【特別企画】
「Bloodborne」本日8周年! 貴公、青ざめた血を求めたまえよ。「ブラッドボーン」はいいぞ派が、獣狩りの夜を全うする
2023年3月26日 00:00
- 【Bloodborne】
- 2015年3月26日 発売
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SIE)が2015年3月26日に発売したプレイステーション 4用アクションRPG「Bloodborne」(以下、「ブラッドボーン」)が、本日発売8周年を迎えた。
「ブラッドボーン」は、「ダークソウル」などのシリーズを産みだしたフロム・ソフトウェアが開発した作品で、本作も例に漏れず、プレーヤーの心を容赦なく折ってくる高難易度なアクションRPGとなっている。だが、フロムの死にゲーの中でも本作は少々異色の作品となっており、未だにプレイを続けているファンも非常に多い。
以前筆者が執筆した「『エルデンリング』、次のフロムゲー何やる問題を解決したい!」の中でも「ブラッドボーン」にはおすすめ度「★★★★★++」をつけさせてもらっているので、ここではあえてできるだけ”ネタバレなく”「ブラッドボーン」を振り返りたい。
まだ次のフロムゲーに迷っている人を「ブラッドボーン」の世界に引き込めれば幸いだ。なお、上記記事でも「ブラッドボーン」について簡単に触れているため、まだ読んでいない人はこちらもぜひ読んでほしい。
「ブラッドボーン」の魅力はスチームパンクな大英帝国時代を彷彿させるオシャレ感
「ソウル」シリーズや「エルデンリング」が中世ヨーロッパをモチーフにした作品だとすれば、本作は19世紀の大英帝国がモチーフとなっている。マップはもちろんのこと、装備などもスチームパンク感を全面に出しており、基本的な装備はマント(外套)となる。
そして「ブラッドボーン」にはフロムゲー恒例ともいえる装備重量の概念がない。各種装備品の防御力もそこまで明確な差はなく、どちらかというと”耐性値”を鍛えるような装備品となっている。装備重量がないことで何が変わるかというと、「自分好みの見た目のオシャレ装備がしやすい」のである。
オシャレにこだわれるからこそ嬉しいのが協力プレイ。「ソウル」シリーズなどでは協力プレイ時、世界の主以外は白や黄色といったファントム体になってしまうが、本作では協力プレーヤーはほんのり青く光るだけ。世界の主とほぼ同じ見た目で並ぶことができるので、自慢のオシャレ装備を自慢できるのだ。
残念ながら防具の幅はそこまで広くはない。むしろ「ソウル」シリーズなどに比べれば格段に少ないのだが、オシャレ度については(「鎧にしか浪漫を感じない」という人でなければ)圧倒的に高くなっている。
一方で武器もスチームパンク感が強めな上にクセが強めで、「ショートソード」のような武器は存在しない。初期武器で選べるのは「ノコギリ鉈」、「獣狩りの斧」、「仕込み杖」となっており、強いて言うならばノコギリ鉈がリーチが短めなショートソードに近い使い勝手だ。そして「ソウル」シリーズなどと違い、左手に銃を持つというのも、「ブラッドボーン」の特徴となっている。
だが「ブラッドボーン」の武器の一番の特徴は、”どの武器も変形する”という点にある。変形前と変形後で使い勝手がまるで異なってくるのだ。
例えば筆者が初期からDLCクリアまでずっと愛用し続けてきた「獣狩りの斧」。変形前は手斧で若干振りが遅いものの、シンプルな切断武器となっている。それに対して、変形後は両手長斧となり、リーチが一気に長くなる。特にステップからの刺突攻撃などは遠距離からチクチクと攻撃するのにも向いている。
「ブラッドボーン」ではこれらを総称して”仕掛け武器”と呼んでおり、L1ボタンで簡単に変形前、変形後と切り替えることができる。この変形モーションも「ブラッドボーン」の“浪漫”である。
前述の筆者愛用の月光剣(正式には「月光の聖剣」)だが、実はあの光っている状態は”変形後”となる。変形前は光らず、通常の大剣に似たモーションだが、変形後はうっすらと月光を写し、光波を撃てるようになる。
他にも様々な仕掛け武器が用意されており、「ブラッドボーン」の武器ばかりを集めたスタチューなども発売されているほどだ(1/6スケールの狩人スタチューが持てる大きさになっている)。「ブラッドボーン」の武器がいかにプレーヤーに愛されているか伝わる話である。誰にでも、お気に入りの武器が1本や2本、いや何本も見つかる。それが「ブラッドボーン」である。
考察しがいのあるストーリー
「青ざめた血」を求めよ。狩りを全うするために。
これはゲームを開始してすぐにプレーヤーが見つける、自筆の走り書きである。この走り書きの通り、まずは青ざめた血を求めるように狩りを進めていくのが、プレーヤーの分身・狩人である。
とはいえ、「ブラッドボーン」のストーリーは「ソウル」シリーズや「エルデンリング」などと比べても格段に難解である。「青ざめた血」と、そして「狩人の夢」についてはプレーヤーに付きまとうキーワードだが、まともな説明はない。あったとしても、前述の走り書きと大差ない程度のセリフに留まっている。
難解なのに、何故に狩りに憑りつかれてしまったプレーヤーが多いのか……その理由はそれぞれ違うとは思うが、理由のひとつに「ブラッドボーン」ならではの独特の言い回しなどもあるのではないかと思っている。
特に、ミコラーシュという「ブラッドボーン」界屈指の人気者(?)のひとりは、バトル中、実によく喋るのだが、そのセリフを見ると何となく「ブラッドボーン」独特の世界観が垣間見えるのではないだろうか(英語版と日本語版で少々異なる。ご了承いただきたい)。
我らの祈りが聞こえぬか けれど、我らは夢を諦めぬ!
