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5感で体感できるアーケード用VRマシン「VRセンス」のアップデート内容を発表
襟川惠子氏が「VRセンス」開発秘話を語った
2018年2月19日 20:30
コーエーテクモウェーブは、アミューズメント施設用の体感型VR筐体「VR センス」の新たな施策についての発表会を開催した。内容としては2月7日のニュース記事「体感型VR筐体「VR センス」、第2ステージへ。スマホとの連動や搭載タイトルの新たな楽しみ方を追加」でお伝えしているが、発表会では襟川惠子氏が登壇し今後の展開を説明した。内容としては、スマートフォンとの連携やランキングシステムの導入、プレイラリー機能、フォトセッション機能の追加、各種イベントの実施などとなる。
「VR センス」の第2ステージとしてさまざまな機能を追加
まず挨拶に立った同社のゼネラルプロデューサーである襟川惠子氏は、「発売から2カ月がたって、初めてのビジネスだがいろいろな状況がわかってきた。いろいろな意見を聞きながら改良をして行きたい」と語る。また、VRセンスはテクモ創立50周年を記念として作るために、「1年半で“まきまき”で作った」のだという。
VRについては20年くらい前に携帯での画像を見たことがあるそうだ。ただしそれ以外に経験がなかったので、E3でVRタイトルを見たのだという。その時には「私だったらこうする」とさまざまなことを思ったと語る。帰国後メンバーを集めたら、その時に経験者がいなかった。このためすぐに機材をそろえて、VRと名の付く展示会があったらすぐに行くように指示した。「どうせやるんだったら、世界で誰にもやれない、見たことがないものでなければいけない」(襟川氏)。
また、「コーエーの精神は創造と貢献。経営方針には福祉の向上を図るとか、新分野への挑戦があったので、これがぴったり。また常に社員に言っているのはスピードとクオリティ。速いスピードで最高のクオリティを出しなさいと。そうすると脳が回転して非常に集中力が高まって、達成感もある。こうしたこともあって、初めてやるプロジェクトにはふさわしいと思った」とも語る。
襟川氏は、昨年のうちに指の手術をすることを決めていたそうだが、VRセンスの開発が遅れてしまい、開発拠点の京都に行く日が、ちょうど手術日にぶつかってしまった。そこで医者に手術をしたあと朝に退院するよう手はずを整えていたが、アレルギー症状が起きてしまった。このため夜はまったく寝られずに過ごし、食事もせずに退院した。手も包帯がぐるぐる巻きになっていたとか。
そんな体調のまま開発拠点に行き、午後5時には帰るという段取りにしていたが、実際の開発筐体を見たら気に入らない点が数多く出てしまった。そうするうちに20時半に。食事も全然取っていいなかったのだが、開発チームの人がコンビニでおにぎりを買ってくれたそうだ。「こんなに世の中においしい食べ物はない」と思ったとのこと。
その後、その日は作業が完了しないということが見えてきたので、21時には帰宅するようにしていた襟川氏。しかし協力会社の人からあいさつしてほしいと頼まれてしまう。そこで手の包帯をほどき、指が棒で固定されていたのを外してあいさつをしたという。「こんなに多くの人に支えられて今日を迎えたんだと思って、ハッピーな気持ちになった」(襟川氏)。そして開発が何とか間に合い、12月には発売を迎える。
発売後に襟川氏がヒットすると思っていたのは「ジーワンジョッキー SENSE」だった。襟川氏は馬に乗るのが好きで、「馬に乗ると景色が違うし、人馬一体になった感覚が気持ちいい。ジーワンジョッキーでG1を制覇して、天皇賞で楽しいと思って(「ジーワンジョッキー SENSE」に)乗ってみたら素晴らしい。これはいけるなと思った」。しかし発売したら全然人気がなかった。おかしいなと思ったそうだが、Twitterを見たときにプレーヤーから「すごく楽しかった」という感想が書かれていたという。
また襟川氏が「超 戦国コースター」を作ると言ったときには、開発メンバーも経営陣も、シブサワ・コウ氏も「そんなものは無理だ」と言われたという。しかし「世の中にないものだから作る」といって開発陣に説明。「作ったらそれがすごくいいんですね。1位になったり2位になったりして活躍している」(襟川氏)。
そして男性向けにはこれがいい、とみんなが言っている「DEAD OR ALIVE XTREME SENSE」について、「男性が期待していたと言うが、あんまりすごくないんですね」。そして「ときめきレストラン★★★ 3 Majesty×X.I.P. DREAM LIVE」は「最初からああいうものは絶対に当たると思ったら、案の定成功を収めた」と襟川氏。「VRはパッケージゲームとも、ゲームセンターのゲームとも違う。普通の状況ではないので、新しいVRの市場には成功モデルがないので試行錯誤している状態」(襟川氏)。
筐体での体験については「あの中に入ってしまうと平常心がなくなってパニックになってしまう。ホラーなんかでも怖くて前しか見ていない。ほかにいろいろな仕掛けがあるのに」と語り、以前「らくらくモード」として発表された「キング オブ ゴールド」というモードについて紹介。「どんな形でもエンディングに行けるので、街並みや新しい仕掛けを見ることができる。『戦国無双』だと金の武器を振りかざすと向かうところ敵なしになったり。『キング オブ ゴールド』のモードを使うと、新たな楽しみ方を提供できる」(襟川氏)。
