「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム2」インタビュー
サイバーコネクトツーのアニメ原作ゲームの海外版制作における創意工夫とは?

収録会場:サイバーコネクトツー 福岡本社

【NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム2】

発売日:発売中(10月21日)

価格:7,239円

CEROレーティング:A(全年齢対象)

 

 停滞感の漂う国内のコンシューマゲーム業界で、珍しくアグレッシブな企業が揃っているのが福岡地区だ。その中でも株式会社サイバーコネクトツーは、代表の松山洋氏の熱いキャラクターも相まって、ひときわ活気があるように見える。先に掲載された「“ゲーム業界を元気にする”方法とは?」の対談でも、その一端が垣間見えたのではないだろうか。

 その同社の代表作の1つが、アニメ「NARUTO-ナルト-」が原作の忍道対戦アクション「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム」(以下「ストーム」)シリーズだ。日本アニメの特徴である、リミテッドアニメ調の演出を十二分に生かした映像表現で、第13回「文化庁メディア芸術祭」優秀賞など、業界の内外で高い評価を受けている。

 国産ゲームの世界シェアが低下する中、対談でも「世界の誰もが無視できない、すごいゲームを作れば良いだけの話」と言い切った松山氏。もちろんそこには、綿密な戦略や、創意工夫が潜んでいる。そこで今回は「NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム2」の海外展開について、代表取締役社長の松山洋氏と、ディレクターの西川裕貴氏に、デベロッパー視点での話を伺った。



■ 海外ユーザーは国産ゲームの海外版を「我慢して」遊んでいた?

サイバーコネクトツー代表取締役社長・松山洋氏
サイバーコネクトツー取締役/ディレクター・西川裕貴氏

GAME Watch編集部:本日は先日発売された「ストーム2」の海外版開発をテーマにお話を伺います。まず販売目標について教えてください。

松山氏: 欧州が50万本、北米が30万本、日本が20万本です。ヨーロッパでも特にフランス、ドイツ、スペインで確かな手応えを感じています。あとはベルギーですね。人口は少ないのですが、今すごく伸びています。先日バンダイナムコゲームスさんからリリースが出されましたが、おかげさまで累計出荷本数が100万本を突破いたしました。

編:今作は何カ国語展開ですか?

西川氏: 海外版は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語の5カ国語ですね。いわゆる「EFIGS」(English、French、Italy、German、Spanish)対応です。

松山氏: 他のタイトルと違うのは、「NARUTO-ナルト-」が日本のコンテンツだということを、海外の方々も知っているんですよね。そのため北米版・欧州版の両方で、英語版のボイスに加えて、日本語ボイスも再生可能です。というのも毎回ファンやメディアの方から「日本語は入っているのか」と聞かれるんですよ。デフォルトは当然、英語ボイスですが、熱狂的なファンの方は、わざわざボイスを日本語に切り替えて遊ばれるようです。

編:それは熱いですね!

松山氏: 「ストーム」の時からそうです。まとめると、日本語版はボイスもテキストも日本語のみですが、北米版・欧州版では共に、ボイスは英語と日本語、テキストは各国の言語が選択できます。北米版は英語・フランス語・スペイン語の3カ国語対応。欧州では5カ国語対応ですね。北米でフランス語が入るのはカナダのケベック州で公用語が英語とフランス語の2カ国語になっているから。スペイン語はヒスパニック系ユーザーへの対応です。

編:それぞれ英語(日本語)ボイスに、各国語の字幕が入るわけですね。

松山氏: そうです。「ストーム」からテキストの翻訳を、かなり細かくやるようになりました。グラフィックスがHD出力になって、小さい文字でも読めるようになり、解像度が上がって情報量も増えたので。実際、現地の方から日本タイトルの海外版について「仕方がないと思っていた」、「我慢して遊んでいた」などの反応をよく耳にしたんです。それまで我々が思っていた「ローカライズ」の当たり前が、全然違ったんですね。

編:具体的には、どういうところですか?

