【特別企画】

アーケードゲーム「ボンジャック」40周年! 空中を自由自在に飛び回れる斬新なアクションゲームの軌跡を振り返る

【ボンジャック】

1984年3月 稼働開始

 1984年3月に、テーカン(後のテクモ。現:コーエーテクモゲームス)が発売したアーケードゲーム「ボンジャック」が今月で40周年を迎えた。

 本作は、主人公ボン・ジャックを操作して敵のキャラクターを避けながら、画面内になるすべての爆弾を取るとステージクリアとなる、固定画面方式のアクションゲーム。敵キャラに捕まるとミスとなり、ボン・ジャックのストックがゼロになるとゲームオーバーになる。

 1986年にファミコン用ソフトとして発売された本作のアレンジ移植にあたる「マイティボンジャック」のほうが、もしかしたら有名かもしれない。だが、その「ご先祖様」にあたる本作もシンプルなルールでありながら実に面白いのだ。

 以下、本作ならではの特徴や魅力を、筆者のプレイ経験と開発スタッフの証言も交えつつ振り返ってみた。

※写真はNintendo Switch版「アーケードアーカイブス ボンジャック」(以下同)

他に類を見ない、ボン・ジャックの華麗な空中アクション

 本作の一番の面白さは、マスクにマント姿のボン・ジャックを、まるで映画の「スーパーマン」や漫画の「パーマン」のように、空中を華麗かつ自在に操作できるところにある。

 ボン・ジャックはボタンを押すとジャンプし、ジャンプ中にもう一度ボタンを押すと上昇がストップする。レバーを上方向に入れながらジャンプすると、画面の最下段から最上部まで一気に飛べる、その名も「ウルトラハイジャンプ」になる。上昇中もストップ後も、レバーでボン・ジャックの軌道を左右に調整することが可能で、ストップ後にレバーを下に入力すると素早く落下し、逆にボタンを連打すると落下スピードが緩やかになる。これらの操作システムは、当時は他に類を見ない、実に斬新なものだった。

 敵キャラの種類が豊富で、行動パターンがそれぞれ異なり、なおかつ動き方が読みにくいのも本作の特徴のひとつだ。ゲームスタート直後は、ゆっくりと動く敵キャラが2体しかいないので楽勝かと思いきや、やがてボン・ジャックをしつこく追い掛けるタイプ、壁や外壁をバウンドしながら動き回るタイプ、あるいは遠方から急加速しながら突っ込んでくるタイプなど、時間の経過とともに敵キャラの数や種類がどんどん増え、逃げ場が狭まっていくスリリングな展開が実に面白い。

 筆者は本作の発売当時は小学生で、ゲームの基本ルールこそすぐに理解できたものの、まったく前例のない操作方法ゆえ、慣れるまでにはかなり時間が掛かった。だが、やり方を覚えてからはウルトラハイジャンプをただ繰り返しているだけでも楽しく、特に空中を飛び交う敵キャラたちの動きを見切り、紙一重でかわせたときは実に快感だったことを今でもよく覚えている。たった1本のレバーと1個のボタンだけで、ボン・ジャックが空中を自由自在に飛行できる操作システムは、今の目で見ても改めてすごいアイデアだったように思う。

ウルトラハイジャンプを使えば、画面の下から上まで一気にひとっ飛び!
降下中に追い詰めてきた敵たちを、ヒラリとかわしたときの爽快感は格別だ

 たまに出現する「P」の文字が描かれたアイテム、パワーボールを取ると、すべての敵キャラは一定時間金貨に変わり、金貨を取るとボーナス得点が獲得できるのも本作の面白いところ。往年の名作「パックマン」をはじめ、当時は一時的に攻守が入れ替わる「一発逆転システム」を取り入れた作品はけっして珍しいものではなかったが、パワーボールを取ればピンチの脱出ができて、しかも連続で金貨を取ると100、200、300、800、1200、2000点……と得点が跳ね上がるのは実に快感だ。

