【特別企画】

地域活性化にeスポーツを活用!横須賀市とNTT東日本&NTTe-Sportsが連携協定を締結

横須賀市の取り組みに対し技術力とeスポーツ分野での発信力を提供

10月21日 締結

 10月21日、横須賀市とNTT東日本及びNTTe-Sports は、ICT 及びeスポーツや都市型スポーツといった新たなスポーツを活用した連携協定を締結した。

 この協定は横須賀市の地域活性化を目指したもので、eスポーツや都市型スポーツの定着によるコミュニティの形成や観光活性化に向けたインフラ整備による観光、周遊の促進、市民の生活利便性の向上と経済の活性化を軸に連携を推進するもの。本連携の取り組みで「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」の発展を推進するという。

左からNTT東日本神奈川事業部事業部長の中西裕信氏、横須賀市市長の上地克明氏、NTTe-Sports代表取締役副社長の影澤 潤一氏。記者会見にて連携協定を締結した

背景となる横須賀市とNTT東日本の連携

 横須賀市は製造業と情報通信産業に加え、観光業の成長、基幹産業化を目標として掲げている。これまでもアニメなどの人気コンテンツとのコラボで日本遺産を活用するなど、歴史や自然などと音楽・スポーツ、エンターテイメントを組み合わせることで、新たな観光客層の獲得やイメージの向上に繋げいる。中でもゲームでは2018年に「ポケモンGO サファリゾーン横須賀」を観光の取り組みとして実施している。

 今後もこうした方向での発展を目指すために、新たな要素として経済効果や集客拡大等による期待が高まる「eスポーツ」や、東京五輪で競技追加されたのBMXやスケートボード等の「都市型スポーツ」など、ホットなジャンルを横須賀発で発信していくというのが横須賀市の狙いだ。

横須賀市は製造業、情報通信産業に加え、観光業も基幹産業に成長させることが目標

 一方、NTT東日本はこうした横須賀市の取り組みに賛同。以前から観光客や市民の利便性向上を目的として、世界三大記念艦三笠や商店街へ「Yokosuka-Free-Wi-Fi」の構築を実施していた。今回の協定ではこれまで提供してきた光回線通信やWi-Fi等の無線ソリューションに加え、「ローカル5G」や既存アセット活用も加え横須賀エリアのニーズに合ったソリューションを提供するとのこと。また、この取り組みの拡大・推進のために、今年1月に設立したばかりのNTTe-Sportsも参画した形だ。両者は横須賀市の取り組みを外部に発信するための、ICT等の最先端の技術力と、eスポーツ分野での発信力を提供するという。

NTTとは既存の繋がりを活かす形で事業を進めていく

協定の骨子と7つの施策

 本協定は「新たなスポーツ文化の創造と発信」、「インフラ整備 観光周遊促進」「生活利便性の向上 経済の活性化」の3つを大きなテーマとして掲げており、会見では検討・予定段階のものも含む7つの施策を全体像として挙げた。

本協定の骨子及び施策

 1つ目は街の中心街にある、NTT局舎ビルの1フロアを地域のコミュニティスペースとして利活用するというもの。eスポーツやプログラミングの教室やコワーキングスペースとして活用し、様々な層が訪れる、地域の核となるようなコミュニティスペースの開設を目指して検討しているとのことだ。

 2つ目は市内で行なわれている大きなイベントとコラボしたeスポーツイベントの開催。地域の企業や学校だけではなく、遠隔対戦も実施し、数年後には全国大会や世界大会の誘致も目指していく。

 3つ目は高校eスポーツ部の支援の強化。eスポーツの裾野を広げ、横須賀市の文化として定着させていきたいとし、既に実施しているeスポーツ部設立のためのパソコン無償対応に加え、遠隔指導支援や指導者派遣などの支援強化を行なう予定だ。

 4つ目は自転車競技であるBMXの大会誘致とICT環境の構築。横須賀市は来年度、オリンピック前にBMXの全国大会を開催したいと考えており、迫力ある大会を多くの人に見てもらうためにICTを活用。VRやAIカメラを用いて選手の動きを分析したり、観戦の臨場感を高められる環境構築を目指す。

 5つ目は ICTによる周遊の促進とデジタル周遊プラットフォームの導入。Wi-Fiやモバイルバッテリーの貸し出しによる観光利便性の向上や、ARなどによる周遊満足度の向上を目指す。具体的には来訪者がスマートフォンで情報を取得できる非接触型タグを観光スポットなどに整備するという。年齢や性別、国籍等の取得データを分析することで、観光施策に活用するとのことだ。

 6つ目は新港エリアのICTによる利便性の向上。再来年の4月にリニューアルオープン予定のポートマーケットにおいて、ローカル5Gを用いた実証実験を検討しており、利便性の向上や、5Gならではの観光体験の提供などが可能になり、これらを検討していくとのこと。

 7つ目は生活の利便性向上。地域住民向けのデジタル商品券や、観光者向けのデジタルクーポンの導入、ボランティア等の地域活動への参加でポイントを付与する等、デジタル通貨を導入することで地域課題の解決や、地域経済の活性化を目指す施策を検討しているとのことだ。

【NTT東日本CM「ICTる?地域とともに。」eスポーツ篇】
記者会見ではNTT東日本の制作したCMも紹介された。eスポーツの地域振興をテーマにしたもので、eスポーツ部を創設した三浦学苑高校の生徒と、横須賀市観光課の職員が出演している

 本協定及び施策は横須賀の都市計画事業だけでなく、ゲーム等のコンテンツ産業の新たな需要の創出及び発展にも貢献する可能性を秘めている。例えばeスポーツジャンルであれば、今後横須賀市での大規模大会の誘致等が決定すれば、eスポーツの認知度やイメージの向上や、各種関連事業の拡大などにも繋がってくるだろう。ともあれ、今後もICTやeスポーツを活用した横須賀市の事業には注目していきたい。