インタビュー
弥助はなぜ主人公の1人になったのか。改めて「アサクリ シャドウズ」ディレクターに直接聞いた
奈緒江と弥助、この2人だから意味がある
2024年6月11日 05:00
- 【アサシン クリード シャドウズ】
- 11月15日 発売予定
- 価格 スタンダードエディション:9,790円(Xbox版のみ9,800円)
- ゴールドエディション:15,400円
- アルティメットエディション:18,150円(Xbox版のみ18,100円)
- コレクターズエディション:34,980円
11月15日発売(アーリーアクセスは11月12日より)予定の「アサシン クリード シャドウズ」。今回、ユービーアイソフトで本作ゲームディレクターを務めるCharles Benoit氏にインタビューができた。
「アサシン クリード シャドウズ」に関しては、6月11日実施された発表イベント「Ubisoft Forward」にて新たなデモプレイが公開され、その中で本作の2人の主人公、奈緒江と弥助の戦闘アクションなどを見ることができた。インタビューではこのデモプレイに関することを含め、改めて奈緒江と弥助の2人が主人公となっている意図などを聞いてきた。
織田信長を多層的に描写する2つの視点
――今回のデモプレイを見て、奈緒江と弥助の戦闘スタイルが想像以上に違っていて、いい意味で驚きました。体格の差も含めて、明確に違いを出すようにしていますね。
Benoit氏:その通りです。開発の初期段階では、忍と侍を出すということだけが決まっていましたが、主人公が2人いることの良さをよりはっきりとプレーヤーに示すために、対照的な戦闘スタイルを目指しています。
――弥助に関しては、一部のファンから主人公のキャラクターとして適しているかどうか、疑問の声が上がっています。改めて、弥助を主人公の1人とした経緯を教えてください。
Benoit氏:ポイントは3つあります。まず開発にとっては、奈緒江と弥助は主人公として同等に扱っています。それは、それぞれに役割があるからです。本作では、“シノビファンタジー”と“サムライファンタジー”、2つのファンタジーを描きたいという狙いがありました。これが1つめです。
その上で、なぜ侍のなかでも弥助を選んだかというと、本作のストーリーは歴史の転換点としての天下統一と、織田信長という非常に興味深い人物にまつわる出来事を中心にしているからです。弥助は織田信長の家臣として、天下統一を目指す側の立場で描かれます。
一方で奈緒江は、その織田軍の侵攻に苦しみます。まったく異なる視点があることで、織田信長のような複雑な人物を興味深く描写できると考えました。これが2つめです。加えて3つめのポイントは、さきほど話題に出たような戦闘におけるゲーム体験の違いです。弥助の並外れた大きな体格があることで、違いをよりはっきりと出すことができる、ということです。
――個人的には、奈緒江を日本の内側からの視点、弥助を日本の外側からの視点として物語を描くことで、世界観に関してより深い理解を促すような狙いがあるのかなと思っていました。これは合っていますでしょうか。
Benoit氏:合っています。それが4つめのポイントと言いたいですね(笑)。外側からの視点という観点では、戦争のやり方を大きく変えた火縄銃は、ポルトガルから持ち込まれたものです。時代の転換期における“外側からの視点”は、本作において象徴的な意味を持っていると思います(編集部注:弥助はポルトガル出身とされている)。
――奈緒江と弥助、2人いるから意味があるということがよく理解できました。そう考えると、奈緒江はもっと注目されてもいいように思います。奈緒江に関して、なにか伝えられることはありますか。
Benoit氏:奈緒江をプレイすると、彼女の出身地の伊賀での暮らしを興味深く知ることができると思います。伊賀は他の地域と比べても独特で、大きな城下町のような場所とは異なる民主主義で成り立っています。伊賀ならではの特殊さを伝えられるのは、我々にとっても楽しみです。
また、これはネタバレになるので多くは言えないのですが、なぜ忍である彼女がアサシンブレード(本作では「隠し刃」と表記)を持っているのか、そもそもアサシン教団と忍にどのようなつながりがあるのかは、今のところ謎になっています。ここがどうリンクしてくるのかも、楽しみにしていてください。
――もうひとつ、先日公開されたシネマティックトレーラーに関しても聞かせてください。映像の中で、畳が本来の形とは異なる正方形になっていたことなど、歴史考証の観点で懸念の声が上がっています。こうした声について、どのように捉えていますでしょうか。
Benoit氏:我々は、開発初日から日本に関する専門家と制作を進めています。それだけでなく、大阪と東京にあるユービーアイソフトの日本チームとも連携して、できる限り間違いを修正するよう常に努めています。ベストは尽くしているつもりでますが、そうしたミスが起きる可能性はありますし、ゲーム体験を優先させる場合もあります。ただ、畳に関しては、ゲーム本編では正しい描写になっているかと思います。
――ありがとうございます。本作にはディスカバリーモードはあるのでしょうか?
Benoit氏:ディスカバリーモードの予定はありません。一方で、本作では「アサシン クリード ミラージュ」のようにコレクション要素のひとつとして、世界を冒険する中で日本の文化的背景や社会的背景を知っていくことができます。あらゆる場所に用意しているので、本作自体をディスカバリーモードのように遊ぶことができるかと思います。
――「アサシン クリード」シリーズでは、各地の神話に基づいたエピソードなどが登場するのが恒例です。本作ではいかがでしょうか。
Benoit氏:「アサシン クリード シャドウズ」では、今のところは予定はしていません。というのも、本作では本物らしさ、リアルであることに注力したかったからです。
奈緒江と弥助の能力を含めて、より力強く表現するようなことはしますが、魔法や神話のような、現実離れしすぎたものは避けました。侍や忍そのものがすでに神話的であり、想像力を十分に刺激してくれるというのも理由のひとつです。
それでも日本の神話は非常に興味深いものがありますし、神話から影響を受けたクエストも存在しています。現在のところは予定がありませんが、将来的にはわかりません。
――最後の質問です。コレクターズエディションのアートブックの表紙に、徳川家と織田家だけではなく、豊臣家の家紋も描かれていました。これにはどのような意味があるのでしょうか。3人目のプレイアブルキャラクターがいるのでしょうか?
Benoit氏:残念ながら、それは違います。ただ、物語のなかで、最初は織田信長が登場しますが、その後は他の統一者たちとの関わりがどんどん深まっていきます。そうした中で、豊臣の人物とも出会うことになります。豊臣家がストーリーに深く関わってくる、ということです。
――ありがとうございました。
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