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【全日本模型ホビーショー】模型誌以上の情報量!? ホビー向け工具・道具特集

ニッパー、接着剤……模型製作のために揃えてみたい、便利な道具をチェックしてみた

9月25日~9月27日開催

会場:東京ビッグサイト 西2ホール

入場料:1,000円(中学生以下無料)

 東京ビッグサイトにて開催された「2015 第55回 全日本模型ホビーショー」。各レポートでは、プラモデルやフィギュア、ホビーの最新製品を紹介してきたが、本稿ではこのイベントならではの出展となる、模型製作のために使用される工具や道具類について紹介したい。

 昨今では、模型、特にプラモデルがホビーとして一般に広く浸透したことで、それを作るための道具も、低価格・高品質なものが手に入りやすくなった。品質が上がっているとはいえ、その用途による使い勝手の善し悪しやユーザーの体に合っているかどうかは、触ってみないとわからない。

 こういった工具は店頭では手に触ることはできても、実際に使ってみることはほとんどできない。しかし、こうしたイベントの各社のブースでは、デモンストレーション的に実物に触れることができるのが嬉しいところでもある。メーカーの担当者から直接説明を聞くこともできるので、ユーザーのレビューなどでは心もとないというときは、こうしたイベントに参加してみるのもいいかもしれない。

ゴッドハンド

 擬人化キャラクターにもなった超高性能模型用ニッパー「アルティメットニッパー」が好評なゴッドハンドのブースは、同製品のほか、いくつかの新製品を出展していた。

 「プラバンハサミ」は、その名のとおりプラスチックをカットする専用のハサミで、スプリング構造で厚めのプラ板を切っても自然に刃が戻るようになっている。実際に触らせてもらうと、2mmのプラ板やランナーなども楽にカットすることができた。

 「パワーピンセット」は精密タイプのピンセットで、先端に鶴首ならぬ「ユル首」の微妙なカーブがつけてあることで、対象物を上からも横からも掴みやすくなっている。また通常のピンセットよりも肉厚で先端が反発しづらい構造のため、小さなものを掴んだときはじけ飛んでしまうことがない。デカールなどを傷つけずに貼れる「先広タイプ」と、極小のパイプなどに先端を入れて掴める「先細タイプ」の2種類がある。

【ゴッドハンド】
「アルティメットニッパー」は、厚めのプラ板もかなり楽にカットできる。ストッパー付きなので、閉じた状態でしまえるので安全性も問題なし。発売中、1,800円(税別)
「パワーピンセット」は小さなものも先端がしっかりつかみ、余計な力がかからずに弾き飛ばしてしまうことがない。「先広タイプ」は汎用性があり、使い勝手もよさそうだ。発売中、各2,500円(税別)

グッドスマイルカンパニー

 「匠」シリーズのツールを発売しているグッドスマイルカンパニーの新しいアイテムはエアブラシ専用の「スーパークリア」だ。通常、エアブラシを使って表面仕上げをするときは、既存のクリア塗料を溶剤で希釈して使うが、これは希釈することなくそのまま使えるクリア塗料だ。「0%のツヤ」(つや消し)~「100%ツヤ」(光沢)まで4段階の光沢があるので、用途によって選べ、切れたときも同じものを買い足せば、同じ光沢具合で塗装ができるというわけだ。

 「GSRマスクゾル」は、塗装面に塗って乾燥させ、塗装後に剥がすことでマスキングができる液体だ。マスキングテープと比較すると、複雑な曲面などのマスキングに適している。担当者の話によると、過去にモデラーズに在籍していたスタッフが開発に携わっていて、好評だった同社の「マスクゾル」に極めて近いものとなっているそうだ。

【グッドスマイルカンパニー】
4種類を展開する「スーパークリア」。年内発売予定、各800円(税込)。「スーパークリア専用うすめ液」も同時発売、600円(税込)
「GSRマスクゾル」は近日発売予定、価格未定

