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ステルス、コンバット……発売直前の「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」に迫る
来日した開発者と共に、最難関トゥームに挑戦
2018年9月11日 11:00
9月14日に発売となる「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」、発売直前にスクウェア・エニックス本社にて、来日した開発者によるゲームプレゼンテーションと、インタビューが実施された。話を聞くことができたのは本作のディレクターであるダニエル・ビッソン氏と、シニアプロデューサーを務めるマリオ・シャブティーニ氏である。
本稿では2人によるデモプレイと、筆者が体験した最難関級のトゥーム「戦士の試練」を紹介したい。別稿で「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」への2人の想いを聞くインタビューも掲載する。
フィールドが破壊される恐怖の地滑り、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」の凄さを目の当たりに!
プレゼンテーションで最初に見ることができたのは、「ステルス」、「アサルト」、「アクション」の3つの要素。最初はステルスコンバット、次が正面切っての戦闘、そして巨大な山津波の中をくぐり抜けていくというアクション要素を、シャブティーニ氏のプレイで見ることができた。
今回見たのは、ゲームの終盤にさしかかるところ。シャブティーニ氏のプレイ、ビッソン氏の解説で、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」ならではの新システムを見ることができた。1つのポイントは「ジャングルでのカメラの調整」。本作はこれまでのシリーズ同様、カメラがララの姿を後ろから追う3人称視点を採用しているが、ララが草むらに入ると、まるで後ろに実際のカメラマンがいるかのように、カメラの前の草がかき分けられ、草むらに潜むララをきちんとカメラが捉える。これは特許を取った技術だという。
シャブティーニ氏はララを草むらに潜ませ、付近を警戒しているトリニティの兵士達をステルスキルで倒していく。この時、草むらに身を潜めるララをカメラはきちんと補足している。普通に草むらに一緒に入ってしまうと、カメラの回りに草が立ちはだかり何も見えなくなってしまいそうだが、カメラの前だけは草がふさがないようになっているのが確認できた。
今回プレイするロケーションは難易度の高い場所だ。トリニティの兵士は多く、ララは見つかってしまうとあっという間に蜂の巣にされてしまう。ただし本作は難易度設定をいつでも変えられ、難易度を下げれば進むべき道を示すガイドは多くなり、敵は弱く、トラップなどのタイミングも優しくなるとのことだ。敵のAIは味方の死体を見つけたとき、即座にララの仕業とは気が付かない。例え見つかってもララを見失うこともあるといったリアルな要素を取り入れているとビッソン氏は語った。
とはいえ、警戒中の敵は非常に敏感だ。茂みに隠れて近くの敵にナイフを突き刺すステルスキルには成功しても、他の兵士の視線上で実行すれば即座に蜂の巣にされてしまう。シャブティーニ氏は慎重にララを操作し、孤立した兵士を仕留めていった。倒れた味方を見かけると兵士達はまずゆっくりと死体に近づく、そのときもステルスキルのチャンスである。敵はスクリプトではなく、AIで動くため、繰り返しても敵が同じ動きをするとは限らないとのことだ。
インスティンクト(直感)を使えば敵の位置が格段に把握しやすくなる。シャブティーニ氏が操るララは茂みに身を潜めながら移動し、近づいてくる敵を倒していった。敵を恐慌状態にする「フィアー アロー」も活用しながら敵を減らしていく。「もちろん進め方によっては、1人も倒さずにも進められるんだ」とビッソン氏は語った。
ビッソン氏は、「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」は、戦闘、探索、パズルという3つ要素をこれまで以上にバランスを考えて配分しているため、厳密に言えば前作「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」よりは戦闘パートは減っているという。その代わり密度は増していて、濃密な戦闘体験が楽しめるのだという。
ステルス戦闘から敵がこちらを探知し、正面から戦うアサルトコンバットへ。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」はいくつものスキルを戦闘中活用するのが特徴だ。あらかじめセットしたスキルをコントローラのボタンに配置しておく。
砂時計マークのスキルは一定時間敵をゆっくりにする(自身の反応速度が上がる)。盾のマークのスキルは耐久力を上げる。目のマークは壁越しに敵を確認できる。このように戦闘中に様々なスキルを活用して、戦っていくのだ。スキルにはクールタイムが設定されており、連続では使えない。どう戦っていくかの戦略性も求められる。
ビッソン氏一押しが「フレアガン」。ハンドガンの特殊射撃で、発煙弾を発射する。敵の身体に当てれば敵を燃やしてしまう。これまでの作品ではハンドガンはあまり活躍の場がなかった。フレアガンによって、ハンドガンも活用できるギミックとなるという。シャブティーニ氏の見事な立ち回りで敵は殲滅。「どうだい、一度も死ななかっただろう?」と得意げだ。
激しい戦いの後、ララはジョナを救出する。しかし次の瞬間地滑り、巨大な山津波がララを襲う。ジョナとララは引き離され、ララは崩れてくる土砂の前に取り残されてしまう。この山津波もまたララの行動がきっかけとなって起きてしまった大災害だという。ララは崩れる地面を必死に走り、飛びながら山津波の中を駆け抜けていく。
