【特別企画】

「戦場のヴァルキュリア4」本日で5周年! RAITA氏による魅力的なキャラクター、崎元仁氏による音楽、ストーリー、バトル、全てが素晴らしい!!

【戦場のヴァルキュリア4】

2018年3月21日 発売

 セガが2018年3月21日に発売したプレイステーション 4用アクティブ・シミュレーションRPG「戦場のヴァルキュリア4」(以下、「戦ヴァル4」)が、本日発売5周年を迎えた。

 本作は手描きイラストが3Dで動くグラフィック表現「CANVAS」により、”戦場”の物語でありながら独特の温かさがあることが特徴。また、「BLiTZ(ブリッツ)」と呼ばれる、シミュレーションとアクション(TPS)を融合した特殊なバトルシステムを採用している点については、他のシミュレーションRPGとは一線を画しているゲームだ。

 「戦ヴァル4」はシリーズ4作目となるが、時系列は「1」や「3」と同軸ながらも、独立した物語として楽しめるようになっている。また「1」のみHD版が出ているとはいえ、「2」と「3」がPSPでしか遊べないこともあり、「4」で初めて「戦ヴァル」の世界に触れたという人も多かったのではないだろうか。

 本稿では、そんな「戦ヴァル4」について振り返りたい。

【『戦場のヴァルキュリア4』プロモーション映像】
主人公のクロード。キャラクター原案はRAITA(本庄 雷太)氏

「戦ヴァル」の面白さはやはりバトル!

 「戦ヴァル」の最大の特徴は、コマンドモードとアクションモードを行き来するSRPG、というところ。SRPGといえば、マス目状に区切られたマップ上に敵のキャラクターと味方のキャラクターが配置され、それぞれそのマス目を移動したり攻撃をしたり……というのが一般的だろうが、「戦ヴァル」は違う。動かしたいキャラクターを選択するところまでは同じだが、キャラクターの移動はTPSのように三人称視点で自由に移動できるようになっている。

 まずコマンドモードでは地形と敵味方の位置が表示され、ここで動かしたい自軍のキャラクターを選択する。

自軍が行動できる回数は画面上の勲章のようなマークで表示されている。このシーンの場合、あと6回行動できることとなる

 動かしたいキャラクターを選んだら、アクションモードに移行する。アクションモードでは、まるでTPSゲームかのように選択したキャラクターを自由に動かすことができる。TPSと違うのは、基本的にこちらの攻撃はどこか一回のタイミングに限られていることだろう。だが、敵からの攻撃はガンガンくるため、それらをどう避けながら目的地まで進み、敵を倒すかが重要となってくる。

移動先を指定する方式ではなく、TPS視点で自由に移動できる
射撃もTPS視点

 そこで重要となってくるのが”兵科”。移動力に優れており、潜伏している敵を発見できるがHPや防御力は低めの「偵察兵」。攻撃力と防御力に優れているが移動力が低めの「突撃兵」。戦車の撃破に優れている「対戦車兵」。遠距離攻撃(狙撃)を得意とする「狙撃兵」。そして本作から追加された迫撃砲で榴弾攻撃を行う「擲弾兵」。そして組成や弾薬補充などができるが移動力もHPも防御力も何もかも低めなのが「支援兵」(※上級兵種は割愛)。

 この6つの兵科をどう使い分け、どのように進めていくかというところは、シミュレーションゲーム。キャラを選んだあとのアクションモードのところではTPSという、面白い構造のゲームが「戦ヴァル」だ。

 さて、ここで様々なプレイ方法が出てくる。地道に偵察兵で先を見据えながらじっくりと攻めていくのが、基本的にはどのマップでもほぼ正攻法と言えるだろう。だが、例えばひたすら突撃兵を多めにして特攻をかましていくような戦略もある。

