【特別企画】
「イー・アル・カンフー」が稼働40周年! 気分はまさに拳法家! 多彩なパンチ、キックが繰り出せる名作アクションを振り返る
2025年1月17日 00:00
- 【イー・アル・カンフー】
- 1985年1月 稼働開始
KONAMIが1985年1月に発売したアーケードゲーム「イー・アル・カンフー」が、今月2025年1月で40周年を迎えた。
本作は、主人公の拳法家OOLONG(ウーロン)を8方向レバーとパンチ、キックボタンで操作して、対戦相手(CPU)をKOすればステージクリアとなるアクションゲーム。1周全11ステージで、11人目の相手を倒すと2周目に進む。CPUにKOされるとウーロンのストックが減り、ストックがゼロになるとゲームオーバーになる。
以下、本稿では、筆者がゲーセンでハマっていた当時の体験を交えつつ、本作の面白さを再評価してみた。本作を遊んだことがない人も、現在の対戦格闘ゲームの「ご先祖様」と言っても差し支えないであろう、いにしえの格闘アクションゲームの内容を知るためきっかけとして、ぜひ最後までご一読いただければ幸いだ。
ウーロンの華麗なアクションの虜に
筆者が本作を初めて見たのは小学生時代、数か月に1回のペースで遠征していたデパート内のゲームコーナーだった。以前は同じ位置に「少林寺への道」が稼働していたので、最初は「『少林寺への道』の改良版かな?」と勘違いしたが、インストカードをひと目見て子供心に「面白い名前だなあ……」と思ったことと、「少林寺への道」に比べて「技のバリエーションがすごく多いな」と思ったのが第一印象であった。
すぐに本作に興味を持った筆者は、席が空いたところですかさずプレイ。レバーとボタンの組み合わせで、さまざまな技が繰り出せて、しかも技を出すごとに、たとえ空振りした場合でもウーロンが「ハイッ!」「トオッ!」などと叫ぶのがたまらなく気持ち良かった。
ウーロンは、レバーを上方向に入力すると「ザッ!」という音とともに、相手の頭上を軽々と越える高さまでジャンプする。さらに左右いずれかの斜め上に入力すると、遠くまでひとっ飛びで移動できるロングジャンプができるのも快感だった。特に、ロングジャンプで空中の高い位置にいる間は相手の攻撃が届かないため、ロングジャンプを繰り返してスキをうかがいつつ、技を繰り出すのが楽しくて仕方がなかった。
本作は、プレイヤーが入力したレバーの方向がウーロンの足元に矢印で常時表示される特徴がある。このシステムのおかげで、ゲームの上手なお兄ちゃんやデモ画面を見ていれば、すべての技の出し方がすぐにわかるので、限られたお小遣いでしか遊べない筆者にとってはメチャクチャありがたかったことを今でもよく覚えている。
対戦相手は個性派ぞろい。数々のユニークな演出も秀逸
ステージごとに攻撃スタイルがまったく異なる、個性あふれるCPUキャラと戦えるのも、筆者が本作にハマった大きな理由のひとつだ。
最初の対戦相手「BUCHU」は、当時の某人気悪役プロレスラーによく似た巨漢で、時折フライングヘッドバッドを繰り出してくる。ステージ2の「STAR」は、間合いが離れると手裏剣を次々と投げてくる細身の女の子。3人目の「NUNCHA」は、その名のとおりヌンチャクを華麗に振り回す。初めのうちは「こっちは素手なのに、武器を使う敵が出てくるなんてズルい!」とも思ったが、相手によってどの技が有効なのかを考えながらプレイするのがとても楽しかった。
幼い頃の筆者が特に悩まされた相手は、ステージ7に登場する「CLUB」だった。小太りでスキンヘッドの、いかにも強そうな風貌で、金棒を振り回す攻撃も怖かったが、それ以上に困ったのが、こちらの上段と中段攻撃を防ぐ盾も装備していたこと。ありとあらゆる技を出しても盾でことごとく防がれ、毎回ゲームオーバーになる日々を繰り返したCLUB戦は、まさに鬼門となっていった。しばらく後になって、たまたま見掛けた上手なお兄ちゃんが、下段キック攻撃でCLUBの足元を狙う攻略パターンを盗んだことがきっかけで、あの憎たらしい「お小遣い泥棒」を初めて退治したときはメチャクチャ嬉しかった。
ステージ11に登場する「BRUCE」も、某映画俳優を想起させる筋骨隆々なボディの持ち主で、武器こそ持たないが一人の少年をビビらせるには十分過ぎるほどの威圧感があった。こちらの技が外れた瞬間、目にも止まらぬスピードでパンチ、またはキックを連続で放ち、何もできずにあっという間にKOされたときの衝撃も忘れ難い。
本作では、各ステージの開始時にジングルが流れ、これから戦う相手のデモンストレーションが披露されるが、ステージ4と5の相手は「?」マークが描かれた掛け軸で隠され、それぞれのステージに到達するまで正体が一切わからない。なので、筆者は当初「このゲームに出てくる敵は、全部で5人かな?」と思っていた。
ところが、5人目の相手「FEEDLE」を倒すと、新たに6人目の相手が現われ、さらに5人の敵がまだ控えていると初めて知ったときは本当に驚いた。ゲームスタート時点で11人全員の正体を明かさないことで、ステージ4以降は「次は、どんな相手が出てくるのかな?」と毎回ワクワクさせられた。
思わず口ずさみたくなる軽快なBGMも最高で、ステージ6以降は背景のビジュアルと曲が変わる演出も、今なお筆者の大のお気に入り。ヌンチャクや棒を振り回したときの音も実にリアルで、KOした女性キャラがお上品に倒れる演出も実に微笑ましかった。
もうひとつ、筆者が子供心に感激した忘れられない演出がある。
BUCHUがキックを放った瞬間、ウーロンの中段攻撃がカウンター気味にヒットすると、BUCHUの目玉が一瞬大きくなり、なぜか「ニイハオ!」と叫ぶボイスが流れ、しかも高得点のボーナスが加算されるこだわり(?)ぶり。これに最初に気付いたときは、思わずレバーとボタンから手を放して腹を抱えたくなるほど大爆笑した。
本作は、ハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして、Nintendo SwitchとPS4向けに配信されている。1人プレイ専用のため、2人対戦プレイこそできないが(※2人プレイ時は交代しながら遊ぶ)今遊んでも面白い、掛け値なしの名作をぜひ体験していただきたい。
PS4版「アーケードアーカイブス イー・アル・カンフー」のストアページ
Switch版「アーケードアーカイブス イー・アル・カンフー」のストアページ
(C)Konami Digital Entertainment
Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.