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「モンスターハンター:ワールド」、1日試遊レポート
様々な驚きと閃きに彩られた「モンハン」ワールドを体感
2017年11月2日 01:00
1月26日発売予定のプレイステーション 4用ハンティングアクション「モンスターハンター:ワールド(以下、MHW)」。最新技術を使って制作された「モンスターハンター」となる本作はどのような作品に仕上がっているのか、気になっているファンも多いことだろう。
「MHW」はE3で発表されてから、直近ではTGSで様々な情報が明らかとなり、フィールド内でシームレスに繋がったエリア、そこに息づく独自の生態系を持ったモンスター達、スリンガーを用いたアクション、キャラクタークリエイションやストーリー……と、シリーズを踏襲した「モンハン」らしさを濃厚に漂わせつつも、従来のシリーズとは全く違った雰囲気も感じられる。
そんな折、カプコンにてメディアツアーが開催され、ほぼ製品版と同等の「MHW」を丸1日間、オープニングから時間の許す限りぶっ通しでプレイする機会に恵まれた。
実際にプレイしてみると、"ワールド"の名は伊達ではなく、「モンハン」世界を探索する楽しみに満ち溢れていた。今回はメインストーリーそっちのけで寄り道に寄り道を重ねた、プレイレポートならぬ探索レポートとして、その手ごたえをお伝えしたい。
狩るだけがハンターじゃない!「モンハン」世界を調査する楽しみ
1日に渡る長い試遊を終えたとき、ほとんどメインストーリーが進んでいないことに気が付いた。
「MHW」では古龍が新大陸に渡る「古龍渡り」と呼ばれる現象の謎を解明するため、幾度も調査団が派遣されているというストーリーで、主人公たるプレーヤーは第5期の調査団の1員として、古龍「ゾラ・マグダラオス」の調査に乗り出していく。
「MHW」の序盤は「モンハン」シリーズにしては珍しくガッチリとしたストーリー仕立てとなっており、調査団の総司令やリーダー、同期のハンター、受付嬢や先遣の先輩にあたる調査拠点「アステラ」の施設の人々との交流も描かれる。そして、彼らの共通目標は「古龍渡り」の謎の解明と、新大陸の調査であることが語られる。
NPCはよく喋るし、調査を進めるために云々、というようにクエストの1つ1つにストーリーに関連する意味が設定されているというあたり、ある意味ではRPGをプレイしているような感覚を覚えた。この先一体どのようなストーリーが語られるのか、新米ハンターとしてワクワクしながらフィールドに飛び出したまでは良かったのである。
しかし、いざフィールドに降り立ってみると、環境生物の収集やフィールドのギミックの探索、モンスターの生態系の調査やフィールドの調査情報が記される「生態マップ」を埋めたりと、メインターゲットの狩猟そっちのけで「探索」に精を出してしまった。というのも、「MHW」はフィールドを歩き回るのがとにかく楽しいのだ。
これまでのシリーズでは「モンスターの狩猟」そのものが主な目的であったところ、今作「MHW」ではストーリーで解説される通り、「古龍渡り」そして新大陸の調査がメインとなる。その目的の中にモンスターの狩猟も組み込まれている形で、調査団員、かつハンターたるプレーヤーの役割は狩猟のみならず、動植物の調査やフィールド探索まで多岐に渡るのである。
ハンターとしての活動が記される「生態マップ」には踏破したマップはもちろん、採集物や環境生物、狩猟対象のモンスターなどの位置や情報が記載される。調査が進むごとに生態マップの情報量は増していき、それに伴って本作でガイド的な役割をもつ「導蟲」もどんどん賢くなっていくので、生態マップから欲しい素材やモンスターにピンを打てば、そこまで案内してくれるようになる。
また、モンスターはフィールドに「痕跡」と呼ばれる生活の跡のようなものを残していく。これらを収集していくと、導蟲ははじめは小さな痕跡しか見つからなかったところ、徐々に大きな手掛かりを探すことができるようになり、最終的にモンスターまでダイレクトに案内をしてくれるようになる。そのほか痕跡を集めると研究が進み、徐々に生態、肉質、獲得報酬と、モンスターについての詳細がわかるようになっていくのである。
