インタビュー

「LoL」プロチームで国内初! 女子高生練習生ShakeSpeare選手インタビュー

全国高校eスポーツ選手権は「自分が入れば優勝に貢献できると思った」

【ShakeSpeare選手】

7月13日 加入

インタビュー収録:LFS 池袋 esports Arena

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で執筆活動をセーブしていた筆者だが、今回どうしても引き受けたい依頼が舞い込んできた。個人的にアマチュア選手の取材は難しいと感じているのであまりやらないのだが、話題のあの選手がついにプロチームに加入したとのニュースが伝えられたのだ。

 その選手とは、先月Rascal Jester(以下RJ)の「League of Legends(以下、LoL)」部門に練習生として加入したばかりのShakeSpeare選手である。昨年末に行われた「第2回全国高校eスポーツ選手権」において、優勝したN高等学校(以下N高)のメンバーに美少女がいるということで話題になった人物だ。RJ所属となったのなら、国内プロリーグ「League of Legends Japan League(以下LJL)」で通訳を務めている私としても是非取材したい! というわけで、早速彼女に会ってきた。

 モデルとしても活動しているとの事前情報どおり、実際に会ったShakeSpeare選手は非常にほっそりしていて可憐な雰囲気を醸し出していた。ところが話を聞いてみるとものすごいガッツと行動力があって、どうやら試合のとき以外はボットレーンで「つむじ風」を吹かせたりしちゃっているらしいのだ。そんな意外な面まで見せてくれたShakeSpeare選手のインタビューを、皆さんにたっぷりお楽しみいただきたい。

Rascal Jesterに練習生として加入したShakeSpeare選手こと大友美有さん。にこやかにインタビューに答えてくれた

RJの練習生として活動中! ハプニングからArt選手とのduobotも

――まずはRJに加入したきっかけから教えてください。というのも、以前のインタビュー記事で「プロを目指しているわけではない」と話していたのを見たことがありまして。そこから一転、気持ちの変化が起こった理由が知りたいです。

ShakeSpeare選手:もともとそんなにプロには興味を持っていなくて、第2回全国高校eスポーツ選手権に出る前はLJLのこともわかっていなかったんです。だけど、大会に出てからどんどん「LoL」に対してのモチベーションが上がっていきました。その後また別の小さい高校生限定の大会があって、高校生大会で2位のチームだったクラーク記念国際高等学校と再び当たったときにN高が負けちゃったんです。それがすごい悔しくて、だったらせっかく練習生のお誘いも来てるし、RJに入ってチームゲームのことを教わって身につけたいなと思って加入しました。

「第2回全国高校eスポーツ選手権」にてインタビューに応えるShakeSpeare選手

――そういう経緯だったんですね。それで晴れてプロチームの練習生になったわけですが、現在どんな活動をしているのか簡単に紹介してもらえますか。

ShakeSpeare選手:私はまだKR(※韓国サーバー)アカウントがもらえていない状況なので、スターターの選手のスクリムを見たり練習生同士でスクリムをしたりしています。それから今はviviD選手(※RJのサポート)に教えてもらっています。あと、この前ADCの練習生が急にスクリムに参加できなくなっちゃったときは、いきなりArt選手(※RJのADC)が来てくれたんです!

――それはすごいですね!(笑)。Art選手とのボットレーンはどうでしたか。

ShakeSpeare選手:1戦目は緊張して全然喋れなくて、もうひたすら何もできないのが申し訳なかったからサモナースペルの管理だけしてましたね。でも2戦目からは自分も何かを持って帰らないとダメだなと思ってけっこうグイグイ行くようにして、「倒しに行きたい」とかpingを出したりしたんですけど失敗しました(苦笑)。Art選手は本当に上手かったです。全然デッドしないし、「これ隣に誰もいなくても何とかなるのでは?」と思っちゃうぐらい。

2020年Spring Sprit当時のRascal Jester。左からCogCog選手、hachamecha選手、Ninja選手、Art選手、viviD選手、Savageコーチ(前)

――では、viviD選手はどうですか。教えてもらうようになってから、自分のなかで何か変化はあったりしましたか。

ShakeSpeare選手:viviD選手はめちゃくちゃ丁寧に教えてくれます。変わったことは、自分はそんなにリプレイを見直さない派だったんですけどやっぱり見直したほうがいいんだなっていうのと、スクリムに出てからはチャンピオンプールをもっと広げなきゃダメだなと思いました。

大好きな「LoL」、その魅力とは?

