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【特別企画】実銃の感触を届けたい! 次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」インタビュー
拡張性の高い米軍特殊部隊仕様のカービンを、高いクオリティで再現
2019年1月28日 12:00
ここ数年のサバイバルゲームの流行は目を見張るものがある。日本全国各地にサバイバルゲーム場は200カ所以上あり、女性の参加者も増えた。筆者の知り合いにもサバイバルゲームを趣味とする人がいるし、装備をレンタルしカジュアルに楽しむ人もいる。
筆者は、サバイバルゲームのユーザー数の増大の背景の1つに、FPSの認知度向上、ユーザー層の広がりも大きいと思っている。戦場で駆け回り、敵を見つけ撃つ。ゲームではカジュアルにスーパープレイもできるが、本当に戦うとなるとかなり大変そうだ。しかし、だからこそ重い銃を手に、撃たれると痛い、スポーツとしての戦いも体験してみたい。そう思う人も多いのではないだろうか。
そのサバイバルゲームの流行を支えているのが、東京マルイである。ホビーショーや、ゲームショー、東京コミコンなどイベントに積極的に参加し、秋葉原で単独でイベントを行なう「東京マルイフェスティバル」も大盛況である。ユーザーに「本物さながらのエアガンを撃つこと、持つことの楽しさ」をアピールしている。ゲームに限らず、アニメ、映画など様々なコンテンツはよりリアルな銃の描写にこだわる傾向があり、東京マルイの提示する“本物志向”はユーザーの高い評価を得ている。
今回、東京マルイの新製品・次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」を取材することができた。インタビューしたのは東京マルイの広報担当・島村 優氏である。本稿では「Mk18 Mod.1」の特徴と魅力に加え、東京マルイならではのアプローチとこだわりも紹介していきたい。
様々なオプションを取り付けられるレイルを装備、特殊部隊仕様のカービンライフル
東京マルイのエアガンのこだわりは“本物志向”である。商品によってコンセプトは異なるが、次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」は“実銃を手にしたような感覚をユーザーにもたらしたい”という想いで作っていると島村氏は語った。
モチーフとなるMk18 Mod.1は、米軍の特殊部隊が使用するM4カービンのバリエーション。M4はアサルトライフルの代表的な銃と言える「M16A2アサルトライフル」をベースに、銃の長さを短縮、ストックを調整ができるようにした銃であり、取り回しの良さ、持ったままの行動のしやすさを目指して開発され、その派生型は幅広く使用されている。
そのM4に拡張性の高いアタッチメントを装備したのがMk18 Mod.1である。特殊部隊によって使用される装備のため出展などが少なく、名称そのものも正式なものかがわからなかったが、ここ最近で詳細なマニュアルも公開され、Mk18 Mod.1という名称が正式なことがわかった。まだ公開されていない情報も多いが、東京マルイは綿密な考察を行ない、商品を設計しているという。
実銃の大きな特徴は銃身を覆う“レイル”と呼ばれる溝のある部品。この部品はダニエル・ディフェンス社が製造した部品だ。この部品に取り付けられた溝により様々なオプションを装備できる仕様となっている。射撃を安定させるフロントグリップや、レーザーにより撃ったときの着弾場所を確認できるポインター、前面を照らすフラッシュライトなど任務により様々なパーツが装着できるのだ。
また発射時の炎を抑制するフラッシュハイダーも、射撃時の音を低減させるサイレンサーが取り付けやすい形に変更されている。特殊部隊の任務に合わせ、幅広い拡張性がもたらされているのがMk18 Mod.1の特徴なのだ。パーツのカラーの変更などMk18 Mod.1のために変更された部分は多岐にわたるとのことだ。
今回は次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」の試作品を前に話を聞いた。東京マルイの商品、そして島村氏のこだわりは“実銃への想い”にある。このため商品の説明を受けながらいつの間にか実銃であるMk18 Mod.1そのものを語っていくような形になった。商品の、そしてMk18 Mod.1そのものの特徴を紹介していきたい。実銃はカッコなしのMk18 Mod.1、商品オリジナルの説明の時は、次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」と表記していきたい。
最初に、次世代電動ガンという規格そのものを説明したい。次世代電動ガンの特徴は「リコイル(反動)」を楽しめる機構である。元々電動ガンの特徴はモーターを動かして空気圧を送り込むので、ガス式より安定して弾を撃ち出すため反動が少なく、より弾を当てやすいというところに特徴があった。しかし「それではもの足りない」という要望に応えたのが次世代電動ガンなのだ。
次世代電動ガンは、弾を撃ち出すだけでなく、発射と同時に内部のウエイトがスライドし、実銃を撃ったような反動を体験できる機能をプラスしている。ガスガンでガスにより行なっていた「ブローバック」という仕組みを、電動ガンでも実現したというのが次世代電動ガンなのである。そして次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」はこれまでのノウハウを活かし、機構そのものは大きく変わっていないが、技術的に洗練され、ユーザーの意見も取り入れられた改良が加えられているとのことだ。
