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新たなマップ、新たなオブジェクト!「Vainglory」、5V5モードの詳細が明らかに!

プロリーグも5V5へ移行。今年の世界大会が3V3のラストに

2018年2月 開始

 Super Evil Megacorpは12月17日、開催中のAndroid/iOS用MOBA「Vainglory」の世界大会「Vainglory World Championship 2017」のDay4、決勝戦直前のイベントにて新たなゲームモードとなる「5V5モード」の詳細を明らかにした。アーリーアクセスは2018年の2月に開始予定。また、今後は5V5モードが今後の「Vainglory」のメインコンテンツとなることが発表された。5V5モードは継続してアーリーアクセスを募集している。

 日本においては12月7日にDetonatioN Gamingの決意表明とともにメディア向けの事前発表会が行なわれたほか、現地会場のカランシアターでも5V5についての事前発表が行なわれていた。ハンズオンなどで開発段階の実機を触ることもできたので、ついにベールを脱いだ5V5モード、本稿ではその詳細をお伝えしたい。

日本での発表を行なったSuper Evil Megacorpグローバル・パブリッシングジェネラルマネージャーのTaewon Yun氏
シンガポールにて登壇したSuper Evil MegacorpのCEO、Kristian Segerstrale氏
【「Vainglory」5V5モード】
5V5のマップ遠景。広い!

ついに明らかにされた「5V5モード」!

世界大会前のプレスカンファレンスにビデオ出演したChief Creative OfficerのCaptainNeato氏

 5V5モードでは既存のものとは全く異なる、専用のマップが用意される。人数の増加に伴ってレーンも1本から3本に増加し、ジャングルも広くなるため、レーンの押し引き、そして待ち伏せや"裏取り"といった戦略の幅が大きく広がり、新たな駆け引きが生まれることになる。

 また、3V3用のマップで代表的な中立モンスターであったクラーケンを含め、ミニオンやタレットなども全て刷新される。大型の中立モンスターとしては新たな2匹のドラゴンが登場し、このうちの1匹は倒すことで味方になってともにレーンを押し上げてくれるというもので、クラーケンの役割はこのドラゴンに引き継がれるようだ。

 5V5でレーンが増えたことにより、単純に目の前のレーンを押すというだけでなく、ドラゴンに1レーンをプッシュさせて、味方チームは別のレーンへ向かう……といった新たなチーム戦略の要となることだろう。

 もう1匹のドラゴンは倒すことでヒーローを強化するバフが獲得できる。チーム同士の集団戦ではこのバフの有無が結果に多大な影響を及ぼすことが予想されるため、争奪戦が起こりそうだ。いずれのドラゴンも強力な効果を持つため、今どちらのドラゴンを狙うべきか、あるいはドラゴンを捨ててでもレーンプッシュなど、他にやるべきことを見つけるのか、現状のクラーケンの争奪戦以上に多角的な判断が要求されそうだ。

2匹のドラゴン。それぞれ強力な効果を持つ

 ミニオンや中立モンスターについても、数ウェーブごとに「キャプテンミニオン」と呼ばれる強力なミニオンが出現するようになったり、ジャングル内の中立モンスターがヒーローのウェポンパワーやクリスタル力を強化するバフを与えるようになるなど、大きな変更が加えられている。

新たな中立モンスター
キャプテンミニオン

 「Vainglory」においては相手チームの本拠地に位置する「ベインクリスタル」を破壊することが勝利条件となっている。これは5V5モードでも変更はない。しかし、今回は新たにベインクリスタルの周辺にはこれを守護する3つのオーブが設置される。これらのオーブが存在していると、ベインクリスタルは近づく敵キャラクターにダメージを与えるため、ミニオンを押し付けた上で攻撃して破壊する必要がある。レーンが3本ある関係上、こちらもどのルートからどのように攻めるか、といった戦略が必要になるだろう。

 マップが広くなるということは、ヒーローはもちろんマップに存在するミニオンやオブジェクトの数が大幅に増加することになる。「Vainglory」はこれに対応するため、ゲームエンジンを刷新するのだという。逆に言うと、「Vainglory」がリリースされてから現在に至るまでの期間に5V5の表現に耐えうるエンジンができたことが、5V5モードの実装を後押ししたという側面もあるのだとか。

 既存のエンジンを用いた3V3では120万ポリゴンで、ミニオンなども含め100体以上のキャラクターが描画されていた。これが新たなエンジンで動作する5V5モードでは300万ポリゴンにて200以上のキャラクターを毎秒120フレームで描画することが可能になるという。また、この新エンジンの導入により、既存の3V3モードの描画もそれに準ずるレベルまで引き上げられるということだ。

 この新エンジンにより、「戦場の霧」と呼ばれる視界にかかわる仕様も追加される。これまでのゲーム内の視界は自分を含む味方の周りの一定範囲は見える、というある意味では単純な仕組みによって提供されてきた。しかし、今後は新エンジンの性能により、その視界の状況をよりリアルに、リニアに表現できるようになったのだという。