松山氏: たとえば「ストーム2」では、新たに「サポートシステム」を導入しました。これはL/Rボタンに仲間を登録しておき、ゲーム中に呼び出して一緒に戦ってもらえるシステムです。

編:ネットで配信中の体験版でも、ナルトを操作しながら、サクラを呼び出せますね。

松山氏: そうそう。あんなふうに台詞の掛け合いがあって、何か技を出してくれるんですが、たとえば技の呼称1つにしても、それまで「英語でサウンドが鳴れば、わかるだろう」くらいのレベルで捉えていたんです。そこを全部テキストでも表示するようにしました。特にヨーロッパ市場でリクエストが高かったんです。毎年ヨーロッパに行って、現地の販社スタッフと話をしている中で、そうした「日本産だから、仕方がない」と諦めていた部分が、かなりあるんだということが、見えてきました。

【スクリーンショット】
(※ このスクリーンショットは日本版のものです)



■ アニメ版をベースに固有名詞などをローカライズ

編:大前提として、このタイトルは世界同時期発売ですよね。当初からローカライズ作業を開発パイプラインに統合されていましたか?

松山氏: そうですね。「ストーム」の時からそうなりました。順を追って説明すると、まず企画段階で原作にない、ゲームオリジナルの部分が発生します。新キャラクターや、追加シナリオなどですね。「ナルティメット」シリーズはアニメ版権のゲームなので、これらはすべて版権元の集英社さんと、スタジオぴえろさんの監修を受けます。

編:そうですね。

松山氏: 平行して日本語版の開発が進んでいきます。その中でローカライズが必要なものには、大きくテキストとボイスデータがありますね。それぞれメニュー表示などゲーム中で使われるデータと、イベントシーンで使われるデータがあります。

編:はい。

松山氏: まず日本語版で脚本やアフレコのスケジュールが見え始めた頃から、欧米のローカライズチームとスケジュール設定をしていきます。そして日本のボイステキストの台本が上がるタイミング、それからボイスを収録するタイミングで、まず日本語から英語に翻訳します。そして英語アフレコをアメリカで行ないます。それが終わったら、テキスト部分でFIGS(欧州4言語)の翻訳に進んでいきます。これらの作業をすりあわせるための世界会議を、バンダイナムコゲームスさんと一緒にやっています。

編:漫画やアニメと違って、ゲームでは技名やアイテム名をはじめ、膨大な数の固有名詞が存在しますね。これらを5カ国語に翻訳するのは、大変ではありませんか?

松山氏: 「ナルティメット」シリーズでは、基本的にアニメ版に合わせています。これらは米サンフランシスコにあるビズメディア(小学館集英社プロダクションの関連会社で、日本の漫画やアニメの翻訳出版と、映像販売などを手がける)さんで、固有名詞や台詞、キャラクターの言い回しなどの監修が入ります。オリジナルキャラや内容については、バンダイナムコゲームスさんのローカライズチームと、ビズメディアさんの話し合いで決まっていきます。もっとも、そうした固有名詞の確認には時間がかかるので、まず台本を渡す前から、固有名詞だけを先に北米に送って、確認をすることが多いですね。これは「ストーム」に限らず、どのゲームでも同じです。

編:FIGS版の固有名詞の翻訳・監修なども同様ですか?

松山氏: 基本的にはそうですね。欧州で翻訳された固有名詞などが、ビズメディアさんに送られてチェックされます。詳細については、NBGA(ナムコバンダイゲームス・アメリカ)さんとの協議で決まります。翻訳やアフレコなどの実作業はバンダイナムコゲームスさん側で行なわれるので、我々はデータを受け取って、それを組み込むだけですんでいますね。もっとも、うちでコントロールできないぶん、ある程度のスケジュール管理は必要です。でないと、いつまでたってもデータが上がってこない、という恐れもありますから。

【スクリーンショット】
(※ このスクリーンショットは日本版のものです)



■ 日本版と海外版で異なるレーティングの意味

編:各国のレーティングによって、さまざまな表現規制がありますよね。

松山氏: 北米、ヨーロッパ共にバンダイナムコゲームスの担当者が、各国に合わせたレーティングの確認を行なって、そこでコーディネートされます。そうした表現を避けた上で、データがローカライズされて、上がってきます。テクスチャレベルで修正が必要なケースも発生するので、そのような場合は早めにオーダーが来るようになっていますが、今は我々もそうした地雷を踏まないように学習しまして、はじめから避けて通ってますね。