実銃を手にしたような感触を! こだわりが光る各部に迫る
各部を細かく見ていこう。銃の上部は照準器であるサイトが取り付けられている。Mk18 Mod.1では調整により300メートル先まで狙えるようになっている。軍隊での実際の運用では通常のサイトを使うのではなく、レイルの特徴を活かし、ドットサイトやスコープを取り付け、対象を狙うとのことだ。
次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」の射程距離はおよそ50メートル。スコープやドットサイトを使うのではなく、標準サイトを使うユーザーも多い。サイトは可動させることで狙いを調整できる。東京マルイのエアガンの大きな特徴は「長い距離をまっすぐ飛び、当たる」ことへのこだわりだと島村氏は語った。空気圧やメカの構造、インナーバレルの長さなど、どこにポイント置くかは製造メーカーによって変わってくるが、東京マルイは初期からまっすぐ飛び、狙った場所に当たるという事へこだわり、その点がユーザーからの支持に繋がったと島村氏は語った。
ちなみに次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」は実銃では排莢を行なう部分にダイヤルがあり、ここで“ホップ”の調整ができる。ホップというのは弾が撃ち出される際、上部分のゴムに弾が当たることで逆回転がかかり、弾道を跳ね上げる動きを加えること。ホップを強くすれば弾の重みで弾道が下がることを防げるが、近距離では狙ったところより上に弾が当たってしまう。
自分の得意な距離での命中率を上げるための調整が可能なのだ。またホップのコンディションは使う弾の重さ、天気、気温や湿気でも弾道が変わる。サバイバルゲームの準備時にはまず弾を撃ってみて、ホップを調整するのがプレーヤーの“儀式”となっているとのことだ。
銃の左側にはセレクターレバーが付いている。これは右手で構える場合親指で操作できる。セイフティもこのセレクターで行なう。引き金を引く度に弾が出る単発か、フルオートを選択できる。サバイバルゲームのユーザーでは慣れたユーザーは単発で射撃するユーザーも少なくないとのことだ。
セレクターの隣にあるのが、「ボルトキャッチ」だ。実銃の場合、マガジンの弾がなくなるとボルトキャッチが動き、ボルトを開いたまま固定し、弾切れを知らせると同時に、マガジンチェンジをしやすくする。ガスガンでは構造がシンプルなため、この機構も再現できるのだが、電動ガンの場合、メカが複雑で本体につまっているため実銃と同じ機構が再現できない。次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」の場合は、弾がなくなるのを検知すると通電しなくなり、作動システムを停止する。ボルトキャッチはマガジンを入れて再始動するためのスイッチとして機能するとのことだ。
スタンダード電動ガンの一部はこの“残弾なしを知らせる”という機能を積んでおらず、弾が切れても弾を撃ち出す機構が動き続けてしまうという。このため初心者は弾切れに気が付かず撃ち続ける場合もあった。次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」は、ボルトキャッチを実銃のように操作する“演出”を入れることでよりリアルにしている。また、本商品のマガジンは82発のBB弾を収納できるが、レバーの切り替えで実銃と同じように30発のみを入れることができる。こだわりのユーザーはあえて30発しか入れず、その代わりスペアマガジンを多めに持って、素早くマガジンを交換して射撃を楽しんでいるとのことだ。
本体内部のウエイトを動かすことでまるで実際の銃を撃っているかのような衝撃をユーザーに与える。リアルさを感じさせる“演出”を取り入れているのが次世代電動ガンならではの特徴なのである。
右側には薬莢を排出するための窓(エジェクションポイント)が開いている。行軍時にはこの窓をふさぐダストカバーを閉じておく。射撃をする際にチャージングハンドルを引くことで連動してカバーが開く。薬莢を使わない電動ガンの場合はこの窓はダミーではあるが、チャージングハンドルを引くことで現われる内部部分にダイアルがあり、ここでホップの調整を行なうというエアガンならではの機構を仕込んでいる。
排出口の後ろには薬室に薬莢が引っかかったときに手動で押し込めるボタン(フォアアシストノブ)もきちんと再現している。薬莢を使わないこの商品では必要のない機構であるが、こちらもきちんと再現していることがファンの期待に応えるのだ。
グリップ部分に弾を発射するためのモーターが仕込まれている。このため実銃に比べるとグリップがわずかに大きく、ある意味で“デフォルメ”された部分だという。グリップの底の部分には穴があり、モーターとギアのカミ合わせを調節するメンテナンス用の穴となっている。ここに工具を差し入れギアの噛み具合を調整していくとのことだ。
次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」としてのセールスポイントの1つが、スリング(肩ひも)がつけられる金具が付属している。サバイバルゲームでの携行性を考えてつけたものだ。昨今では後ろ部分だけのもあるが、本商品では前と後ろの2カ所にスリングを通す金具が取り付けられている。
