【特別企画】

「ディビジョン2」プライベートベータテストレポート

強化されたRPGシューターとしての面白さや、ダークゾーンでの行動などをチェックしてみた

【PBT】

2月7日~11日開催

 ユービーアイソフトは、3月15日発売予定のプレイステーション 4/Xbox One/PC用アクションRPG「ディビジョン2」のプライベートベータテスト(以下、PBT)を2月7日より11日にかけて開催した。

 今回のPBTは、国内ではゲーム本編の予約者購入者及び先着・抽選による希望者、そしてフレンドからの招待者などが体験することができたものだ。マップの範囲やミッションの数などは限られていたものの、ゲーム本編と同じプレイフィールやシチュエーションの一部を楽しむことができた。ここではPS4版のPBTレポートをお届けしていきたい。なお今回は発売前のテストであり、製品版で仕様などが変わる可能性がある。

 バイオテロにより崩壊の危機を迎えた世界の秩序を取り戻すために活躍する組織「ディビジョン」のエージェント達の姿を描いた本作。その舞台となるのはワシントンDC。前作のニューヨークの雪が積もった景色から7カ月が経過した強い日差しに緑が繁る真夏の情景で、見た目の雰囲気もかなり変わっている。

エージェントの姿形は、男女以外はランダムに決定。製品版は細かく設定できることに期待したい
青空と緑が広がる、ホワイトハウス前の公園が最初の戦場となる

 昨年の「UBIDAY 2018」にて試遊をしたときも思ったことだが、グラフィックスの美しさはかなりのものだ。このPBT版開始直後のホワイトハウス前の風景などは、実写と見紛うばかりで、オープンワールドの各所にてこうした情景を楽しめることだろう。

特定のランドマーク付近では、それらを見上げるアクションを行なえる
スクリーンショットを撮影する「フォトモード」も追加され、“映える”写真を撮れる

 そんなワシントンDCのマップは、実物を1:1のスケールにて再現している。このPBTで移動できるのは、マップのほぼ中央に位置したホワイトハウスの東側の地区のみだが、名称などが一部変更されているものはあるものの、ランドマークの位置などもかなり忠実に作られていることがわかった。ちなみにそのホワイトハウスはプレーヤーの拠点となる「作戦基地」であることも判明した。

メインの作戦基地となるホワイトハウス。補給や装備の売買、スキルやPERKの解放などもここで行なう
ワシントンDCのマップ。赤いラインの内側がPBTの行動範囲となった

 プレーヤーはディビジョンのエージェントとして、このワシントンDCを駆け巡り、街に巣くう敵勢力と戦いながらミッションをこなしていくサードパーソンシューター……というゲーム内容は前作を踏襲している。自分や敵にはレベルの概念があり、敵を倒すと経験値が入って成長するというRPGのシステムも健在で、1人で無数の敵を敵を蹴散らしていくというよりは、カバーを上手く使って1戦1戦をじっくり戦っていくという戦闘システムは本作の大きな特徴でもある。PBTでは2つのメインミッションと、5つのサイドミッション、追加のアクティビティなどをプレイ可能で、レベルは7で打ち止めという内容だ。

ランダムで発生するアクティビティ。「公開処刑」は、処刑されようとしている市民を救出するのが目的だ
戦いにおいてカバーは重要な戦略となる。ごり押しが利かないのも、RPGとしてのゲームデザインだ
ミッションには強力なボスが登場。このボスは強固なアーマーに身を包んでいる

 エージェントの体力のシステムが「アーマー+体力」となったこと以外は、基本的な操作系などは前作とあまり変わらないので、プレイ経験がある人ならすんなり入っていけるのではないだろうか。ただし初めてプレイする人には、それなりに複雑な操作系なので、PBT版では見当たらなかったが、製品版ではカバーアクション周りのチュートリアルはぜひとも入れてほしいと思った。また個人的な感想として、前作よりも動きが滑らかとなったことで、手触りに若干の重みがあるようにも感じられた。筆者は大丈夫だったが、ぬるっとした動きに「酔う」という声もあったようだ。

画面中央より少し下にあるのがアーマーと体力のゲージ。アーマーを失うまではやられることはない
回復アイテムは「アーマーキット」で、使用時はその場で停止しなければならない

 崩壊した世界において、前作と大きく異なるのは、かつて街の治安維持を担っていた総合任務部隊「JTF(Joint Task Force)」が崩壊し、その危機に対して一般市民達が立ち上がり、自らコミュニティを形成し、敵勢力に対抗しているという点だ。プレーヤーらエージェント達は彼らを支援する立場となり、ミッションの内容もそれに準じた内容となっている。