パワーボールを取ると敵キャラが金貨に変わり、BGMが変わる演出もこれまた快感だ
敵の追撃をかわしつつボーナスコインをこまめに取っておくと、さらに得点が稼ぎやすくなる

 各ステージ開始後に爆弾を1個取ると、別の爆弾が1個だけ導火線に火が付いた状態になり、以後、爆弾を1個取るごとに点火する爆弾が変わる。点火中の爆弾を取ると、得点が通常の2倍(200点)に増えるのに加え、すべての点火中の爆弾を取ってステージをクリアすると、5万点の高得点ボーナスが加算されるのも面白いアイデアだ。

 敵キャラたちの追跡をかわしつつ、点火中の爆弾をピンポイントで回収するのはけっして簡単ではないが、5万点ボーナスの獲得に成功したときの達成感は格別。ちなみに、途中で点火していない爆弾を取った場合でも、ステージクリア時に点火中の爆弾を20個取っていた場合は1万点、21個では2万点、22個では3万点のボーナスが加算される仕組みになっている。

導火線に火が付いた爆弾の全回収に成功すると、5万点の高得点が獲得できるのも面白いアイデアだ

独創的かつ美しいサウンド、ビジュアルも必見

 サウンドとビジュアルの素晴らしさも、本作を語るうえでは絶対に見逃せないポイントだ。

 本作のメインBGMは全3曲で、ステージごとに曲が切り替わる。そのうち2曲は、かつてNHKで放送されていたアニメ「スープンおばさん」のエンディング曲「リンゴの森の子猫たち」と、ビートルズの「レディ・マドンナ」を原曲とするものだ。いずれも軽快なメロディとリズムを奏で、まさに空中飛行が自慢のボン・ジャックにピッタリの曲だ。

 これらのBGMを制作したのは、後にアトラスで「女神転生」シリーズなどをはじめとする、数多くの作品で作曲を担当したことでも知られる増子津司燦氏。筆者が改めて増子氏に伺ったところ、本作に使用された版権曲の2曲分のセレクト、オリジナル曲の作曲およびデータ化も含め、すべて1人で行ったそうだ。

 ピラミッド、スフィンクス、城、ビル街など、各ステージの背景に描かれた建造物のリアルさと美しさも特筆に値する。筆者は本作を初めて見たときに「スゴいリアル!」と、大きな衝撃を受けたことは今なお忘れられない。

 実は、これらのグラフィック制作を担当したのも驚くことに増子氏で「お城以外は、すべて自分がドットを打ち込みました。機材はPC-8001のドット作成ツールで、最終調整は自社製のデジタイザーを使用して行いました」(ご本人談)というのだから驚きだ。コンポーザーとして有名な増子氏だが、グラフィックデザインでも非凡な才能を示したという意味でも、本作は歴史に残る作品と言えるのではないだろうか。

各ステージの美しい背景も特筆に値する

 発売から30年が過ぎた本作だが、現在でもハムスターの「アーケードアーカイブス」ブランドでNintendo Switch Online、およびプレイステーション 4向けに838円(税込)のお手頃価格で配信されている。またアクションアドベンチャーとしてアレンジされ、1986年に発売されたファミコン用ソフト「マイティボンジャック」も、Nintendo switch Onlineで配信中だ。アーケード版しか知らない、またはファミコン版しか知らないプレイヤーは、ぜひこの機会にアーケードとファミコン版とを比較しながら遊んでみてはいかがだろうか。

 なお「アーケードアーカイブス」版では、前述した版権曲のBGMは使用されていない。「版権曲のBGMがどうしても聴きたい!」というこだわり派のオールドファンには、2014年にスーパー・スィープが発売した、本作の版権曲を収録したゲームミュージックCDとDVDのセット「テクモ・アーケード・クロニクル」をおすすめする。