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デジタルカードバトル「ゼノンザード」、発表会にて配信時期を発表!

「ブギ―ポップ」シリーズの上遠野氏が世界観の原案を担当

2019年 配信予定

 バンダイは2月19日、Android/iOS用AI×デジタルカードバトル「ゼノンザード」において、タイトル概要やプロモーション情報などについての発表会および「人間代表vs最強AI」と銘打った対戦会「THE ZENON SHOW」を開催した。本作の価格は無料で、ビジネスモデルはアイテム課金制。配信は2019年夏を予定している。

 「ゼノンザード」はバンダイのデジタルカード新ブランド「AI CARDDASS<エーアイカードダス>」の第1段となるタイトル。特徴的なのはプレイデータを基に、ディープラーニングや機械学習を用いて成長を続けるAIをシステムとして導入している点で、「AIがキミを一流にする。」というキャッチフレーズのとおり、AIがプレーヤーをサポートしてくれる一方、膨大なプレイデータを背景とした強力な敵として立ち塞がる点にある。つまりはAIとの「共闘」、「対戦」、そして味方としても敵としてもAIの「育成」が楽しめるタイトルというわけだ。

 発表会ではバンダイの代表取締役社長川口 勝氏、HEROZ代表取締役の高橋知裕氏、バンダイ カード事業部「ゼノンザード」プロデューサーの小谷英斗氏、ストレートエッジ代表取締役の三木一馬氏に加え、ゲストとして佐野ひなこさんが登壇。本作の世界観や新たなAIキャラクター、そして配信時期などが発表されたので、早速その模様をお伝えしよう。

 なお、イベントの後半部分「THE ZENON SHOW」に関してはアーカイブでの視聴も可能で、人間とAIの対戦の模様や一部発表内容、トレーラームービーも確認できる。ぜひあわせてご視聴いただきたい。

【THE ZENON SHOW(ザ・ゼノンショウ)】
AI搭載のカードゲーム、という新たなチャレンジの形「ゼノンザード」を「全社を挙げて盛り上げていきたい」と語ったバンダイの代表取締役社長川口 勝氏
「ゼノンザード」のAIを担当したHEROZ代表取締役の高橋知裕氏
原案・世界観を共同で手掛けるストレートエッジ代表取締役の三木一馬氏(左)と「ゼノンザード」のプロデューサーを務めるバンダイの小谷英斗氏(右)
ゲストの佐野ひなこさん
AIであり、本作広報担当のミーナ。人間とコミュニケーションを取れる高性能AIが登壇した

「ゼノンザード」の原案は上遠野浩平氏が担当!システム、世界観ともにAIがポイントに

 「ゼノンザード」においては世界観、システム共に「AI」がひとつのキーワードになる。登壇したHEROZの高橋氏によれば、「ゼノンザード」にはHEROZが独自に開発したカードゲーム専用AI技術が活用されており、これはHEROZが将棋AIの開発を通じて進化させたAI「HEROZ Kishin」を用いたもの。ただ、カードゲームは将棋とは異なり、山札や手札などの"明らかになっていない隠された情報"が存在する不完全情報ゲームのため、HEROZにとってもカードゲーム専用AIの開発は「チャレンジ"だった(高橋氏)」のだという。

 本作においてこのカードゲーム特化用AIはサポート用のものはもちろん、対戦用、データ解析用のものなども搭載されており、高橋氏はこうしたAIを搭載した「ゼノンザード」について「革新的なゲームになると確信している」としつつ、HEROZ自身もAIという分野において、「カードゲームやエンターテイメントに革新を起こしていきたい」とした。

 一方、「ゼノンザード」の世界観はAIが世界のいたるところで影響を持つようになった近未来。AIの中でも特に優れた性能を持ち、"人格"とも呼べるほどのインターフェイスを獲得した"超高密集積演算対応式近人型AI"は「コードマン」と呼ばれ、全世界のAIを研究・開発する巨大企業「ビホルダーグループ」はコードマンと人間を組ませ、統一ルール「ゼノンザード」を用いた大会「ザ・ゼノン」を企画。バディとなった人間と「コードマン」はそれぞれの思惑を秘め、「ザ・ゼノン」に集結する……というのが本作のストーリーだ。

 こうしたAIをシステムに留まらずストーリーにまで織り込んだ原作・世界設定はバンダイとストレートエッジ、そしてライトノベル「ブギ―ポップは笑わない」シリーズで知られる上遠野浩平氏の原案によるもの。制作にあたってはバンダイからストレードエッジ、そしてストレートエッジから上遠野氏へと声がかかり今回のトリオが結成されたとのことだが、三木氏が「格好よくて怪しくて、ちょっと奇妙で現代的」と評する上遠野氏の起用は、本作を「カードゲームの枠に収まらない世界観を用意したい」という想いからだったのだという。

