ニュース
「ファークライ ニュードーン」ファーストインプレッション
素材を集めて武器を作り強くなれ! オープンワールドの魅力を詰め込んだサバイバルアクション
2019年1月28日 00:34
日本とアジアのメーカーが圧倒的な存在感を放つTaipei Game Showの中で、ほぼ唯一の欧米メーカーとして存在感を放っているのがUbisoftだ。ここ数年は毎年ブース出展しており、その年の新作タイトルをアピールしている。今年は巨大な旅客機のオブジェと共に「DIVISION2」をメインに、「STARLINK」や「TRIALS RISING」などをプレイアブル出展し、いわゆる洋ゲーを好むゲームファンにアピールしていた。
メディア向けには、いわゆるBCDスタイルで、新作タイトルの試遊や開発者インタビューの機会が設けられていた。筆者も2月15日に日本で発売される「ファークライ」シリーズ最新作「ファークライ ニュードーン」を2時間たっぷりプレイすることができたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。
「ファークライ ニュードーン」は、2018年3月にリリースされ、日本でも大ヒットを記録した「ファークライ5」の世界観をモチーフにしたスピンアウトタイトル。「ファークライ5」はリリース後にDLCを通じて、ベトナム、UFO、ゾンビ、マップエディター、そしてマルチプレイ向けライブコンテンツなど、実に多種多様なコンテンツを実装し、従来のシリーズにはなかった独自の「ファークライ5」ユニバースを構築してきた。DLCの多くはサイドストーリー的なものだったが、「ファークライ ニュードーン」は「ファークライ」ファンにとっては待望となる「ファークライ5」本編の“その先”を描いた、あえてナンバリングで言えば“5.5”のような作品だ。ただし、DLCではなく完全新作という扱いで、フルパッケージよりやや安い5,400円で販売される。その代わりDLCではないため、「ファークライ5」は不要で、単体で楽しめる。
「ファークライ5」本編の“その先”といっても、17年が経過しており、その状況は大きく様変わりしている。「ファークライ5」が“核の終末”という最悪の形で結末し、わずかな生存者たちは、生き延びるために武器を手に取り、助け合って暮らしており、まさに「Fallout」シリーズのような荒廃したポストアポカリプス世界が描かれている。
デモは、新たな主人公が拠点とするプロスペリティと呼ばれるホームベースからスタートした。今回プレイしたのはいわゆるデモ用のビルドで、ニューゲームではなく途中から、しかも始めてプレイしても遊びやすいように少し強くなった状態からのスタートということだった。特に担当者からの説明もなく、さあどうぞといきなりポストアポカリプス世界に放り出された。
といってもスタート地点のプロスペリティは安全地帯となっており、いきなり襲われることはない。拠点は柵に囲まれ、外敵から身を守れるようになっており、武器や車輌のクラフトもここで行なえる。ただし、クラフトするための素材がまったくなく、ハイウェイマンと呼ばれる無法者たちが支配する外の世界に身を投じていかなければならない。
担当者に「2時間もプレイできれば、かなりのところまで行けるか?」と尋ねたところ、「ほんの序盤しか遊べないと思う。30時間以上のボリュームがある」ということで、本来なら全住人と会話し、必要な情報をメモってから出撃したいところだったが、会話はそこそこにとりあえず出撃してみた。
外に出てすぐの場所に置かれているバギーを駆り、マップのランドマークを1つずつ訪ねてみるという行き当たりばったりのプレイをしてみたが、遊びながらイヤでも気づかされたのは、とにかくすぐ死んでしまうことだ。
もちろん、筆者がヘタ過ぎるというのはあるだろう。見た目の雰囲気から「Fallout 4」や「Borderlands 2」のような雰囲気でプレイしていると、「え、今ので死ぬの?」というぐらいの感覚で死んでしまう。たとえば、クルマで乗り付けてきたハイウェイマンに襲われて殺され、普通に歩いていたら複数のオオカミに囲まれて噛み殺され、やっとのことで敵を倒してルートしていたら後ろからクマに殴り殺され、敵の拠点を襲撃したら逆に返り討ちに遭ったりした。そうそう、小さなスカンクのような小動物ごときにも殺されそうになったぐらいで、ここまで死にまくるゲームは久しぶりだ。