ストックは最大と最小を含めて6段階に長さを調整することができる。これは兵士の体格や、装備品で変えることができる。「プレートキャリア」という装甲を身体に取り付けたときなどは兵士の身体は厚くなり、ストックは短めになる。次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」ではストックにバッテリーを収納する形になる。底部の蓋を取り外すことで、バッテリーの交換ができる。
次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」の大きな見所はやはりそのレイルだ。次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」は手に持つとずしりと重い。銃本体、マガジン、そしてレイル部分などかなりのパーツが金属(アルミ)パーツだ。重量は約3.2kg、実銃もほぼ同じ重さだという。右手で撃つ場合、右手でグリップを握り左手はレイル部分に触れることとなる。レイル部分は左手で握る。
このレイルパーツはアルミの削り出しとなっている。無骨な金属パーツだが、丹念な切削技術によりエッジが立ちすぎず、素手で握っても怪我をしないように加工されているという。1つ1つ削り出しなため、手間もコストもかかる作業である。金属部品を作る方法としては、削り出し以外にも金属を流し込んで作る金型による成形があるが、この方法ではバリが生まれたり、エッジが丸くなりすぎてしまうとのこと。実銃を感じさせるシャープな造形を実現させるために、削り出しを行なっているという。
「実銃の使用目的、特に軍がメインの場合はクオリティは優先されません。そのため、素手で触ったら手が切れてしまうような鋭いものになっているかもしれません。ですが僕ら東京マルイはホビーメーカーです。ですから商品では安全性を考え、それでいながら実銃の無骨さ、リアルな感触が得られるようにバランスを取りながら開発しています」と島村氏は語った。
寄せられる多くのユーザーの意見にどう応えていくか? あくまでリアルにこだわる東京マルイ
ここからは次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」の開発背景に関して話を聞いていく。モチーフとなったMk18 Mod.1は正式名称さえ謎であった特殊部隊用装備ということで対象はコアなファンを想定している。実銃をモデルに商品を販売する東京マルイにとって、Mk18 Mod.1の商品化は他メーカーに比べて遅いと感じるユーザーも多いのではないか、と島村氏は語った。
Mk18 Mod.1は2007年頃から採用されており、海外のメーカーはM4カービンをベースにレイル部分を取り付けて改造できるキットを販売しているところもあった。特殊部隊仕様と言うことでMk18 Mod.1の人気は高く、ファンは改造したり、その後発売された海外製の製品を手にしたユーザーも少なくない。その中で東京マルイは、次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」をなぜ今出す出すのだろうか。
「他社の商品と組み合わせる場合、微妙に合わなかったりする場合もあります。それなりの腕がないと分解できないレベルになっています。マニアの方からは『なんでもっと早く東京マルイで出してくれなかったんだ』という声もいただきますが、バリエーションも出るなら1年くらいで投入できますが、ベースとなる銃が好調な売れ行きの中で、生産ラインの都合上、まずはベースとなる銃を安定供給することを考えます。また、作りたい銃がいっぱいあるので、そのバランスも考えます。そういった事情もあって、今回の発売となりました」と島村氏は語った。
Mk18 Mod.1はM4カービンのバリエーションだ。東京マルイではCQB(近接戦闘)向けのモデルとして次世代電動ガン「CQB-R ブラックモデル」などいくつものバリエーションを販売している。またM4を独自に改修したHK416Dも様々なバリエーションがあり、M4をベースにした銃は非常に多彩である。ユーザーからの声が寄せられる中、どの銃を商品化していくかはとても悩ましいところだと島村氏は語った。
また、レイルによる拡張性を高くしているMk18 Mod.1だが、実銃の“流行”ではこのレイルが少なくなる傾向があるという。大きなレイルは装備をいくつも取り付けることができるが“多すぎる”という声もあり、レイルを減らす、もしくはなくす方向での改修も行なわれていると島村氏は語った。マグプル社が開発した、必要な部分にだけレイルを取り付ける「M-LOK」といったシステムが民間に出始めており、軍も採用する傾向があるとのことだ。こういった実銃の流行も追いながら、商品開発を進めているのだ。
ユーザーからのニーズという視点では、単純にサバイバルゲームをプレイする場合を考えると、次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」のレイル部分の金属パーツはやはり重い。火薬の爆発により弾を打ち出すわけではないエアガンの場合、実銃ほど発射時の内部への衝撃は大きくない。拳銃のグロックのような樹脂製フレームを使うなど思い切った軽量化を目指したエアガンも求められているのではないだろうか?
