【特別企画】
サイバーパンク×ドット絵の美しさが光る新作インディー「ANNO: Mutationem」プレイレポート
魅力はゲームならではのビジュアルのみならず探索も楽しい力作
2022年3月16日 20:00
- 【ANNO: Mutationem】
- 3月17日 発売予定
- 価格:
- 2,860円(通常版)
- 3,960円(コレクション版)
Lightning Gamesは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/PC用サイバーパンクアクションアドベンチャー「ANNO: Mutationem(アノー:ミューテーショネム)」を3月17日に発売する。発売が目前に迫る本作を発売に先駆けてプレイしたので、今回は本タイトルの魅力をじっくりと紹介していく。
サイバーパンクの世界と物語を彩るキャラクターたち
ネオンが輝くサイバーパンクの世界が舞台の本作は、主人公の「アン」を中心としたストーリーが展開される。彼女は自身を悩ます「モツレ」と呼ばれる病気を患っており、これの解明と「N540」という物語の鍵を握るアイテムを見つけるべく奔走する。舞台となるサイバーパンクの世界とキャラクターはドット絵で表現され、横スクロールゲームのようなビジュアルでありながら、奥行きも存在するという特徴的な見た目が本作の大きな魅力になっている。
サイバーパンクの世界を舞台にしたインディーのアドベンチャー作品としては「VA-11 Hall-A」であったり「Cloudpunk」など名作揃い。「ANNO: Mutationem」は「2D+3D」というコンセプトとドット絵を上手に組み合わせている点が強みと言えるだろう。
ストーリーでは主人公を始め多数のキャラクターが登場する。バーテンダーの姉やマッドサイエンティストのような見た目の博士、体を機械化し頭がロボットの父などサイバーパンクの世界観らしいユニークな人物が数多く存在する。なかでも注目したいのが主人公のバディのような役割を果たす「アヤネ」だ。
彼女はホログラムとして主人公を助けてくれるアドバイザー的存在で、フィールドでの探索中やミッション中は主人公とボイスチャットでやり取りをする。ときには自身を投影してくれるホバリングドローンのようなものから、ホログラムとして登場しその場にいる人物と会話するといった場面も。ここまで聞くとクールな人物であるように感じられるが、実は感情を前面に押し出すタイプで、実働部隊のような役回りをする主人公のアンがクールであるのに対し、アドバイザー的な役割を担うアヤネはどちらかと言うと熱血タイプ。勝手に喜んだり勝手にがっかりしたり、文句を言ったりと言いたい放題である。
基本的には探索がメインとなるがバトルパートも用意されている。戦闘は2Dアクションといった感じで近接武器や遠距離武器を駆使して戦うことになる。場面によっては取り巻きの敵をいなしつつ、ビルの上を走って逃げるボスを追うというシチュエーションも存在し、ビルの上を飛び越え駆け抜けるいったロマン溢れる展開も用意されている。バトルパートは爽快感をもたせつつも、比較的シンプルな作りで難易度は低めに設定されている印象だ。
ゲーム主な流れとしては、フィールドで探索してNPCから話を聞いたり、情報を持っているとされる人物の一室に潜入したりてして目的の情報を収集。その後、敵のアジトで下っ端やボスと戦うといったサイクルだ。アンダーグラウンドな世界に足を踏み入れ、悪事を働く人物たちを成敗する本作のストーリーでは、キャラクター同士の細かな人間関係も描かれる。序盤より登場する「モツレ」や「N540」などのキーワードに関しても、手がかりを集めることでだんだんと明らかになるほか、合間に挟まるアンとアヤネのユニークなコンビネーションも必見となっている。
細かなポイントにも作り込みを感じる仕上がりに!
本作の全体マップはかなり広いがオープンワールドというわけではないため車に乗って長距離をドライブといったことはできない。各マップにファストトラベルして探索する形になっている。一方で、各ロケーションはかなり作り込まれており、どれも密度高めだ。場所によっては裏路地も細かく作り込まれており、ジャンク品が落ちていたり、NPCの会話が聞けたりとやりごたえ満載の探索が楽しめる。
また、マップ内にはジャンクアイテムを拾う以外にも様々なポイントにインタラクトできる。ある場所ではマンションのドアののぞき穴を覗き込むことができ、中には怪しげなアイテムが祀られていたり、マンションの吹き抜けから下を見る事ができたりと様々。これらの要素は、自分が主人公としてこの世界を探索しているということを印象づけており、雑多な世界を探索する楽しさを引き立ててくれる。同じ場所も別のタイミングに訪れてみると変化が見られるなど、しっかりと探索しておくことが後の探索に活きてくることもある。
ゲームの画面は基本的に主人公たちを横から見たサイドビュー視点だが、このように一人称視点になる場所も存在し、本作の特徴的なビジュアルと組み合わさることでかなり新鮮に感じた。さらに、物語の合間に挟まるカットシーンでは視点が寄ったり引いたりなどカメラワークにも力が入っている。
特徴的なビジュアルやキャラクターたちのやり取りなど見どころ満載の「ANNO: Mutationem」
2Dと3Dのビジュアルを組み合わせた「ANNO: Mutationem」は、ドット絵で描かれる世界観が魅力的なタイトルだが、作り込まれたロケーションの探索は遊びごたえ十分で、遊んでみるとより楽しさを体感できるタイトルに仕上がっている。筆者は過去にSteamにて配信されていた体験版をプレイしたが、全体的にパワーアップしているのはもちろんだが、探索要素がより充実しているように感じた。
世界観を表現する街の風景やキャラクターの会話、フレーバーテキストに至るまで目が離せない作りで、ゲームの強みともいえるドット絵で鮮やかな世界を描きつつ、ボリューミーな探索、コンパクトにまとめられた戦闘などゲームならではの楽しさが詰まった1作だ。ドット絵で描かれるサイバーパンクの世界はもちろん、主人公のアンとアヤネのゆるいやり取りにも注目してほしい。
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