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【ホビーショー】国産模型史60年を実物で振り返る「プラモデルで見る60年」

1958年から今年で60年。懐かしいプラモデルの展示コーナーをレポート

【全日本模型ホビーショー】

9月28日~30日(28日は業者日)



入場料:1,000円(税込)※中学生以下は無料

 9月28日~30日にかけて東京ビッグサイトにて開催された「第58回 全日本模型ホビーショー」の一角には、国産プラモデルが発売されてから60周年を記念する「プラモデルで見る60年」展示コーナーが設置されていた。

 コーナーには、にはこの60年間で国内のメーカーから発売された人気のプラモデルのパッケージを年代とカテゴリーに分けて展示。懐かしい箱絵がズラリと並んだ光景にワクワクした来場者は多いはず。そしてコーナー内には、1950年代に実在したという「OS模型」をモデルにした「まぼろしのOS模型店」を設置し、ケースで展示しきれなかったプラモデルを展示していた。本稿では展示されていたプラモデルのほとんどを撮影し、コーナーごとのコラムを添えたので、ぜひその雰囲気を味わっていただければと思う。

1958年12月15日に発売されたマルサン製「原子力潜水艦 ノーチラス号」の金型。現在は童友社が所有している
童友社は国産プラモデル60周年記念モデルとして、当時の金型を使ったノーチラス号を復刻している

1「木から樹脂の時代へ。高度成長期とプラモデル」

 日本が高度成長期にあった1960~1970年代。1958年のマルサン製「原子力潜水艦 ノーチラス号」の発売を皮切りに、各社は身の回りにあるあらゆるものをプラモデルとして発売していく。戦車や車などのスケールモデルに限らず、建造物、家電製品、動物や昆虫、インテリアなど多種多様で、カテゴリーにとらわれない着眼点のプラモデル達は、見ているだけで楽しくなってしまう。またテレビ放送のカラー化や少年漫画誌の創刊などによって、子供向けのキャラクターや登場メカなども続々と発売されている。

見るだけで楽しい、バラエティあふれるラインナップ。国立競技場や東京タワー、アポロ宇宙船など、時代を象徴するものがプラモデル化されているのも面白い

2「進化するスケールモデル~ホビー世界の充実」

 バラエティに富んだプラモデルのラインナップは、マルサンのノーチラスから発展した艦船や飛行機、戦車などのミリタリー関連の乗り物や、1960年代からのマイカーブームから発展した自動車など、スケールモデルに人気が集まっていく。

 その黎明期は、モーターを使ってプロペラを回したり走行を楽しんだりするものが多かったが、その流れは実機の年式や型式を重要視しつつ、見た目やディテールなどリアルさが追求されるようになり、モーターで動くキットは影を潜めていく。

 1968年にはタミヤから1/35スケールの兵隊人形が発売され、そのころから同スケールのミリタリーモデルを「ミリターリーミニチュアシリーズ」と名付け、現在まで人気のシリーズとして定着している。

カーモデルは、レースカーやデコトラ、あるいは1970年代に大ブームを巻き起こしたスーパーカーなどをモチーフとしている。タミヤの「ミニ四駆」や、展示にはなかったが「日東科学の「サーキットの狼」シリーズなどもここにカテゴライズされる
現在も人気の高い航空機のシリーズ。マブチの超小型モーター「ミニベビー」の発売により、プロペラの回転ギミックを楽しむモデルもあったという。1978年にハセガワが発売したデフォルメ飛行機「たまご飛行機(現・たまごひこーき)」の姿も
タミヤ、ハセガワ、アオシマが展開する「ウォーターラインシリーズ」などを筆頭に、スケールモデルの中でも人気を誇る艦船モデル。帆船モデル
展示されたカテゴリーの中でも数が多く、人気があったことがうかがえる戦車のモデル。タミヤの1/35シリーズを中心に、各国の戦車がモデル化されているが、日本の戦車は不思議と少ない。セダによっては懐かしい、リモコンで操作するモデルも

3「黎明期から現在まで、市場を支えるパワーの源」

 現在のプラモデル市場の主流であるキャラクタープラモデルは、1960年代の「ウルトラマン」や「サンダーバード」などのキット化を皮切りに、一気に市場へと浸透する。また漫画家の小沢さとる氏がデザインした1975年の「ロボダッチ」や、雑誌連載からキット化に至った「S.F.3.D ORIGINAL」~「マシーネンクリーガー」など、オリジナルのモデルも充実。

 そしてバンダイが「宇宙戦艦ヤマト」の「メカコレクション」シリーズなどを経て、1980年に発売した「機動戦士ガンダム」の登場メカをプラモデル化した「ガンプラ」は社会現象にもなり、現在までシリーズが続き、当時のキットも並行して再版が行われ、親子2代で楽しめる趣味となった。

原色の派手なパッケージが目立つキャラクターモデルの数々。完成品のフィギュアが少なかった当時は、メカに限らず登場キャラクターのモデルも多く発売された。そして1980年のガンプラの発売以降、このカテゴリーのモデルが台頭していく
「まぼろしのOS模型店」のコーナーは、1960~1970年代のプラモデル屋をイメージしたレイアウトでプラモデルを展示。中に入ると一気に昭和にトリップする
会場のスタッフが店員のように座っていて雰囲気がある。当時のブラウン管テレビを模したモニターには「ウルトラQ」の映像が流れていた
ショーケースの中には完成したプラモデルと、「レベルカラー」や「パクトラタミヤ」、「マブチモーター」などのプラモデル用の塗料やパーツが並べられている