――ここからは、好きなチャンピオンや得意なプレイスタイルについて教えてください。高校生大会ではカルマを使っていましたが、メイジ系サポートが得意なんでしょうか。

ShakeSpeare選手:好きなチャンピオンはジャンナです。以前はメイジ系サポートのほうが得意だったんですけど、最近はセトやスレッシュのほうが個人的には使いたいし上手い気がしています。サポートだけど突っ込んで行くのが好きでADCより前に立ちたいので、それより前に立ってくれるADCが好きだったりしますね。

――では、他のポジションで好きなチャンピオンはありますか。

ShakeSpeare選手:他レーンだったらヤスオが好きです。ただしミッドレーンではなくADCとして使いたくてやってます。あ、でもジャングルも好きです。ちゃんと使えるのはニダリーしかないんですけど。あとはグレイブス、イブリン、ケイン、カミール、ジャックスとかちょっと今(=メタ)じゃないなっていうチャンピオンが多めですね。

良くも悪くも大人気なチャンピオン「ヤスオ」。ShakeSpeare選手はADCでピックするという

――ShakeSpeare選手の外見の可愛らしさや雰囲気とは裏腹に、だいぶアグレッシブな感じでちょっとビックリしました(笑)。それならば、逆にプロとしてやっていく上でサポートを選んだ理由が気になります。

ShakeSpeare選手:そこはもうずっとサポートをやっているからですね。それと競技シーンでは、ジャンナってなかなか出てこないじゃないですか。なので普通に上手いサポートプレーヤーとしても出られたらいいんですけど、ジャンナが上手すぎてピックさせてもらえたらいいなっていうのもあります。日本一ジャンナが上手い選手になりたいです。

――逆にジャンナをターゲットバンされたりするのも気分が良いかもしれませんね。ところで「LoL」の楽しみ方って色々ありますけど、ShakeSpeare選手にとってこのゲームの面白さはどんなところにあると思いますか。

ShakeSpeare選手:ゲームの面白さとはちょっと違ってしまうかもしれないんですけど、「LoL」ってゲームを通じて友達ができるじゃないですか。その人たちと競ったり一緒にプレイできるから面白いと感じるんじゃないかなって思います。ただ私の場合、最近はもう楽しむというより勝ちたくて「LoL」をやっている感じになっちゃったので、みんなでやってるとあんまり集中できないからひとりでプレイすることも多いです。チャンピオンプールを広げるために、最初はプラクティスで触ってからノーマル行ったりランク行ったりって感じですね。

LFS 池袋でプレイを始めた瞬間、雰囲気が変わるShakeSpeare選手

これまでの「LoL」のキャリアをたどる

――そもそも「LoL」を始めたきっかけって何だったんですか。

ShakeSpeare選手:中学2年生のときに気になる人がいて、その人がきっかけで始めました。その人に「ランク上げたらいっしょにプレイしてあげる」って言われてデュオしたくて……。今はもうどこかに消えてしまったんですけどね。

――おお~! 私、こういうパターンのインタビューは初めてかもしれません(笑)。ちょっとドキドキしてきましたが、結局デュオはできたんでしょうか。

ShakeSpeare選手:はい、できました! その後もたまに「LoL」に戻ってくるときがあってちょいちょい遊んだりしたんですけど、もう一切戻ってこなくなりました……。

――そうなんですね。ちなみに当時のランクってどれぐらいだったんですか。あと、これまでの最高ランクもあわせて教えてもらえますか。

ShakeSpeare選手:当時はその人がゴールドで自分がブロンズでした。最終的にその人はチャレンジャーまで行ってましたけど、ダイヤに落ちてから消えましたね。私の最高ランクはグランドマスターです。

――やっぱりすごいですね。そんな中学時代の淡い思い出を経て、高校生になってから大会に出ようと思ったのはなぜですか。

ShakeSpeare選手:高校1年生のときに「LoL」の大会があることを知ったんです。ちょっと強気な発言になっちゃうんですけど、N高のメンバーも元々強かったし、自分のプレイにも少しだけ自信があったので、N高のチームに入れば優勝に貢献できるのでは、と思いました。それですぐにN高に転校したかったんですけど、親を説得しきれる自信がなくて。その後2年生になってちょうど同じクラスに女子高生ミスコンのファイナリストがいたのでそっちも参加してみようかなと思い立って、「両方頑張るから、どっちも結果残すから、学校変えてもいい?」みたいな感じで親を説得しました。

――ミスコンのほうはいかんせん知識がないもので基本的な質問になってしまうのですが、どんなコンテストだったのか簡単に紹介してもらえますか。

ShakeSpeare選手:「女子高生ミスコン」っていうのに参加しました。高校生であれば学校はどこでも大丈夫、かぶっても大丈夫です。審査内容はLINE LIVEとかmystaっていう配信サイトだったり、あとはTwitterとかInstagramのフォロワー数などでした。他に投票もあります。最初は県内で絞られていって、私は埼玉県代表になったんです。そこから最終的に北海道や九州などのエリアごとに選ばれていくんですけど、私は関東代表に選ばれてファイナリストになれました。