死んでも特にペナルティはなく、死んだ場所の近くに復活するため、何度でも再チャレンジができるのが救いだが、担当者に話を聞きながら気づいたのは、このゲームの主人公はかなり弱く、強くなることそのものがゲームの目的になっているということだ。
少しずつ探索範囲を広げていくと、様々な施設や建物があり、そこでクラフト用の素材が手に入る。「Fallout」のようにありとあらゆるジャンクアイテムをひっかき集めて分解して素材にするという手間は必要なく、ギア、ダクトテープ、スプリングという風に、シンボル化されており、数種類を集めるだけでいい。ただし、1つや2つではなく大量に集める必要がある。
武器の作成に必要な素材を集めたらファストトラベルで一気に拠点に戻り、新たな武器をクラフトし、武器スロットに装着して装備を強化していく。そしてこれまで攻略できなかった敵に再度挑む。これがこのゲームの基本サイクルになるようだ。実際に筆者も、先ほど返り討ちにされた敵の拠点を新たな武器で挑んだところ、アッサリと攻略することができた。
このゲームメカニクスは、素材を集めて武器を強化していくという点では「Fallout」に近い印象だが、より強い武器の入手そのものが大きな目的になっているという点では、「Diablo」や「Borderlands」のほうが感覚としては近い。いずれにしても「ファークライ5」本編とは、まったく異なるプレイスタイルのゲームになっている。
このゲームにはI、II、III、ELITEの4段階のレベルが存在し、これがキャラクターや武器などあらゆる要素の強さや性能の指標になっている。今回筆者が体験したのはすべてIのコンテンツや敵ばかりだが、ゲームを進めていくと段々レベルが上がっていくため、適切な難易度でプレイするためにはこのレベルを合わせて行く必要があるという。
ストーリーを進めることで発生するミッションには、ストーリーミッション、サイドミッション、トレジャーハントなどがあり、プレーヤーが任意で選択して進めることができる。筆者もいくつかのストーリーミッションにトライしてみたが、「ファークライ5」本編と同様にかなり凝ったコンテンツになっており、クリアすることで物語が進んでいく。
既報のように、17年後のホープカウンティは、ミッキーとルーという可愛い名前の凶悪な双子姉妹が支配している。彼女らはハイウェイマンを引き連れ、プロスペリティに攻め込んでくることもあるという。今回は体験できなかったが、敵の拠点侵攻のみならずこちらの拠点防衛も楽しめるゲームになるようだ。
最初は2時間は少し長いかなと思っていたが、ようやくゲームメカニクスとストーリー展開の端緒が掴めたところであっという間に2時間が経過してしまい、もう5~6時間浸りたい気持ちになった。「ファークライ5」とはかなりゲーム性が異なるため同列に比較できないが、本編よりも好きというユーザーも多いと思う。
「ファークライ ニュードーン」は、素材を集めて武器を強化し、より強い敵を倒すという、ハック&スラッシュのお手本のようなゲームになっている。上記で挙げた「Diablo」や「Borderlands」との最大の違いは、シングルプレイゲームであるというところだが、個人的にはマルチプレイ主体やオンラインゲームにしなかったのは正解だと思う。このガツンと来る強烈な歯ごたえは、シングルプレイならではのものだからだ。
最近、無理にオンライン化したり、オンラインモードを充実させて、まさに本末転倒している海外ゲームが増えていると感じているが、「ファークライ ニュードーン」はむしろ、「ファークライ」シリーズの広大なオープンワールドを舞台にしたシングルプレイキャンペーンにこだわり抜いた内容になっており、「ファークライ5」ファンはもちろんのこと、多くのオープンワールドゲーム好きを喜ばせるゲームになっていると思う。日本語版の発売が非常に楽しみなタイトルだ。