何者も、我らを捕え、止められぬのだ!
おお、素晴らしい!夢の中でも狩人とは!
けれど、けれどね
悪夢は巡り、そして終わらないものだろう!
ああ、ゴース、あるいはゴスム
我らの祈りが聞こえぬか
白痴のロマにそうしたように
我らに瞳を授けたまえ
我らの脳に瞳を与え、獣の愚かを克させたまえ
泥に浸かり、もはや見えぬ湖
宇宙よ!
やがてこそ、舌を噛み、語り明かそう
明かし語ろう……
新しい思索、超次元を!
だけど、だけどね
悪夢は巡り、そして終わらないものじゃないか!
ああ、これが目覚め、すべて忘れてしまうのか……
ああ、ゴース、あるいはゴスム
これを見て「懐かしい」と思える狩人さんなのか、それとも「何を言っているのか全くわからん」となる「ブラッドボーン」未プレイな読者様かはわからぬが、一応告げておくと「懐かしい」と感じる狩人であってもこのセリフから感じる感想は「なるほど、わからん」である。
「ブラッドボーン」は考察要素が非常に多く、フレーバーテキストから得られる情報もわかりにくいものが多い。だが、だからこそ狩りに憑りつかれてしまうとも言えるだろう。
……という、これは「ブラッドボーン」のほんの一端でしかない。ちなみにメンシスについてはきちんと物語を読み進めてフレーバーテキストをくまなく漁ればおおよその考察はできるようになっているが、それに伴いメンシスを取り巻く様々な設定についての考察も必然的に進むだろう。
「ブラッドボーン」は特にひとつの謎が複数の謎を取り巻くようになっており、ひとつの謎に迫るには10を知らなければならず、10を知ることで1が見えてくるような、そんな物語設定となっている。8年が経った今でも答えが出ず、推測でしかない部分が多くあるのはフロムゲー恒例ではあるものの、フロム脳を満たすには充分すぎるほどである。
少しだけ思い出話もしようじゃないか
せっかくの周年記事なので、狩りを全うした狩人(プレーヤー)だけに伝わる思い出話もしておきたい。
そう、フロムゲー恒例の「難所だったボス」あるあるである。
ちなみに筆者はスピード型のボスは得意で、数々のプレーヤーを駆逐してきたガスコイン神父などは初見であっさりとクリアしてしまった(もちろん協力者のご協力もあってのことだが)。
「ガスコは得意だもんね〜」自慢をしたいだけの筆者であったが、一方で致命的に苦手なボスがいた。アメンドーズである。
実際にアメンドーズと戦うことになるのは「悪夢の辺境」(と、聖杯ダンジョンもあるが)。アメンドーズの腕(脚)を狙って攻撃すればいいということであればまだ戦いやすいのだが、このアメンドーズ、腕が非常に硬いのである。殴っても殴っても、まったく削れない。
そして筆者、アメンドーズが多様してくるジャンプ攻撃をほぼ100%避けられない。これに関しては、何故と言われてももうわからない。なにがダメなのか教えてほしいレベルで避けられない。アメンドーズが得意な友人が、筆者の隣でアメンドーズの戦いを見ていて「ふっ」と苦笑を零すレベルである。
そんな筆者が泣きに泣いて考えた作戦が、遠距離攻撃できる秘儀「夜空の瞳」をひたすら使い続けるというものだった。これも全ては月光剣のために神秘を上げたからこそ使える作戦で、遠距離攻撃にことごとく乏しい「ブラッドボーン」の中で唯一取れる遠距離作戦とも言える(銃は遠距離攻撃というよりも中距離である)。
超長距離から、攻撃はステップで回避し続け、「夜空の瞳」を投げ続け、水銀弾が尽きたら銃弾精製、HPの限界まで銃弾を精製したら輸血液を使用。再び超長距離からステップと共に瞳を投げ続ける、という作戦である。
結局この作戦で悪夢の辺境のアメン様も、聖杯ダンジョンのアメン様もクリアしたのだが、15分くらいステップと瞳を連打し続けて、指は攣る寸前であった。ちなみに当然ながら協力者さんは呼んだのだが、協力者さんらはいずれもこの作戦に耐え切れず、儚く散っていった。
最早「ガスコイン得意だもんね」自慢など、なんの役にも立たないレベルのていたらくぶりだが、どうにも相性の悪いボスというのはいるものである。
以上、「ブラッドボーン」8周年にあたって、改めてどうしても「ブラッドボーン」を推したい筆者であった。
ちなみに、「ブラッドボーン」の世界観に惹かれてプレイをし始めた友人らの多くは、序盤でこそ協力者(ようは筆者)による接待プレイに甘んじていたものの、いずれも「ブラッドボーン」独特の世界観に深くハマり、今ではひとりで立派に活躍する狩人と育った。そして定期的に「ブラッドボーン」に帰りたくなるという中毒者が続出しているのである。
「知らぬ者よ。かねて血を恐れたまえ」
まだプレイをしていないという人には、ぜひ「ブラッドボーン」をプレイをしてみてほしい。PlayStation Plus加入者向けの特典「PS Plusコレクション」にも「ブラッドボーン」がある。本年5月9日に終了するサービスだが、現在ならばまだダウンロード可能である。「ブラッドボーン」はいいぞ。「ブラッドボーン」は! いいぞ!
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