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【WF2018夏】何がマスターを動かすのか。「メガミ」と「FAガール」カスタムパーツディーラーに聞いてみた

ハードルを越えやすくなった自作モデルの世界。今こそ参入のとき?

7月29日 開催

会場:幕張メッセ 1~8ホール

 7月29日に開催された「ワンダーフェスティバル2018[夏]」、その真の魅力は一般ディーラーにこそ。今回、筆者はコトブキヤのプラモデルシリーズ「メガミデバイス」と「フレームアームズ・ガール(FAガール)」用カスタムパーツを制作する一般ディーラーの方々に注目してみた。

 今回取材させて頂いたディーラーの方に限らず、一般ディーラーには高い熱量と柔軟な発想によって創り上げられた――夢や表現欲求の塊がごろごろと転がっている。それはフィギュアやレジンキットはもちろんのこと、楽器やアクセサリー、服にヴィネット(小型のジオラマ)、小道具であったりする。指先ほどのサイズに造形された精巧なフィギュアや、身近にあったモノを自由に組み合わせた作品もある。そんななか今回なぜ「メガミ」と「FAガール」を選んだのかと言われれば、「私も自作パーツを作ってみたい」からだ。その目標はまだ計画段階だが。

 はじめにお話を聞かせて頂いたのは「surface」さん。メガミ用の「一輪モーターサイクル」を出展されていた。他の来場者との話を聞かせてもらうと、ジャンクパーツを組み合わせて型を取り制作したと話していた。単座で燃料タンクやライト、サスペンションのような形を見ているとまさに「メカだ」と思わされる。筆者の浅学ゆえに知らなかったが、「スパイラルゾーン」の「モノシード」に着想を得ているという。なるほど1輪バイク、かっこいい。「星のカービィ」に登場した「ウィリー」に乗る、というとわかりやすいだろうか。

 次にお話を聞けたのは「ミリワークス」さん。こちらではオリジナルの可動フィギュア「マシンスプライト:白型【シルクホワイト】」に加え、FAガール「マテリア」に対応する換装ボディ、メガミ用胸部パーツ、「武装神姫」アーンヴァルのフィギュアを出展していた。

 ミリワークスさんは当初デジタルでモデルを制作、そこから外部への依頼という形で制作していたが、3Dプリンターの低価格化により自作を行なうようになったという。カラーレジンを使用することで素組みでも楽しみやすくしていたり、ユーザー好みに作りかえる余地を残している。とくに「ウォームウェア」は柔らかい質感がよく出ていて、垂れ耳の兎を思わせるワンポイントやオフショルダーの出で立ちがとてもキュートだ。

 今回取材させて頂いた方々に「なぜ作ろうと思ったのか」と聞いたところ、どちらもいの1番に帰ってきたのは「欲しかったから」だった。確かにそうだ。欲しいものがないから作る、こんなものが好きだから作る。「ないなら作ればいいじゃない」と私の高校時代の教師は言っていた。なんて単純で明快で、それなのにあと1歩が出ない境界だろうか。

 そんなことをこのワンフェスや同人イベントに来るたびに思い出す。そうだ、私が作りたいのはこういう妄想や欲望や理想や野望の産物だ。資金や時間なんてものは関係ない。ゲームとか交友とか、そんな一見大事なものを何もかも投げ出して俺の大風呂敷をだだっ広げたい。ランナーズハイ、いやクリエイターズハイになった今なら言える。こんな熱を浴びて正気でいられるか。

 本稿をここまで読んで下さった方に朗報である。今この時代こそ、デジタル造形で自作する世界に踏み出すのだ。近年個人用の3Dプリンター――インクジェットや光造形に限らず――はその価格を少しずつ下げている。ネットの海にはその性能を検証する先駆者も多く、どんな機材を手にするかの指標になるだろう。それに加えて3Dモデリングソフトであれば「Blender」は無料で使用できるし、粘土を彫刻するように造れる「ZBrush」は11万円程度で購入でき、同じように使える「Sculptris」は無料で利用できる。「Maya」は自動配置やある程度直感的に動かせるシステムが使いやすかった。

 「作りたいな」と思ったときが勝機だ。その瞬間フリーソフトでもちょっと資金を投資してみるでもいい、創作の世界に踏み出すと、もう自分の世界を表現したくてたまらなくなる。

メガミやFAガール、そして「デスクトップアーミー」といった美少女モデルやアクションフィギュア用のパーツが増えつつある印象。数年後には群雄割拠の時代になるやも