【特別企画】
開幕を明日に控えた「第3回全国高校eスポーツ選手権 LoL部門」の注目選手とポイントを紹介!
168チームがしのぎを削る。強豪チームが順当に勝ちがあるのか?
2020年12月11日 00:00
- 【第3回全国高校eスポーツ選手権】
- 予選:
- 11月21日より(「ロケットリーグ」部門)
- 12月12日より(「リーグ・オブ・レジェンド」部門)
- 決勝:
- 2021年3月13日(「ロケットリーグ」部門)
- 2021年3月14日(「リーグ・オブ・レジェンド」部門)
11月21日より開催されている「全国高校eスポーツ選手権」のオンライン予選。その「League of Legends(以下、LoL)」部門の予選が12月12日よりスタートする。
本大会の競技種目は2種で、1つ目の「ロケットリーグ」部門の予選は既に先月終了しており、決勝に進出する4チームが既に決定している。そちらでも、高校生選手たちの青春を賭けた戦いが繰り広げられていただけに、「LoL」部門でも白熱し、手に汗握る試合の連続となるだろう。
「LoL」はライアットゲームズが運営する、世界で最もプレイされているMOBA。高い戦略性を誇りチームプレイが大切となる5vs5のゲームだ。高校生とはいえ、国内プロチームに練習生として所属している選手も参加するということもあり、上位チームの試合はプロ顔負けの試合が展開される。第3回となる今大会もそうしたプレイに期待がかかる。そこで本稿では、本大会の注目チームに加え、初見では少々わかり辛い「LoL」の見どころも紹介していく。
世界で最もプレイされているオンラインゲーム
「LoL」は10年以上の歴史を持つ世界で最もプレイ人口の多いオンラインゲームで、世界で1億人以上のプレーヤーが存在する。日本でも国内サーバーが2017年に設立、国内プロリーグである「LJL」も年々盛り上がりを増している。
そんな「LoL」だが、MOBAというジャンルの宿命か、ぱっと見で何をしているかわかり辛いという難点がある。そこでまず簡単に、本作のルールを説明しよう。
まず、上述した通り「LoL」は5vs5、計10名で行なうチームゲーム。各プレーヤーはそれぞれ「チャンピオン」と呼ばれるキャラクターを選択して、3本あるレーンに向かい、道中にある「タワー」というオブジェクトを破壊しながら前進、敵の本拠地である「ネクサス」を破壊することがチームの目的となる。
プレーヤーはレーンに進んでくるミニオン(雑魚モンスターのようなもの)を倒したり、相手のチャンピオンを倒すことで経験値やゴールドを入手し、レベルを上げたり、ゴールドで装備品を買ってチャンピオンを強化していく。
各チャンピオンはメイジやアサシンといったそれぞれ異なる役割や特徴を持っており、得意不得意がある。そのため、勝つにはチームでの協力が必要不可欠で、1人だけの活躍で勝つのは困難だ。3本あるレーンのうち、Top・Midレーンでは1vs1が繰り広げられるが、Botでは2vs2。更に、ジャングルを周回しながらレーンを助けるジャングラーの存在もあるため、チームの連携が不可欠なゲームだ。本大会では特に、プロリーグと異なり全てのプレーヤーのプレイスキルが一定ではないため、プロの試合とは違った形で、チームでのコミュニケーションや作戦、実戦での連携が活きる展開もあるだろう。
公式よりわかりやすくゲームの流れを紹介する動画も公開されているので、是非視聴して欲しい。
本大会は”プレシーズンパッチ”で独特のメタ
「LoL」は頻繁にアップデートが入るゲームだが、特に「プレシーズン」と呼ばれる期間には大きな変更が入る。実は現在、そのプレシーズン真っ最中で、全てのアイテムが変更されるという天変地異が起きている。まだメタ(アップデート=環境によって変わるチャンピオンや戦術などの強弱)が定まっていない。「LoL」はチームでどのチャンピオンをピックするかも勝敗を分けるため、未知のチャンピオンの登場などカオスな試合が繰り広げられ、大番狂わせが起こる可能性も充分にある。
今現在どのチャンピオンが強くて、どんなアイテムを装備しているかをチェックしておくと観戦を楽しむことができるだろう。チャンピオン毎の勝率やビルド(アイテムのチョイスや購入順など)を調べるなら、「OP.GG」などが「LoL」においてはメジャーなサイトだ。
ちなみに、執筆時点のパッチ(大会で使用されるのは12月12日に適応される新パッチ)では、タンクの装備するアイテム「サンファイアイージス」を装備する「マルファイト」などのチャンピオンや、「赤月の刃」を装備した「ゼド」や「ジン」などのアサシンやマークスマンなどが強力。また、「グレイブス」や「ケイン」といったジャングル周回が得意なチャンピオンも影響力が強い印象だ。プレシーズン以降で刷新されたアイテムはどれも強力で、試合展開がかなり早まったようにも感じる。因みに、本大会ではルール上、新チャンピオン「レル」は使用不可となっている。
とはいえ、プレシーズンのメタ、特にチーム戦では今だに正解がわかっていないに等しい状態。本大会では「LJL」でもお馴染みの実況のeyes(アイズ)さんと、解説者のRevol(レボル)さん、アナリストとしてプロチーム「DetonatioN FocusMe」でコーチを務めるKazuさんが登壇するので、初見の人にもわかりやすくメタや試合の展開を伝えてくれるはずだ。