島村氏は「そこは難しい問題です」と語る。東京マルイはやはり実銃と同じ重さ、実銃を持ったときと同じ感触にこだわるメーカーである。実銃が金属製ならば金属パーツを多用してその質感を再現したいという想いが強い。一方で昨今の新しいサバイバルゲームユーザーは実銃への追求よりも、軽く、取り回しやすく、戦いやすい、それでいてカッコ良いエアガンが欲しい、そういう声も理解しているとのことだ。海外メーカーではフットワークの良さで、実銃と異なる方向性でユーザーのニーズに応える商品を出すところもあるという。
東京マルイの商品はエアガンであるが、今後は実銃の構造、持ったときの感触や、ブローバックによる射撃の体験などやはり「実銃を手にしたときの感触」にこだわって作るものと時代の流れに合ったものをバランス良く発表したいと島村氏は語る。
マルイの商品を手に取るのはハイエンドユーザーからライトユーザー、サバイバルゲームをする人、しない人、コレクターなど多岐にわたるので、全員を満足させることは難しい。今回の次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」は、実銃を手にしたい、綿密な調査と考証から生まれる商品から伝わるリアルな世界を楽しみたい、というコンセプトを中心に作られているとのことだ。
女性や低年齢層もユーザーに! 幅広い層へエアガンを届けるための施策
今回は商品の他に、東京マルイのユーザーへの働きかけ、エアガンを販売するメーカーとしての活動にも話を広げてみた。その中で島村氏は、東京マルイの方針として「ユーザー層を広げる」という方向性が最近はうまく進められていないという悩みもあるという。東京マルイは10歳以上のユーザーを対象とした低価格モデルのシリーズも積極的に販売しているが、昨今では実銃の再現に重きを置いた18歳以上向けの高額商品の開発が中心になってしまっている。
これはコストの問題がある。10歳以上のモデルの価格帯は「エアーハンドガン(10才用モデル)」の2,500円(税別)から、「電動ガン LIGHT PRO」シリーズの14,800円(税別)などで、次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」の価格69,800円(税別)と比べると価格も抑えて、ユーザーが手にしやすくなっている。しかし、開発コストに関しては、10歳以上の商品も、18歳以上のモデルと同じだけの人と時間がかかるという。ビジネスと言うことを考えると、どうしても18歳以上のモデルに偏重してしまうところがある。
しかし一方で、エアガンの認知、普及は進んでいると島村氏は語った。かつてエアガンは「戦争を想起させる危険な玩具」、「銃のおもちゃなんてけしからん」といった声を強く浴びせられていたが、昨今ではクリスマスの時、「子供にエアガンを買い与えたいが、どれが良いか」といった相談が東京マルイに寄せられることもあり、島村氏は世代が変わった実感を得たという。銃器に対する視線や、エアガンに対しての興味もユーザーの間で高まっているという印象を得ているとのことだ。
サバイバルゲームの流行も東京マルイ、島村氏をはじめとした業界関係者の尽力がある。盛り上がり始めたのはおよそ8年前、そこからブームとなり今は少し落ち着いているという。11年前、エアガンは業界全体として危機感を感じる時があった。リーマンショックによる全体的な不景気、改正銃刀法による改造エアガンの取り締まりと規制の強化により、メーカーだけでなくショップも大きな打撃を受けた。
これを打開するためにはどうするか、東京マルイはこの時期に弾を撃ち出す性能だけではなく、ガスガンで実現していたブローバックの感触、機構としての楽しさを電動ガンでも楽しめるように「次世代電動ガン」の発売など、「撃つ楽しさ」にフォーカスした商品を提示し、ユーザーからの評価を得た。
