【特別企画】

「スーパーマリオブラザーズ3」が発売35周年! 後のシリーズ作品の礎となる、あらゆるアイデアが盛り込まれた秀作

【スーパーマリオブラザーズ3】

1988年10月23日 発売

 1988年10月23日に任天堂が発売した、ファミリーコンピュータ用ソフト「スーパーマリオ」シリーズの第3弾「スーパーマリオブラザーズ3」が、本日で35周年を迎えた。

 本作は、マリオ(2Pはルイージ)を操作して、全8ワールドクリアを目指すアクションゲーム。基本ルールは、横スクロールのステージをダッシュやジャンプで進む元祖「スーパーマリオブラザーズ」、「スーパーマリオブラザーズ2」と同じだが、マリオにさまざまなアクションが追加され、ビジュアルやサウンドも一新。384万本を販売する大ヒットとなった(※本数は「CESAゲーム白書」より引用)。

 以下、本稿では後の「スーパーマリオ」シリーズにも大きな影響を与えた、本作の特徴などを改めて振り返ってみよう。

【「スーパーマリオブラザーズ3」ゲーム画面】
【『スーパーマリオブラザーズ3』(ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online)】

現在でもおなじみのシステム、演出を多数盛り込んだ歴史に残る逸品

 本作で最初に導入され、後の「スーパーマリオ」シリーズで定番となったシステムや演出、アクションが多数存在する事実には、今さらながら本当に驚かされる。

 システム面での新要素といえば、本作からワールドマップでマリオを操作し、挑戦するステージやルートをプレーヤーが自由に選べるようになったことだろう。マップ上には、通常ステージのほかにも砦をはじめ、アイテムがもらえるキノピオの家、触れるとバトルシーンに切り替わるハンマーブロス、ミニゲーム(スロット)が遊べるスペードパネルなども登場する。

 マリオのパワーアップ、アクションのバリエーションも本作から大幅に増えた。スーパーキノコによるマリオの巨大化と、ファイアフラワーによるファイアマリオへの変身に加え、スーパーこのはを取ればしっぽマリオに、タヌキスーツ、カエルスーツ、ハンマースーツを装着すれば、それぞれタヌキマリオ、カエルマリオ、ハンマーマリオに変身できるようになった。特にしっぽ、またはタヌキマリオに変身すると、しっぽで敵やブロックが叩けるのに加え、滞空時間を延ばすこともできるのが実に面白い。

 そして極め付けは、Bダッシュをしながらパワーメーターを満タンになった状態でジャンプすると しっぽまたはタヌキマリオ状態のときは空を飛べるようになったこと。正義のスーパーヒーローにふさわしい、実に華麗なパフォーマンスであり、マップが縦方向にも大きく広がったことで、冒険できる世界がさらに増すことにもつながった。また、ノコノコなど敵の甲羅を手で持ち歩けようになり、いつでも好きなタイミングで投げられるようになったのも本作が最初だ。

シリーズ初登場となったワールドマップ移動システム
スーパーこのはを取るとしっぽマリオに変身。パワーをためてからジャンプすると空を飛べるようにもなった
敵の甲羅を持ち上げ、任意のタイミングで投げられるようになったことで攻略のバリエーションも一段と増した

 敵とのバトルシーンやミニゲーム、キノピオの家で入手したアイテムを、常時ストックできるシステムがシリーズで初めて導入されたのも本作だ。ファイアフラワーやスーパーこのはなどがストック可能になったことで、ステージの途中でやられてしまっても、ワールドマップで移動中にアイテムを使用すればパワーアップした状態でリスタートできるのも実にありがたかった。

 敵の種類が大幅に増え、パタクリボー、パタメット、ワンワン、テレサのほか、1~7ワールドのボスキャラとしてクッパの子供であるコクッパ兄弟が登場するようになったのも本作が最初だ。攻略のバリエーションが元祖「スーパーマリオブラザーズ」と「スーパーマリオブラザーズ2」とは比較にならないほど増え、筆者も当時プレイしていて大いに驚かされたものだ。

入手したアイテムをストックできるようになったのも本作がシリーズ初となる
砦ステージのボス、ブンブン
コクッパ兄弟がシリーズ初登場。各ワールドの最終ステージに出現し、3回踏むと倒すことができる
ラスボスはもちろんクッパ。以前とは比較にならないほど動きが機微かつ手強くなった

冒険をますます楽しくする、裏技と2人同時プレイの妙味

 無限1UPやワープなど、本作にもシリーズ第1作からおなじみの裏技が用意されている。本作は、ステージ数が以前に比べてかなり増えたこともあり、これらの裏技の存在は実にありがたかった(自力で発見するのは大変だが)。ほかにも、特定の場所でしばらくしゃがんでいると突然マリオが地形の裏側に移動したり、条件を満たすとコインを山積みした宝船が出現するなどの裏技も用意されていた。

 発売当時から、ゲーム専門誌でもあまり注目されていなかった感があるが、2人同時および協力プレイをシリーズで初めて導入したのも実は本作である。本作の2人プレイモードは、2人とも同じワールドマップ上でプレイするのが特徴で、1P(マリオ)からゲームがスタートし、以後ステージをクリアまたはミスをするごとにプレーヤーが交代する、つまり2人で協力しながら攻略を進められるところに面白さがある。

 マップ上でマリオとルイージが重なることで、懐かしの「マリオブラザーズ」をほうふつとさせるバトルゲームが楽しめるのも面白いアイデア。バトルゲームで負けたプレーヤーは、勝ったプレーヤーが直前までいた位置に戻されしまうので、これを利用すれば協力ではなく、どちらが先のステージまで進めるのかを競争しながら楽しむことも可能だ。バトルゲーム中は、相手プレーヤーを叩くと放出されるストックしていたカード(※通常ステージクリア時にもらえる報酬で、3枚集めるごとにマリオのストックが増える)を奪い取ることもできるなど、なかなかどうして凝った仕掛けが用意されていた。

 嬉しいことに、本作は今でもNintendo Switch Online、または「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」で手軽に遊ぶことができる。シリーズ最新作「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」がちょうど発売となったこのタイミングで、今日までつながるシリーズの源流となった本作を並行して楽しむのも一興だろう。特に、2人同時プレイの存在を今まで知らなかった、または遊んだことがなかったという人は、ぜひ一度お試しあれ。

ワールド1-2より。着地せずに敵を連続で踏み続けると無限に1UPできるおなじみの裏技
本作で先のワールドにワープするためには笛を入手することが必要。全3か所に隠されている
ワールド1-5より。隠された音符ブロックに乗ってジャンプすると、コインが大量に取れるボーナス面に進むことができる
2人プレイモードでは、協力して全ステージ攻略を目指したり、バトルをしながら遊んだりすることもできる