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「LoL」日本代表DFM、世界大会初日の戦果は1勝1敗に

鮮やかな逆転勝利、そして強豪「C9」をあと1歩まで追い詰める大奮闘

10月1日 開催

 ライアットゲームズはPC用MOBA「League of Legends(以下、LoL)」の世界大会「2018 World Championship(以下、WCS)」を10月1日より開催した。

 WCSは世界各地に存在する「LoL」のプロリーグ最高峰の選手たちによって世界一の称号を巡って争われるもので、日本からは「League of Legends Japan League(以下、LJL)」で長年の雪辱を果たし優勝を飾った「DetonatioN FocusMe」が出場権を獲得した。

 大会は「プレイインステージ」、「グループステージ」、「ノックアウトステージ」の3つのステージの順で進行していく。WCS初日にあたる10月1日より韓国「LOLPark」で開催されたのはプレイインステージのラウンド1で、DFMも参加するこのステージでは、12チームが抽選で4グループ3チームに振り分けられ、1勝先取の総当たり戦が2回実施される。その結果を受け、ラウンド2として各グループの1位、2位チームによる3本先取の対戦が行なわれる。ここで晴れて勝利することができれば、次に控えるグループステージに進出できるというわけだ。

試合の舞台となったLCKアリーナ。客席は400席ほどで、ライティングやデジタルの表示などeスポーツの観戦を盛り上げる仕組みが盛りだくさん
「LOL PARK」には物販や“ビルジウォーター”カフェ、ファンアートや彫刻などファン垂涎のコーナーに加え、PC房(PCを借りて遊べる日本のネットカフェのようなもの)なども併設。LCKのアリーナもこの中にある

 日本代表として世界大会に出場する条件は日本リーグ「LJL」で1位になること。DFMはリーグの開催期間中常にトップクラスの戦績を収めて毎度決勝に進みながらも、ここ数年は幾度となく優勝を逃して涙を呑んできた。しかし先のリーグでは見事優勝。実に2年ぶりに世界大会への切符を勝ち取り、この大舞台へと臨んだ。

 歴史も古く、名実ともに日本No.1に返り咲いたDFMが世界大会に臨む。日本の「LoL」ファン、プレーヤーとしてこんなに胸躍ることはないのだが、実はLJL代表はかつて参加した世界大会を全て初戦で敗退しているという歴史がある。中には惜しい試合もありはしたが、日本チームは世界と比較するとまだまだ下位チームであるという評価は、あながち否定できるものでもなかったのだ。

 実際、試合前には「日本チームには勝ち進んでもらいたい、でも……」、あるいはもっとド直球に「どうせ今回もダメなんでしょ」という声が各所から聞こえていた。

 しかしDFMはそんな声をものともせず、日本の意地と矜持を見せつけてくれた。初日の対戦相手は「CBLOL(ブラジル)」代表の「KABUM! E-SPORTS(以下、KBM」)」と、北アメリカ屈指の強豪「C9」。

 「KABUM! E-SPORTS」戦では序盤こそ相手のアグレッシブな仕掛けを上手くいなし、3キルを獲得して優位に立つものの、続くMidの1stタワーでのシージに失敗してKBMにエースを取られてしまう。

 1度優位に立ったところでの全滅は、焦りとなって心に突き刺さる。実際DFMはその後の集団戦でも精彩を欠き、徐々にKBMとのゴールド差が開いていく。

 しかしこの劣勢でもDFMはグッと踏み留まる。Evi選手の「オーン」はUltを的確に決めて相手のキャリーを捉え、viviD選手の「タム・ケンチ」は瀕死の味方を何度も救う。そうして徐々に、しかし着実に状況を巻き返していき、ゲームを決めたのはバロンファイト。

 KBMがバロンを始めたことに気付いたDFMはチーム全員で駆けつけ、狭いバロンピットに向けてEvi選手が渾身のULT。そこに重ねるように放たれたYutapon選手の「ヴァルス」の矢が突き刺さり、KBM Titan選手の「トリスターナ」のキルとともに、バロンをも獲得。集団戦の勝利とともに、期せずしてバロンスティールにも成功したDFMはそのまま相手ネクサスに迫りこれを破壊。初戦を勝利で飾った。

このバロンファイトが勝負を決めた

 序盤でエースを取られ、劣勢が続いた時にはもうこのまま負けてしまうのではないかと思わせたが、そこで踏みとどまって素晴らしい逆転を見せてくれたDFMは控えめに言ってものすごくカッコよかったし、見ていてものすごく燃えた。冷静に考えれば初戦を1つ勝っただけではあるのだが、この鮮やかな勝利には間違いなくそれ以上の意味があった。

ギャラリーの歓声に応えるDFM。Ceros選手もこの笑顔

 そして続く試合の相手は「C9」。C9は北アメリカの超有名古参チームで、その実績は数々の勝利で飾られている。率直に言うと一方的に負けたとしてもおかしくはないマッチアップともいえる。だが初戦の様子には「今のDFMならあるいは……」と感じさせる何かがあった。

 その予感は半分は当たり、半分は外れた。DFMは格上のC9に食らいつき、互角どころか終盤にはインヒビターを2つ、さらにバロン、エルダーまでも獲得して、ネクサスタワーに手をかけたのだ。通常のプレイであれば、まず勝てる状態であったと言える。

 しかし、ネクサスタワー前の集団戦でDFMは全滅。C9は全員が生存しており、もはやミニオンウェーブなどお構いなしでネクサスタワー、そしてネクサスを破壊して大逆転勝利を収めた。

勝利を目前にしながらも、背後から迫るC9 Licorice選手のリサンドラがこれを阻止。本当に惜しいところだったが、C9の冷静さと勝負強さもまた観客を魅了する

 DFMが勝ちを目の前にして焦ったのか、C9が上手かったのか……恐らくはその両方だ。C9 Licorice選手のリサンドラはDFMの視界を避けるようにして裏側に陣取り、完璧なエンゲージからC9を勝利に導いた。この「リサンドラ」に気付けていれば、あるいは2レーン分のシージミニオンの到着を冷静に待つことができたなら……。

 本当に惜しい試合だっただけに、「たら、れば」ばかりが浮かんでしまうが、ともあれ結果は1勝1敗。ラウンド2への進出も十分にあり得る戦績だ。C9をあと1歩まで追い詰めたDFMなら、きっと10月3日のDay2でも素晴らしい試合を見せてくれることだろう。そしてより上のステージまで勝ち進んでいってほしいと切に願う。

試合後には疲労困憊のところインタビューに応じてくれたDFM。WCSに参加できたことや初戦で勝てた喜びを語りつつ、やはりC9戦での敗北の悔しさを口にした