インタビュー
開発はプレッシャーしかなかった!? 待望の新作「新サクラ大戦」インタビュー
「新サクラ大戦」の開発を手掛ける、片野徹氏と大坪鉄弥氏から語られる開発秘話
2019年9月15日 11:24
東京ゲームショウ2019では初日からセガブースでは大行列を作っていた、14年振りのシリーズ最新作「新サクラ大戦」。12月12日発売予定となっており、2019年を締めるにふさわしい大物タイトルである。
テイストや世界観は過去作を踏襲しながらも、全く新しく生まれ変わった「新サクラ大戦」。弊誌では今作を開発する中心人物である、プロデューサーの片野徹氏と、ディレクターの大坪鉄弥氏へのインタビューを行なうことができた。シリーズのイチファンとして、新たな「サクラ大戦」の気になるポイントを伺ってきた。
「サクラ大戦」という世界を大事にしながら、新たな試みに挑戦
――はじめに、花やしきでの体験会やTGSの試遊を通じて、これまでの手応えを聞かせてください
大坪氏:体験会などでは、みなさん笑顔でプレイされていたり、試遊を終わった後に面白かったですと言っていただけたり、とても嬉しかったです。
――かなりの好感触のようですね。今回、14年振りのシリーズ最新作ですが、人気作品だけあってプレッシャーなどはありましたか?
片野氏:プレッシャーしかなかったよね(笑)。みなさんが待ち望んでいた作品なので、どういう形にすればみなさんが喜んでくれるだろうかというところを常に考えながら臨んでいます。
大坪氏:社内的にも「サクラ大戦」のリブートということもあってかなり力を入れていますので、プレッシャーはすごかったですね。
――今回リブートということで、主要キャラクターは一新されていますが、世界観からすべて新しくといった考えは元よりなかったという感じですか?
大坪氏:「サクラ大戦」の特徴って、1から2になったときに時間が経過して歳をとっているんですよ。なので、リブートするにあたって月日が流れた同じ世界観で、新しい花組を描くのが大事というのが根底にありました。そういった中で、過去作のキャラクターをどういった形で出すかというのが課題でした。
――過去のキャラクターだと、「すみれ」が登場していますよね。
大坪氏:すみれが大帝国劇場の支配人というのは、我々の中でもハマっているなと思っています。立ち回りや役どころも物語に深く関わっているので、本編の方で楽しんでいただけたらと思っています。
片野氏:すみれの声優さんの富沢美智恵さんとも、今回はこういう役どころなんですと色々お話して、ご本人も納得する形で出演してもらっています。
――漫画家の久保帯人先生がキャラクターデザインを務めていますが、誰にお願いするか迷われたりとかはあったのですか?
大坪氏:キャラクターデザインを引き受けていただけるかは分からなかったですが、それは置いておいて企画書段階から久保帯人先生にお願いしたいと思っていました。
――そうだったんですね。そこまで強く久保先生を希望していたのはどういった理由ですか?
大坪氏:久保先生の代表作といえば「BLEACH」ですけど、「BLEACH」じゃない久保帯人を見たいというファン目線の理由と、久保先生の和のテイストが「サクラ大戦」にハマっていると思い、お願いしました。
――なるほど。ゲームの内容のお話になんですが、今回はLIPSでの好感度の上下で、過去作のように隊員のパラメーターの変動などはあるのですか?
大坪氏:今作では「絆ゲージ」というものがありまして、ゲージが高いほど隊員の能力がアップします。この絆ゲージがアドベンチャーパートの行動で変動します。
――アドベンチャーパートの行ないで戦闘が有利になるんですね。戦闘といえば、シミュレーションからアクションに変えたのにはどういった経緯があるのですか?
片野氏:「サクラ大戦」といえば、ずっとシミュレーションでやってきたのですが、リブートするにあたって今の時代の主流はアクションゲームだろうと考えまして、今の形になりました。
――TGS会場でプレイして自分はあまり感じなかったのですが、花やしきの試遊ではバトルパートが難しいという声が結構あったみたいですが、歯応えのある難易度を心掛けていたりするのですか?