エコーテック

 ホビー用超音波カッターが注目されているエコーテックは、同社の機器「ZO-40」、「ZO-41」をデモンストレーションしていた。刃を高速振動させて対象物をカットする超音波カッターは、模型の改造には特に便利な工具だ。

 スイッチをオンにして切りたいものに刃を当てて少し力を入れるとゆっくり刃が進んでいく感触はホットナイフにも似ているが、熱で切るのではないため、切り口が比較的綺麗で、写真のような熱に強い基板などもカットできる性能も持っている。

 その安全性も気になるところだが、例え作動中でも、手などに刃が一瞬触れる程度なら、切れてしまうことはない。また「ZO-40」のようにボタンを押しっぱなしにすることで動作がオンになるタイプなら、さらに安全性は高い。

【エコーテック】
アクリルのような柔らかい素材なら、5mm程度の厚さがあっても切ることができる。基板のような固い樹脂もOKだ
こちらは最新型上位モデルの「ZO-41」。41,600円(税別)と値は張るが、その価値や機能を備えた工具だ

GSIクレオス

 「Mr.カラー」などの塗料を中心としたホビー向けのツール・素材を発売するGSIクレオス。エアブラシやコンプレッサーなども発売中の機種を展示し、会場で実際に塗料を噴いて試すことができた。

 エアブラシには、塗料の噴霧量が一定でメンテナンスもしやすい「シングルアクション」と、噴霧量をボタンの引き具合で調整できる「ダブルアクション」がある。同社の製品はほとんどが後者で、価格は11,500円~30,000円(税別)以上とやや高めだが、使い勝手や将来性はこちらのほうが上だ。

 同じダブルアクションでも、ボタンタイプとトリガータイプなど、操作性などもかなり異なるものがあるので、購入前には、店舗やメーカーの担当者などに相談してみるのがいいかもしれない。

【GSIクレオス】
最上級モデル「Mr.エアブラシ カスタム0.18」。ラインナップでは最も繊細な0.18mmノズルを備える。本体後部の目盛付きのニードルストッパーは吹き付け量の調整も楽だ。発売中、30,000円(税別)
こちらは引き金タイプの「プロコンBOY WAトリガータイプ ダブルアクション」。“押して引く”ボタンタイプよりグッと操作がしやすいスタイル。発売中、14,000円(税別)
エアブラシとコンプレッサー、ホースなどの組み合わせ表と、腕前に合わせた組み合わせの実用例なども用意された
こちらは塗料のビンを収納するための「Mr.収納スタンド 棚3段」。引き出し式のトレイ1段につき、20本収納が可能。12月発売予定、3,800円(税別)
サンスター文具の「機動戦士ガンダムUC」に登場した「ラプラスの箱」を模したマルチスタンドが、ガンダムマーカーを収納するスタンドとして展示されていた。2016年1月発売予定、3,024円(税込)。プレミアムバンダイで受注中

ガイアノーツ

 キャラクターのカラーなどを展開する塗料「ガイアカラー」が人気のガイアノーツから、蓄光塗料「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-カラー」が発売となる。これは同作に登場する艦船のバイナルパターンの塗装を想定した塗料で、蓄光顔料が配合され、光を当てることで数分間発光する。蛍光塗料がベースなので、発光時だけでなく明るいところでの発色のよさも両立させている。

【ガイアノーツ】
イ401のバイナルパターンが「ルミナスブルー」で塗装されている。光を当てれば暗闇で光るのだ。発売中、500円(税別)
蛍光カラーでもあるため、ブラックライトを当てればこのぐらい鮮やかに光る

エアテックス

 エアブラシとコンプレッサー、そしてその周辺機器を取り扱うエアテックス。模型やイラストの用途だけでなく、ネイルアートやメイクなどに使用できることをカタログでも提案している。塗料を入れるためのカップがノズルの下や横にある吸上式のものや、カップがない(先端に少量入れるスペースがある)ものなど、形状も多彩だ。

