでのテストイベントを通じて「オリンピックにeスポーツをもたらした」とまで言い切り、“eスポーツ育ての親”としての強烈な自負を覗かせていた。

【登壇者】
インテル代表取締役社長 鈴木国正氏
東京2020組織委員会 副事務総長 古宮正章氏
インテル コーポレーション セールス&マーケティング統括本部副社長兼オリンピック・プログラム・オフィス本部長 リック・エチュバリア氏
インテル ゲーミング統括 マーク・チャン氏

 インテルは、ワールドワイドパートナーとして平昌オリンピックでeスポーツのテストイベントを実施し、2020年の東京オリンピックでもeスポーツイベントを実施することは確実視されていた。平昌オリンピック開催前後から今日まで様々な飛ばし記事が生まれては消えていったが、最終的にIntel最大のeスポーツ大会である「IEM」そのものではなかったものの、そのIEMに並ぶ存在として「Intel World Open(IWO)」を新設し、その最初の大会を東京オリンピック2020に先駆けて実施することを発表した。引き続きESLとのパートナーシップのもと、2020年の大会を皮切りにIEMとセットでIWOを育てていく方針だ。

 eスポーツファンなら、IEMとIWOの違いが気になるところだろう。IEMは、「Counter-Strike: Global Offensive」をトップタイトルとし、世界中のトッププロが集い、各シーズンごとの頂点を決めるプロ大会であるのに対して、IWOは誰でも参加できることを主眼に置いたアマチュア大会となっている。IEMでも参加自体は誰でも可能だが、決勝大会の出場枠は半分以上が招待枠になっており、常にその枠はトップチームが占め、アマチュア勢にとっては非常に狭き門しか開かれていない。これは“興行”として観客のエキサイトメントと興行収入を最大限に高めることを重要視しているからだ。

 これに対してIWOはアマチュア大会として、プロ選手のみならず、在野のアマチュアにも平等に門戸を開く。招待枠やシードはなく、全員がすべて平等に予選から戦っていく。そして予選を勝ち抜いた選ばれしものだけが国家代表の栄誉を担い、国の名誉をかけた団体戦に挑む。ちなみに、決勝大会の出場権を賭けた予選大会から旅費も大会側が負担してくれるなど、アマチュア層への支援も手厚い。

 賞金総額は、IEMの標準的な賞金額の50万ドル(約5,400万円)。競技種目は日本が誇るeスポーツタイトルである「ストリートファイターV」と、日本を含め様々な世界中のeスポーツイベントで採用されている「ロケットリーグ」の2種目。それぞれ賞金総額25万ドル(約2,700万円)の大会として実施される。国際大会としてはそこまで高額の大会とはいえないが、アマチュア大会として考えれば破格といえる。

 なお、競技種目の選定は、IOC(国際オリンピック委員会)の意向が強く反映されている。筆者も1人の「CS:GO」ファンとして、人びとが街中で銃撃戦を行ない、テロリストが活躍する(こともある)このタイトルが、平和の祭典であるオリンピックに近しいこのeスポーツイベントに選ばれるはずはないことは最初から覚悟していたが、「ストリートファイターV」はほぼ順当ながら、「ロケットリーグ」はやや意外だった。

【競技種目】
ストリートファイターV
ロケットリーグ

 選定基準は、ゲーム内容がわかりやすく、ルールが直感的に理解でき、ファミリーフレンドリーであり、グローバルタイトル、そして家族で楽しめることなどを挙げ、これらを満たす存在が「ストリートファイターV」と「ロケットリーグ」だという。

 Intel World Openのフォーマットは、IEMというより、どちらかというとオリンピックに準拠しており、国内で代表を決めた後、繰り返し国別対抗の予選を実施して、わずか8枠のみで決勝大会を行なう。日本はオリンピック同様に、ホスト国の優遇措置として2競技共に出場権を獲得しており、「Intel World Open In Tokyo 2020」では日本代表は必ず出場することができる。

 発表会に参加した「ストリートファイターV」エグゼクティブプロデューサー小野義徳氏によれば、「ストリートファイターV」の国内予選は、個人戦を想定しており、上位4名を日本代表に選出するという。これもまたアマチュアにも平等にチャンスを与えるための措置で、最初からチームを組んだ状態だと、プロ選手同士で組んだチームが有利になってしまうが、個人戦ならコミュニティに属していない在野の選手が日本代表に選ばれるチャンスが出てくる。

「ストリートファイターV」エグゼクティブプロデューサー小野義徳氏

 今回の発表会では、オリンピックとの関連性や未来像、障碍者への対応等については語られなかったが、うまくいけばIWOはオリンピック同様に、世界最大規模のeスポーツアマチュア大会になる見込みで、2028年、2032年頃を着地点に、オリンピック競技化を目指していく流れになるのではないだろうか。

 ただ、個人的にはそうした遠い話よりも、日本にようやく“eスポーツのインテル”がやってきてくれたことのほうが嬉しいニュースだ。余談だが、IEMに現地取材に行くと、同行した日本法人のスタッフはやや肩身が狭そうにしているのが常だった。日本法人はインテルのeスポーツ事業にまったく関わっていないため、質問されても答えられないからだ。ところが今回の発表会では筆者を見つけると真っ先に駆け寄り「今回の発表は如何でしたか? ようやく日本でeスポーツが発表できましたよ」と嬉しそうに語ってくれたのが印象的だった。

 これまで日本のeスポーツ界は、“任天堂抜きでコンソールゲームについて語る”ような不自然な状態が続いていたが、インテルが本格参入してきたことで、様々な地殻変動が起こっていくと思われる。日本よりむしろ海外でeスポーツシーンを見届けてきた筆者としてはその変化が非常に楽しみだ。

【Intel Extreme Masters】
Intel Extreme Masters Sydney 2019の一コマ。このビッグウェーブがいよいよ日本にもやってくる

 そして2020年7月に開催される「Intel World Open In Tokyo 2020」では、「ストリートファイターV」部門では日本は“お家芸”として見事金メダルを獲得できるのか。「ロケットリーグ」についても、プロリーグがないことから優勝争いに食い込むのは難しそうだが、この発表を機にアマチュアリーグが盛り上がるのは間違いなく、飛躍的なレベルアップが期待される。いずれせよ、本日の発表は、日本のeスポーツ界にとって非常に大きな出来事だ。今後の発表に引き続き注目したいところだ。