インタビュー
何故今新サーバーなのか?「ArcheAge」日本運営プロデューサー石元一輝氏インタビュー
2019年7月12日 12:00
ゲームオンが運営中のオンラインMMORPG「ArcheAge」は、生活系のコンテンツから大規模な対人戦まで、多様な遊び方を包括するMMORPGだ。2013年7月のサービス開始から6周年を迎えようとしている今、新サーバー「Aria」をオープンすることが発表された。
7月24日にオープンする「Aria」サーバーは10月23日までの期間限定で、労働力消費、クエスト、モンスターを倒したときに入手できる経験値はすべて2倍、アイテムドロップ率もすべて2倍とキャラクターの成長速度が早いサーバーになっている。
なぜこのタイミングでこうしたイベントを伴って新サーバーをオープンするのか、またその狙いなどを本作のプロデューサーの石元一輝氏に話を聞いたのでお届けしたい。
石元氏はこのタイミングで新サーバーをオープンする目的について、「『ArcheAge』という名前を知っていてもプレイしたことがない人にはこのタイミングでプレイしてもらいたいし、サーバーオープン時のカオスな遊びを楽しみたい人には戻ってきてほしい」と話す。そこには「ArcheAge」特有のコミュニティの結束力の強さがある。
本作には最も小さなコミュニティである「血盟」から、一般的なMMORPGで言うところのギルド的存在である「遠征隊」、そしてすべての遠征隊は本作に登場するいずれかの「勢力」に属している。そしてすべてのプレーヤーのあらゆる行動が勢力の貢献へと繋がり、その結果コミュニティの繋がりが強固なゲームになっている。その繋がりが強いがゆえに、異なる勢力同士の激しいPvPや、どちらの勢力にも所属しない海賊勢力が襲ってくるといったカオスなエピソードが生まれる。
そういったカオス感が濃縮されて楽しめるのが、ガッチリとコミュニティが形成される前、つまり新サーバーオープン直後なのだ。誰が勢力を束ねるのか、どちらの勢力が覇権を握るのか……サーバーオープン直後には毎度、いつログインしてもプレーヤー間の何かしらの事件が起きているのだという。石元氏は「このカオス感を楽しんでいるプレーヤーもいらっしゃいますし、私自身も楽しんでプレイしていたので、そういった楽しみ方を再び提供したいと考えています」と話す。
そしてもう1つの理由として、まだコミュニティができていないことを挙げた。既存のサーバーではプレーヤー間によるコミュニティが形成されていて、新規に参戦するというのはハードルが高く感じるプレーヤーもいる。新サーバーはまさにゼロからコミュニティができていくところなので、そういった懸念点がないからだ。
だがはたして新規サーバーを追加するのが正しいのだろうか? サービス開始から6年を迎え、熟成期に入っている本作。以前痛みを伴うサーバー統合を実施したことがある中で、新規サーバーを追加することで既存サーバーのプレーヤー数が減るのでは、と筆者は考えたのだ。そうすると石元氏からは「『ArcheAge』のシステムが進化しているので問題ない」という答えが帰ってきた。
確かにこれまでは多くのコンテンツがサーバー内で完結しており、接続するプレーヤー数が減少するとコンテンツを満足に遊べない、もしくはバランスが悪いといった事象が起こっていたのだという。その解決のためにサーバーを統合したが、一方で「ArcheAge」特有の問題として人が増えると反比例的に土地がなくなっていく、という問題を抱え続けていたのだという。
この問題の一部を解決できるシステムが「統合アリーナ」だ。「統合アリーナ」はサーバー間でコンテンツをマッチングするというシステムで、4月のアップデートでこの統合アリーナが強化され、大規模戦争「麦畑を揺るがす戦い」でもサーバーを超えてマッチングができるようになった。石元氏によれば「今後も大規模なコンテンツはサーバーを超えてマッチングするようにしていきたい」という意向があるとのこと。というのもサーバーを越えてプレーヤーがマッチングし、コンテンツをプレイすることができれば1つのサーバーにプレーヤーを集めなくても良い、つまりコンテンツのプレイ人口の問題と限られた土地の問題の両方を解決することができるのだ。
新サーバーに人を集めて、スピーディにキャラクターを強くしてもらう。そうして将来的には統合アリーナを構成する1サーバーになることで、統合アリーナで遊ぶ人が一緒に増える。これには新規プレーヤーのみならず既存のプレーヤーにも大きなメリットがあるのだ。
Ariaサーバーのオープンと同日に実装される大型アップデート「ArcheAge5.5 庭園への道」では、現在はサーバー内で完結しているレイドボス「レッドドラゴン」や、新たなインスタンスダンジョンを他のサーバーのプレーヤーと一緒にプレイできるコンテンツが追加される。将来的には新サーバーでキャラクターを育てた新規プレーヤーが、既存サーバーのプレーヤーと一緒にコンテンツがプレイできるようになる。これが「ArcheAge」全体の活性化に繋がるという狙いだ。
一方で新規サーバーの追加で既存サーバーの新規プレーヤー数が減る可能性もある。だが統合アリーナの拡張により、それ以上のメリットがあるというのが石元氏の考えだ。なお、新サーバーオープンの経緯やメリットに関しては、7月12日20時からの生配信にて石元氏がメッセージを直接発表する予定となっている。
「ArcheAge」はフィールドにプレーヤー個別の土地を所有し、建築物を建てることができるため、他のMMORPGとは異なりサーバー統合が非常に難しいタイトルである。そのため今後起こりうるサーバーの人口減少に備えて、こういった方法でコンテンツを楽しむ手段が増えるのは非常に良いアップデートの方向性だと感じた。新サーバーと同時に実装される大型アップデート「ArcheAge5.5 庭園への道」の情報も公開されているので、こちらもぜひチェックしてみてほしい。