 またコンプレッサーとエアブラシがセットになった「エアブラシワークセット メテオ」は、一式で10,500円(税別)という低価格を実現し、発売から3年で15,000台が売れているという。バッテリー内蔵のコードレスコンプレッサーから、エアタンクを装備し高圧に対応した本格的なものまで、商品展開は非常に多彩なので、カタログを取り寄せてみるのもいいかもしれない。

【エアテックス】
エントリーモデルとしてスマッシュヒットをとばす「エアブラシワークセット メテオ」。付属のエアブラシはダブルアクションのもの
バッテリーを内蔵した小型コンプレッサー「ワンダー」。ACアダプターが同梱され、屋外と室内両方で使用可能。発売中、15,800円(税別)
最新のエアブラシ「XP725 Premium」は、押しボタンにくぼみを設け、連続使用時に疲れない構造となっている。発売中、9,500円

セメダイン

 さまざまな接着剤を発売するセメダインが、今回の模型ホビーショーに出展したのが、「ハイグレード模型用セメダイン」。硬化後は無色透明で経年での変色がなく、接着剤使用時にどうしても発生してしまう、クリアパーツの曇りを起こさないという接着剤だ。無溶剤で水性という、模型用途としては珍しいタイプで、古くから工作用として知られる「木工用ボンド」の進化系ともいえる。クリアパーツだけでなく、メッキパーツの接着にも使用可能だ。

【セメダイン】
「ハイグレード模型用セメダイン」。接着剤の性質上、ディスプレイモデル向けで可動モデルには向かないことも理解しておきたい。発売中、500円(税別)

日邦産業

 日邦産業の「ArtFun!」ブランドで展開する「TWINCUBE」なるエアコンプレッサーは、97×97×211mm、1.3kgという小型設計に本体に5段階の出力調整ボタンが設置されて、出力調整のためのレギュレーターが不要というコンパクトさにこだわった設計だ。

 低騒音、低振動設計で横置きもOKで、また別売りオプションの「TC Tool Holder」を接続することで、エアブラシほか各種ツールを収納できるようになる。価格は49,000円(税別)とかなり高価だが、それに見合った使い勝手を持つコンプレッサーだ。

【日邦産業】
本体上部に電源と出力調整ボタンを配置。本体は左側で、右側が「TC Tool Holder」で、ツール収納のほか、エアの分岐接続口もある。ともに11月発売予定。「TC Tool Holderフルセット」は6,900円(税別)

アルゴファイルジャパン

 マイクログラインダーなど、研磨向けの工具を主に発売するアルゴファイルジャパンは、金属にメッキ加工をすることができる工具を発売している。

 乾電池3本または別売りのACアダプターで作動する本体から伸びる電極に金属パーツを挟み、もう一方のメッキペンのペン先に付属のニッケルメッキ液を浸して、金属パーツに塗ることで、電気的なメッキを施すことができる。

 小さめのアクセサリーの補修や色づけなどが主な用途だが、模型の金属パーツの錆防止や、エッチングパーツにも使用可能で、別売りの「24金濃縮メッキ液」を使えば、ゴールドメッキも可能となる。

 模型に使用するとなると、やはりプラスチックなどの樹脂へのメッキに期待がかかるが、そちらは現在研究中とのことで、まだ発売の目処などは立っていないとのことだった。

【アルゴファイルジャパン】
本体は意外に小さいハンディサイズ。LEDライトがついている。ニッケルメッキ液が3ml付属。発売中で、18,500円(税別)。「24金濃縮メッキ液」は3mlで3,800円(税別)
電極に金属パーツを挟み、メッキ液を浸したメッキペンの先で塗ると電気的なメッキが施されていく。こちらはシルバーのネジに24金メッキを施している

(稲元徹也)