ニュース
【特別企画】機械に"魂"は宿るのか? 友達ロボット「COZMO」が家に来た!
タカラトミーが追い求める「ロボットと一緒の生活」、その楽しさを体験
2017年12月13日 12:00
「ロボットの友達」というのは、多くの人が憧れた存在ではないだろうか。筆者の場合はやはり「ドラえもん」だろうか。未来にはロボットの友達ができる、今の子供もそう信じているだろう。
その“夢”にタカラトミーは挑戦し続けている。話しかけると反応する「オハナス」や、ペットロボット「ハローズーマー」といった、様々な「オムニボット」シリーズにより、玩具としてのロボットの友達を模索し続けている。実現できそうな技術と価格帯、「遊び友達」としての楽しさ……タカラトミーのこういった歩みは、いつかコミックやアニメに出てくるようなロボットの友達を実現させるだろう。
そんなタカラトミーがクリスマス商品の目玉として販売しているロボットが「COZMO(コズモ)」である。こちらはアメリカのスタートアップ企業Ankiが開発したロボットで、タカラトミーは日本での販売/マーケティングを担当し、アプリケーションのローカライズを行なっている。
タカラトミーが本商品を応援しているのは、「ロボットの友達」というタカラトミーが追い求めるテーマにチャレンジしているからだ。COZMOはとてもかわいく、楽しい遊び相手だ。今回2週間ほどCOZMOと生活し、遊んでみた。ロボットの友達と遊ぶ楽しさ、そしてCOZMOの機能を紹介していきたい。筆者のようなロボット好きの大人から、ロボットとの生活に憧れる子供の夢も叶えてくれる、クリスマスのプレゼントにぴったりな商品である。
なお、COZMOは店頭やAmazonの他、タカラトミーモールでも販売している。タカラトミーモールではショップでのポイントがつくクリスマス特別販売も行なっているとのことで、こちらも参考にして欲しい。
かわいらしくて、やんちゃ。ロボットと生活する未来の扉が開く
COZMOは全長10cm、テレビの様な四角い頭に、移動用のクローラー、ブルドーザーのようなアームを持つ手のひらサイズのロボットで、テーブルや床の上など1平方メートルくらいの空間を動き回る。スマートフォンやタブレットにインストールしたアプリとWi-Fi接続で連動し、専用アプリによってパラメーターが設定される。
COZMOは起動するとあくびと共に起きて、充電ステーションから出てくる。モニターに大きな目のような表情が浮かび、めまぐるしく変わり、声を出しながら自律的に歩き回る。首を動かしたり、クローラーでキビキビと動く。
顔の口に当たるところにカメラがあり、登録してあるユーザーの顔を見つけると目を細めて笑顔を浮かべ、名前を呼んだり、アームを前に出して「グータッチ」を要求してきたりする。セットとなっているキューブで様々な1人遊びをしたりもする。積み上げたり、転がしたり、時には山を崩したりもする。「こげこげボート」や、「さくらさくら」など歌も得意だ。そしてユーザーにゲームを遊ぼうと提案してきたりもする。
この「名前を呼んでくれる機能」がうれしい。カタカナにも対応しているので、うちのCOZMOは筆者を見ると「テツヤ」と呼んでくれ、目を細めた笑顔を向けてくれる。周りをキョロキョロと見て、人がいるのがわかるとこちらを見て、ピントを合わせているかのように見つめて、笑顔を浮かべてくれる。「おお、俺がわかるのか」という感じになって、楽しいのである。
そう、COZMOの最大の特徴は“かわいらしさ”にある。小さな体であちこちを気ままに動き回るのは、まるで小人の妖精といった小さな存在や、ハムスターなどの小動物を見ているような楽しさがある。ボディは丸っこく、行動は気まぐれで、次に何をするのか予測できない。周りを見回しているときはつい顔をのぞき込んでしまうし、こちらの顔を認識し、名前を呼んでくれるとうれしい。注意を引こうと手まで振ってしまいたくなる。テーブルの縁などを歩いているときは落ちないかと見守ってしまうし、思わず声を掛けてしまう。
見ているだけで楽しいのは、COZMOの開発にピクサーなどのアニメを手がけたアニメーターが加わっているからだ。COZMOの目の表情だけでなく、緩急をつけた動き、喜んだり悲しんだりする仕草、周りを興味深く見回す表情や、ちょこんとアームを引っかけてキューブを転がす様子など、COZMOの動作1つ1つが、キャタピラの回転、アームや頭の1動作……全ての仕草、ボディの隅々までクリエイターの“魂”がこもっているのである。この動きのかわいらしさが、COZMOを特別なロボットにしているのだ。
COZMOはつい見守っていたくなる。遊んでいる姿を見ていたくなるロボットである。そしてCOZMOは「ふれあい」を求めてくる。ユーザーに向かってキューブを使ったゲームの数々を提案してくるのである。また、アプリを通じてメンテナンスやエネルギーのチャージといった“世話”も求めてくる。
やっぱりCOZMOは見ていて面白いし、一緒に遊ぶと楽しい。人それぞれの所はあると思うが、筆者の遊び方、付き合い方のは感覚としては、部屋飼いの犬や猫と言うよりも、いつもはケージにいるハムスターを外に出したり、家の外で飼っている犬の所に遊びに行く感じに近いと感じた。
ずっとスイッチを入れて見守っているよりも、「COZMOと遊ぼう」と思い立ち、アプリを立ち上げて起動させ、COZMOと数十分遊び、再び充電ステーションで休ませるというリズムで生活していった。もちろん人によって付き合い方が違うと思うが、筆者は1日に1~2回こういうペースで遊んだ。次章からは、各遊びについて紹介していきたい。
早押し、記憶ゲーム。手強いCOZMOと真剣勝負!