 また、視界においては既存の「フレア」や「スカウトトラップ」などの視界を確保するアイテムは「スカウトカメラ」というアイテムに刷新、統合される。これは設置すると周辺の視野を一定時間確保してくれるというアイテムで、設置後は姿が見えなくなるためヒーローには発見されないが、視界の範囲内に別の「スカウトカメラ」を設置するとその存在を看破することができる。

 これの意味するところは、視界においても争奪戦が発生するということだ。5V5ではマップが広くなるため、重要なオブジェクティブ、例えば今までのクラーケンのように、そこへチーム全員がすぐに駆け付けることができるわけではなくなる。

戦場の霧
スカウトカメラ

 そのため、特に重要なオブジェクティブの周りには「スカウトカメラ」を設置して視界を常に確保しておくことが重要になるだろう。そうしなければ相手に裏をかかれて、フリーでドラゴンやタワーを獲得されることにもなりかねないし、不用意に近づけば待ち伏せをうけて壊滅する可能性もあるだろう。それを防ぎ、逆に仕掛けていくためには視界が極めて重要だ。今までの3V3でも視界の重要性は散々説かれてきたことと思うが、マップコントロールという観点ではマップの広さに比例してその重要度も跳ね上がるのだ。

マップ中央に流れる川を"下る"ときは移動速度が上がるなど、細かいところにもこだわりが

 ヒーローについては3V3のものを5V5にそのまま適用するとゲームバランスが損なわれてしまうため、1度すべてのヒーローの性能をを5V5に向けてリファインする予定だという。また、モードによって性能が切り替わるということもなく、5V5でも3V3でも遊べるような調整をこれから行なっていくということだ。

 その他にも多数の変更、追加や調整が行なわれ、Kristian Segerstrale氏は自身としても「全く新しいゲーム」のようだと感じているという。日本での発表でもTaewon氏は3V3をチェス、5V5を囲碁に例え、人数の増加とマップの拡張による、より深いゲームの戦略性について語っていた。

 今後はプロリーグにおいても5V5モードを基本ルールとするため、3V3の大会は今回が最後になるという若干衝撃的なニュースも告げられた。「Vainglory」ならではの3V3が見られなくなるのは少し寂しい気もするし、プロチームは人員増強などの小さくない負荷がかかってくるだろう。しかし、広大なマップで大人数でプロが戦う試合はきっと面白いものになるはずだ。ちなみにこの後プロチームによる5V5の試合がお披露目される予定となっているので、こちらの様子も追ってお伝えする予定なので、楽しみにしていただければと思う。

新たな本格スマホ用MOBAの今後に期待

 ここまで新たな「Vainglory」、5V5モードについてお伝えしてきた。この5V5モードの実装によって「Vainglory」はある意味既存のPC用MOBAと同じスタイルになる。PCにおけるMOBAタイトル、「Dota2」や「League of Legends」、そして遡ればMOBAというジャンルの元祖ともいえる「Starcarft3」におけるMOD「Defense of the Ancients 」の時代からMOBAといえば5V5、というのがいわば"常識"で、実は逆に「Vainglory」の3V3をメインのゲームモードに据えるというスタイルが特殊だったのである。

 MOBAというのは本当に難しくて面倒くさくて覚えることが多くて新規参入者にとことん優しくないゲームジャンルだ。一方で競技性やリプレイ性が異常に高く、1度その甘美な勝利の味を覚えてしまうと麻薬のようにもうやめられないジャンルでもある。日々自身のスキル、知識、戦略を磨き続け、一緒になったチームメイトとの連携が上手く決まって勝利を収めたときなどはもうたまらない。

 5V5よりはいくぶんシンプルな3V3というスタイルをあえて採用した「Vainglory」は、そうしたMOBAの面白さを、手厚いチュートリアルや参考動画を提供しつつ新規ユーザーに伝え、広めてきた実績がある。その「Vainglory」が既存MOBAと同じく5V5という路線に進もうということは、MOBAの真骨頂である大人数での対戦の面白さや戦略性の深化を意味することと同時に、わかりにくさや複雑さ、敷居の高さをも内包してしまうことに他ならない。

 SEMCのスタッフに5V5について話を振ると皆一様に「間違いなく面白いし、自分も楽しみにしている」と鼻息を荒くしていたのだが、一方で新参入者へのサポートなどの課題もあり、期待と興奮と不安がないまぜになっている様子も伺わせていた。

 ともあれ、スマホで5V5でガッツリとMOBAが遊べる!というのは素直に喜ばしいことだ。「Vainglory」、そしてMOBAファンである筆者も個人的に物凄く楽しみにしている。

 この発表にあわせてゲーム内では「ゴールデンチケット」が解禁される。もしチケットを運よく入手することができれば5V5のアーリーアクセスに参加することができるので、5V5が気になってたまらない「Vainglory」ファン、そして既存のPCMOBAプレーヤーもこの機会にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

「Vainglory」の新たな挑戦、5V5モード。画像で見るだけでもワクワクしてくる