【特別企画】
“イマーシブ体験”って何? お台場のシアター形式アトラクション「ザ・シャーロック」から解説
テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」体験レポート
2024年3月1日 19:12
- 【イマーシブ・フォート東京】
- 3月1日 開業
- 料金: 大人6,800円〜
- 子供3,000円〜
- 所在地:東京都江東区青海1丁目3−15
- 営業時間:日によって異なる
- 休業:無休
- 駐車場台数:約400台
新たな没入体験を提供するテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が3月1日にお台場エリアにてオープンした。
「イマーシブ・フォート東京」はその名のとおり、イマーシブ(完全没入)体験が可能なアトラクションをメインに取り揃えた新たなテーマパーク。世界で最も有名な名探偵「シャーロック・ホームズ」、ゲーム「Identity V 第五人格」、人気アニメ「東京リベンジャーズ」や「【推しの子】」など、様々なテーマを持つ計11種類のアトラクションを楽しむことができる。
とはいえ、そもそもイマーシブ体験とは何なの? というかたもいるかと思う。実際、筆者も「イマーシブ・フォート東京」にてアトラクションを体験してみるまではまったく同じことを考えていた。
そこで、今回「イマーシブ・フォート東京」での体験をもとに、実際の「イマーシブ・フォート東京」の様子と、何がイマーシブ体験なのか、について紹介していきたい。
アナログだからこそ深く入り込む「没入感」
「イマーシブ・フォート東京」は2022年3月に終了した東京都江東区青海にある商業施設「ヴィーナスフォート」の建物を再活用して作られた、新たなテーマパークだ。
「ヴィーナスフォート」の建物をそのまま再活用しているので、広さは完全屋内型テーマパークとしても国内屈指の面積(約3万平米)を誇り、11種類のアトラクション、および6つの物販・飲食店舗を備えている。アトラクションはそのすべてが“完全没入型体験”のみで構成されており、世界初のイマーシブ専門のテーマパークとなっている。
では、はじめにイマーシブ体験について簡単に説明したい。「イマーシブ」は、英語で「没入感」を意味するもので、昨今ではVRや映像技術の進歩により、デジタルを活用した分野では特に「没入感」が重要視されることが多い。
だが、今回紹介するイマーシブ体験はそれとはまた違った没入体験になる。どちらかというとアナログを使用した最先端のライブエンタテインメント形式で、仮想空間ではなく現実世界において、観客自身が当事者としてその世界に参加し、体験することができる。
「イマーシブ・フォート東京」では短いもので数分、長いものでは1時間を超える多種多様なアトラクションが用意されており、殺人鬼に追われる、煌びやかなショーでダンサーと一緒に踊る、事件に巻き込まれ人質となるなど、様々な要素を当事者の目線にて体験することができる。
このイマーシブ体験が実際にはどのようなものなのか、目玉アトラクションのひとつであるウォークスルー型イマーシブシアターアトラクション「ザ・シャーロック -ベイカー街連続殺人事件-」と共に紹介したい。
観客が演劇の登場人物になり得る「ザ・シャーロック」
「ザ・シャーロック -ベイカー街連続殺人事件-」は、19世紀のロンドン、夜のベイカー街を舞台にシャーロック・ホームズやワトソン、レストレード警部などと出会いながら、連続殺人事件の真相へと迫っていくウォークスルー型イマーシブシアターアトラクションだ。
このイマーシブシアターとは、2000年代にロンドンから始まった「体験型演劇作品」のことで、観客席と舞台という垣根を壊した新たな表現方法だ。イマーシブシアターでは観客も舞台の登場人物となっており、その行動によって体験内容が変化するという特徴をもつ。
「観客が舞台の登場人物となる」という点、これこそが「イマーシブ・フォート東京」が目指すイマーシブ体験のひとつだ。本アトラクションは19世紀のロンドンの街を再現した2階にわたる広いエリアが舞台となっており、参加者はこの舞台を自由に移動することができる。舞台で参加者がどう行動するかで、体験する物語に変化が起きる。では実際に何がどう影響するのか、アトラクションの流れと共に紹介しよう。
まずはじめに、このアトラクションでは最初に専用のバンダナがゲストに渡される。ゲストはバンダナで顔を覆い隠すことで、キャストに認識されない特別な存在となる。これによって参加者は、キャラクターたちに気にされることなく、舞台のどこにでも移動することができる。
アトラクションのスタートはバー「The Entropy」。ここでレクチャーを聞いた後に物語が開幕する。開幕後、ゲストは全員自由行動となり、自身で行動を決めていく。舞台となるベイカー街にはシャーロック・ホームズやレストレード警部をはじめとした総勢48人のキャラクターたちがおり、それぞれが街を歩き回り、様々な場所でそれぞれの会話や物語を繰り広げている。