編:なるほど。

松山氏: また、これは日本語版の問題なのですが、今は格闘ゲームというだけで、自動的にCEROレーティングが「B(12歳以上対象)」になったりします。ただし「NARUTO-ナルト-」はファンの多くが小学生なので、「A(全年齢)」になるように、表現の自粛を行なっています。そもそも「NARUTO-ナルト-」は原作自体が、特にアニメの「疾風伝」以降で血が出たり、迫力を出すために「死ぬ」、「殺す」などの台詞回しが多いんですよ。ただしゲーム中では一切、そういった表現は使っていません。

編:日本のお客さんにあわせて、あえてそうしているんですね。

松山氏: そうですね。「殺す」を「倒す」と言い換えたり。あとは親が見て目を背けたくなるようなシーンや、流血表現なども避けて、できるだけ気持ちよく、迫力のあるカッコ良さが感じられるようにしています。ただ、毎回そこはせめぎ合いですね。

西川氏: 直接的に相手に何か刺さったり、体が切れたりといった表現は避けています。それでも現世代機になって、すごく画面が綺麗になったので、そうした行為が連想されるような表現でも、最近は指摘されるようになっているんですよ。社内でもレーティング対策を行なって、毎回気をつけるようにしていますが、昔はOKだったものでも、今はNGになる可能性もありますね。

編:もっとも北米版では「T(13歳-16歳)」、欧州版では「12+」となっています。

松山氏: ええ。それは海外で「NARUTO-ナルト-」のファンがマニア層で、年齢的にも上だからです。日本のファンからは怒られるかもしれませんが、海外版では原作同様に、イベントシーンで血の表現もあります。そもそも海外では「格闘」ジャンルというだけで、まず全年齢にならない、という事情もあります。

日本版と海外版のメニュー表記の違い。マンガ的な効果を狙って、あえて筆文字のフォントが使用されている(左上から日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語)



■ 日本と海外で「NARUTO-ナルト-」の受け止められ方の違いとは?

編:「ストーム」シリーズでは、メニュー表示などで手書き文字(筆文字)表現が使われていますね。昨年のCEDECでもローカライズ関連のラウンドテーブルで発表がありましたが、1つずつフォントを作成して、非常に大変だったと話されていました。

松山氏: モード選択などで通常のフォントではなく、筆文字風の表現を用いています。またメニュー部分で単語の先頭文字だけを大きめにするなどの工夫もしました。これらはすべてテクスチャで表現しています。ローカライズを考えると通常のフォントの方が楽なんですが、あえてマンガ的な迫力を出すために、このような手法を採りました。まず紙に筆で文字を書き、スキャンして取り込んで、フォトショップなどで加工したものを組みあわせて使っています。これを各言語分で用意するんです。

編:「ストーム」では勝利画面、キャラ選択画面、バトル画面中のゲージの名前表記などを言語ごとに用意したり、文字間などを手作業で調整したので、非常に手間がかかったと話されていましたが、今回はどうでしたか?

松山氏: フォントテーブルなどを用いて省力化するアイディアもありましたが、今回も結果的には同じで、大変でした。1つずつ筆で書いてました。しかも、いつまでも筆文字の格好がつかなかったので、何度もリテイクを出しちゃいました。そこは申し訳なかったかな。ただ、「ストーム」の表現が海外でも好評だったので、そこはこだわった部分です。

編:先の対談でも出てきましたが、海外のお客さんの顔を思い浮かべながら、日本でゲームを作る難しさはありませんか?

西川氏: NGBA、NBGE(ナムコバンダイゲームスアメリカ・ヨーロッパ)からのご意見をいただいたり、ネット上で海外ユーザーからの書き込みや、トレーラーに対するコメントなども参考にさせてもらっています。そして、実際にどのように反映させるかは、各社のプロデューサーと相談して行なっています。

編:「NARUTO-ナルト-」というコンテンツに対して、日本と海外で受ける、受けないなどのツボの違いはありますか?

松山氏: やっぱり、変わらないところと、まったく違うところがありますね。たとえば体験版で、「NARUTO-ナルト-」がカカシ先生にコミカルな攻撃を行なうイベントシーンがあります。ああいったシーンは、世界のどこでも受けますね。

編:逆に違いと言えば?