このように、そういった調査によってデータを収集する、というコレクター要素がストーリー上でもサポートされた形となっており、これまでの「モンハン」とはまた違った、世界やモンスターについて知る楽しみがあった。
ちなみに、試遊中特に筆者がハマったのは「環境生物」の収集だ。環境生物はフィールドに生息する生き物であり、これらは単なる背景ではなく大体が捕獲できると思って間違いない。少なくとも試遊中、フィールドの散策中に見つけた小動物や鳥、魚、昆虫は全て捕獲が可能であった。
環境生物には比較的よくみかける「ヨリミチウサギ」や、文字通り始祖鳥のような「シンリンシソチョウ」、ちょっと大きめのトンボっぽい「キザシヤンマ」、暗いところで見つかるヤモリ(ゲッコー)のような「モリゲッコー」、ツノガエルのような可愛らしい見た目ながら、刺激を与えると「シビレ罠」のように麻痺性のガスを放つ「シビレガスガエル」、なにげなく捕獲ネットを投げてみたら捕まえられて逆にびっくりした「ハコビアリ」など多種多様な生き物が存在している。
「古代樹の森」と「大蟻塚の荒地」でも環境が似ていれば同じような環境生物がみかけられたり、森でしか見られないもの、砂漠でしかみられないものなど様々だ。「MHW」では同じフィールドであっても、広いマップの中には毛色の違う箇所が多々あるため、明るいところ暗いところ、乾いたところ湿気たところ、などなどこれら全てを巡ってモンスターや環境生物を探してみたくなるのである。
そうした環境生物の収集にハマるきっかけとなった印象的な出来事がある。初めて「古代樹の森」を訪れた際に、キャンプを出てすぐ、草食獣である「アプトノス」を発見した。早速狩ってみたところ、どこからともなく鳥がやってきて、アプトノスの肉をついばんだ。しばらく見ているとアプトノスは消え、鳥はまたどこへともなく飛び去って行った。
これまでのシリーズであれば剥ぎ取りが終わればそのまま消えていくだけだったところ、モンスターの肉が食物連鎖に組み込まれ、鳥に食べられ消えていく。乱暴な言い方をすると、「生肉」を取得するための存在であったアプトノスが、生き物としての1体であったことを見せつけられた形で、そうした表現に若干の衝撃を覚えたのである。
そしてもしかして……という閃きと共に捕獲ネットを投げてみると、なんとその鳥も捕獲ができたのだ。鳥の名は「ニクイドリ」と言い、ハゲタカのようにモンスターの屍肉を食べる習性があるということがわかった。「MHW」における生態系や食物連鎖の存在に直に触れた形で、ここからは環境生物の虜である。
捕獲した生き物は従来のアイテム欄の端的な説明のみならず、様々な施設が密集するハンターたちの調査拠点「アステラ」内にある「生態研究所」でも、説明を読むことができる。生態研究所で読める報告書は資料の編纂を担当する「受付嬢」やそのほかの担当者が執筆しているらしく、動植物に対する主観に満ちた説明や、魚に対して「食い渋った場合は誘いを入れると良いでしょう」など、ただの釣りマニア(?)による解説と化していたりするあたりが非常に面白く、あれやこれやの生き物の説明が読みたくなるのである。
また、捕獲した環境生物はアステラ内で狩りの準備ができる「マイハウス」に放し飼いにすることも可能だ。はじめにプレーヤーに与えられるのは「二等マイハウス」で、ここでは1匹しか飼うことができないのだが、調査団に貢献していくとよりよい部屋に引っ越すことができるという。ちなみに筆者は1匹を選ぶのに非常に頭を悩ませつつ、無表情でありながら、どこか愛くるしい眼差しを持つ「シビレガスガエル」を放し飼いすることに決めた。そして発売後には調査団に全力で貢献し、広い部屋で大量の環境生物と一緒に暮らすことを固く誓ったのである。
このように、「MHW」では従来の「モンハン」シリーズのように、ハンティングアクションとして楽しむことはもとより、今作「MHW」ではその世界を探索すること自体にも楽しみが生まれていた。また、「探索」としてクエストを受けずともフィールドを訪れることが可能になっており、時間制限に悩まされることなく「モンハン」世界を堪能することもできる。
実際に触ってわかった「MHW」のシステム
