【特別企画】

オープニングから“次回予告”まですべてが「サクラ大戦」だった! 「新サクラ大戦」世界最速体験会レポート

8月31日開催

会場:浅草花やしき

 正直に告白するが、3月に初お披露目された「新サクラ大戦」の主題歌「激! 帝国華撃団 <新章>」を聴いて年甲斐もなく泣いてしまった。初代「サクラ大戦」の主題歌「激! 帝国華撃団」をベースに、原作者 広井王子氏の作詞、作曲家 田中公平氏の作曲による新曲が、この歳になって再び最新作の主題歌として聴くことができるとは夢にも思わなかったからだ。まさにサビの歌詞にもある「夢はよみがえる」である。

【PS4『新サクラ大戦』2019年12月12日発売決定!】
「激! 帝国華撃団 <新章>」のサビが聴ける最新トレーラー

 23年前、ハイクオリティなCGムービー、テレビドラマ仕立てのシナリオ展開や次回予告システム、そしてアニメ音楽の巨匠 田中公平氏による圧倒的なクオリティの主題歌とBGMによってアドベンチャーゲーム界に革命を起こした「サクラ大戦」が2019年、ついに甦る。8月31日、「サクラ大戦」シリーズの聖地となっている東京浅草の花やしきにおいて、最新作「新サクラ大戦」初の試遊機会となる「世界最速体験会」が開催された。初代からの「サクラ」ファンである筆者が若干職権乱用気味で出撃してきたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。

 試遊会場となった花やしき座には、40席弱の試遊台が設けられ、その初回にゲームメディアの試遊機会が用意された。試遊会は3回転し、幸運な100名の「サクラ」ファンが一足先にプレイできた。

【「新サクラ大戦」世界最速体験会】

 今回体験できたのは、東京ゲームショウにプレイアブル出展されるものと同じバージョン。試遊時間は25分で、アドベンチャーパートとバトルパートの両方が楽しめた。アドベンチャーパートで15分経ったら、神崎すみれ司令にスマァトロン(初代「サクラ大戦」のキネマトロンに変わる新たなコミュニケーションシステム)で強制的に呼び出されるシステムになっており、アドベンチャーパートに夢中になっても必ず両方体験できるという親切設計だ。

 スタッフから上記のような概要説明が行なわれたあと、さっそく試遊がスタートした。のだが、筆者はしばらくゲームを始めず、オープニング画面で流れる「激! 帝国華撃団 <新章>(タイトルバックバージョン)」をずっとヘッドセットで聴いていた。やはりこの新曲のメロディは抜群に良い。さすが田中公平先生だ。こうなったら25分間聴き続けて伝説を作ろうかなとも思ったが、ゲーム本編を遊びたい気持ちも同じようにあり、なんとか未練を振り切って無事試遊に突入した。

【オープニング画面】
オープニング画面だけで満足してしまったことを正直に告白しなければならない

 さて、アドベンチャーパートは、第1話で神山誠十郎が大帝国劇場に赴き、帝国華撃団・花組の隊長に就任した直後からスタートする。公式生放送「サクラ大戦 帝劇宣伝部通信」第1回の冒頭パート紹介のシーンである。

【アドベンチャーパートシーン】
サクラ大戦 帝劇宣伝部通信(6/26)より

 そこで神崎すみれ司令との会話を盗み聞きしようとしていた花組隊員 天宮さくらと遭遇し、さくらに隊長就任を告げた後、大帝国劇場を案内して貰う。言い訳をするさくらは、体をもじもじさせ、それに合わせて着物のすそや後ろ髪、頭のリボンがなめらかに揺れる。グラフィックスはトゥーンスタイルだが、硬質ではなく、やわらかい。

【カートゥーンタッチ】

 その後、共に歩きながらさくらの説明を聞くシーンに移るが、さくらの歩みに合わせて体全体が弾力的に揺れ動き、ときおりこちらに向き直りながら横歩きをしたりなど、とにかく芸が細かい。当然、ヒロインの数だけ同様のシーンが用意されているのだろうが、これは「新サクラ大戦」の大きなセールスポイントだ。

