インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

「新生FFXIV」の現状認識と今後の方向性について

「新生FFXIV」の現状認識と今後の方向性について

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏
「パッチ2.1」では蛮神戦の最上位となる極蛮神戦が実装される

――私も正式サービスから3カ月間、マイペースで遊ばせていただいて、やっとレリックに手が届くところまで進みました。まだバハムートは早いなという段階です。真蛮神戦がすごくゲームとして、そしてバトルとしてよくできてるなと思ったのですね。勝率でいうとまだ高くないのですが、最近は装備も整ってきて勝率も上がってきて、なにより遊びとして楽しいですね。

吉田氏:1番いい遊び方をしていただいてますね。そのくらいのペースで遊んでいくのが、無理なく気持ちよく遊べるのかなあと思います。

――いまナイトでやっているのですが、真蛮神戦は他のロールでも遊んでみたいなと思ったぐらいです。ただ、その一方で、装備以前の問題として、中にはどうしてもクリアできない人もいるだろうなとも思ったのです。真蛮神戦の延長線上にレリック取得があるわけですが、レリックは誰でも取得できるような設計なのか、それともある程度スキルや装備を磨かないと取得できないような難易度なのか、そのあたりの基本方針が知りたいのですが。

吉田氏:レリックはある程度のスキルとコミュニケーション能力があれば、比較的取得しやすい、という意識でリリースしています。

――たとえば、どんなに装備をがんばっても、ギミックを覚えたつもりでも、操作がまずかったり、ラグがあったりしてどうしても死んじゃうという人がいて、その結果全滅する。LSメンバーでエンドコンテンツを楽しみたいから、その手段としてレリックを取りたいんだけど、そこに到達できない。これはちょっとツライですよね。

吉田氏:そうですね。そういった方にとって、いまの「新生FFXIV」は窮屈になってしまっています。これを解消する答えが、今回の「2.1」の半分くらいの意味だと思っています。今の「FFXIV」は、強さ=難易度の壁という、縦方向にしかコンテンツが用意できていません。モチベーションのすべてが、強くなろうという人も、コツコツでいいなという人も、目を血走らせて装備を集めたいという人も、全部同じところにいかなくてはいけない。結果、脱落者が出ないように、「おまえもがんばれ」と周囲が応援してくれたとしても、中には「ムリだって、ムリだって!」って人が出てしまっていると思います。

――ええ、まさにそういう人がリンクシェル(LS)やフリーカンパニー(FC)にもいますね。

吉田氏:ここはコンテンツを用意できなかった我々が悪い。だからこそ「パッチ2.1」は、モチベーションが分散するように作ってあって、コンテンツを分散ではなく、まとめてリリースさせていただく理由もそれなのです。今まではPvE、つまりモンスターと戦うという縦の軸。かつ、コンテンツもまっすぐ縦にしか積まれていない。しかも難易度という階段が結構急です。レベル50までは比較的、ある程度ゲームが苦手な方でも「がんばる」という枠内でクリアできる調整をしたつもりです。ところが真イフリートはまだいけたけど、真ガルーダは、ついて行ったらわからないうちにクリアしてしまった。そして真タイタンでもうムリ! というケースも多くなってしまいました。

 まずこの縦の軸に対して、それを本来救済するのがアラガントームストーンの役目のつもりでした。ですが、現状はこれすら、そういうエンドコンテンツに行かないと集められないという状態になっています。今回入るシリウス大灯台もそうですし、ハードモードの2ダンジョンも今の古代アムダプールの上位になりますが、アムダは逆に難易度が下がり、もっとクリアしやすくなります。気軽にトークンを集めたい方、効率よく集めたい方、その双方が同じコンテンツでぶつからないように、多くのコンテンツを用意したのがパッチ2.1になります。

 もちろん、「周回だ!駆け抜けだ!範囲焼きだ!」という勢いに慄いて、ダンジョンが嫌いになりつつある方や、とりあえずゆっくりでいいから、ダークライト装備を集めたいんですという方たちは、コンテンツルーレットを使って1日200個ずつ集めてもいいです。例えばローレベルを選択すれば、まったり低レベルのギミックもそもそもそんなに難しくないダンジョンで、哲学が200くらいボーナスでもらえるわけです。