 例えばこのPBTでのメインミッションでは、ホワイトハウスの東にあるシアターに構築された市民によるコミュニティへとおもむき、かつてエージェントだったリーダーから、人質救出の依頼を受けることとなるのだ。このように依頼されるミッションの他にも、物資の寄付やランダムで発生するアクティビティの達成など、「プロジェクト」として管理された目標をクリアすることでコミュニティが成長し、施設の増強や人員の追加などとともに、報酬が手に入るという仕組みだ。

市民が集うコミュニティ。ここを訪れると、その地域のミッションが発生する
コミュニティは発展途上中で、ミッションをこなすと施設が充実していく

 このPBTでは、市民が絡む「コントロールポイント」という新システムがあることも判明した。これはワシントンDCを探索していると発見できる敵勢力のコントロールポイント(支配地域)を奪うというもので、地域を支配している敵を片付けながら、フレアを打ち上げて市民を呼び、共闘してその地域を奪還するというものだ。その後コントロールポイントはファストトラベルやリスポーンのポイントとなるわけだが、水や食料などの物資が時間経過で減少。それらを提供すれば経験値などの報酬がもらえるが、放置しておくとポイントが衰退し、場合によっては再び敵に奪われてしまうようなこともあるようだ。

市民とともにコントロールポイントを奪還。範囲内でフレアを打ち上げれば、彼らがやってくる

 市民達は物資の確保や警備のために簡単な武装をして街を行き来していて、ときには戦いにも加わってくれる頼もしい存在となった。エージェントとしての活動のモチベーションも、前作以上に上がるのではなかろうか。

 エージェントや市民の敵となる勢力は、本作でも主に3つの勢力が登場している。市民らの物資の略奪を繰り返す「ハイエナ」、強制的に隔離エリアに閉じ込められていた市民が決起した武装集団「アウトキャスト」、元JTFの指揮官が率いる軍事組織「トゥルーサンズ」である。プレイしてみてわかったのは、いくつかにカテゴリ分けされた兵士達が、かなり個性的な手段で攻撃をしてくるということ。例えばハイエナの「ラッシャー」は、攻撃前に薬物を使って自らを強化して近接攻撃を行なってくる。「コントローラー」なら、接近すると爆発するラジコン爆弾を使ってくる、といった具合だ。ある意味強力になったぶん、弱点も設定されているので、実際に戦ってそれぞれの力を理解しておくのがいいかと思う。

PBTの行動範囲に多く現われるハイエナ。細身でガスマスクを常備している

 またPBT会期中の2月9日よりプレイが可能となった、ストーリー終了後のエンドゲーム「侵略ミッション」において、「ブラックタスク」という新たな組織の存在も判明した。その正体は今のところ不明だが、軍事用の強力な装備を身に付け、歩行型の戦闘マシンまで引き連れている。彼らが一体どのようにして攻めてくるのか、ストーリーについても気になるところである。

エンドゲームで現われるブラックタスク。こちらの装備がかなり強くても手こずるはず
適切な位置から攻撃してくるブラックタスクの戦闘マシン

 本作を象徴する「ダークゾーン」も、このPBTで体験することができた。ダークゾーンとは、前作のパンデミック後に放置された隔離エリアで、市民は立ち入れず、敵組織が好き放題に暴れ回っている危険なエリアだ。今回のワシントンDCにはこのダークゾーンが3カ所もあり、PBTではマップ東側の「ダークゾーンイースト」に、ミッションを経て入れるようになった。

ダークゾーンイーストの不気味な大扉。最初はミッションにて訪れる

 実際に入ってみると、ビル街やストリートが規則的に並んでいたニューヨークと比較すると、実に多彩なシチュエーションが揃っていることがわかる。確認しただけでも「労働局」、「連邦刑務所局」、「廃墟」、「地下墓地」、「租税裁判所」、「遺体保管所」といったランドマークが存在していて、地下道や建物の中などにも通れる場所が無数にあり、マップを見ずに進むには慣れが必要かもしれない。

このダークゾーンイーストだけでもかなり広く、探索するだけでも面白い
ダークゾーンイーストのマップ。ドアのアイコンが出入り口で、南北2カ所に回収ポイントがある

 本作では通常、グループへの招待や参加によって他のプレーヤーとオンラインプレイができるようになるが、このダークゾーンでは、MMORPGのように一定数のオンラインのプレーヤー達がリアルタイムに行動している。このPBTでは、前述のランドマークにランダムで現われる敵集団を排除したり、要所に落ちているボックスを開けたりすることで新たな装備を手に入れるのが主な目的となっていたわけだが、行きずりのプレーヤーに協力したり、その場でグループを作って共闘したりといったPvEができるのも楽しみの1つである。

ダークゾーン内で敵を倒すと、パラメータに直接影響しない「DZレベル」のみが上がる

 またこのダークゾーン内では、特定の行動によって「ローグプロトコル」を発動させ、自ら「ローグエージェント」になることができる。ローグになっている間は他のエージェントにダメージを与えられるようになり、逆にエージェントから攻撃されるとダメージを受けるので、PvPが成立するのである。