大坪氏:歯応えのある難易度だと、アクションゲームが苦手な方がクリアできなくなってしまうので難しくする気はありません。今回の試遊は4話のバトルパートなので、戦い方の基本を全部飛ばした状態でのプレイというのが難しさに繋がったのだと思います。TGSのバージョンは花やしきのものよりも難易度を下げています。
――そうだったんですね。
片野氏:製品版は花やしきの試遊に近い難易度にはなっていますが、1話から追ってプレイすれば難なくクリアできると思います。
――体験版をあえて4話の部分にした理由はなんですか?
大坪氏:ステージのギミックや敵の見映えとかを色々考えまして4話になりました。
――大蛇とか壁走りとか面白い要素がありましたね。今作のバトルでこれまでのように「合体攻撃」があるのかも気になりますね。
片野氏:ご期待ください!
――あの感じのが今回もあるんですね!
大坪氏:今回もバカっぽいのがたくさんあるので(笑)。
――バカっぽいノリっていうのも「サクラ大戦」の味ですもんね。過去作の主人公の「大神」も真面目な性格なのに、女の子が入っているお風呂場に“身体が勝手に”という定番ネタも面白かったですね。
大坪氏:今作の主人公の「神山」も、面白い言動や選択肢がいっぱいありますよ。大神は固い男でしたが、神山の方は固い部分から柔軟な面まである振れ幅が広いキャラクターになっていますね。
片野氏:最初は面白い面を出し過ぎて、“神山はジェントルではないのでは?”という感じになってしまったので、そこは調整しました(笑)。
山あり谷ありの末に仕上がった、新たな「サクラ大戦」
――シリーズによってボリュームがまちまちなイメージがあるのですが、今作のボリュームはいかがでしょう?
大坪氏:当初考えていたものよりは、かなり遊び応えのあるボリュームになったなと思います。
片野氏:チェックプレイとかで、メッセージを飛ばしながらプレイしていても何日もかかるもんね。
――ボリューム絡みの話で、これまでにあったデートイベントやキャラ個別のイベントなどもありますか?
大坪氏:もちろんキャラごとの分岐なども用意していますが、分岐ばかりですと横のボリュームばかり増えてしまうのでそこは気をつけました。
片野氏:我々としては何回も周回プレイをさせるのを望んでいる訳ではないので、快適に遊べて最終的に遊びつくせるといったゲームを目指しています。
――ゲームの内容ももちろんですが、「サクラ大戦」といえば田中公平先生の楽曲に期待しているファンも多いと思いますが、新たな楽曲の出来栄えなどはいかがですか?
片野氏:正直、文句のつけどころが無いですね。ほとんどの曲が最初にあがってきたもので完成といった感じでした。花やしきでの体験会でプレイしたユーザーさんは、「新曲のはずなのに『サクラ大戦』だ」と、言われていました。
大坪氏:我々も、「サクラ大戦」の懐かしい感じの曲をお願いしますとか、そんなお願いはしていないんですけど、出来上がった曲を聴くと「サクラ大戦」だなという感じでしたね。新曲なのに懐かしいテイストを絶妙に織り交ぜているのが流石だなと思いました。
――それは楽曲にも期待ですね。楽曲の面ではスムーズに完成していったとのことですが、ゲーム自体の開発はどうでしたか?
片野氏:それはもう、山あり谷あり山あり谷ありだよね(笑)。
大坪氏:それが3年くらい続きましたね(笑)。
――試行錯誤に3年ですか。
大坪氏:シリーズ最新作の話はそれ以前に何度も社内では浮上してはいたんですけどね。2016年のセガフェスの復活希望アンケートで1位になりまして、そこから段々と本格的に動き始めました。
――アンケートの結果でですか。ユーザーの声にフットワーク軽く対応するのはすごいですね!
大坪氏:プロジェクトが動き出してからはプレッシャーとの戦いですね(笑)。
――それでは最後に、続編を待ち続けていたファンに一言よろしいでしょうか。
大坪氏:大分お待たせしてしまいましたが、「新サクラ大戦」はスタッフ一同胸を張ってお届けできる内容に仕上がっていると思います。ぜひともご期待ください。
片野氏:「サクラ大戦」は、続編を待ち続けてくださる熱心なファンに支えられてきたコンテンツだと思います。今回は、その熱心なファンと新規のファンとで「新サクラ大戦」を盛り上げていただけたら幸いです。よろしくお願いします。
――お忙しい中、貴重なお話ありがとうございます! 「新サクラ大戦」の発売を期待しております。