――哲学200って今最大でも100ですから、倍って多いですよね。

吉田氏:そうですね。ただ、元々の設計で入手量は後発、もしくはゆっくり遊ぶプレーヤーの方のために、パッチによって緩和されていくという想定です。最初にリリースされた際、アイテムレベルの更新の山はキツい。次のパッチ緩和、その次でアイテムレベルの上限が伸びる。次のパッチでまた緩和、というのを常に繰り返すというデザインです。今回「2.1」でいろんなところからストーンが出ますので、わざわざダンジョンに行かなくても、例えばトレジャーハントをやってたってストーンが出る時があるし、蛮族デイリークエストをこつこつやっていても出ます。だからモチベーションの違い、目的の違いがコンテンツによってようやく分散できます。縦の軸だけでは無く。それで、次の「2.2」になると、アイテムレベルの上限が上がり、新しいデザインと強さがトップ集団のモチベーションになる。これがベースのサイクルです。パッチが遅れたために、申し訳ない状態ではありますが、これを目指して遅れを挽回していくつもりです。

――アイテムレベル95が普通とか、そのくらいになるのですか?

吉田氏:上限が上がるときはもっと上がると思います。アイテムレベルの幅は、イコールコンテンツの幅ですし、階段や難易度が急すぎる状態にしないためにも、ある程度の幅は持ちます。

――一気に上がるわけですか。逆に「2.1」ではアイテムレベルは一切上がらない?

吉田氏:アラガン武器だけ95にしますが、性能的にはダメージを厳密に計算すると極端な差ではないです。プレーヤーの皆さんで計算できる範疇と思います。ツインタニアという、大迷宮バハムート邂逅編のもっとも難しいボスを倒した証として、レベル5差くらいあげないとモチベーションとして苦しい、ということで今回調整しようということになりました。

 「2.2」でアイテムレベルがどこまで上がるかは今はまだ調整中なので避けますが、それによってまた新しいタイプのストーンが出てきて、コンテンツをクリアしてドロップする装備をいち早く取ろうという人と、コツコツ貯めて装備を調えようという人のまた2軸が続くのは同じです。そのくらいの装備になってくるともうたぶん、真タイタンなどは楽になってきます。DPSが上がれば早く倒せる分、ミスによる事故も減りますし、防御力が上がれば、ミスしても倒されにくくなります。

――ランドスライドにどうしてもひっかかっちゃう人は?

吉田氏:まあランドスライドは、うーん、今回移動に関して補正も入れて、できるだけオンラインゲームでありながら、手触りにこだわった調整も入っているので……避けて下さいと(笑)。ただ、一方で、周りのDSPが上がっていくと、1人崖下にいても、真核が楽に壊せたよ、みたいな風にはなっていきますよね。

――なるほど。全体的に底上げされるから。

吉田氏:そうです。人数分かけ算で強くなるためです。たとえば、今でもアラガン武器を装備している7人でやれば、1人転落していても、たぶん余裕で真タイタンは倒せます。DPSがそれぐらい違うからです。例えば縦の軸だけみても、現状では真タイタンに行くときの装備はアイテムレベル70のダークライト装備ですよね。あまり死んで恥ずかしい目に遭いたくないから、と言う方は、たぶんダークライトが揃ってから行っていると思うのです。でも、それがパッチ2.1で、クリスタルタワーの報酬がレベル80で入ってくることを考えると、80の装備になると、クリアはもっと楽になって、重みを1回踏んだくらいでは、ヒールがしっかり間に合って楽になったねと。そうやって緩和されていく。装備だけでなく、パッチが進めばコンテンツ側の緩和としてプレーヤー側にバフを付けたりすることも検討しているので、先に装備を集めてから行くと、あまりにも装備が強すぎて、全然雑魚でしたみたいな状態になったりしていると思います。

 11月末の予定だったパッチ2.1がもう出せていれば、やることが減ってきたなあと、思った頃にコンテンツがドバッと来て、「タイタンなんてもっと強くなってからでもよかったわ」と言えていると思うのです。その遅れの分は僕の見積もりの甘さゆえで、今必死に開発一同で頑張っているところです。もう少しお待ち下さい。

 開発チームにも運営チームにも言っているのは「全力で急ごう、でもとにかく焦らないでくれ」ということです。コンテンツや遊びの「横の幅を全部揃えて出す」ことこそ「2.1」の意義なので、絶対に小分けはしないし、そのままいってくれと。その代わり1個もこぼすな、と言う話をしています。小分けをすると、その都度集中消費が発生して、全体がわからなくなってしまうからです。