松山氏: キャラクターでいえば、日本ではナルトとサスケに人気が集まります。主人公とライバルで、ドラマの中心ですからね。適役でもキラービーのような、明るいキャラクターが人気です。しかし海外では、“暁(あかつき)”と呼ばれる忍者集団が、圧倒的に人気なんです。悪くて強い存在が好きらしくて。特にヨーロッパでは、暁の中でもペインや飛段といった、エグくて残忍な攻撃をしてくるキャラクターの人気が高いんですよ。

編:映画「スター・ウォーズ」で賞金稼ぎのボバ・フェットの人気が高い、などの現象と似ていますね。そうはいっても、各国で異なるバージョンを作るわけにもいきません。

松山氏: ええ、なので各国のバンダイナムコゲームスさんからも、現地の傾向について、さまざまな情報をいただいた後で、必ず最後にこう付け加えられるんです。「という情報は情報として踏まえてもらった上で、最終的にはサイバーさんが面白いと思ったモノを作ってもらった方が、間違いなく世界に向けて勝負できるゲームになるので。あまり情報に左右されすぎないで欲しい」と。

編:かなり信頼されていますね。

松山氏: ありがたいですね。常々スタッフにも「自分たちがそもそも『本物だ』と思えるようなモノを作らなければ、だれも感動させることはできないし、逆に突き抜けたモノを作れば、世界中のすべての人に振り向いてもらえる」と言っているんですよ。「ストーム2」は、まさにそんな作り方だったのかなと思います。

日本版と海外版のメニュー表記の違い。マンガ的な効果を狙って、あえて筆文字のフォントが使用されている(左上から日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語)



■ 今明かされる、あのキャラクターが参戦した理由とは?

編:ちなみに、今回1番大変だったのはどこですか? 松山さんの無茶ぶりですか?

西川氏: そうですね。無茶ぶりなところはありました。スケジュールが決まった後で、キャラクターをもう1体増やそうとか。

編:あちゃー。もしかしたら、そのキャラクターって……

西川氏: ええ、「鉄拳6」からのゲストキャラで、ラース・アレクサンダーソンです。

編:タイトルをまたいだ参戦で、いわば「カメオ出演」ですよね。どのような経緯で実現したのですか?

西川氏: 事の始まりは、「鉄拳6」の家庭用ゲームソフトの情報で「岸本先生によるコスチュームデザインのラース」が、週刊少年ジャンプに掲載されているのを見た瞬間からです。松山を含め開発チームのメンバーが、そのデザインに一目惚れしまして、「ああ、これは『ストーム2』に出すべきだ」と。

編:そうだったんですか。

西川氏: それからバンダイナムコゲームスの佐々木プロデューサーへの提案、「鉄拳6」チームさんへの提案、関係各社もろもろへの提案、それらを一気にやりました。ただ、不思議なくらい、いろんなことがスムーズに進みましたね。

編:そうはいっても、いろいろ大変だったでしょう。

西川氏: ええ。もともと作る予定にはないキャラクターでしたので、正直スケジュール的には厳しかったのですが、「ストーム2」チームのメンバーのものすごい情熱で、一気にカタチとなっていったんです。グラフィックモデルが完成して、「ストーム2」の特殊シェーディングが乗った状態で実機で表示された時、「完全にあってる」。これが、チーム一同の意見でした。

編:「これは、いける!」と。

西川氏: ええ。それから、モーション&エフェクト&術&奥義……と様々な要素が平行して作成されたワケですが、少しずつカタチになるにつれ、その手ごたえは増すばかりでしたね。

編:「鉄拳」チームとのやりとりはありましたか?

西川氏: はい。定期的に「鉄拳6」チームの皆さんにもご監修いただきました。はじめにラースというキャラクターを生み出すにあたって、「気をつけたところ」、「こだわったところ」など、たくさんの思いを伺いました。その都度、丁寧にいろんなことを教えていただいて。「鉄拳」シリーズのプロジェクトディレクターの原田勝弘さんを含め、本当に皆さんにお世話になりました。おかげさまで、非常に良いキャラクターが本作に「参戦」できました。

【スクリーンショット】
(※ このスクリーンショットは日本版のものです)



■ ゲームプレイを通しての「読了感」へのこだわり

編:なるほど。ゲーム部分ではどうでしたか?