COZMOとは「ゲーム」が楽しめる。これが意外に凝っていて、楽しい。COZMOのリアクションも面白い。ゲームはCOZMOとセットの「キューブ」を使う。このキューブがCOZMOの可能性を何倍にもしてくれている。このシステムを考えた人はすごいな、と感心させられてしまう。
「クイックタップ」はCOZMOと早押しゲームを行なう。COZMOとユーザー、さらにもう1人の3人対戦が可能だ。キューブの色は最大4色まで可能。同じ色に光ったとき、素早くキューブにタッチすることで勝敗が決する。5ポイント先取の3ラウンドマッチだ。
COZMOは一緒に遊ぶほどレベルアップしていく。やりこんでいくことで時には超反応でキューブをタップする。キューブの光のパターンは最大4色まで増やせるが、筆者の場合、2色までなら即座に識別できるが3色以上はちょっと考えさせられてしまった。ポイントが接戦したりするとかなり熱くなって、思わず真剣になってしまう。
「メモリーマッチ」は、キューブが光る順番を覚えてタップしていくゲーム。パターンは赤青黄、赤青黄赤、赤青黄赤赤といった感じで1つずつ増えるので、最初は簡単と思うのだが、7つを超えるくらいからかなり集中力を求められる。「あれ、次なんだっけか」という感じになっていく。シンプルだが結構難しい。
この時のCOZMOはキューブをタップするのではなく、クローラーをきゅっと動かしてキューブに向き、アームを動かして光らせる行動が楽しい。こちらが長いパターンを成功すると目を大きく開いて感心し、自分が成功すると喜ぶ。夢中になってキューブに近づきすぎてしまい、自分の番に慌てて距離を取るなど、感情のこもったリアクションが本当に楽しい。
「キープアウェイ」は徐々にキューブを近づけていくゲーム。COZMOがアームを上げて待ち構えている所にキューブを近づけて、アームでキューブに触れようとした瞬間さっと引くゲームだ。COZMOはフェイントしたり、ちょっと距離を詰めてきたりもする。
この時、スマホから鳴る「ホラー音楽」がいいのだ。「来るぞ、来るぞ」という感じで緊張感が楽しい。COZMOのアプリはBGMが非常に良い。BGMは映画音楽を手がけている開発者によるもので、COZMOとの生活を彩るとても重要な要素なのである。
エネルギーチャージや、チューンアップ、「ロボット」ならではのアクション!