 たとえば、「2.1」に3本の柱があるとします。3ついっぺんにリリースさせていただくと、プレーヤーの皆さんは日々の生活の中でプレイ時間が限られるため「今日はどれをプレイしようか」と選択が生まれます。逆に1つだけ、たとえば「トレジャーハント」を先行してリリースすると、皆さんすごい勢いでトレジャーハントを集中的にプレイすることになります。しばらく既存コンテンツは止めておいて、新しい物に集中が発生します。しかし、トレジャーハントは、日々の中の「選択肢のひとつ」として作成しているので、システムというか遊びではあっても繰り返し集中して戦うような物ではありません。簡単に言ってしまえば、宝の地図を拾ってきて、解読し、現地まで行き、宝箱のありかを探す。宝箱の中身を取るためにバトルが発生しますが、毎日それだけやるとやっぱり飽きてしまうんです。

――なるほど。1つだけ先行実装しても、ユーザーの全力プレイに耐えられるほどのボリュームはないってことですね。

吉田氏:そうですね。その場合ボリュームの意味は「単体コンテンツのボリューム」ではなく、「全体の選択肢というボリューム」になってくれない、という意味です。たとえば「トレジャーハント」を個別にリリースし、次に「蛮族デイリークエスト」をまた個別にリリースしたとします。トレジャーハントは飽きちゃっているので、選択肢になりにくくなっています。蛮族デイリークエストは1日にできるクエスト数が決まっている代わりに、同じクエストも繰り返し遊べる、毎日コツコツやるタイプのソロコンテンツです。ハードなバトルを期待されている方にとっては「ソロかぁ、しかも1日にできる数が決まっているのか……」になっちゃうのです。

 その次に、ようやく極蛮神を1つリリースしたとします。蛮神戦の良いところは、いきなりボス戦からスタートする、気楽でありつつハードな点だとも思っているので、逆に道中がない。事前準備が少ない。しかもバトル自体は何度でもトライできる。だから、反復練習しやすく、自転車と同じで1度乗れる、クリアできるようになると、次はあまり苦戦しなくなります。ですので、やはり「倒して欲しいアイテムを入手したら終わり」になってしまいます。これを嫌がってメインとなるドロップアイテムの確率を1%に設定して、「とにかく出るまで繰り返して下さい」にはしたくないのです。

 このように小分けに出す場合、さらに毎リリースごとに4日~7日のマスタリング検証が挟まり、1回の実装でリリースするよりも、たくさんの時間がかかってしまいます。そして時間が掛かった割に、コンテンツが揃った頃にはどれもみんな飽きているという状況になってしまう。新規で始めた方にとっては、すごい選択肢の数に見えても、既存ユーザーさんはそういう心理ではないと思いますし。

 10年やるんだったらここをしっかり作って、ペースを維持しないと、この先がすごくキツくなる。1日でも早くパッチをリリースするのは当然として、でも焦って端折るのだけは止めましょう、と。

――なるほど。「2.1」のコンテンツを貯めて一気に出すやり方は、「2.2」以降でも引き継がれる感じですか?

吉田氏:2.1はハウジングとウルヴズジェイルがあるので、かなり特殊ではあります。ただ、ボリュームは1パッチごとに、必ず3ダンジョン、全く新しい蛮神、PvPアップデート、ハウジングアップデート、ストーリーアップデート、UIアップデート、ファインダーアップデートがワンセットなので、毎パッチでこれらは必ず用意されます。あとはその合間に思いついたコンテンツ、カジュアルなものを差し込む、というイメージです。

正式サービスから3カ月間の評価について

ユーザーの増加はもっと緩く向上していくと考えていたという吉田氏
βテストフェーズ4では、ログインが殺到しすぎて、キャラクター作成そのものを制限する事態になった

――もういくつかお話いただいているんですが、吉田さんとしてこの3カ月間の自己評価をお伺いしたいです。ほとんど意図通りといえるのか、それとも想定外の事が多かったのか。もしそうだとすれば、それは何だったのか教えて下さい。

吉田氏:それは時期にもよります。開始2週間のあの大混雑は完全に想定外でしたので。

――それを吉田さんは毎回言ってるじゃないですか、しかし、私としては少し違和感があるんですよね。というのが、βフェーズの後半や、オープンβの段階で「あ、これは凄い数が来るな」という手応えは、遊んでいた人間ですらありました。ましてや中の人は全部数字を見ているわけだし、ログイン率の高さもわかっているわけだから、少なくとも予想はできていたけど、対応が物理的に間に合わなかったということじゃないかと理解しているのですが。

吉田氏:うーん、そう思われてしまっても、お返しする言葉はなく、ご迷惑をおかけしたのは事実なので、平謝りするしかないです。ただ、想定外だったのは事実ではあります。内部の数字を見ているからこそ。

――もっと少ないと見込んでいたわけですか?