上遠野氏からのメッセージも公開。テンション高めな文体はさておき、「限界領域の『魔女』」なるワードも飛び出した

 続いて上映されたPVでは、既に公開されていた2体のコードマン、「アッシュ・クロード」、「アイリエッタ・ラッシュ」に加え、「ノノイン・ニルオン」、「ヒナリア・ダーケンド」、「ランバーン・タイダル」、「レイチ・ワンダーコール」の4体が公開された。コードマンはそれぞれ警備用、医療用、音楽用……などなどそれぞれの分野に特化しており、今回は言及されなかったが、恐らくプレイングの性格のようなものにも差があるのではないかと思われる。コードマンの総数はまだ秘密で、情報は順次公開予定だという。

【コードマン】
アッシュ・クロード
アイリエッタ・ラッシュ
ノノイン・ニルオン
ヒナリア・ダーケンド
ランバーン・タイダル
レイチ・ワンダーコール

 また、ゲームシステムとして任意に2つ選択することができ、プレーヤーをサポートする「フォース」、クリーチャーをバトルはもちろんカードを使用するための「マナ」としても使用できる「移動型マナシステム」、相手のターンに介入してカウンターを行なえる「フラッシュタイミング」など本作独自のシステムが紹介されたほか、試合後にはログを参照することができ、AIが良かった、あるいは悪かったプレイングを指摘してくれる機能の存在も判明。

 データは確認するだけではなく、任意のターンからやり直すこともでき、AIのサポートと合わせてプレイの上達に繋がるシステムといえるだろう。さらに大会や上位プレーヤーのログを使って試合を追体験することなども可能だということで、仕様的にはAIのみならず「データ」にも重きをおいていることがよくわかった。小谷氏は「この他にもまだまだ色々ある」としており、こちらも情報はリリースまでんに順次公開していく予定だとのことだ。

「フォース」、「移動型マナシステム」、「フラッシュタイミング」など独自の要素を搭載
バトルの分析やバディAIによるアドバイスなど、AIがプレーヤーの技術向上に貢献するシステム

リアルカードの発売、RAGE参戦、そしてアニメーション動画!

 発表会の最後には今後のロードマップも明かされた。まず3月にはデッキ2種、カードスリーブ、ダイスなどのリアルでも「ゼノンザード」が楽しめるセット「ZENONZARD DECKCODE:01」を発売予定。封入デッキの片方をゲーム内で使えるシリアルコードも封入予定ということで、価格は1,000円。

 4月にはクローズドベータテストを実施予定で、さらに6月には配信前のタイミングながらRAGEへの参戦を発表。そして2019年夏にはプロモーションアニメの公開、そして本作「ゼノンザード」の配信開始を予定しているという。

【ロードマップ】
3月にリアルカードセット「ZENONZARD DECKCODE:01」を発売
4月にはCBTを実施予定
6月にはRAGEへの参戦が決定
今夏公開予定のプロモーションアニメについては制作スタッフとコードマン2体、バディ(人間)2人のキャラクターデザインが発表された
そして「ゼノンザード」は今夏配信予定!

AIは対人戦を超えるコンテンツとなるか?

 デジタルカードゲーム、というといわゆるコンピュータ相手のNPC戦はオマケで、対人戦こそがメインコンテンツというイメージがある。しかし、本作「ゼノンザード」はAIを用いて対戦相手はもとより、プレーヤーのサポートやデータ解析といった全く新しいアプローチを行なうカードゲームといえる。

 「THE ZENON SHOW」では事前に行なわれた選考大会を勝ち残り、人間代表として試合に臨んだくすき選手が対戦特化型AI、ストライオ・ザナクロンに敗れる場面もあり、AIの完成度の高さもうかがえた。また、上遠野氏の原案による世界観は「ブギ―ポップ」ファンならずともワクワクするものであるし、バンダイによるIP展開となれば本日発表されたアニメのほか、リアルカードはもちろんプラモデルやグッズなどの展開も期待できる。

 多方面で期待せざるを得ない新たなカードゲーム「ゼノンザード」。今夏の配信はもちろん、今後の情報展開を楽しみにしたい。

【THE ZENON SHOW】
人間代表のくすき選手
AI代表の対戦特化型AI、ストライオ・ザナクロン
会場のスクリーンは湾曲大画面。左にカード情報、正面にはゲーム画面が表示され、右側ではくすき選手とストライオ・ザナクロンがAR空間で対峙する
左から佐野さん、小谷氏、YouTuberのむじょる氏ともこう氏
試合はなんとAIが勝利。ゲームデータを蓄積して、まさに人間を上回る判断を見せた
思わずゴメンナサイのポーズをとる人類代表くすき選手