 本作では、カギのかかったコンテナをロックピックで開けたり、要所にある「SHDデータターミナル」をハッキングしたりと、静かにローグになることができ(ただし、名前非公表で誰かがローグになったことは他のエージェントに知らされる)、条件を満たせばローグだけが入れる「窃盗団のアジト」に行けるなど、メリットも増えている。さらにそこから他のエージェントを倒せば「ディサヴァウローグ」の状態となり、より高い報酬がもらえるハイリスクハイリターンの状況にもなれるわけだが、そこまでしなくとも、ローグのスリルを比較的簡単に味わえるようになったのだ。

ピッキングでコンテナを開けて中のものを強奪してローグになった
SHDデータターミナル。ローグ状態でハックすると、さらにローグの時間が延びる
倒れたエージェントが落としたアイテムを「盗む」とローグになれる

 もちろん他のエージェントから攻撃されるリスクもあり、さらに今回、ダークゾーンの出入り口となるポイントにエージェント以外を攻撃する強力な砲台が設けられたため、うかつには動けなくなった。当然ながら製品版ではエージェントの数が増え、ローグ同士の戦いが発展することも予想される。

 ちなみにこのダークゾーンで入手できるアイテム類は、その多くが汚染されておらず、そのまま入手できるようになっていた。体感では汚染されていたものは2~3割といったところだろうか。もちろん汚染されたアイテムに関しては、ダークゾーンの規定の回収ポイントまで運んでヘリを呼び、回収してもらわないと手に入らないのは前作と同様だ。

赤いエフェクトがかかったものが汚染されたアイテム。ヘリでの回収が必要だ
回収ポイントでヘリを呼ぶと、敵がわらわらと迫ってくる、ディサヴァウローグが来ることがあるかも!?

 最後に2月9日1時より体験できたエンドゲーム後の侵略ミッションについても触れておこう。これはPBTでプレイできた規定のミッションに、レベル30オーバーの強敵が出現するという内容で、エージェントは最高のレベル30となり、個別のスキルやシグネチャーウェポンを持つ、3つの「スペシャリゼーション」を選んで進めることができた。

国会議事堂に集結する武装集団。軍隊のようにも見える
作ったキャラクターがレベル30となり、スペシャリゼーションを身に付けた3人となった

 個人的に使いやすいと思ったのは「シャープシューター」だ。シグネチャーウェポンの「TAC-50Cライフル」(対物ライフル)の強さもさることながら、スキルの「タクティシャンドローン」が、周囲を飛び回り敵をマークしてくれるというもので、前作から引き続き登場予定の敵の位置を知る「Pulse」のスキルがこのPBTでは使えなかったため、代わりにこのドローンが大活躍し、ノーマルレベルをソロでクリアすることができた。敵も味方もカバーに隠れて戦う本作にとって、その位置を知ることは重要なのである。

タクティシャンドローンが飛んでいき、敵の位置を感知。これがかなり便利だった
対物ライフルは、画像の量のアーマーと体力を残したレベル32ボスを、ヘッドショット1発で葬った
着弾して広範囲の爆発を起こすグレネードランチャーを装備した「デモリッショニスト」
ボウガンで正確な場所を狙い、焼夷ボルトを発射する「サバイバリスト」

 今回のPBTは、ミッションこそ少なかったものの、かなり広い範囲を移動でき、ダークゾーンの感触も掴むことができた。さらにエンドゲームミッションまで楽しめたのだから、手応えも十分な内容であった。オンラインRPGでありながらも、ソロプレイでも楽しめる内容も健在で一安心したところだ。またヘッドフォンでプレイしたときに周囲から聞こえる環境音や、重要なシーンで流れるBGMの完成度の高さも高く評価したい。

 その一方で前作からのプレーヤーとして若干気になった点もあり、例えばOPTIONボタンでメニューを開いたとき、必ず最初にプレーヤーのオンラインの状態を表す「ソーシャル」にカーソルが合っていて、素早く装備変更の項目にアクセスできないという煩わしさがあった。また前作の敵を倒したときに聞こえる「ズバッ」という効果音がなくなったため、遠距離の敵を倒したことがわかりづらく、爽快感にも欠けてしまったところがある。細かなところではあるものの、ゲームのプレイフィールにも繋がるところなので、改良を検討いただきたいところである。

 本編の発売までは約1カ月。今回は限られたユーザーのみがプレイできるプライベートベータという形式だったが、早くも3月1日より3月4日にかけてオープンβテストの実施が決定している。次は希望者全員がプレイできる環境が用意されるということで、今回参加できなかった人も是非「ディビジョン2」に触れてみていただきたいと思う。プレイベートテストの結果がどの程度反映されるのかも含め、楽しみに待つことにしよう。