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【ホビーショー】模型&ツールメーカー各社最新のツールをチェック

模型を快適に作るために進化し続ける、様々な模型制作ツール

【全日本模型ホビーショー】

9月28日~30日(28日は業者日)



入場料:1,000円(税込)※中学生以下は無料

 東京ビッグサイトにて開催された全日本模型ホビーショーには、出展メーカーが模型を作るために役立つツールを数多く出展していた。筆やヤスリ、ニッパーなどといった定番のツールの他に、各社がアイディアをこらした新しいツールが登場していた。

 模型のプロポーションがよくなったり、作りやすくなったりするように、模型を快適に作れるように、ツールも日々進化を遂げているのだ。ここでは会場で見つけた、各社イチオシの最新ツールを紹介していこう。

2mmのプラ板がサクッと切れる、「アメイジングカッター」(ゴッドハンド)

 ゴッドハンドの「アメイジングカッター」は、厚さ2mmまでのプラ板をまっすぐ切れる、プラ板工作をする人にベストなカッターだ。ハサミ状の刃の一方には、一般的なカッターナイフの刃を取り付け、もう一方には3mm角のプラ棒が取り付けられている。挟んだプラ板に対し、プラ棒がまな板のような役割となって刃を押しつけることでカットできるという仕組みだ。

 実際に試してみると、全く力を必要とせずに2mmのプラ板をスパッと切ることができた。プラ板に限らず、カッターで切れるものなら厚さ2mm以下、長さ75mm以下のものならカットでき、真鍮のエッチングパーツやプリント基板などの加工にも使用できる。価格は12,800円(税別)と少々高価だが、刃がこぼれてしまってもカッターの刃を使えるので、ランニングコストが低いのも嬉しいところだ。かつて「アルティメットカッター」の名前で販売されていた製品の名称を変更して再発売されることとなった。

ほとんど力を入れずに2mm厚のプラ板をまっすぐカットすることができる

貼って剥がせる、仮組みなどに便利な弾性接着剤「セメダインBBX」(セメダイン)

 接着剤は何かを接着するための道具だが、この「セメダインBBX」は1度接着したものを剥がすこともできる接着剤だ。淡黄色透明のゲルは塗った後に完全には硬化せず、弾力のある樹脂状となる。テープのりのような粘着性を長期間維持し、万が一の場合は剥がすことも可能だ。

 通常の接着剤では貼るのが難しいフィルムやシートなどの固定に使える他、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの接着もOK。完全には固着しないので、模型での用途は仮組みやディスプレイ時の固定などに便利な接着剤だ。数年前より販売されている製品だが、今回セメダインはイチオシのツールとして出展。価格650円(税別)。

硬化後も指などでめくるようにすると剥がすことができる

ミリ単位の極小面にも、適量の接着剤を塗れる「グルーニー」(シモムラアレック)

 シモムラアレックの「グルーニー」は、木製の柄に幅0.5mm、長さ1.5mm、厚さ0.1mmのステンレス製の先端が取り付けられたマイクロ接着針だ。先端はヘラ状になっていて、ミリ単位のパーツに微量の接着剤を付けたり、極少量の溶剤を撹拌したりと、模型制作に欠かせない細かな作業用を可能としている。

 この手の作業では、つまようじなどが使われるのが一般的だが、その先端よりもさらに小さな箇所への作業が可能で、つまようじでは吸い込んでしまうような粘性の低い液体にも使用できる。価格2,600円(税別)。

木製の柄に極薄極小のヘラが取り付けられている。適度なしなりがあり使いやすい

水転写デカールをたくさん切り出して作業できる「デーカリングQUICKトレイ」(プラモ向上委員会)

 水転写デカールは通常、水を張った小皿などに浸して貼っていくわけだが、一度に多くを浸してしまうと、時間経過でデカールの糊が流れてしまう。プラモ向上委員会の「デーカリングQUICKトレイ」は、スポンジが設置されたプレートにデカールを乗せ、プレートを下げると下の容器に溜められた水にスポンジとデカールが浸される。

 貼れる状態になったらプレートを引き上げることで、スポンジに含まれた水分がデカールの乾燥を防ぎつつ、糊が流れてしまうことなく作業ができるという仕組みだ。数十枚のデカールなら、20~30分は粘着力を保てるそうだ。製品にはカットのための曲線ハサミと樹脂製ピンセットが付属している。10月下旬発売予定、価格は1,480円(税別)。

青いスポンジのあるプレートが上下に可動して、下の容器の水に浸される

持ち運びも可能な収納式作業台「ワークステーションPro / Basic」(プラモ向上委員会)

 模型を作るときに出るランナーの切りくずやヤスリの削りかすなどを受け止める金属製の網を手元に設置した収納式の作業台「ワークステーションPro / Basic」。カッターマットやニッパーホルダーを標準装備し、収納時にフタとなる部分は説明書を立てかけるスタンドにもなる仕様だ。

 「Pro」のほうには専用のLED内蔵ルーペとLEDライトが付属し、さらに効率のいい作業ができるようになっている。ちょっとしたスペースがあれば模型を作れる、持ち運びにも便利な作業台だ。価格は「Pro」が6,900円(税別)、「Basic」が4,200円(税別)。