全168チームで競われる熾烈な予選
「LoL」部門に参加するチームは全168チーム。それぞれ12月12日~13日、12月19日~12月20日にかけてブロック予選が行なわれ、ブロックAからブロックHそれぞれを勝ち抜いた8チームが20日の予選決勝に駒を進める。さらにその予選決勝で勝利した4チームが、3月14日に行なわれる決勝大会に進出できる。
予選のルールはBO1(1本勝負)で、ミスの許されない一発勝負となる。強豪チームはメタに順応する能力も高いことが予想されるが、BO1であることや、前述の通りカオスなメタで試合が行われることも合わさって、強豪チームが予選で敗退するような大波乱が起きる可能性も十分にある。
このように、何が起こるかわからない、白熱した試合が予想される本大会。以下では筆者が注目するチームをいくつか紹介する。観戦の参考にしていただければ幸いだ。
N高等学校「KDG N1」
沖縄県のN高等学校は、本大会に5チームも送り出している注目の高校。中でも「KDG N1」はプロの練習生やプロ志望の選手が所属する優勝筆頭候補のチームで、前回の全国高校eスポーツ選手権だけでなく「STAGE:0」でもでも2019、2020共に連覇しており、高校ナンバー1チームといっても差支えのない実績を誇る。本大会への意気込みも「優勝以外狙っていません。」強気の姿勢を見せていることもあり、自信のほどが伺える。
中でも注目なのは、まりも選手とShakeSpeare選手の2人。まりも選手はLJLの強豪チーム「DetonatioN FocusMe」にサブADCとして所属している若手のホープで、第2回大会でも素晴らしいプレイを披露してチームを優勝へ導いた。チームの紅一点であるShakeSpeare選手は「Rascal Jester」に練習生として所属している。弊誌では彼女のインタビューも実施しているので、是非目を通してほしい。
クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス「Yuki飯食べ隊」
その「KDG N1」のライバルポジションにいるのが東京都代表のクラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス「Yuki飯食べ隊」だ。前回の高校生eスポーツ選手権と「STAGE:0 2020」の決勝戦で「KDG N1」に敗れ2大会連続で準優勝に終わっている。元プロプレイヤーのYukiさんがコーチを務めているチームであり、チームを引っ張るジャングラーのFunahwi選手が注目選手だ。
去年実施した大会後のインタビューでは「経験の差を感じた」と述べていたが、同時に「来年になったら絶対勝ちます(Funahwi選手)」と意気込みを見せてくれた。前回の課題だった個人技を磨き、リベンジを有言実行できるのかに注目。勝って今年こそチーム名の由来、兼ご褒美である「Yuki飯」(※Yukiコーチは料理上手)を食べられるのか、期待がかかる。
岡山県共生高等学校「岡山共生eスポーツ部A」
最後に紹介するのは岡山県の「岡山共生eスポーツ部A」。岡山共生といえば、赤バフ選手という超高校級の選手を要する強豪チームとして一目おかれていたことが記憶に新しい。しかし、本大会では赤バフ選手を含む生徒が受験のため引退。1年生中心のチームとなり決勝進出を狙う。チーム紹介にもある通り、諦めない姿勢で決勝進出を目指してほしい。
注目の選手は「STAGE:0 2020」にも出場していた中国人留学生のReigns選手。昨年の大会では、自身の起こした問題で出場することができなかったこともあり、今大会への意気込みは高いはずだ。反省をバネにチームを勝利に導いてほしい。
注目ポイントは同高校対決と通信制vs全日制
最後に、本大会での注目ポイントを2点ほど紹介しよう。1つ目は、同校対決。上で紹介した3校共に、複数チームが参加している。もう一方のチームは2軍的な立ち位置でもあるが、チーム紹介を見る限り、1軍へのライバル意識を燃やしていることは間違いなさそうだ。多くのチームが予選決勝・決勝まで同校対決が実現しないが、AブロックではN高同士の対戦がブロック準々決勝で実現する可能性がある。普段から一緒に練習をしているということもあり、手の内を知っているからこその戦略もありえるだろう。
2点目は通信制と全日制の対決だ。前回大会から、通学しなくていいため練習時間がとりやすく、チームメンバーも増やしやすいため、eスポーツと相性のいい通信制高校の躍進が目立つ。中でもN高は本大会に5チームも送り出していることからも、他高校との差が伺える。単純に部員が多ければチーム戦なども行なうことができる。横浜市立南高校や豊田工業高等学校といった、前回大会で結果を残した全日制の高校が出場していないことからも(両校の内情は不明なため、はっきりとは言えないが)、eスポーツ部の持続の難しさも伺える。
そんな中でも全日制が通信制とどう渡り合っていくのかは見どころだ。もちろん、通信制のチームのハイレベルなプレイにも期待したい。