最後に襟川氏は「今後もずっとお客様の状況、ショップ様からのアドバイスをいただきながらVR センスを進化させていただきたいと思っているので、期待していただければ幸いです」と語った。
第2ステージの具体例は南氏から
続いて同社の「VRセンス」メインプランナーである南達尊氏から、第2ステージの具体的内容について説明があった。
まずは「ジョイモバ」について。これはプレーヤーがスマートフォンを使ってVRセンスと連動できる仕組みだ。「myGAMECITY」にログインして発行されたQRコードを筐体内のカメラにかざして認証させてプレイすると、ゲーム結果がサイト上に反映されるようになる。
ジョイモバの機能としてまず挙げられるのが「全国ランキング機能」。「タイムアタックランキング」、「累計スコアランキング」、「獲得賞金ランキング」など、タイトルの特徴に合わせてさまざまなランキングが用意される。「さまざまな種目が1個の筐体で遊べる形。全国のプレーヤーと競うことでVRセンスの金メダリストを目指してほしい」(南氏)とか。
「プレイラリー機能」は、ゲーム中に用意されているミッションを達成することで、レア水着やレアグラビアシーンを見ることができるようになったり、特別ステージが開放されるなど、ゲーム内での特典を得ることができる機能だ。「コンプリートを目指しながら、ゲームを隅々まで楽しめる」(南氏)。
「フォトセッション機能」は、プレイ中にお気に入りのシーンを、筐体のコントローラーを使って保存できるというもの。撮影した写真はプレーヤーサイトからいつでもダウンロードできる。加えて、このフォトセッション機能を使って、定期的にサイト上でフォトコンテストを開催するとのこと。「ホラー限定の心霊フォトコンテストなど、季節感を交えたものも健闘している」(南氏)。
またゲーム内ではサイトと連動したイベントも開催される。誕生日にキャラクターがメッセージをくれる、シーズン限定の特別衣装で登場するといったことを実施するとのことだ。なお、これらのアップデートは4月22日を予定している。
「ジョイモバはお客様の声でどんどん進化していきたいと思っている。導入後の感想を開発陣は注視しているので、Twitterなどで上げていただきたい」(南氏)。
続いて、2月22日に行なわれるアップデート内容について紹介された。まずは「DEAD OR ALIVE XTREME SENSE」だが、「私が1番好きなキャラクターである“あやね”を登場させる」と南氏。「抜群のプロポーション、厳しいまなざし、厳しい言葉、皆さん、叱られてみたいと思いませんか?」(南氏)。このほか各キャラクターの水着についても、1人あたり10着ずつ追加される。また、キャラクターに超接近できるモードも追加されるそうだ。
「ときめきレストラン★★★ 3 Majesty×X.I.P. DREAM LIVE」については、「ときめきレストラン Project TRISTARS」が2月22日に発売されるのを記念して、3月4日に開催されるライブの一部分をプレライブとして期間限定で公開される。ゲーム内で高得点を取れば、VRセンスならではの特等席で見ることができるとのこと。
そして先ほど襟川氏からも紹介があった「キング オブ ゴールド」モードだ。「金色の馬や金色のコースターに乗って、VR センスの世界をじっくりと堪能できる」と南氏。加えて3月以降も、毎月22日は「VR センスニコニコの日」として、月単位のアップデートを行う予定だ。「例えば『超 戦国コースター』の新たなコース、城の地下に潜って怪しげな巨大洞窟の中を疾走する。アトラクションの要素を前面に押し出したコンテンツとなり、楽しめるものとなっている」(南氏)。
また、「超 真・三國無双」のキャラクターも追加される。ほかのタイトルについても、新シナリオやステージ、新曲の追加などが行なわれるとのことだ。新作タイトルとしては「進撃の巨人」、「戦国無双」が今冬に追加される予定となっている。
そして南氏は、「VR元年と言われた一昨年、昨年と比べて冷めていると思うかもしれない。しかしデバイスも進化して楽しいコンテンツもいろいろでてきている。VRセンスの可能性もある。コーエーテクモウェーブの挑戦を見てほしい」と語った。
最後に同社の代表取締役社長である坂口一芳氏は、2月9日から開催された「JAEPO 2018」に出展したことを紹介しながら、「その展示の中で感じたのは、アミューズメントマシン業界の皆さんから、我々がこれを発売して2カ月の間にタイムリーな対応をしてきたことに高い評価をもらった」と語る。
また「一般の人もたくさん来た。プレイしてもらって高い評価をもらっている。特に感じたのはVRセンスそのものを知らない人が非常に多かった。もう1点、海外の人からも高い評価をもらっている。それらを踏まえて、VRセンスの今後の可能性については非常に大きなものがあると確信している。第二ステージ以降も改善していく中で、皆さんの声、我々の熱意を持って、プレーヤーの皆さんが満足度を上げてもらえる、何度やっても楽しいと思ってもらえるように進化させていく」と語った。