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観戦に熱が入る"仕掛け"が全て噛み合う「LJL 2019」!開幕戦の模様をレポート
DFMとUSGがまず2勝!これから先の展開はいかに!?
2019年1月21日 10:28
ライアットゲームズ(主催)とよしもとクリエイティブ・エージェンシー、プレイブレーン(運営)は1月19日、PC用MOBA「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド」の国内プロリーグ「League of Legends Japan League(LJL) 2019」の春季シーズン開幕戦をヨシモト∞ホールにて開催した。
試合はBO1(1本先取)形式で、全8チーム各2試合、計8試合が行なわれた。MCはお笑い芸人のタケトさん、アシスタントMCはkatudion氏が務め、実況・解説はLJLではお馴染みのeyes氏、Revol氏に加え、学生キャスターとして活動していたJaeger氏、Recruit氏が担当した。
今年のLJLは事前発表の通り、2018年とは運営体制、会場、参加チーム、試合形式に至るまで、全てにおいて刷新された大会となる。その初日に当たる春季開幕戦は今年のLJL、ひいては「LoL」の行く末を占うかのような、プレーヤーにとっても運営3社にとっても、そしてプロ選手たちにとっても重要な1日であったといえるが、結果から言えば会場は満員、当日行なわれた8試合はレベルの面でも、メンバーが刷新されたプロチームのお披露目の場としても極めて"いい試合"が次々と繰り広げられ、開幕戦とは思えないほどの盛り上がりを見せていた。さらにその勢いは会場に留まらず、Twitchでの配信では一時3万6千人を超える視聴者を集めた。
LJLの出場チームは日テレ傘下の新規チーム「AXIZ」、今季より廃止が決定した2部リーグLJL Challenger Series(LJL CS)出身の「Sengoku Gaming(SG)」、LJLとLJL CSへの出場経験がある「Rascal Jester(RJ)」、そして昨シーズンから引き続いての出場となる「V3 Esports(V3)」、「Burning Core(BC)」、「Crest Gaming Act(CGA)」、「Unsold Stuff Gaming(USG)」、そして昨シーズンのLJL王者であり世界大会では大活躍を見せた「DetonatioN FocusMe(DFM)」の8チームだ。
LJLでは野球やサッカーなどと同じように、オフシーズンにはプロ選手の移籍や脱退、新規加入が行なわれる。つまりチームとしての名は同じでも、チームを構成する選手は大きく代わることもあるし、あるチームの有力選手が意外な移籍を果たしていたりする。特に今季はLJL CSの廃止によって選手の移籍が多発したり、Reiya選手(Sengoku Gaming)やZerost選手(V3 Esports)、そしてLJL CSで解説を務めていたDay1選手(AXIZ)など、かつてプロとして活躍しつつも引退していた選手の復帰が相次いだ。さらにeスポーツ大国であり「LoL」においても強豪国の韓国リーグから新たな選手が彗星のように現われたりもする。
ファンの間では直前に公開される選手、チームの情報をもとにああでもないこうでもないと言い合うのが開始前の楽しみだったりするのだが、開幕戦ではその力が明らかとなる。結果としてはDFMとUSGが2勝、AXZとV3が2敗、その他のチームは1勝1敗という結果になったが、いずれのチームもそれぞれの長所があり、見せ場があり、観戦していて非常に面白かった。
チーム名 | 戦績 |
---|---|
AXIZ | 0勝2敗 |
Burning Core | 1勝1敗 |
Crest Gaming Act | 1勝1敗 |
DetonatioN FocusMe | 2勝0敗 |
Rascal Jester | 1勝1敗 |
Sengoku Gaming | 1勝1敗 |
Unsold Stuff Gaming | 2勝0敗 |
V3 Esports | 0勝2敗 |
中でもこの日の最終戦となったDFMとBCの試合は素晴らしいもので、会場もまるでシーズン決勝かのように大盛り上がりであった。結果としてはDFMが勝利したものの、BCはDFMに対して優位を築く場面もあったし、最終局面ではどちらが勝ってもおかしくないほどにもつれこみ、DFMが紙一重で勝利した、という形であったのだ。
昨シーズンの対戦戦績から見て、失礼を承知で言えばBCがDFM相手にここまでの試合を繰り広げるとは思わなかったし、あわや敗北も見えたDFMが最後まで粘って勝利を収めるさまは、まさに先の2018 World ChampionshipでC9に逆転負けを喫した試合の裏返しであったように思えた。試合後のインタビューでDFMのTOP Evi選手が「世界戦の経験が生きた」と語っていたのはまさにこの試合を指していたのではないかと思う。
また、助っ人韓国人選手としてはUSGに新規加入したMIDのDasher選手が異様に強いということも発覚した。Dasher選手は"使いこなせれば強い"チャンピオンの一角である「ライズ」をピックして鬼神のような大活躍を見せ、USGの勝利に大いに貢献してその名を一躍日本に知らしめた。
BO1の8チーム制、そして新会場は観戦をより楽しくする!