――現在はモデル活動もしているんですか。

ShakeSpeare選手:今は特にないんですけど、着物のお店のモデルとして撮影を予定しています。これからモデルの仕事も頑張っていきたいです。

――ミスコンやモデル関連のほうでもおそらく「自分はeスポーツをやっている」と話したことがあると思うんですけど、そっちの業界ではeスポーツ自体知られていますか。

ShakeSpeare選手:う~ん、大人の方とかは結構知っていたりしますけど、やっぱり同じぐらいの歳の人たちにはあまり知られてないんですよね。

これは運命?「GALLERIA SQUAD」の一員として

――ところでRJのスポンサーとして知られるGALLERIAの新しい取り組みとして「GALLERIA SQUAD」というeスポーツ集団が結成され、ShakeSpeare選手もそこへ加入することが発表になりました。eスポーツを広めるチャンスにもなりそうですが、今後どんな活動をしていきたいですか。

ShakeSpeare選手:まだ具体的な活動の方向性は決まっていないんですけど、個人的にはeスポーツの楽しさはもちろん、GALLERIAのPCの良さも伝えていきたいです。相棒みたいな感じで愛着がわいちゃっているので。

――それはRJのゲーミングハウスでGALLERIAのPCが使われているように、練習生のShakeSpeare選手にもすでに支給されているということでしょうか。

ShakeSpeare選手:いえ、私が使っているGALLERIAのPCは普通に自分で買ったものです。両親がずっとGALLERIAを使っていたので、そのまま自分も「PCはこれしかないんだな」と思って生きてきました(笑)。だからRJに入れてめっちゃ嬉しかったですね。

――なんと! それは運命的とも言えますね。そもそもPCには詳しいほうなんですか。もしもマシントラブルなどを経験したことがあれば聞かせてください。

ShakeSpeare選手:マシントラブルではないんですけど、PCに自分が詳しくなさすぎてビデオカードが入っていることに気づかないまま1年間ぐらい使ってたっていうのはあります(苦笑)。でもGALLERIA SQUADのメンバーにもなれたし、これからもっとPCのことを勉強したり、いつか自分でPCを組み立ててみたいなとかは思ってます。

かねてよりGALLERIAユーザーだったShakeSpeare選手。RJとの出会いは必然だった……!?

「もっと上手くなりたいし、LJLにも出たい」

――ところで高校生でプロチームの練習生となると学業との両立が難しいんじゃないかなと思ってしまうのですが、そのあたりはどう考えていますか。

ShakeSpeare選手:結構時間はあるので大丈夫だと思います。でも、それってやっぱりN高に通ってるからこそできている部分が大きいです。普通に通うタイプの高校へ行きながらだと、自分のやりたいことをやっていくのはちょっと難しいんじゃないかなって思ったりもします。

――N高は通信制なんですよね。授業はどういう風に行なわれているのですか。

ShakeSpeare選手:オンライン授業で、自分の好きな時間に動画を見ることができます。動画を進めたあとに小テストがあって、それを繰り返して最後に大きいテストがあって、それが全部終わったら実際に学校へ行ってテストを受ける感じです。

――そういえば昨年の「LJL」ではSengoku GamingにいたDonShu選手が当時高校3年生でした。ShakeSpeare選手も「LJL」に出たいという気持ちはありますか。

ShakeSpeare選手:出たいです。でもちょっとネガティブな発言になっちゃうかも知れないんですけど、もし「LJL」に出られるぐらい上手くなれたとしてもミスしたときとかにコメントで色々言われちゃったら怖いなっていう心配はあります。それでも、高校生でも「LJL」に出られるっていうのは良いですね。

――私は「LJL」で通訳をやっているので、個人的にはぜひ現場でお会いできたら嬉しいです。ところで「LoL」の女性プロゲーマーというと、最近では同じサポートの日系ブラジル人・Mayumi選手が有名ですが、知っていますか。

ShakeSpeare選手:レートとか細かいことはわからないんですけど知っています。最初に見たときは、こんなに可愛くて上手い選手が海外にいるんだったら自分ももうちょっと頑張りたいっていう気持ちになりました。やっぱり刺激は受けましたね。

――それでは最後に「LoL」における今後の目標を聞かせてください。

ShakeSpeare選手:一番の目標は、KRアカウントをもらえたら上までのぼりつめたいっていうのが自分のなかであります。ただし、のぼりつめたからってプロとしてすごい活躍できるかっていうと言いきれないので、プロチームに入ったことによる恩恵を活かしてもっと上手くなりたいし、「LJL」にも出たいです。それ以外のことは、もっと強くなってから考えたいですね。

――本日はありがとうございました。