西川氏: そうですね。他に今作では「ボスバトル」と呼ばれている、インタラクティブアクション部分の映像表現にかなり力を入れました。ここは松山からのチェックが特に厳しかった部分です。おかげさまでユーザーさんからも嬉しいコメントをいただいています。

松山氏: あとはメインとなるアドベンチャーパートで、全編を通して遊んだ時のバランスや、読了感みたいな部分の調整に、かなり時間をかけました。今でこそ、こうして笑って話せますが、これはもう間に合わないんじゃないかっていうくらい。でも、おかげでかなり良い物になったと思います。

編:次につなげたい改善点などは?

西川氏: 先ほど松山が申したとおり、ゲームとしての統一観や、遊んだ時の手応えの調整ですね。もっと早い段階からできるように段取りを詰めていけば、さらにおもしろいゲームができるのではないかと。個々のバトルやボスバトルは、映像や難易度も含めてかなり手応えを感じていますが、アドベンチャーパートを通して遊んだ時に、ユーザーさんのモチベーションをきちんとコントロールできたかという点では、反省点も残っています。

松山氏: あと2カ月は早くしないと駄目だね。また個々のパーツを作っていて「遅れました」は禁止。個々の要素をこだわりをもって作るのは良いんだけど、全体を組みあわせてみて、はじめてわかることって、必ずあるから。パーツが完成途中であろうと、とにかく組みあわせてみることが大事。

編:ありがとうございました。最後に読者にメッセージをお願いします。

西川氏: 「NARUTO-ナルト-」を知っている方はさらに好きになる。知らない方は原作にも興味が出てくる。そんなパワーを持っているゲームになっていると胸を張って言えます。ぜひ1度触ってもらえれば嬉しいなと思います。

松山氏: 世の中にはキャラクターゲームに偏見を持たれている方が、けっこういると思うんですよ。私自身もそうですし、買って悔しい思いを何度もしました。そうしたキャラクターゲームのイメージを覆す、最高傑作だと思って作っています。「NARUTO-ナルト-」のことを何もしらないから遊べないとか、そんな心配はまったくありません。ぜひ、この「ストーム2」を触って、遊んでもらえればと思います。



 インタビューの後半は海外展開ではなく、「ストーム2」開発における事後検証となった。しかし、国内版・海外版の区別なく、共に熱い想いで作られていることが、少しでも伝わったのではないだろうか。そもそも前半でも触れているとおり、昨今の大型タイトルでは、国内版と海外版の開発を統合して進めることが前提となっている。いわば日本語ですら、ローカル言語の1つと捉えて開発パイプラインを構築しなければ、対応できなくなりつつあるのだ。

 実は席上では「構想10年、開発3年」で知られるDSタイトル「Solatorobo それからCODAへ」についても、興味深い話が聞かれた。詳細は伏せられたが、こちらも当初から海外展開を見越した企画だったようだ。機会があれば、こちらの記事も後日お届けしたい。



■ サイバーコネクトツー福岡本社探訪

 今回のインタビューは福岡本社にて執り行なわれた。先日掲載した対談では東京スタジオの様子をお届けしたが、今回は福岡本社の様子もお伝えしたい。合わせてご覧いただきたい。

福岡本社の開発室。パーティションはなく、立てば全体を一望できる開発室の壁にあるモニター。本開発室、東開発室、東京スタジオの様子がリアルタイムでわかる約4,000本のDVDやブルーレイディスクが納められた棚。スタッフは自由に借りることができる
映像開発室。ゲームの枠に囚われない、最先端のCG映像に関する研究開発が行なわれているサウンド室。さまざまな楽器や録音機材が配置されている社長室。机にはゲームソフトや漫画などが大量に積まれている
社員全員が集まれる大会議室。東京スタジオの大会議室とも映像で結ばれている大会議室の壁は一部が鏡張りになっていて、自分でキャラの動きを演じて確認できる取材時にインターン生として出社していた学生たち。協同でゲーム作りを学んでいた
「ストーム2」のアーティストによる、モデリングの作業風景「ソラトロボ」のゲームデザイナーによるレベルデザインの作業風景本社入り口には東京スタジオと同じく、ユーザー向けのメッセージノートが置かれ、熱いメッセージが書き込まれていた

(2010年 12月 27日)

[Reported by 小野憲史 ]