【さくらの躍動的な動きに感動する】

 その後、舞台で同じ花組隊員の東雲初穂に会うのだが、挨拶の仕方でLIPSが発生。「初穂ちゃん」と馴れ馴れしく呼びかけるLIPSを選択すると、少し機嫌を損ねてしまったようで、さくらに「おい、さくら。ずいぶん慣れ慣れしいヤツだけど、大丈夫なのか?」から始まるやや長めの会話シーンがはじまり、さくらもその掛け合いに返してくる。すべてフルボイスによる贅沢な演出だ。この時点で、「新サクラ大戦」は過去のシリーズと同様に2周、3周、いやヒロインの人数分だけの周回プレイが楽しめるゲームになっていることがわかる。

【初穂との初LIPSは失敗】

 初穂との会話の後は、さくらとも離れ、自由行動となる。自由行動で重要となるのは、スマァトロンだ。スマァトロンからマップ画面が確認でき、そのマップにはメインキャラクター達がどの部屋にいるのかがわかるようになっている。次の目的地は、資料室にいるクラリスに会いに行くことだが、目的の相手に会ってしまうと話が進んでしまうのが「サクラ大戦」の鉄則であるため、ここはあえて後回しにして大帝国劇場を歩き回った。

【スマァトロン】

 会ったのは、帝国華撃団・花組隊員のアナスタシア・パルマ、帝国華撃団・風組隊員で売店担当の大葉こまち、同じく帝国華撃団・風組隊員で、神崎すみれの秘書の竜胆カオル、そして中庭にいた東雲初穂など。今回は資料室に向かう途中で神崎すみれ司令から呼び出されたため、クラリスには会えなかった。ちなみにクラリスとの出会いのシーンは、サクラ大戦 帝劇宣伝部通信で公開されており、予習していただけに残念である。

【サクラ大戦 帝劇宣伝部通信(6/26)】

 アナスタシアとは、劇の練習に付き合わされることになり、水を入れたお皿を真っ二つにしたようなLIPSが表示された。これは台詞の声のボリュームを調整するLIPSで、適切なボリュームで台詞を返すことができれば、ピロリロリンと好感度が上がり、不適切なボリュームで返してしまうとピロロンと好感度が下がってしまう。

【アナスタシアとお稽古】

 竜胆カオルは、会話の中で、帝国華撃団の金庫番であり、秘書として神崎すみれに心酔していることがわかる。再開となった初穂とは、中庭中央に鎮座する霊子水晶のエピソードが語られる。今回ほとんどのシーンはフルボイスだったが、この2度目の初穂のシーンはボイス無しで、今回も全シーンフルボイスというわけではないようだ。

【竜胆カオルはすみれに心酔】

【中庭にある謎の霊子水晶】

 そうこうしていると神崎すみれ司令に呼び出され、強制的にバトルパートへ。アドベンチャーパートでは、思う存分寄り道を楽しむのが「サクラ大戦」の基本だが、その楽しみ方はさらにパワーアップしているように感じられた。

【神崎司令に呼び出される】

 バトルパートは、既報のとおり、ターンベースのシミュレーションバトルからシリーズ初のリアルタイムアクションに進化しており、霊子戦闘機(霊子甲冑が進化したもの、天宮さくらのみ旧式の霊子甲冑に乗る)を自由に操作して、弱強攻撃の組み合わせによるコンボ攻撃で敵を倒していく。

【「サクラ大戦 帝劇宣伝部通信」第2回】

 今回は第4話のバトルパートということで、バディを務めるのはさくらではなく、同じ花組隊員の望月あざみだった。エピソードごとにバディを組む隊員は変わるようで、片野プロデューサーによれば、親密度が一定以上高い隊員は、お助けキャラのような形で登場したり、後半のバトルではもっと登場隊員数が増えたりするようだ。