昨シーズンの6チーム制から新たに8チーム制となったこと、試合形式がBO3からBO1に変更になったことは、観戦において新鮮な楽しみをもたらしていた。参加チームの増加は単純により多くのチームの個性、そして選手の参入を意味し、さらにBO1形式はその個性のぶつかり合いを次々に楽しむことができる。
加えて1試合で決着がつく、というのは進行上スケジュール管理が行ないやすいという副次的なメリットもある。というのもこれまでのBO3形式では試合に臨むチームが試合のなかで調子を整え、対策を練っていくといういわば"試合の流れ"が楽しめる反面、決着が2試合でつくのか3試合でつくのかがわからないという側面があり、事前に予告されたスケジュールから大幅に遅れるのが常だったからだ。
今大会は13時にSGとAXZの試合がはじまり、次のRJとAXZが14時30分より、続くRJとUSGの試合が15時45分……と、2試合目以降からは1時間15分刻みで進行が行なわれていたが、ほぼ定められたスケジュールどおりに試合が進行した。現在の「LoL」では長くとも40分前後で決着がつくので、試合後には選手も観客もインターバルを取ることができるし、配信でもお目当ての試合の開始時刻が明確にわかっていれば視聴もしやすい。海外では既にリーグ戦の段階ではBO1が主流だという理由がわかったような気がした。
また、今季からは会場がヨシモト∞ホールに変更になったのも大きなトピックだ。これはよしもとクリエイティブ・エージェンシーとの協業によって実現したものだが、ヨシモト∞ホールはもともとがお笑いライブのための会場。中央に設置されたステージを取り囲むようにして客席が用意されているほか、大型のモニター1台と小型のモニター2枚を備えており、会場のどこからでも快適に試合を観戦することができる。
さらに特筆すべきは観客席が全てステージに向いているため、必然的に観客全員が同じ方向を向くことになり、会場の一体感が一層強く味わえるのも大きなポイントだ。さらに構造上声が通りやすくなっているのか、試合中に飛び交う選手たちの声もよく聞こえる。選手たちは試合中にどんなやりとりをしているのか、誰がショットコーリング(指揮)を行なっているのか、さらに韓国選手が入ったチームはどのようにコミュニケーションをしているのかというのがよくわかる。
また、モニターで観戦できる試合と選手が見ている画面には若干のズレがある(選手のほうが早い)ので、「いくよいくよ!」という声が聞こえるとこれからゲームが動くことがわかるし、「ナイスー!!」の声が聞こえればどちらのチームが仕掛けで勝ったのかちょっとだけ先にわかる。これが試合観戦の面白さを大いに増している。
ちなみに、初日のチケットは3,500円(税込)と、前会場Red Bull Gaming Sphere Tokyoでは無料であったことを考えると決して安くはない金額で販売されていたにもかかわらず、Amazonの特設ページ及びチケットよしもとにて完売となっていたうえ、試合は13時からおよそ23時過ぎまでとかなりの長丁場であったにも関わらず途中で帰る観客がほぼ見られなかったのも印象的だった。
前王者DFMの試合が最後だったということを差し引いても、観戦環境の良さと試合内容の濃さが帰ることを許さなかったのだろう。かくいう筆者も全試合をワクワクしながら、時には仕事であることを忘れて叫びながら観戦していて、ふと気づくと全試合が終わっていたという感じであった。
今回は試合の当然の帰結として勝った、負けたという結果が出たわけだが、BO1では多少の運や調子が結果に絡む部分もあるし、チームの実力はこれだけでは到底測れない。いずれのチームもまだまだ伸びる余地を十分に残しているように感じられたし、サブメンバーの補強を数多く行なっていることから、今後の試合も非常に楽しみだ。また、1戦で終わりという側面から、メタから外れて意表を付くような選手のポケットピック(個人的に得意なチャンピオン)、奇策なども次々と飛び出してくることだろう。
試合の合間にはロビーにてファンミーティングなども行なわれており、選手と写真を撮ったり、サインをもらったり、雑談に興じたりと、オフラインらしい、距離の近い催しも行なわれている。今季のLJLは大会はもちろん、「LoL」を一層楽しめるような環境になっていることは間違いないので、「LoL」ファンなら是非1度は観戦に行ってみて欲しいと思う。本当に楽しかったので、心からオススメする。