【特別企画】
新作PC用MMORPG「ELYON」プレオープンテストレポート
広大なマップに続々と解放されていく大ボリュームの遊びが圧巻
2021年9月27日 19:50
- 【「ELYON」プレオープンテスト】
- 9月24日~9月27日 開催
韓国Kraftonが開発し、日本ではゲームオンの運営で正式サービスが間近に控えているPC用MMORPG「ELYON」が、9月24日から27日までプレオープンテスト(POT)を開催した。このテストでは、抽選で選ばれたラッキーなプレーヤーが、正式サービスに先駆けて「ELYON」の世界を体験することができた。
筆者は前回、メディア向けPOT先行テストプレイ取材レポートではヴァルピン評議会側での序盤プレイの様子をお届けしたので、今回のレポートでは、対抗勢力であるオンタリー連邦側でのプレイをお届けしたい。スタート直後から最初のボス戦までのチュートリアル部分は同じなので、詳しくはこちらのレポートを参照して欲しい。
POTでも「ウォーロード」、「エレメンタリスト」、「ミスティック」、「アサシン」、「ガンナー」という5つのクラスを遊ぶことができた。前回は近接攻撃クラスであるアサシンを使ったので、今回は対照的な遠隔攻撃クラスのエレメンタリストの使い心地を試してみた。
ストーリーは薄め、だがコンテンツは盛りだくさん
インヴェントゥスという空を渡る方舟での破滅的な戦闘を経て、主人公はオンタリー連邦の辺境に落下する。空から 落ちてきた主人公を出迎えてくれたのは、灰色山脈の下級騎士カルメン・デルカド。その後はずっと彼女と、その父親ラハン・デルカドがストーリーの主軸を担っていく。
ヴァルピンの初期町は南国らしい明るい海の側にあったが、ゲームの舞台となるハースの北方にあるオンタリー連邦の初期町は、背の高い樹々に囲まれた山深い場所にある。森の向こうには雪を頂く険しい山脈が見える。
オンタリー連邦はかつて貴族の支配下にあった人たちが自由を求めて結成した国。再び自分たちを支配しようとするヴァルピン評議会に、古代文明の力の源であるポータルを奪われないよう戦っている。そんな設定もあり、主要なキャラクターたちの言動は、ヴァルピン側よりもくだけた雰囲気がある。
ただ、前回よりもストーリーを進めてみて感じたことだが、最近ではボイス付きの映画のようなカットシーンがあるMMORPGも珍しくない中では、物語が本編にかかわる要素は少な目だ。「ELYON」にももちろんカットシーンや物語はあるが、特に序盤のそれはチュートリアル的な色合いが強いように思えた。
もちろん、ストーリーの中では、魔甲機と呼ばれるパワードスーツのようなマシンに乗り込んで戦うイベントバトルや、くすっと笑えるサイドクエストのようなものもある。またMMOでは珍しく主人公も吹き出しのセリフで結構しゃべる。謎のキャラクターも登場する。
本作は2勢力による対人戦に比重が置かれており、複数のPvPエリアや1対1、3対3のマッチメイクコンテンツなど、対人戦コンテンツも多く用意されている。もちろん、時限的に発生する多人数参加PvEのワールドクエストや、多数のダンジョンなど、PvEコンテンツも多い。
さらに複雑に要素が絡み合う成長、強化コンテンツでの自由なキャラクター育成もやりこみ要素として大きな比重を占めている。レベル35を超えると、続々と新たな要素がアンロックされていき、やれることや行くことのできる場所がどんどん増えていく。
つまり、コンテンツ全体の中でストーリーの占める比重がやや小さめということで、決して本作が薄いというわけではない。マップの広大さや、その広大な空間に散りばめられたコンテンツの多彩さなど、近年のゲームの中でも指折りの大作であることは間違いない。
相手の動きを阻害して、強力な範囲魔法で一網打尽
まずは今回使用したエレメンタリストの使用感を紹介したい。エレメンタリストは、防御力は高くないが、全クラス中最も広い攻撃範囲と、氷や炎、雷の強力な魔法を使うアタッカークラス。