この時の演出は圧巻の一言だ。足下の全ての地面がひび割れ、崩れ、土砂と一体化し、濁流と化していく。ララは割れる地面をジャンプし、駆け抜けて奇跡のような生き残りのルートを探していく。時には木の枝に飛びついたり、ピッケルにロープを結びつけた道具を柱に引っかけて進む。シャブティーニ氏は瞬時にララの進む道を判断し、操作していく。筆者がプレイしていたら何度も失敗してしまいそうだ。
このシーンではやはり地形の変化が素晴らしい。確固たるものに見えていた地面が粉々に崩れていく、その風景は本当に恐ろしい。プレイしていると夢中になって気が付かないかもしれないが、この崩壊のシーンはかなり力が入っているのがわかる。まさに「この世の終わり」を具体的なイメージとして、プレーヤーに印象づけさせるシーンだ。
ビッソン氏はフレームレートを保ったまま、物理エンジンを活用してのこのフィールドの崩壊を表現するのが大変だったと語った。ものが崩れる、車が飲み込まれる、人が落ちる……全てが激しく動き、変化していく中で実に色々なことが起こっている。それをきちんと表現する、それがいかに大変か、開発者の話を聞くと強く実感できる。
「前作までと違い、今作での大災害は、ララの行動がきっかけになっています。彼女自身が引き起こしたと言っても過言ではない。だからこそ、この災害がララに与える精神的インパクトはとても大きい。プレーヤーの衝撃も大きいものになります」。シャブティーニ氏がララを無事に災害から生還させたところで、ビッソン氏はこのシーンを解説した。ララは今作でまさに世界の危機と向き合うのだ。物語がどうなっていくかも、強く興味が惹かれた。
死の罠を時間内に駆け抜けろ! 恐怖のトゥーム「戦士の試練」
そして今回のプレゼンテーションのもう1つの目玉が、「体験プレイ」だ。今回体験できたのはチャレンジトゥーム「戦士の試練」。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」はこれまで同様隠されたトゥーム(遺跡)が用意されている。本作での最大の町「パイティティ」の近くのトゥームとなるという。
プレイする前にはかなり脅かされた。「かなり死ぬことになりますよ?」。その言葉は筆者にとって衝撃だった。これまでのチャレンジトゥームは謎解きが中心で死ぬ要素はなかったのだ。しかし「戦士の試練」。を目にしてその言葉を実感した。巨大な柱が回転し、その柱からトゲのついた柱が何本も突き出しているのだ。この回転してくるトゲに触れれば即死。そう、「戦士の試練」は、死の罠満載のトゥームだったのである。
この遺跡の謎をクリアするにはまず回転する柱をジャンプで飛び越え、中央の円形のステージから左右の足場に飛び移り、円形のステージを囲むように配置されている通路を進みスイッチを動かし、一定時間にもう1つのスイッチにたどり着かねばならない。しかも1つ目のスイッチを動かすと通路のトラップが作動、こちらもトゲのついた柱が一定のタイミングで通路をふさぐのだ。もちろんこのトゲも触れれば即死である。
プレイする前、難易度を選択できた。イージーにすれば柱の回転速度は下がり、どこに行けば良いか目印もわかる。しかし、筆者はこれまでの2作をクリアした自負もあって、あえてノーマルで挑戦した。ハードはさらにトラップがきつく、ヒントも少なくなるので難しくなると言う。
結果、かなり死んだ。まず最初の柱をジャンプで越えるタイミングがわからず、周辺の通路をふさぐ柱のトラップにも苦戦した。しかしスティック押し込みのダッシュも活用し、いささか強引に通路のトラップも見事切り抜けた。しかし、もう一度、今度は反対側のトラップもあるのだ。こちらもクリアすると、中央のステージの回転する柱は収納され、宝物までの道のりが現われた。多分、開発者達が予想したより少ない死亡数で宝物をゲットしたと思う。成功した筆者をビッソン氏とシャブティーニ氏は褒めてくれた。
ビッソン氏は、こういったトラップを設計するレベルデザイナーは、ブロック玩具などでトラップを実際に作ってみて、罠の配置や位置を検討しているとのこと。そこが通れるか、タイミングはどうすべきか、練り込んでバランスを取っている。また罠の構造などはマヤ文明、アステカ文明をリサーチし、「その当時の技術ならどういうものができるか」を考えて作っているとのこと。ゲーム的な大がかりな仕掛けは、もちろん実在しないが、当時のテクノロジーならば実現できる、というリアリティにはこだわったという。
正直、ここまでタイミングを要求されるトラップは「トゥームレイダー」シリーズでは初めてだった。実際かなり苦戦したが、成功できたのはとても達成感があった。プレイに夢中になるあまり、何度か椅子に座り直し、気合いを込めてコントローラを握り、画面を食い入るように見てプレイした。ノーマルでちゃんとクリアできた、というところはファンとしてちょっと誇らしい。
ビッソン氏によればこういったアクション性のあるトゥームも何カ所か用意されているという。「戦士の試練」は、中々インパクトの強いトゥームだった。他のトゥームにも俄然興味が惹かれた。
そして、最後に紹介があったのが「フォトグラフ」モードだ。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」いつでもゲームのオプションメニューを開くことでフォトグラフに入れる。そのシーンでカメラを動かし、様々な写真を撮ることができる。ララの表情も変更可能だ。タイミングがシビアだが死亡シーンでも撮影可能とのこと。このモードを使ったフォトコンテストもコミュニティで行なうことも考えているとのことだ。
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