「MHW」ではこれまでのシリーズを踏襲しつつ、4日間に渡るTGSのステージ(1、2、3、4日目)でも明かされたように、新たな試みがこれでもかと盛り込まれている。
例えば、これまでキャラクタークリエイションは数パターンから選択し、声や下着を選択する程度であったところ、今作からは非常に細かなキャラクタークリエイションが可能となっている。髪型や肌の色はもちろんそれぞれの部位の色や位置、肌の質感までもが選択できるというから驚きである。作成画面でのライトの当て方や背景色も変更できるようになっており、昼夜の概念がある「MHW」の世界において、どのシチュエーションで見ても自分の思った通りのキャラクターが作れるようになっている。
また、唯一連れていける1匹のオトモとなるアイルーもこれまた細かく設定することが可能で、毛色や耳の形、毛の長さや質感も選択でき、「僕の考えた1番カワイイアイルー」の実現が可能となっている。キャラクターとアイルーの作成だけで相当遊べてしまうレベルなので、ゲームを始める前に力尽きてしまわないよう注意が必要かもしれない。
無事キャラクタークリエイションを終え、オープニングが完了すると利用可能となる調査拠点「アステラ」には、各種の施設が密集しており、プレーヤーは文字通りここを拠点として調査活動を進めていくことになる。
拠点にある「加工屋」では装備の作成や強化が可能だが、今作ではUIを一新し、グッと使いやすくなっている。「ボウガン」系統は新たにカスタマイズにより性能を変化させることが可能となり、操虫棍とともに用いる「猟虫」もそれぞれ「切断」、「打撃」属性のものを個別に育成が可能となった。また、武器がツリー状に表示されるようになったことにより、派生先の武器がわかりやすくなったほか、なんと今作では強化の「巻き戻し」が可能となっている。巻き戻しには通貨である「ゼニー」がかかるものの、強化に使用した素材は全て返還されるため、とりあえず作って試してみるということができるようになっているのである。
また、このシステムは今作から搭載された「トレーニングエリア」との相性が抜群だ。「トレーニングエリア」はマイハウスから入場が可能で、弾薬などの消耗なしに武器の練習ができる。「MHW」では特筆すべき変更点としてダメージ数値の表示のON/OFFができるようになったので、硬いものから柔らかいものまで、モンスターの肉質を模した「タル」を相手に、どれだけのダメージがでるか心ゆくまで検証が可能だ。
また、装備した武器に応じてコンボの表示もされるので、「MHW」の武器アクションや連携を確認したり、触ったことのない武器の立ち回りを練習するには最適の場所となっている。アクションを極めたい向きにはありがたいシステムと言えるだろう。
拠点にはその他にも先述の「生態研究所」や「調査資源管理所」などの施設がある。これらはいわば「調査」に関わる施設で、「生態研究所」ではモンスターや環境生物の調査結果を報告することができ、生態の概要や肉質、報酬などの確認が可能だ。「調査資源管理所」では討伐や捕獲、収集、調査など、「課題」のようなものを受けることができ、これらを達成すると防具の強化に必要な「鎧玉」などを得ることができる「バウンティ」がある。
アステラの最上部に位置する「星の船」では、あらかじめ用意された装備やアイテムを用いて狩猟タイムを競う「闘技大会クエスト」の利用や、プレイスタイルや趣味などで他のユーザーと繋がれる「サークル」の管理のほか、待ち合わせなどの際に「腕相撲」を遊べるスポットの利用などが可能だ。最大16人が集まることができる「集会エリア」はマルチプレイ関連を一手に担う設備となっている。
これまでの遊びの主目的であったモンスターの狩猟さえも内包した「調査」を主眼とした「MHW」は、ハンティングアクションはもちろんのこと、それを支えるシステムにも大幅な改良を加えたうえ、膨大な収集要素を引っ提げて登場する。これまでの「モンハン」シリーズのファンはもちろん、完成された箱庭のような"世界"にどっぷりとつかりたいという向きもきっと満足できることだろう。発売を楽しみに待ちたい。
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※画面は開発中のものです。