【特別企画】
ザクを学生達が操縦する! 「ZEONIC TECHNICS体験会」開催
本格ロボットを動かす興奮、初めてのプログラム体験にも夢中
2019年12月26日 00:00
「ZEONIC TECHNICS」は、武蔵野大学中学校・高等学校において開催された、中高生を対象とした研究発表イベント「サイエンスキャッスル2019 関東大会」に出展し、体験会を実施した。
「サイエンスキャッスル」とは、リバネスが開催する中学・高校生の“学会”と言えるイベント。関東、関西、九州、東北でそれぞれ行なわれ、会場ごとにテーマも異なる。関東のテーマは「アイディアと課題をぶつけ合おう」。イベントでは様々な学校だけでなく、企業、大学も参加し、研究の展示や発表だけでなく講演や、自分が目指す方向への進み方を知ることができるキャリアセッションなど、様々な要素が盛り込まれた。
「ZEONIC TECHNICS」は、ザクを操縦できる「ZEONIC TECHNICS体験会」を開催。“本物のロボットを操縦できる”ということで来場者の関心は非常に高く、イベントは大盛況だった。「ZEONIC TECHNICS」は中学生以上を想定したSTEM学習ができる“教材”である。STEM学習にどれだけ効果があるか、この体験会ではその一旦が見られることになる。この体験会をレポートしたい。
動くザクに感動! 自分で動かせる“本格ロボット”を楽しむ人達の表情
「ZEONIC TECHNICS体験会」では、「マニュアル制御」と「プログラム制御」でザクを動かし、ジオラマの中を進ませるという体験ができた。
「マニュアル制御」ではザクを操り、アクリル板で作った街風のブロックで作られたジオラマを進み、黒のブロックを積み上げた柱を破壊する。途中の白い円柱に触れると減点になる。ジオラマは凝っていて、目標に向かって進むザクは迫力がある。
このエンターテイメント性溢れる仕掛けは、やはり「ZEONIC TECHNICS」ならではだなと感じた。ロボが歩いてものをパンチで壊す、というのは「MSの操縦」というよりもどちらかというと「鉄人28号」を操縦するような楽しさだが、やはり「操縦するロボット」としての演出としてはとても楽しい。特にザクのパンチで柱が崩れるのは、ワクワクさせられる映像だ。玩具メーカーならではのSTEM教育のアプローチと言えるだろう。
会場をのぞき込んだ学生達は、「ロボットを操縦できるの!?」、「パンチができるの!?」という感じであっという間に黒山の人だかりとなった。体験会は45分間だったが、体験会を実施した教室は人が絶えなかった。
やはり「ロボットを操縦する」というのはとても魅力的だ。スマホでのリモコン操作の通りにザクが進み、旋回する。「ZEONIC TECHNICS」のザクは玩具のようなすり足歩行ではなく、膝を上げてバランスを取り重心を動かして歩行する。そのため、機体の調整をしていても、現場の環境によってはバランス補正が難しくなる場合もある。
コツを掴んだ人はザクと手元を交互に見てバランスが崩れそうなときには前進をやめるなど極めて短時間で技術を取得していて、「パイロット適性」を感じさせた。最高の盛り上がりはやはりパンチで柱を壊すところ。体験したのは高校生から小学生までだが、楽しさに年齢は関係ない。皆がうれしそうで「本格ロボット操縦」という初めての体験に夢中になっていた。
「プログラム制御」はまずプログラムチップが用意されており、これを並べてプログラムを組むのだが、プログラムと言うことをやったことがなく、プログラム自体の基本概念もわからない、という人も多かったようだ。
運営側もそこは予想していたようで、「前進し対物センサーで壁を感知、パンチやキックでぶち破る」という非常にシンプルなお題に挑戦するもの。数歩ごとにセンサーで対物チェックを入れることでより細かく障害物と自分の距離を測ることができる。
今回はプログラムの基礎もスタッフが指導し、説明を受けながらのものだった。それでも組んだプログラムの通りにザクが動くのはとても楽しいようでザクのアクションに歓声を上げる人も多かった。
筆者も来場者の写真や動画を撮りながら見ていたのだが、マニュアル制御はもちろん、プログラム制御が楽しい。条件をどう活用するか、ザクという実際のロボットを動かし、目的を果たすためにはどういうことを気をつけ、何をさせれば良いのか? これは実際にやってみることで様々なことが体得できると思った。そのノウハウを活かすことでより高度なプログラムができる。これはかなりやりがいのある課題だ。
やはり、来場者達の反応が良かった。友達と相談しながらのザクの操縦や、何人かでの声を掛け合いながらのプログラム作成。我が子の操縦をスマホで撮影するお母さん。スタッフに初代「ガンダム」の魅力を語る男子高校生や、本当に「ZEONICTECHNICS」が気に入ったようで何度も教室を出入りする子など、印象に残る来場者も多かった。
一方で強く感じたのは「プログラム教育」というのはやはり必要ではないか、ということ。今の学生はプログラムそのものをまだ知らない。筆者は昔独学でBASICをかじった程度だが、それでもプログラムとはどういうもので、プログラムを組めばロボットが動くという基礎は理解している。しかし初めての人はまずその概念を学ばなくてはいけないので、ということが学生の反応を見て実感できた。
また、「ZEONIC TECHNICS」はプログラム教育にとても有用ではないか、とも感じた。プログラムしたとおりロボットが動くのは、すごくわかりやすい。ロボットの機能を理解し、その上でどんなことができるかを考え、プログラムを組む。実際にザクを動かすことでプログラムのアイデアが生まれ、改善点を考えたり、より発展した遊びを考えられる。無限の可能性を実感できた気がする。「ロボットを動かす」というのは、プログラムの入り口として、そして発展の可能性としても、とても有用なツールだと感じた。
もう1つ感じたのは「ロボティクスの奥深さ」だ。ザクをうまく歩かせるにはどう調整しどう操縦するか。それはやはり機体ごとに異なる。より円滑に動作させ、思い通りに動かすには、ザクとの本気の“対話”が必要となる。サーボの調整や、補正する操縦方法、重心の取り方の微調整、最適なプログラム……“愛機”をいかに使いこなすかを試行錯誤しながら見つけていく、これはやはり“自分だけのロボット”を手にした醍醐味だろう。
今回の体験会はあくまで「ZEONIC TECHNICS」とはどんなものか、どんな可能性があるかの提示であり、「ZEONIC TECHNICS」の本当の楽しみ方は、自分だけのザクと、とことん会話をして理解を深め、様々なことを試していくことにある。体験会を取材してそのことが理解できたと思う。そこまで踏み込もう、という学生は多くはないかもしれない。しかし、その面白さを年少の頃から考える機会として、「ZEONIC TECHNICS」をSTEM学習の教材として学校に導入するのもありではないかと感じた。
「ZEONICTECHNICS」スタッフにとってももかなり得るものが多かったようだ。来場者とのふれあいを本当に楽しみ、イベントの反省点や改良点などを話し合い、「次はこうしよう」と話し合っていた。今回の経験がどのような形で今後の活動に影響を与えていくかも楽しみである。今回本格的なロボットに触れた来場者達がどんな刺激を受け、何か未来が変わるのかにも期待したい。
(C)創通・サンライズ