【特別企画】
「ぼくなつ」らしさを受け継ぐ夏休みゲー最新作「なつもん」の発売までもうすぐ! 夏遊びたい1作を紹介
オープンワールドを採用したほのぼの夏休みADVがついに完成
2023年7月24日 00:00
- 【なつもん! 20世紀の夏休み】
- 7月28日 発売予定
- 価格:6,578円
「ぼくのなつやすみ」シリーズを手掛けたゲームクリエイターによる夏休みがテーマのほのぼの夏休みアドベンチャー「なつもん! 20世紀の夏休み」が7月28日に発売される。
「ぼくなつ」こと「ぼくのなつやすみ」シリーズは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現SIE)が制作、ミレニアムキッチンが開発したタイトル。初代「ぼくのなつやすみ」はプレイステーション向けに2000年に発売となり、その後も複数の作品が発売された。既に発売から20年以上が経過しているシリーズ作品であり、2010年に発売された「ぼくのなつやすみポータブル2 ナゾナゾ姉妹と沈没船の秘密!」を最後に、新作のリリースについてはしばらく行なわれていない。
そんな「ぼくなつ」シリーズを手掛けたミレニアムキッチンの綾部和氏による新作「なつもん! 20世紀の夏休み」が夏真っ只中の7月28日に発売される。本作はSwitch向けのほのぼの夏休みアドベンチャーで、田舎町にやってきた少年として、1カ月間の夏休みを過ごす。マップやキャラクターは3Dで描かれるほか、オープンワールドを採用することで、シームレスな移動を実現しているなど、現行機ならではのスペックを活かした作品となっている。
今回は夏休みをテーマにしたゲームの代表とも言える初代「ぼくのなつやすみ」について触れながら、Switchで発売される夏休みゲー最新作「なつもん! 20世紀の夏休み」を紹介していく。これらはまったく別のゲームではあるが、綾部氏らしさを活かしつつ、現行機向けタイトルとして様々な点がパワーアップした作品になっており、大人は大人の視点から、子どもは子どもの視点から楽しめるアドベンチャーゲームに仕上がっている。今回は発売前に注目要素をピックアップする。
今なお続編を希望する声があがる「ぼくなつ」の魅力とは
2000年6月22日に発売された初代「ぼくのなつやすみ」は、夏休みに田舎の親戚に預けられた主人公がその土地ならではの体験をするゲームで、虫とりや魚釣り、ラジオ体操や凧揚げなど、様々な経験を通して大きく成長する姿が描かれる。
基本的にのどかなゲームで、小学生の主人公から見た世界が活き活きと描かれる。時には大人になった主人公の視点から語られるナレーションも挿入されるなど、ノスタルジックな演出も見どころの作品となる。マップが非常に広く、それに伴って虫も多くの種類が存在するなど、コンプリートを目指す場合はボリューミーなタイトルでもある。
登場人物としては主に親戚のおじちゃんとおばちゃん、主人公から見るとお姉さんにあたる萌と妹の詩の4人が中心で、食事の際は主人公を含む5人で食卓を囲む。そのほか、虫ずもうで関わる友達なども登場し、彼らとの関わりも描かれる。子どもっぽい会話から、おませさんな発言まで、登場人物たちが活き活きと描かれており、プレーヤーは客観的に「ぼくなつ」の世界を見つつも思わず感情移入させられる。
日本の夏らしい表現を巧みに取り入れており、真夏に見られる入道雲や空の青さを反射した水面、生い茂る植物たちや、夜になるとひっそり静まる田舎など、特徴をしっかりと捉えることでリアリティを生み出している。また、カメラが固定になっていることを活かして、あえて植物をカメラの手前に大きく描いたり、日本家屋の中を映す際に無理のないアングルにしたりと、カメラの制約を逆手に取るなど工夫満載の作品だ。