吉田氏:いいえ、最終的な数字に到達するイメージは、今の実績くらいは行くかも?とは思いましたが、そこまでのグラフの推移は「もっと緩い」と思ったのです。ワールド増設がドンドン進められたのは、数字の読みから、もともと増強の計画があったからなのです。ただ、山が垂直に伸びる、という予測をしていなかったのが、本当に僕の読み違いです。

――その2週間が落ち着いた後は、比較的安定しましたよね。

吉田氏:信じられないくらいの決済を沢山しました(苦笑)。サーバーはハードウェアだけではなく、最終的に高く付くのは土地代です。データセンターは床面積を増やさなければサーバーを置くことができません。

 読み違いが発生したポイントは、βのタイミングで「旧FFXIV」を初期で辞めてしまった方の復帰率がすごく低かったところです。いくらメールでお知らせしても、ほとんど参加していただけなかった。その方たちは、当初からお話ししていたとおり、「新生FFXIV」の評判が出て、他のプレーヤーの方の声が出てから徐々に復帰を検討されるのかなと。その方達の数字から推測すると、山はもっと緩やかなものになる、と判断したのです。

――なるほど。それは「旧FFXIV」で、結構ラグだらけの状況下で、蛮神戦にチャレンジしてくれたような熱心なユーザー達が、ですか?

吉田氏:いいえ、もっと初期です。蛮神戦が入ったのはかなり後ですので。「旧FFXIV」を発売した直後に「FFXIV」に期待して購入し、ガッカリして辞めてしまった方々です。その方たちは「新生FFXIV」のβにはあまり参加していただけなかった、ということです。

――へー初めて聞きました。ちょっとそこで弱気になったのですか?

吉田氏:弱気というか、数字は嘘をつかないので、それが結果だと受け止めました。結果を見て弱気になっても仕方がないので、次の手を考えるのが仕事です。ただ、やっぱり思った以上に、当時のショックは相当大きいんだろうな、と思っていました。

 これは地道に運営を続けて、面白いという評判を沢山出して貰えることで、帰って来てもらうしかないんだなと思っていました。ところが、フタを開けたらスタートで相当多くの方に復帰していただけて。それでびっくりしたんです。

――なるほど。結果から逆算すると、彼らは、βには参加せずに、いきなり正式サービスからはじめたってことですか? βでの評判の良さを聞きつけて。

吉田氏:何がどう作用したのか、その点は分析しにくいところなので、βの評判だけでは無いのかなと。「流行った瞬間」だったのも大きかったのかも知れません。だから、お客様は正直なんだなと思いました。

――その2週間が過ぎて、それから2カ月以上がたったわけですが、この間のユーザーのコンテンツの消費の仕方、あるいは消費スピードについて、どのように見ていますか?

吉田氏:正直、真タイタンまでは、もっと早いんじゃないかと思っていました。

――もっと早い? 結構ユーザーは遅かったなという感じですか?

吉田氏:そんなふうには考えていないです。エンディングに行くまでは、皆さんのプレイデータ見ていても、時間で計算して付けた経験値通りに、1キャラ、1クラス目で、まっすぐ遊ぶとちょうど47時間から53時間かかっていました。

――それはメインクエストを中心に、あまり寄り道せずに遊んでということですか?

吉田氏:はい。そこから先、突っ走る人たちはもっと早く、突っ走り続けると思っていたのが当初予測でした。ただ、終盤は8人のコンテンツが多いので、クリアしていくためには人数が必要になります。そこから意外と消費スピードが緩くなりました。他のクラスやクラフター/ギャザラーのレベル上げにシフトした方の数が、想定よりかなり多くいらっしゃったということになります。逆に大迷宮バハムート手前で、ある程度滞留してしまう思っていたら、思いの外、皆さん意気揚々とバハムートにチャレンジしていて、その点は想定外です。

 大迷宮バハムートは、僕らが調整をミスした箇所があり、当初想定ではもっと極端に難しいつもりでした。ただ、結果的にそこでデッドロックしちゃうよりは前に進めたほうが、モチベーションにはなると前向きに考えています。

