インタビュー

「5V5モード」の反響は「まさにExplosive」!「Vainglory」開発元のCEO、Kristian Segerstrale氏にインタビュー

【「5V5モード」アーリーアクセス】

1月30日~ 実施中

 Super Evil Megacorp(SEM)は2017年12月、シンガポールのカランシアターにてAndroid/iOS用MOBA「Vainglory」の世界大会を開催した。世界大会が熱く盛り上がるその裏では、会場を訪れたSuper Evil Megacorpのスタッフに話を聞く機会にも恵まれた。

 本稿ではSuper Evil MegacorpのCEO、Kristian Segerstrale氏へのインタビューの模様をお伝えしたい。

オフラインイベントは今後も継続!待望の「5V5モード」についても聞いてみた

Super Evil MegacorpのCEO、Kristian Segerstrale氏

――2017年の世界大会には新設のSEA(東南アジア)リーグなどからもチームが出場しています。今後も各地域にリーグを増やしていく予定はありますか?

Kristian氏:コミュニティにとって1番いいことはプロアマ問わず参加できるリーグの両方があることですので、リーグを今年はできるだけ多くの地域に広げました。そして現在は地域ごと、例えば東アジア、東南アジアという括りで実施しているのですが、2018年はもっと小さな単位、例えば日本、韓国のリーグという風にやっていきたいですね。明確に時期が決まっているわけではありませんが、今後取り組んでいきたいと思っています。

――「Vainglory」はコカ・コーラと協業してオフラインイベントを開催したりしていますが、今後もオフラインイベントは継続して開催していくのでしょうか?

Kristian氏:ユーザーが集まる良い機会ですし、来年は更にオフラインイベントを拡大したいと思っています。例えば今の世界大会には毎日大体2,000人ほどが来場していますし、オンラインでも「Vainglory」のハッシュタグは今シンガポールでトレンド1位になっています。このようにイベントはオフライン、オンライン両方のコミュニティが集まる機会になりますので、「Vainglory」というものを世界中にお見せしていきたいですし、「Vainglory」はカルチャーであり文化であることを示していきたいです。

今回の世界大会ではコカ・コーラとタイアップして、ライブビューイング観戦パーティーを日本でも開催

――日本のユーザーも熱心に世界大会の配信を観ているようです。何故「Vainglory」は日本でここまで定着したのでしょうか?

Kristian氏:正直に言うと、わからないんです(笑)。日本ではあまりMOBAが定着していないので、当時大きく期待はしていなかったんですね。ただ、1つ言えることは、例え日本でMOBAが流行っていなかったとしても「Vainglory」と日本のゲーマーは、ビジュアルの面だったり、ゲームの機能性について同じ価値観を持っていると思います。

 例えば弊社のリードアニメーターはずっと格闘ゲームを作っていまして、「Vainglory」のインパクトや爽快感、アクションは格闘ゲームにルーツがあります。ビジュアル的な面で言うと、東西を混ぜたような世界観で、特に日本からは強い影響を受けていますし、先進的な西洋の部分と、東洋の日本だったりアジアの両方からインスピレーションを受けています。

――「5V5モード」は現在事前登録を受け付けていますが、ユーザーからのリアクションはいかがでしょうか?

Kristian氏:まさに「Explosive(爆発的)」です(笑)。1週間で50万の事前登録がありました。

ハルシオンフォルドとは大きく異なる「5V5モード」のマップ

――SEMのスタッフ自身、「5V5モード」を楽しみにしている様子が伺えます。CEOから見て「5V5モード」はどのようなものですか?

Kristian氏:私は「Vainglory」をパズルだと思っています。相手が何をしてくるかというのを先に読んで、敵よりも先に決断を下す、というパズルですね。

 そして私が「5V5モード」を楽しみにしている理由が3つありまして、その1つ目は決断をする"スペース"が広がったということです。大きなマップはもちろんですし、視界の仕組みも変わります。オブジェクティブも新しいものがたくさんあります。そして「キャプテンミニオン」の存在によってレーンコントロールの戦術も広がります。それらを組み合わせてさらに深いパズルを作り出すことができるんですね。

 2つめがチームのコンビネーションです。「Vainglory」のヒーローはもともと1人で戦うように考えられたものではなくて、ヒーロー同士のコンビネーションやシナジーによって力を発揮できるように作られています。なので、チームが3人から5人になって可能性が更に広がります。

 3つ目がショットコーリング(指示出し)。3V3のモードではハンドスキルや集団戦の立ち回りが1番大事な要素だったのですが、5V5の1番重要なスキルは決断を早くすること。「次はこのオブジェクティブを狙おう」といった決断を素早く正しく下すことが1番重要になってきます。

――「5V5モード」は既存のゲームルールよりも複雑になります。新規ユーザーへのサポートはどのように行なっていきますか?

Kristian氏:スタッフは皆ゲーマーなのでゲームのクオリティには自信がありますし、それこそが私たちの強みだと思っています。しかし、3V3のルールでさえユーザーに遊び方を教えるというのはとても難しく、もちろんこれまでも努力はしてきましたが、もっといい方法があるのではないかとずっと考えていました。

 なので、今後のアップデートには新しいUIやホームスクリーンのほかに新しいチュートリアルも盛り込んでいきますし、引き続き改善していきたいと思っています。

 一方で、3V3は人数が少ないので、1人1人の責任が重い部分もありますし、全員での集団戦が頻発します。5V5では決断と協力が重要にはなってきますが、人数が多い分1人あたりの責任のようなものは少し軽減されますし、各ロール1人ずつではなくなるので、"ロール争い"も少なくなるかもしれませんね(笑)。

――「5V5モード」の実装は既存MOBAのユーザーを誘因する意図があるのでしょうか?

Kristian氏:私たちはやはりモバイルが主なゲーミングデバイスだと思ってくれる人や、モバイルが初めてのゲーミングデバイスだという次の世代のゲーマーに向けてゲームを作っています。もちろんモバイルのために作っているからといってシンプルにしたり、カジュアルにしているつもりもありません。

 なので、PCゲーマーに無理やり「Vainglory」をプレイして欲しいとは思っていませんが、是非1度試して欲しいとは思っています。モバイルは持ち運ぶことができるので、集まって一緒にプレイするのも簡単ですし、よりソーシャルに人と一緒にプレイすることができます。

――最後に、「5V5モード」を待ちわびている日本のファンにコメントをお願いします。

Kristian氏:待っていてくれてありがとうございます!一生懸命「5V5モード」を開発してきたので、ぜひ楽しんでいただけるととても嬉しいです。

――本日はありがとうございました。