詠唱を伴うスキルもあり、その場に立ち止まって戦うことも多いが、基本操作の回避以外に、瞬時に敵から距離をとるスキルを持っているため、機動力は想像よりも高い。本作ではモンスターの体に当たり判定があるため、囲まれると逃げ出せなくなってしまう。そうなると防御力が低いエレメンタリストにとっては圧倒的に不利な状況になるため、常に逃げ場を確保しつつ戦うことを意識した。
攻撃に使えるスロットは、マウスの左右ボタンとそのクラス独自の特殊なアクションが入るTabキーを含めて13スロット。そのうち3つは「マナ覚醒」というレベリングとは別枠の成長要素によってアンロックする必要があるので、中盤に使えるのは10スロットということになる。だが、覚えるスキルはスロットの数よりもはるかに多いため、何をセットするかによって同じクラスでも戦い方がガラリと変わる。
スキル画面には中盤レベル用のプリセットがあらかじめ4つ用意されている。推奨プリセット画面に、そのスキルを使った戦い方も書かれているので、まずはその説明通りの動きをすれば、開発側が想定しているそのクラスの戦い方を理解することができる。
中盤のレベリングで主に使用するのはレベル33から使えるようになる「狩猟プリセット」。プリセットの説明には「火炎系スキルを装着後炎熱効果を発動させ、ブラスタースキルの即時発動効果に集中するように設定したプリセット」とある。
さらに、使い方も丁寧に説明されている。上の説明をもっと端的に言うと、範囲攻撃で敵を集めた後、打ち上げやスタンなど行動を阻害する範囲攻撃で動きを封じつつ、追加効果である「炎熱効果」をつける。この効果があると、詠唱を伴う強力な魔法攻撃である「ブラスター」の即時発動が可能になる。ブラスターには、2発連続で打てるスキル特性を付与しておいて、一気に2発を叩き込む。さらに5連発で打つとコンボ攻撃になる「ファイアバレット」で畳みかける。この一連の流れを繰り返すことで、群れているモンスターを効率的に集めて一網打尽にできる。
ただし、スキルを説明通りに使用するには、スキルに打ち上げやスタンなどの追加効果を付与する「スキル特性」を想定通りにセットする必要がある。ところが、スキル特性の中には戦闘を通じてアンロック用アイテムをランダム入手するものもあり、必ずしもプリセット通りにしていれば何も考えずに戦えるというわけではない。
スキル同士の連携を考えつつ、スキル特性や、パッシブ性能をカスタマイズできる「ルーン特性」などを組み合わせて、最適のスキル構成を作っていくことが、キャラクターを育てていく中でのやりこみ要素となっている。自分で作り上げたスキルセットは、基本プリセットの中に保存しておけるので、パーティ用、対人戦用などを別に組んでおいて瞬時に切り替えることができる。
大拠点「太陽のたてがみ」で装備強化をアンロック
ここからはレベル30以降にアンロックされていく要素について紹介したい。レベル30前後までストーリーを進めると、勢力の本拠地となる大拠点「太陽のたてがみ」に到着する。
この街では「装備強化」と、「ルミナス」をはじめ多数の新要素が解放される。装備強化は、「強化職人」というNPCを通じて、強化石を使って装備の基本性能を上げる成長要素。強化石には装備用、武器用など3つの種類があり、それぞれに等級がある。等級の高い石ほど付与される性能が高くなるが、失敗する確率も高くなる。
装備によって強化できる回数が決まっており、装備の説明に白と黄色の◇で表示されている。黄色い◇は、通常よりも成功確率が高くなるスロットなので、等級が高い強化石はここで使う。失敗すると性能は付与されないが、スロットは埋まってしまう。例えば4つのスロットがある装備で、2回失敗すると、スロットは失敗した石で埋まってしまい、2回分の性能しか強化されない。埋まってしまったスキルスロットを初期化する方法もあるが、そのための特別なスクロールが必要だ。
星座が降臨した力「ルミナス」
首都で解放できるもう1つの要素が「ルミナス」だ。ルミナスは、空の星から降りてきた力が、地上のマナと混ざり、特殊な文様が浮かぶ発行体となったもので、オンタリーでは「星座が降臨した力」と言われている。ルミナスはペットのように召喚することができ、召喚者の能力値を向上させる。召喚すると、UIにルミナスのマークが表示される。最初にもらったルミナスは召喚できる時間が32分間。ルーン特性「制御1」に1ポイントのボーナスがついた。