一方で「なつもん」はNintendo Switchで発売されるということもあってハードのパワーを余すことなく発揮したタイトルに仕上がっている。まず本作ではオープンワールドを採用している。全体マップはかなり広いが、基本的にロードを挟まずに移動が可能で、シームレスに移動できる。虫や魚の数も非常に多く、虫に至っては200種が存在し、遊びごたえ抜群のボリュームだ。
さらに、「ぼくなつ」シリーズを手掛けた綾部氏の新作というだけあってビジュアルなどは一新しつつも“外さない”夏休みゲーム最新作になっていると感じている。ここからは「なつもん」のポイントを紹介していく。
オープンワールドになっても綾部氏らしさを受け継ぐ「なつもん」
2023年発売の夏休みゲー最新作「なつもん」の魅力はオープンワールドを採用したことにより、田舎町をどこまでも自由に駆け回ることができる点だ。マップ内には多彩な遊びが存在するため、途切れることなく興味が引かれたものを遊び続けられる。
主人公はサーカス一家の息子として町にやってきた存在で、町の人との関わりを通して夏休みを謳歌する。魚釣りや虫とりなど鉄板の遊びや、探偵事務所の事件解決を目指したり、サーカスのお手伝いをするなど独自の要素も取り入れている。
「なつもん」のキャラクターはイラストレーターのヒョーゴノスケ氏が手掛けるなど、見た目は「ぼくなつ」と大きく違うように感じるかもしれないが、筆者としては夏休みのゲームとして良い部分は受け継ぎつつ、3Dゲームの強みを取り入れた作品だと感じている。
本作の特徴として“遊べる要素をゆるく勧めてくる”という点だ。様々な要素を盛り込んだゲームは「何から始めたらいいのかわからない」と感じる人もいるかも知れない。本作では虫を捕まえたり、アイテムをゲットしたりなど細かな要素に「大きな冒険・小さな冒険」といった目標(アチーブメント)が存在する。目標を達成するとステッカーがもらえ、これによりダッシュや壁を登る際のスタミナが上昇するなどしっかりと報酬が用意されている。
舞台となるよもぎ町はかなり広く、できることが多い。そのため目標達成を率先して目指してもいいし、気に入った遊びを何度も楽しむなど自由度が高く気ままな夏休みも体験できる。また、捕まえた虫のデータなど収集要素を引き継ぎつつ最初からやり直すことが可能な周回プレイもできるため、時には時間を贅沢に使ってゲーム内で何もせずにぼーっと風景を眺めてみるのもいいだろう。
また、「なつもん」は「ぼくなつ」と同様に毎日ほぼ何もせず寝て過ごすことが可能だ。一方で本作ではできることをやんわりと進めてくれるため、気が向いたときに遊ぶことができる。いつでも確認できるメニュー画面がかなりしっかりしており、忘れていた目標をすぐに確認できるため、しばらく期間を空けてプレイを再開する場合のサポートも充実している。加えて、ゲーム内時間の進み具合もオプションから変更できるため、やり逃し・遊び逃しを極力防ぐように時間の進みを遅くしたりと、忙しい現代ゲーマーにもやさしいつくりだ。
現行機のスペックを活用したタイトルであり、見える範囲にはどこでも行けるという太っ腹な設計で、港の先にある灯台や寝泊まりをする明日葉荘から遠く離れた場所まで、走って・泳いでさらにはあるアイテムを入手すれば滑空していくことが可能。よもぎ町の中央にそびえ立つ山はマップ上で見るとそうでもなさそうに見えるが、実際に登ってみるとかなり険しい。その山を登りきった先で見える景色は非常に美しいため、実際にプレイをして見てほしい要素の1つだ。
タイトルに20世紀と書かれているが、ゲーム内に用意された遊びが古いかと言われればそうではない。時代を感じさせる遊びはあまり登場せず、今も昔も変わらない夏ならではの体験が待っている。絵日記やウィットに富んだ会話など綾部節とも感じられるようなやり取りもあり、殺伐としたゲームとは相反するユルさも魅力的な夏イチオシの作品だ。
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