台の上の穴が開いた場所に切りくずが落ち、下の引き出しに溜まる。こちらは「Pro」の写真

ワンアクションで塗料の吹き出し調整が可能な「エアレバ」(エアテックス)

 塗料の吹き出し調整ができるエアブラシは、ボタンを押して引くダブルアクションタイプか、引き金型のトリガータイプが一般的だが、エアテックスが新たに提示する「エアレバ」仕様のエアブラシは、上部のレバーを引く加減で吹き出し調整ができる新型だ。

 ダブルアクションよりも扱いやすく、トリガータイプよりも細かな作業ができるといういいとこ取りの設計で、このエアレバ仕様のエアブラシ「XP725プレミアム」など全5機種が発売される他、発売済みのエアブラシのボタンを交換して使えるパーツも単独で発売される予定だ。筆者も対応するエアブラシを持っているので、パーツを購入して使ってみようと考えている。価格は「XP725プレミアム」が9,500円(税別)、エアレバ単品は880円(税別)だ。

指を乗せて引くことで塗料を吹ける。エアレバモデルの本体には、ダブルアクションのボタンも同梱される

より高い光沢度で仕上げられる「Mr.プレミアムトップコート<光沢>(スプレータイプ)」(GSIクレオス)

 模型の塗装後のコーティング剤として優れた水性コート剤「トップコート」の光沢仕様のプレミアム版「Mr.プレミアムトップコート<光沢>(スプレータイプ)」が登場。肉もち感と透明感に優れた塗膜は、従来の水性コート剤より塗膜強度も向上している。よりぎらぎらとした光沢を、塗装後に吹くだけで楽しめるものだ。筆塗りやエアブラシ用には「水性ホビーカラー プレミアムクリアー<光沢>(ボトルタイプ)」も発売。12月発売予定、価格は前者が600円(税別)、後者が200円(税別)。

本体下のボールジョイントによって、バイス部分が可動する

ゴミを溜めるミゾと、ツールを置くポケットを配置した「ミゾ付きカッティングマットA4」(ウェーブ)

 A4サイズのカッティングマットに、10mm幅のミゾと3カ所の大きさの異なるポケットを配置したウェーブの「ミゾ付きカッティングマットA4」。ミゾには同社から発売中の「HGステンレスT定規」をはめて直角を出せるほか、模型制作中にゲートの切りくずなどをここに溜めておくもできる。一方のポケットには、塗料や接着剤、塗料皿などを置け、空いているところにはパーツを置いてもいい。裏面はミゾのない無地のカッティングマットとして使用可能だ。10月発売予定、価格1,650円(税別)。

カットしたゲートなどをミゾに溜めておける便利なカッティングマットだ

UVライトで照らすと5秒で硬化するUV硬化レジン「UVグルー4」(アルゴファイルジャパン)

 ペン型の本体に入っている液体を固定したい場所などに塗り、キャップに内蔵されたUVライトで照らすと5秒程度で硬化する特殊な樹脂がこの「UVグルー4」だ。専用のライトで照らさないと硬化しないので、作業に適度な時間をかけられ、照らせば瞬時に硬化する使い勝手の良さがポイント。硬化後は切断や穴開けなどの加工も可能だ。模型では穴埋めや欠けの補修、接着などのピンポイント作業に使えるが、65cc入った大容量の「UVグルー65」はより大きな面に使用できる。こちらはUVライトは別売りとなる。

ペン型が「UVグルー4」、ボトル型「UVグルー65」となる

美しい輝きの塗装を手軽に行なえる「マジョーラ」&「ハイパークロームAg」(SHOW UP)

 SHOW UPが会場で出展していた「マジョーラ」と「ハイパークロームAg」は、ともに特殊なメタリック塗装を手軽に行えるウレタン塗料だ。前者はその名を知る人も多いかと思う、眺める角度よって色が変わる半透明の塗料で、黒やグレー、白などのベースカラーの上にエアブラシなどで吹き付けることで、あの独特な輝きを楽しめる。

 そして後者は黒で塗装した上に吹き付けることでメッキパーツのような塗装を可能とした塗料だ。下地塗装と本塗装、仕上げ用のクリアーをセットにしたものも販売されているが、下地と仕上げは一般的な模型用の塗料を使っても問題ないそうだ。価格は両製品とも、15g入りの「マイクロボトル」が2,800円(税別)となっている。

ベースカラーを塗った上に吹き付けることで、輝きのある塗装が可能となる
「マジョーラ」と「ハイパークロームAg」で仕上げたガンプラのサンプル

缶スプレー感覚でコードレス塗装ができる「充電式携帯エアコンプレッサー」(アオシマ)

 アオシマブースの中で、模型の新製品と同様に注目を集めていたのが、この「充電式携帯エアコンプレッサー」だ。高さ110mm、直径45mmの片手で握れる円筒状の本体にコンプレッサーと充電池を内蔵し、コードレスの状態で缶スプレーのようなポジションで吹き付け塗装を可能としたものだ。定格圧力は0.12MPa、使用時間は約40分と作業には十分なポテンシャルで、充電はUSBケーブルにて行なえる手軽さだ。既に発売中の中国の製品で、現在アオシマが国内でのサポートも含めた販売を行うかどうか検討中とのことだ。

0.3mmのエアブラシが同梱される予定だが、ジョイントの1/8規格で既存のエアブラシも使用可能だ