実はこの次世代電動ガンはこれを遡る数年前から実用できる段階にあった。しかし東京マルイは発売のタイミングを考えており、「電動ガンでありながら、ブローバックが楽しめる」というコンセプトをユーザーが望む声が高まったそのときに投入することができた。“時代を読む”という戦略が、見事にハマったと島村氏は語った。
そして、島村氏などメーカーサイドだけでなく、アームズマガジンなどメディアも考えていたのは「女性層の取り込み」である。エアガン雑誌の表紙に女性を使ったり、サバイバルゲームイベントの協賛、各地のサバイバルゲーム場への協力などを行なった。「サバイバルゲームはダイエットにも良い、ストレスも発散できる」などスポーツとしてのイメージをアピールしたり、マルイ自らインドアサバイバルゲーム場をオープンし、ユーザーが気軽にゲームを楽しめる場所を提供するなど普及に努めた。
ホビーショーなどで東京マルイはいつも「シューティングレンジ」を提供している。数メートル先の的を撃つことができ、いつも大盛況だ。島村氏は「ホビーショーなどのイベントは見て回ることが中心で“遊ぶ”場所は少ない。ここに来れば遊べるので、そこが人気だと思っています」と語るが、普段体験できないエアガンを撃つことができるのは大きな魅力だ。コスプレブームや、アニメや映画のよりリアルな銃器描写なども後押し、SNSによる拡散などもあるが、島村氏をはじめとした業界の努力が下支えになって、現在のブームがあるのだ。10年前に比べ、サバイバルゲーム場は3倍以上に増加したとのことだ。
島村氏は東京マルイの秋葉原での単独イベント「東京マルイフェスティバル」も試行錯誤の連続だったと語った。当初はアキバという土地柄、アニメとの関係を強調し声優イベントなども考えていたそうだがそれをやり過ぎると「銃」好きは引いてしまう。やはり、ベースは「銃」として、それに関連したファンも楽しめるイベントは何か、というテーマを考えていった。
2018年のイベントではヘリコプターをそのまま搬入し、映画の世界さながらの雰囲気を演出もしている。新しいビジョンも提示しながらユーザーへ積極的に働きかけているのだ。しかしまだまだ島村氏の想いは止まらない。もっともっと多くのユーザーに来て欲しいという思いを持っているとのことだ。
島村氏は今回のインタビューでもう1つアピールしたいことがあるという。それは電動ガンだけではなく、ガスガンの魅力だ。モーターを動かし空気を送り込む電動ガンはやはりメカの部分に容積が取られる。その点、ガスガンはガスを収めるタンク以外では実銃により近い機構で設計できるという。銃は分解し、各パーツの作動をなめらかにするための分解清掃などを行なうが、ガスガンはより実銃に近い操作が可能とのことだ。
一方でガスガンは気温の変化を受けやすい。気温の下がる10月以降ではサバイバルゲームなど屋外での使用の場合パフォーマンスが下がってしまう。対して電動ガンは1年中安定したパフォーマンスで使用できる。もちろんサバイバルゲームなどの屋外での使用ではなく、室内で射撃の感触を楽しむ、という使い方ならばガスガンも1年中楽しめる。より本格的な感触が楽しめるガスガンもオススメしたいと島村氏は語った。
最後に次世代電動ガン「Mk18 Mod.1」を楽しみにしているユーザーへのメッセージとして島村氏は、「お待たせしてしまった商品ですが、こちらとしても自信を持って発売できるものになりました。2月中旬には皆さんに届けられると思います」と語った。
実銃を再現したエアガンはやはり独特の迫力がある。商品を前に様々なポイントをチェックし、そして詳しい人に話を聞く、というのは、とても楽しい体験だった。今回は電動ガンのカービンライフルの取材だったが、ガスガンやハンドガンも話を聞いてみたいと思った。
手に持って、構えて、その重さを確認する。サバイバルゲームでは撃たれると痛い。その痛みがプレイに影響を与える。実際に重い銃器を持っての山を駆け回るのはFPSとは全く違う体験だろう。取材をしてみてサバイバルゲームにも興味が惹かれた。今回話が聞けた東京マルイの活動もほんの一部でありこちらも深掘りしてみたいテーマである。今回の取材を皮切りにさらに奥深いエアガンの世界も見ていきたい。