ニュース

エイベックス・テクノロジーズ、クリエイターに参画を呼びかけるティザーサイトをオープン。執行役員に元SCEの大和田健人氏、ブロックチェーンアプリ開発の石田陽之氏の起用を発表

5月14日ティザーサイトオープン

 エイベックスが5月9日に発表した新会社エイベックス・テクノロジーズが予定通り5月14日に始動し、クリエイターに参画を呼びかけるティザーサイト「全人類クリエイター元年」をオープンした。本稿では、決算発表で明らかにされた情報と、メールインタビューで得られた回答から、現時点で判明している情報をまとめておきたい。

【全人類クリエイター元年】

 エイベックス・テクノロジーズは、設立発表の翌日、5月10日のエイベックス決算発表の場において、エイベックス代表取締役会長兼CEOの松浦勝人氏より設立経緯の説明が行なわれた。

 松浦氏は、新たな潮目の変化の到来を受け、「その瞬間を見極め、その都度新しいビジネスを立ち上げてきたのがエイベックスである」と語った。その代表例として取り上げたのが、Netflixの「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」と、Googleの「Stadia」。前者は、映像作品でありながら、視聴者が登場人物の行動を選択し、その選択によって途中のストーリーやエンディングが変化するというインタラクティブ性が魅力の作品。後者は、ご存じ、Googleが3月のGDCで発表したクラウドベースのゲームプラットフォームである。

 松浦氏は、Stadiaのビジョンについて映像とゲームの境目がない点に着目し、「ゲームや映画、音楽の境界線が溶けて混ざり合っていく、そこに新しいエンタテインメントが生まれてくる」と語り、新会社エイベックス・テクノロジーズを通じて、両サービスが実現する“クラウドエンタテインメント”と呼ばれる新たな領域に全面的に張っていく方針を明確にし、すでにコンテンツ開発に着手していることも明らかにした。

 なお、エイベックス・テクノロジーズのもう1つの柱であるブロックチェーン事業については、「IPを守り、アーティストやクリエイターに想像の対価を還元するためのブロックチェーン技術を用いた新たな事業基盤」としか明らかにされず、それがクラウドエンタテインメント事業全体の受け皿となるようなプラットフォームを意味するのか、それともエイベックスのIPをクラウドで配信するためのIP管理システムなのかはわからないままだ。

 役員構成については、既報のようにエイベックスでテクノロジー本部長を務める岩永朝陽が代表取締役社長に就任し、取締役には松浦氏をはじめ、取締役や執行役員が名を連ねている。

 実務を担当する執行役員には、元ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)でアジア事業を担当し、現在バザール・エンタテインメントで主にインドネシアでコンテンツビジネスを手がける大和田健人氏と、エバーシステムでブロックチェーンゲームなどを手がけるブロックチェーンアプリ開発者の石田陽之氏をあてる人事を発表。実務経験の豊富な人間をヘッドハントしている。

【エイベックス・テクノロジーズ会社ロゴ】

 最後に、弊誌からのメールインタビューをお届けするが、率直に言ってかなりガードが堅かった。機会があれば別途インタビュー等で、追加情報をお届けしたい。

――執行役員候補の石田陽之氏と、大和田健人氏の管掌範囲を教えて欲しい。出身から類推すると、石田氏がブロックチェーン事業、大和田氏がクラウドエンタテインメント事業を統括するのではないかと考えられるが、そのイメージで正しいか?

エイベックス・テクノロジーズ(以下、ATS): ノーコメント

――クラウドエンタテインメント事業について、すでに開発に着手しているコンテンツの中にゲームは含まれているか?

ATS: 含まれている。

――含んでいる場合、エイベックス・ピクチャーズが扱うゲームコンテンツとの連携、クラウド化は事業に含まれるのか?

ATS: エイベックスが保有する音楽、映像、アニメ、ゲーム、全てのコンテンツやIPとの連携、クラウド化を検討している。

――5Gを視野に入れていると思われるが、現行の4GやWiFi 5(Wi-Fi 6以前のWiFi)でもクラウドエンタテインメントサービスは利用できるか?

ATS: クラウドエンタテインメントの実現には、通信会社、サービス事業者など様々な要因が絡んでいるので、当社の一存では回答できない。ただし、avexはお客様に楽しんでいただけるコンテンツを提供するため、常に実現可能な技術を背景としたコンテンツの開発を行っている。

――サービスの対象としている地域、国は?

ATS: 未定

――対象となるプラットフォームにスライドで取り上げているStadiaは含まれると考えて良いか? そのほかに想定している提供プラットフォームがあれば教えて欲しい。

ATS: ノーコメント

――「ブロックチェーン技術を用いた新たな事業基盤」とはATS独自のコンテンツプラットフォームを意味するのか、それとも、汎用性のあるデジタルIP管理システムなのか?

ATS: ノーコメント

――前者である場合、Stadiaのようなグローバルに向けたコンテンツプラットフォーマーを目指すという理解でいいか?

ATS: ノーコメント

――新規IPの提供開始時期、特にゲームの想定提供開始時期を教えて欲しい。

ATS: 時期はノーコメント。ただし、速やかににお客様にお届けしたいと考えている。