ルミナスには星座の姿に合わせて複数の種類があり、さらに色に応じて獲得できるルーン特性ポイントが異なる。1回に召喚できるルミナスは1種類のみなので、自分に必須のルーン特性を見極めて使用する必要がありそうだ。ルミナスは合成することで成長させることができる。
自分の家を入手した後は、「ルミナス戦闘」が使えるようになる。これは、使用するルミナスと戦闘するエリアを指定して放置しておくと、キャラクターが自動的に敵と戦ってアイテムや経験値を入手できる。戦闘できる時間は「ルミナスオーラ」という要素で決まっている。
ハウジングと同時に生産、採集が可能になる
メインストーリーを進めていくと、レベル35前後で自分の家をもらえた。この家は、風光明媚な高地に建つ一軒家。アカウント単位になっているようで、ほかの冒険者の家も訪問することができる。
家には家具を配置したり、畑や鉱山を作って資源を入手したりすることができる。また家の中には生産施設があり、自分で武器や防具を作ることができるようになる。アイテムを収納するための倉庫は6段階に分かれており、家をアップグレードさせることで収納数が増えていく。
生産収集要素には熟練度が設定されており、回数をこなすことで採集できる場所やアイテム、生産できるものが増えていく。
2種類のソロダンジョンに挑戦
本作のダンジョンにはソロダンジョンとパーティダンジョン、高難易度の超越ダンジョン、タイムアタックダンジョンの4種類がある。その中で、今回はレベル28で入れるようになるソロダンジョン「ゴブリン洞窟」と、35のソロダンジョン「船の安息所」の2種類に挑戦してみた。
「ゴブリン洞窟」は、その名の通りゴブリンがひしめく洞窟。溶岩の上を通るトロッコで侵入すると、坑道のようなゴブリンの住処にたどり着く。ソロダンジョンは、点在する雑魚敵を倒しながら進むと最奥にボスが待ち構えている。このダンジョンでは巨大なゴブリンの親玉との戦闘になった。
とげの付いた棍棒を振り下ろす攻撃や、ショルダータックル、ジャンプ攻撃などを回避しつつ戦った。初めてのソロダンジョンボスとしては、難易度はそこそこ高めで、装備や回復薬などしっかりと準備を整えていく必要を感じた。
それは、「船の安息所」も同様だ。こちらは海賊が根城にしている船に乗り込むというダンジョンだが、爆弾が入ったタルを壊して敵にダメージを与えたり、設置された大砲からの攻撃をよけたりといったギミックが用意されている。最奥にいるボスは、回転しながらの範囲攻撃や、多数の小さな爆発による連続攻撃、大砲の多段攻撃や部下の呼び出しなど、非常に手数の多い攻撃を繰り出してくる。入場可能レベル直後には、装備が不十分だったこともあり歯が立たたず、装備やスキルを見直した3度目の攻略でようやく倒すことができた。
フィールドで出会う様々なクエスト
フィールドには通常のクエストのほかに、探索クエストや「セフィロトの分身」など様々なミニコンテンツがある。探索クエストは、ヒント無しでものを探しだすクエスト。グライダーを使った滑空でなければいけない場所もあり、冒険感のあるコンテンツだ。
「セフィロトの分身」は、フィールドで時折見かけるセフィロトの分身を迫りくる敵から守るというタワーディフェンス型のコンテンツ。大量の敵が沸いてくるので、どちらかというとパーティ向けのコンテンツかもしれない。
「ワールドクエスト」は、不定期に発生するインスタンス型の多人数参加コンテンツ。発生すると参加するかどうかの確認UIがポップする。参加を表明しておくと、参加募集の制限時間終了後に自動的に戦闘場所に移動する。
筆者が参加したのは最大20人で戦うドラゴンとの戦い。やはり周りに仲間がいるのは心強いもので、ミスティックからの回復を受けつつ、多くの仲間とともに楽々とドラゴンを討伐することができた。