たとえば、シャーロック・ホームズと共に移動して事件解決のヒントを探してもいいし、事件現場に残り、被害者の関係者の様子を見てもいい。あるいは次に事件が起きそうな場所を探すなど、通常の舞台や映画ではできない自由な行動を取りながら、この世界で自身が見たいもの、知りたいことを決めることができる。
面白いのは、物語が常に展開していることだ。広大な舞台のあちらこちらでストーリーが展開されるので、たまたま自身がいた場所で事件が発生し、事件の重要なヒントを握る目撃者になってしまうなど、自分だけのストーリー体験が紡がれていく。場合によってはキャストが話しかけてきたり、突然ストーリーに参加するようなこともある。
今回、筆者は被害者の関係者である女性たちに付いていった。悲しみに明け暮れ、酔った女性がゲストたちに絡んだり、意味深な言葉を放つ場面など、事件とは直接関係ないものの、事件に関わった人物たちの関係や人間性などを知ることができた。
逆にシャーロック・ホームズに付いていった知り合いは、事件の犯行場面や凶器など、事件解決のヒントに繋がるシーンに多く遭遇した。その時々の判断で、体験ストーリーがまったく異なってしまうのも特徴的だ。
つまり「ザ・シャーロック」では、映画や舞台と違い、自分の意志で物語の中を当事者として自由に行動することができる。事件があれば野次馬のように犯行現場に集まったり、そうでない時は気になるキャストについていったりと、誰に付いていくか、いつ何処にいるかで自身が体験できる物語が大きく変化する。
周りを気にせず、自分の考えだけで物語を読み解くことができるので、参加者は物語に没入し、自分だけの物語体験ができる。たとえ同じストーリーでも、自身の視点次第で違う展開を何度でも楽しめるし、自分の判断で動いているからこそぐっと世界の中に入っていく感覚がある。これこそが、「ザ・シャーロック」における「イマーシブ体験」と言われるものだと感じた。
また、参加者全員が違う物語を体験していることから、筆者のように一緒に参加した仲間とお互いが知った物語を共有するのもありだ。自分とは全然違う体験を共有することで、一人では味わうことができない楽しみがさらに広がっていく。
ちなみに「イマーシブ・フォート東京」では「ザ・シャーロック」以外にも違うジャンルのイマーシブ体験ができる様々なアトラクションが用意されている。中でも筆者がオススメしたいのが「第五人格 イマーシブ・チェイス」だ。
ゲームをリアルに再現「第五人格 イマーシブ・チェイス」
このアトラクションでは非対称対戦アクション「Identity V 第五人格」の世界で繰り広げられる“命懸けの鬼ごっこ体験”にゲームの登場人物の一人として参加できる。
参加者が迷い込むエリアにはおぞましいハンターがおり、参加者であるサバイバーを捕らえるために探し回っている。ハンターに捕らわれないように逃げ隠れしながら、仲間と協力して脱出を目指すのがこのアトラクションの目的だ。
脱出するにはミッションをクリアする必要があり、手首に装着したスマホのような端末を使い、エリア内にある暗号機を探し、解読しないといけない。
ただし、エリア内に完全に安全な場所はない。クローゼットの中やベッドの下など、一時的に隠れられる場所はいくつかあるものの、いつまでも隠れているわけにもいかない。ハンターから逃れつつ、いかに暗号機を探して近づくかが成功のポイントだ。
実際に体験してみると、ハンターに見つからないように行動する恐怖とスリルが凄まじい。ゆっくりと近づいてくるハンターの足音や、隠れたベッドの下から見えるハンターの姿は、ゲーム以上のホラーを感じることができた。まさに第五人格の当事者といった感じで、これも本アトラクションならではのイマーシブな体験を味わえた。
他にも「イマーシブ・フォート東京」では様々な切り口でイマーシブ体験を提供するアトラクションが存在している。
中でも「ザ・シャーロック」、「江戸花魁奇譚」、「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」は、標準価格のチケット「カジュアル」単体では体験できず、別途体験パス購入が必要となる。その分リッチな体験となっているとのことなので、オススメだ。
また「イマーシブ・フォート東京」ではアトラクション以外にも、「東京リベンジャーズ」や「【推しの子】」といったアニメやゲーム作品のコラボグッズやメニューも展開している。作品ファンはもちろん、日常とは違う新たな刺激が欲しいかたにもぜひ、これまでに味わったことがないハラハラドキドキ体験ができる「イマーシブ・フォート東京」に挑戦してみてほしい。
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