 しかし筆者は違う。筆者の場合、狙撃兵を出せる限り出し、まず自軍の拠点の土嚢に狙撃兵を潜ませ、狙撃兵でひたすらヘッドショットで即死させられるまでリセットを繰り返してはとにかく敵の頭数を減らせるだけ減らす。スナイパーライフルは弾数が3と少ないので、支援兵を隣に置いておき、弾が0になったら支援兵で弾を補充する。そしてまたスナイパーライフルで敵の頭数を減らす。こうして見える敵を大体倒した後、ようやく偵察兵や突撃兵などを進ませる、といった手段を取りがちだった(ちなみにもちろん事前セーブして、ヘッドショットに失敗したらロードである)。

狙撃兵による狙撃。頭部は当てづらいかわりにダメージが高くなる

 もちろんこれだけで全てのマップを進めるわけではない。例えばやたらに戦車が多いようなマップでは狙撃兵は全く役に立たないので、対戦車兵を多めに出さなければならない。また、やたらと土嚢に隠れている敵が多い場合、ヘッドショットが効かなくなるため、まずは偵察兵の手榴弾などで土嚢を破壊しなければならない。

 そこはシミュレーションゲームらしく、実に様々な攻略方法があるのだが、「とにかく見えている敵は全て狙撃兵で殺す。敵がどんなに遠くにいようともリセマラのごとくヘッドショットを決めるまでロードする」が筆者のプレイだった。……こう書いてみると、1行動ごとにセーブして、うまく決まらなければロードするというやり方は、邪道とも言えるのかもしれない。それともみんなそうだったのだろうか。もしも「自分はこんな戦略を取ることが多かった」、「1行動ごとのセーブは邪道」等あれば、聞いてみたいような気はする。

邪道でもいい。バトルの最後に表示されるリザルト画面……もとい戦績報告書で、Sランクがほしい

 さらに、主人公のクロードだけが使える「オーダー」システムも忘れてはならない。行動権を指定分消費することで、キャラクターの体力を回復できる「治療要請」、味方全体の対人攻撃力があがる「一斉攻撃」など、オーダーだけで20種以上、さらに8章から使用可能になる4種のシップオーダーなども、決められた行動回数権をどう消費するかということに頭を悩ませることとなり、非常に戦略性が高かった。

ストーリーがめちゃくちゃ熱い

 筆者の場合、好きな「戦ヴァル」を挙げると「単純に総合的に好きなのは初代」、「音楽は2と3」「ストーリーだけなら3」という感じになるのだが、ここに本作が加わると「ストーリーだけなら3か4」、「総合的に見たら初代か4」となるほど、全体的に「戦ヴァル4」が好きである。

 まず本作の舞台は、1935年の架空のヨーロッパ。連合国家「東ヨーロッパ帝国連合」(帝国軍)と、王政を廃した共和国国家の連合体「大西洋連邦機構」(連邦軍)、東西二つの大国は、資源「ラグナイト」を巡って対立していた。

 そこからヨーロッパ大陸全土を巻き込んでの史上最大規模の大戦「第二次ヨーロッパ大戦」が勃発するものの、軍事的に優れている帝国軍によって、劣勢を強いられている連邦軍は、帝国への反攻作戦「ノーザンクロス作戦」を実行しようとしていた。

 主人公のクロードは、士官学校を首席で卒業。連邦国のレンジャー小隊「E小隊」の小隊長で、幼なじみのラズやカイ、本作のヒロインとなるレイリィらと共に、ノーザンクロス作戦に参加し、勝利を目指すが、様々な障害が立ちはだかる。いくつもの危機を克服してきたE小隊だったが、やがて連邦国内でも秘密裏に計画されていた「キグナス作戦」を開始することとなる。だが、そこで一行の前に立ちはだかったのが、帝国の”ヴァルキュリア”であるクライマリアだった。

ストーリーはエピソード仕立てで進んでゆく

 ここから先は物語上の重大なネタバレを多くふくむため、あえて語らないが、強いて言うと「筆者はダークな話のほうが好みである」。そして「筆者は巨大な敵に向かって団結していく物語が好きである」という、この2点だろうか。