また、クエストや戦闘をしていると、たまに宝箱の地図がもらえることがある。これを使うと、フィールドにドアが現れて、宝箱があるエリアに入れる。これは障害物をよけながら宝箱を開けていくという、ボーナスステージのようなコンテンツで、数度入ったが毎回内容が違っていた。時には眠っているドラゴンを起こさないようにそっと歩きながら、また近づいてくる巨大な泡に巻き込まれないよう逃げ回りながら、さらに転がってくる岩をよけつつなど多彩なシチュエーションで宝箱を開けていく。制限時間内に指定の数を開けることができれば報酬が出に入る。
ほかにも雑魚敵の中にエリートクラスの上級モンスターが佇んでいたり、デイリークエストの中で強敵と戦うコンテンツなどもあり、日々の遊びには事欠かない。
マナ覚醒とRvR解放
レベル35になると、ポータルが使えるようになり、はじめに選んだ勢力の対抗戦であるRvRが解放される。同時に「マナ覚醒」が使えるようになる。ポータルは次元を超えて移動できる古代のアーティファクト。デイリーポータルは毎日1時間だけ使用できるポータル。内部は、2つの勢力が戦う「紛争地域」になっており、クラン戦ができるRvRエリアになっている。通常のデイリークエストもあるので、ヴァルピン側のプレーヤーに襲われる危険のある中でモンスターと戦うことになる。今回は参加していた人数が限られていたこともあり、大規模な対人戦というよりは、中にいる対抗勢力のNPCとの戦闘が主だったようで、筆者がいた時間帯にも、刻々とエリアの領有権が入れ替わっていた。
「マナ覚醒」は、謎の人物ハダドが授けてくれるキャラクターのカスタマイズ要素。主人公の中に眠るセフィロトの力を開放することで、新たな能力を得ることができる。解放には3つの系統があり、いずれかの系統を進めるとほかの系統が消えることがあるとのことだ。正式サービス時に使えるナマの上限は40で、「重要刻印」というスキルを2つまで解放することができる。マナの総量は今後のアップデートで追加されるようだ。
やればやるほど楽しくなるスルメゲー
今回紹介した以外にも、「釣り」や「再錬」、「星座コレクション」、「収集図鑑」など様々な遊びが用意されている。限られた時間の中ではほんのさわりしか試せなかった要素も多数あるので、ぜひご自分でプレイして確かめてみてほしい。
今回、主要なコンテンツが出そろうレベルまでプレイしてみて、そのボリュームの大きさに驚いた。と同時に、今時では珍しいストイックな難易度の高さを感じた。本作ではレベル30以降、一般フィールドでNPCを相手に死亡した場合、5%の経験値をロストする。
フィールドは敵が密集しており、戦っている最中に近くの敵が乱入してくることはしょっちゅうで、リポップ時間も早いので戦っている間に倒した敵が再び沸いてさらに襲い掛かてくるということもかなりの頻度で遭遇した。
雑魚の中には、ボスと表記されたひと回り大きい敵が混じっており、雑魚よりも攻撃力や体力が高く、より強力な攻撃を仕掛けてくる。体力が減るとバーサークモードになって、さらに強力な攻撃を仕掛けてくるようなボスもいた、こういった敵を複数吊って囲まれてしまうと、当たりがあるため逃げ出すこともできず、行動阻害されて回復する間もなく倒されてしまうこともあった。
ギアで交換できる経験値復旧スクロールがあれば、拠点にある経験値復旧碑で戻ってくるので、全く救済措置がないわけではないが、中盤以降はレベリングの間もスキルや装備に手を抜かず育てていく必要があるあたりは、最近では珍しくなった硬派なゲーム性だといえるだろう。
だが、ワンボタンで次のクエストポイントに自動移動したりといった最近のMMORPGらしい利便性もしっかり兼ね備えており、最初は難しく感じても、遊べば遊ぶほどに思い通りにカスタマイズできる部分が増えていき、じわじわじとそのやりこみ要素にハマっていくスルメゲー的な楽しさを持つゲームだと感じられた。まもなく始まる正式サービスでは、ぜひスタート時にしか味わえないワチャワチャを楽しんでほしい。
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