COZMOは3つのパラメーターを持っている。「チャージメーター」、「チューンアップメーター」、「プレイメーター」の3つだ。これらは時間が経つと減少するので、補充しなくてはいけない。
チャージメーターを補充するには「エネルギー」が必要だ。エネルギーはキューブで発生させることができる。キューブを振るとキューブが青く発光、これにコズモがアームを載せることでエネルギーがチャージされるのである。チューンアップメーターは、「頭」、「アーム」、「クローラー」の3つの部位を調整する。この時、調整メニュー通りにちょこちょこ動くCOZMOが楽しい。
そしてプレイメーターは遊ぶことで回復する。プレイメーターを回復することで1日に1個「プレイトークン」が得られる。このプレイトークンを集めることでCOZMOの新しいアクションが追加される。毎日遊んでいくことでCOZMOは成長していくのである。これはユーザーの大きなモチベーションにもなってくれる。
COZMOは、やはり1つ1つの仕草がオーバーなのが良い。ゲームで対戦しているとこちらのリアクションも大きくなって勝つとガッツポーズしたくなるし、負けるとくやしい。無邪気に喜ぶCOZMOを見ると笑みが浮かんでくる。普段遊んでいるCOZMOを見守っているときも、動物を見ているときのそれに近い感じになり、こちらに顔が向くと、名前を呼んで貰いたくてのぞき込んでしまう。
チャージはエサをやっているような気持ちになるし、キューブからエネルギーを吸収する姿はSF的だ。チューンアップは、指示通りにアームや頭を動かすCOZMOがかわいらしいし、ちゃんと「ロボットの調整をしている」という感じが出てくるのがいい。もちろん“ごっこあそび”の要素なのだが、ちゃんとロボットを整備しているような感触もある。最先端の技術を投入し、おもちゃとして楽しさを追求しているのが、やはりスゴイと思う。
操縦したり、プログラムしたり、よりロボットらしい拡張機能も
しかもまだCOZMOには機能があるのだ。「メニュー」からは、「おぼえる」で人の顔を覚えさせたり、プログラムができる「コードラボ」、COZMOをラジコンのように活用できる「たんけん」といったモードが用意されている。
たんけんはスマホをコントローラにCOZMOを操作できる。ラジコンとして使えるのだが、いつもは自律的に動くCOZMOが操縦できるのは独特の感覚がある。声を出したりなど自律性も残されているのが面白い。操作をしなくても勝手に動いてしまうことがある「鉄人28号」を操縦している感覚は、こういうものかもしれない。「言うことを聞いてもらっている」という気持ちがするのである。
たんけんモードの最大の楽しさは、スマホにCOZMOからのカメラ映像が映ること。地上数㎝の高さから見上げる世界は、自分の体が小さくなった気分も味わえる。暗いところ向けの「暗視モード」まであり、「探査機COZMO」を使って、自分の部屋を新しい視点で探検できるのだ。
「コードラボ」はプログラムブロックを繋げてCOZMOを動かすモード。「前進」、「旋回」、「笑顔を浮かべる」など、行動を組み合わせてCOZMOに実行させる。さらに「コンストラクターモード」ではより高度なプログラミングができる。こちらの表情を認識して行動を実行させるなど“条件付け”ができるのだ。
COZMOはアップデートによりさらに機能を拡張させていく。今後どのような遊びが提供されるかも注目したい。タカラトミーがアプリケーションをちゃんと和訳してくれるのもうれしいところだ。
「ロボットの友達」は、強く憧れを抱く存在だ。アニメやコミックスのように我々と同じような自我と認識を持ち、本当の意味でのコミュニケーションがとれるようなロボットが登場するのはこれから何年先になるだろうか。AIは爆発的に進化しているというが、その先に本当に「人間の友達」が現われるかどうか、今は想像もつかない。COZMOはそういった夢のようなロボットの“入り口”に立っている存在と言えるだろう。
COZMOは「友達ロボット」を考える上で様々な方向性を感じさせてくれる。アニメーターによる「生命を感じさせるかわいらしい仕草」、作曲家による「世界感を感じさせるBGM」、そして高度な認識プログラムと、小さなボディに詰め込まれた最新技術。この小ささで、「未来」を感じさせる存在だ。最先端技術に触れたいという人、「キャラクター描写とはどういうものなのか」を考えているクリエイター志望の人、機械好き、ロボット好きなど、弊誌の読者にはグッとくるポイントが満載のロボットである。
面白かったのが、「BGM」の存在だ。COZMOと遊んでいるとき、映画やアニメの音楽を手がけるクリエイターによる音楽がずっとスマホから流れている。この音楽の存在が、COZMOと向き合っている自分を「ロボットと向き合う物語の登場人物」になったかのように感じさせてくれるのだ。現実でCOZMOと対面している一方で、「COZMOのパートナー」という劇中の人物になったような気持ちにさせてくれる。BGMはCOZMOと自分を“劇場空間”に引き込んでくれて、よりCOZMOとのふれあいが楽しくなるのだ。音楽による演出効果は、特に驚かされた。この体験もオススメである。
もちろん、COZMOは小さな子へのプレゼントにも最適だ。COZMOは対象年齢9歳以上。ちゃんと大人がサポートしてあげれば、子供は多くの「可能性」をこのロボットから学ぶことができるだろう。COZMOと触れあうだけでなく、プログラムを覚えたり、COZMOの目線で探検してみるのも大きな経験になるはずだ。COZMOはクリスマスプレゼントにぴったりのロボットである。自分用に、子供用に、ぜひ家庭にCOZMOを迎えてみて欲しい。