 敵である帝国の将とて、必ずしも悪人なわけではない。そして戦争だからこそ、時には非情な手段すら厭わない……。そんな物語が好きな人ならば、「戦ヴァル4」はきっと忘れられない一本になるはずだ。

DLCでは初代「戦ヴァル」の第7小隊との共同戦線があり、クリアすれば第7小隊のキャラクターであるウェルキン、アリシア、ロージー、ラルド、イサラ、戦車エーデルワイス号が使用可能になる。クロードらE小隊と第7小隊のストーリーも面白い
帝国の特務大尉フォルセ。筆者のお気に入りキャラのひとり。イケメンは正義
筆者のお気に入りキャラクターのひとり・ラズ。イケメンは以下略(画像はDLC「E小隊、海へ!」より)
「戦ヴァル」シリーズは女の子たちもかわいい(画像はDLC「E小隊、海へ!」より)
今でこそE小隊の体調を務める頼れる隊長、というクロードだが、昔は「弱虫クロード」と呼ばれるほど臆病な性格だった。幼馴染のラズは、そんな昔のクロードのことをよく知っていて、未だに野次ってくる
DLC「ふたりのヴァルキュリア」はシナリオを18章クリアするまでプレイできないが、クリアすればセルベリア、クライマリア、ニコラ、キアラが使用可能になる
初代「戦ヴァル」で、帝国軍のヴァルキュリアとして第7小隊の前に立ちはだかったセルベリア様。「戦ヴァル」といえばセルベリア様
セルベリア様は何にも代えがたい正義である

音楽は崎元仁氏!

 「戦ヴァル」シリーズの楽曲は、筆者イチオシの作曲家・「ファイナルファンタジーXII」や「タクティクスオウガ」、「十三機兵防衛圏」(※一部)などで有名な崎元仁氏である。「戦ヴァル」の良いところは、豊富なバトルマップで、バトルマップひとつにつき崎元氏の素晴らしいバトル曲が聞けてしまうところにある。

 とはいえ、初代「戦場のヴァルキュリア」から引き続き使われている楽曲も多く、初代をプレイしていると少々残念な気持ちにはなってしまう部分もあるのだが、初代をプレイしていない人にとっては全てが崎元氏の新曲という気持ちで臨めるだろう。

 もちろん「戦ヴァル4」での新曲はいずれも粒ぞろい。素晴らしい崎元節が連発されている。特に筆者激推しなのは、崎元氏お得意のメインテーマを盛り込んだラストバトル曲である。「戦ヴァル4」のメインテーマを織り込みながら徐々に熱くなっていくメロディに、自然と気持ちが高まっていく。ストーリーの盛り上がりも最高潮なので、ぜひ物語と楽曲、ふたつの側面からラストバトルへ挑んでほしい。

筆者の、輝かしいようでいて輝かしくない戦績の一部。ジークヴァル会戦(1)は、対甲扱いの敵が多く、筆者お得意の狙撃兵による狙撃が使えず、非常に手こずってしまった。無念のCランクである。概ねSランククリアできているが、一部Aランクが混ざってるのが悔しい

 RAITA氏による魅力的なキャラクターと、「CANVAS」による独特のグラフィックによって描かれるストーリー、「BLiTZ」によるバトル、崎元仁氏による音楽、どの全てもが素晴らしく、「戦ヴァル4」は5年経った今でも様々な人にオススメしたいゲームとなっている。

 初代「戦ヴァル」とのつながりもゼロではないことから、興味があればHD版の初代「戦ヴァル」からプレイしてみてほしいところだが、前述の通り無理にプレイをしなくてもストーリーは理解できるようになっているので、安心してほしい。

 むしろ「戦ヴァル4」をプレイして興味がわいたら初代「戦ヴァル」をプレイしてみる、というのも全然問題ない作品なので、5周年を機にぜひ改めて「戦ヴァル4」を知ってもらえれば幸いだ。