――クリアまで50時間って、まさにオフラインゲーム。普通のRPG的な発想なんですね。

吉田氏:それでも最近にしては長いほうかなとも思います。スタンドアローンのゲームと比較すればですが。

――そうですね。ただ、MMORPGと比較、たとえば「FFXI」などと比較すると、まったく尺度が違うなあと思いましたね。

吉田氏:「FFXI」と比較したら全然違うでしょうね(笑)。でも「ギルドウォーズ2」だってリリース初期には「36時間でカンストした!」って言っていたくらいで、平均47時間ぐらい。現代に生きる人がストーリードリブンのRPGをプレイして、寄り道していないのにクリアまで50時間というのは、やはり長いとは思います。僕自身もうキツいと感じていて、僕ならストーリーは「コール オブ デューティ」の9時間とか6時間、その代わりめいっぱい詰め込まれている、という方針で、ちょうどいいやって思っちゃうのです。

――ただ、「新生FFXIV」はフルスペックのMMORPGでありながら、15分、30分で遊べるコンテンツがいっぱいあるじゃないですか。そこが忙しいサラリーマンでも遊んでみようかなと思わせるポイントではないかと思いますね。

吉田氏:そう認識していただけると、とても嬉しいです。1つあたりのコンテンツ時間というのは、かなり短くしているのは事実です。例えば、ダンジョンである「タムタラの墓所」はαテストからありますが、クローズドβテスト、正式サービスと、ダンジョンがどんどん短くなっていきました。あれはプレーヤーの皆さんのデータから、クリアまでの時間配分を見せていただいて、内容を削っていきました。タムタラを指標に全部のダンジョンのクリア時間を調整をしているために。1コンテンツでプレーヤーの皆さんを拘束する時間、というのは、とても重要だと思います。

――ただ、その一方で、私がプレイしていて感じるのは、ユーザーさんの先鋭化ぶりが凄まじいなということです。色んなオンラインゲームを見てきましたが、3カ月でここまで来るのかというのが正直なところあるんですよ。私、モードゥナのシャウトを聞いていると、内容が凄くて呆れてしまうところがある。条件が厳しすぎてどのシャウトにも乗れないみたいな(笑)。

吉田氏:それはもう、僕らの責任で、遊びの幅が縦軸しかないためです……。結局プレイの方向がそこに集中してしまっているのは事実です。事実ですが、今回のインタビューで、全メディアさんに必ず「最近モードゥナとワインポートにばっかりいませんか?」という質問をしています。

――私は逆にいないようにしてます(笑)。あそこは行くとシャウトがひどい内容じゃないですか。特定のジョブ募集シャウトはまだしも、レリックを取るために行くコンテンツなのに、参加資格が「レリック必須でさらに光ってる人限定」とか、「今からバハムート行きます。クリア済みで説明不要の方限定」とか。参加条件を極端に絞るシャウトばかりじゃないですか。私はこうしたシャウトこそが、ユーザーの先鋭化の象徴として見ています。

吉田氏:なるほど(笑)。ただ、あの2カ所は、エオルゼアの地域の中でも数%という範囲です。常時3,000~5,000人以上サーバーにいると考えた時、そこだけがエオルゼアではないので。

――逆に言うとそこのイメージだけで語って欲しくないと?

吉田氏:ですので、「同じ目的で、かつ縦方向に細長い先端部分」と考えれば、シャウトの内容も、さほど不思議じゃ無いと思ってしまいました。僕は当時プレイじゃなく、テクスチャループの研究のために、「FFXI」にログインしてレベル1のキャラでジュノの壁ばかり見つめていましたが、最盛期のジュノも似た印象でしたよ。

――ただまあ、当時はもう少し穏やかでしたよね。

吉田氏:それはたぶん、カンストまでの時間が違うからだと思います。

――もありますし、あとは段階的なレベルキャップの解放がある中で、少しずつコアの領域にたどり着くことができたというか、そういうところはありましたよね。

吉田氏:そうですね。「レベリングがコンテンツである」というデザインですね。特に日本のプレーヤーの皆さんは、レベリングがとても好きですし。ただ、レベリングは過程であって、チュートリアルのようなもの、という「FFXIV」の思想からすれば、今の「FFXIV」は単純にコンテンツが足りないのは間違いないと思います。ここはあと少しお待ち下さい。中村さんが、「FFXIV」に対して「価値観的に初めてだ」って仰ることが多かったと思うのですが、「2.1」でさらに変わると思います。

――なんといってもすべてのスピードが速いので面食らいますね。

吉田氏:速いと思います。その速さに対して「必死に付いていかなくていい」という感じが「2.1」で出せればと思っています。

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(中村聖司)