 今回のバトルパートで注目していたのは、アクションゲームとしての出来映えだ。ここが良くなければ、バトルパートの魅力は大きく薄れてしまうからだ。「これだったら、以前の方がいい」となるのがファンとしては一番恐いパターンだ。

【バトルパート】

【シームレスに挿入されるカットシーン】

 今回プレイした率直な感想は、“アクションゲームのセガ”らしい、非常に手触りのいいものだった。過去のシリーズ、具体的には前作「サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~」のゲージを消費して繰り出す連続攻撃がリアルタイムアクションとして繰り出せるようになっており、あまりに最初から「サクラ大戦」のバトルに馴染んでいるため、初代「サクラ大戦」からこのリアルタイムバトルだったかのように錯覚してしまうほどだ。

 L1ボタンで、バディの切り替えが行なえ、状況に応じて戦いやすい機体を選んで戦うことができる。○が弱攻撃、△が強攻撃、□が必殺技、そして×がジャンプとなる。ガードというのは基本的にないが、タイミングを合わせてステップ移動を行なうことで“ジャスト回避”ができるという。ちなみに筆者はタイミングがシビアなのか、使い方を間違えていたのか、試遊中にジャスト回避を発生させることはできなかった。

【「新サクラ大戦」の操作方法】
ターンベースのコマンドバトルからリアルタイムアクションへ

 総じてバトルパートの出来は、期待以上の内容で、2019年にリリースされるアクションゲームのクオリティを備えている。ただ、このバトルパートの試遊で残念だったのは、単純に難しすぎることだ。実際筆者はゲームオーバーとなって試遊終了となったが、正直クリアできる気がしなかった。

 無敵扱いの巨大な竜をダッシュで小刻みに回避しながら、崖の割れ目をジャンプで乗り越え、徐々に強く、数が増えていく敵を攻撃をできるだけ避けながら進んでいく必要があり、攻撃がヒットする度にHPが減り、ゼロになると戦闘不能となり、2人が何度か戦闘不能になるとゲームオーバーとなり最初からやり直しとなる。

 片野氏は「第4話、中盤あたりのバトルなのでそれなりに難しくなっている」ということだったが、これが製品版の難易度設定であるなら、「新サクラ大戦」は「アクションが苦手な人でも楽しめるゲーム」ではなくなっている。

 個人的にはそもそものバトル難易度の調整を可能にするか、ロックスターゲームスのゲームのように3回ゲームオーバーになったらクリア扱いにする、はたまた「JUDGE EYES:死神の遺言」のようにスーパーお助けアイテムを導入するなどの救済策が欲しいと感じた。シリーズのファンとしては、「サクラ大戦」のバトルは、ある意味でアドベンチャーパートの延長線上にあって、アドベンチャーパートで深まった隊員との絆を戦闘の中でさらに深める場であり、シビアな操作や戦術が求められるゲーム性ではなかったはずで、ここの味付けが製品版でどうなるのか気になるところだ。

【望月あざみの必殺技】

 というわけで、世界最速体験会はあっという間に終わってしまった。バトルは正直手触りが非常に良いだけに、予想外の高難易度設定にフラストレーションが溜まったが、その後に映し出された映像に、そういうことはどうでも良くなった。第一話の次回予告が流れたのだ。「サクラ大戦」シリーズ伝統の次回予告である。その存在をすっかり忘れていた筆者は、「そう、これがサクラ大戦だ。サクラ大戦が帰ってきたなあ」とすっかりご機嫌になった。

 繰り返しになるが、2週間後に開かれる東京ゲームショウのセガゲームスブースでは同じものが体験できる。往年の「サクラ」ファン、そして主題歌やトレーラーを視聴して「何だこれは?」とときめきを感じた若いゲームファンは、ぜひ一度遊んでみて貰いたい。

【次回予告】