【特集】

【PS Plusクラシックスレビュー】PS「みんなのGOLF」

今遊んでも面白い! 90年代を代表する大ヒットゴルフゲーム

【みんなのGOLF】

プラットフォーム:プレイステーション

1997年7月17日発売

価格:4,800円(税別)

 世の中にゴルフゲームは数あれど、その中でも屈指の傑作と間違いなく断言できるのが、1997年にソニー・コンピュータエンタテインメント(※当時)が発売した「みんゴル」こと「みんなのGOLF」だ。

 本作に登場するゴルファーは、いずれも3頭身ほどの可愛らしい姿をしているので、一見すると子供向けに作られているのか思いきや、風向きやライなどの状況に応じて最適なクラブを選択して全5コースの攻略に挑む、大人もハマる正真正銘の本格派ゴルフゲームだ。スライスやフックボールを自由自在に打つことが可能で、ラウンド中に雨が降るとピッチが重くなってボールが止まりやすくなるなど、実にリアルに作り込まれている。

 CESAゲーム白書によると、本作は213万本を売り上げる大ヒットとなり、以後PS2以降のハードでも定番シリーズに。2017年にはPS4用ソフト「NewみんなのGOLF」が、2019年には「みんなのGOLF VR」も発売されるなど、息の長いシリーズ作品だ。

 なお本作は、6月2日にリニューアルされたプレイステーションの有料サブスクリプションサービス「PlayStation Plus」の最上位プラン「プレミアム」にて遊ぶことができる。他のクラシックスタイトルも多数収録されているので、合わせてチェックしていただきたい。

【「みんなのGOLF」ゲーム画面】

親切設計充実で、幅広い人が“本格ゴルフ”を楽しめる

 ゲームモードは、最大4人まで参加できる「ストロークプレイ」をはじめ、2人プレイ専用の「マッチプレイ」、好きなホールを選んで練習ができる「トレーニング」、ライバルたちと順位を競う、1人プレイ専用の「トーナメントプレイ」、対戦相手(CPU)に勝つと使用キャラクターが追加される「VSモード」の5種類がある。

 「トーナメントプレイ」では、各コースで5位以内に入るとトロフィーが獲得できる。「トレーニング」以外のモードをプレイすると、プレイ内容に応じた経験値が加算され、一定の経験値を集めるごとに新しいコースが追加される。初回プレイ時は1コースしか選べないが、経験値を集めることで全5コースが遊べるようになり、さらにすべてのコースを出現させると、新たに5コースをいっぺんにラウンドする「5コースモード」が選択できるようになる。また、メインのゲームモードとは別に、パター1本だけを使用して気軽に遊べる「パットゴルフ」モードも用意されている。

【ゲームモード】
ゲームモードは5種類+1種類。最後の「5コースモード」は、全5コースを開放すると選択できるようになる
使用するキャラクターによって、パワーやスピン量、球筋が異なるのも「みんゴル」ならでは
「VSモード」では、選択した対戦相手に勝利すると、新たにプレーヤーキャラクターとして使用できるようになる
パターだけで遊ぶ「パットゴルフ」も用意されている

 本作の最も優れた点、すなわち大ヒットの秘密は、ゴルフゲームの初心者でも遊びやすくなるよう、さまざまな親切機能や演出を搭載しているところだ。

 まず注目したいのはデモ画面だ。タイトル画面が表示されてからしばらく待つとデモ画面に切り替わり、全3種類の初心者向けレッスンを見ることができる。ラウンド中の画面表示も非常にわかりやすく、カップまでの距離や風向き、ライやグリーン上の傾斜などがひと目でわかり、ボールの位置から離れた場所の状況もカメラの視点を自由自在に動かしてチェックすることができる。

 「キャディーモード」をONに設定すると、自動で最適なクラブを選択してくれるのも実にありがたい。また「ストロークプレイ」や「トレーニング」モードでは、「EASY」に設定するとショット時にどんなにミスをしても絶対にダフらない、初心者向けの親切機能が搭載されているのも今さらだが素晴らしいアイデアだ。

【チュートリアルも兼ねたデモ画面】
デモ画面をひととおり見れば、マニュアルを読まなくても基本操作・システムが理解できる超親切設計も見逃せないポイント

 ボールの打ち方は、80年代の各種ゴルフゲームでもおなじみの、ボタンを合計3回押す「チャーシューメン」方式(※パットとアプローチは2回押すと打つ)。○ボタンを1回押すとパワーゲージ(※黄色い「■」型のマーク)が左に伸び始め、もう1回ボタンを押すとパワーが決定するのと同時にゲージが右に動き、さらにもう1回ボタンを押せばボールを打つことができる。3回目のボタンを押すタイミングが、始点にピッタリ合うとボールが真っ直ぐ飛ぶが、左にズレるとスライス、右にズレた場合はフックがかかる。始点から大幅にズレるとダフり(ミスショット)となり、ボールは予測不能のあさっての方向に飛んでしまう。

 前述したように、ボールにスライスやフック、トップまたはバックスピンをかけて意図的に変化させることも可能。操作に慣れてきたら、例えばトップスピンをかけて強風の影響を防いだり、グリーンを狙う際にバックスピンで止まりやすいボールを打ったりするなど、状況に応じたスピンを使いこなせるようになれば楽しさがさらに増す。また「ストロークプレイ」や「トレーニング」モードでは、絶対にダフり(ミスショット)が発生しない初心者向けの機能が用意され、さらに「トレーニング」モードにはプレーヤーが任意の風向きに設定できる機能が搭載されているのも実にありがたい。

【ボールの打ち方は「チャーシューメン」方式】
○ボタンを押すと、パワーゲージが左に向かって動き出す
もう1度ボタンを押したタイミングでパワーの量が決まるのと同時に、ゲージが右向きに反転する
ゲージが始点に戻ってきたタイミングでもう1回ボタンを押すとボールを打つことができる
絶対にダフらない、初心者に優しい「EASY」設定機能も搭載している

盛り上げの演出が効く! 今遊んでも面白いゴルフゲーム

 プレーヤーをますます夢中にさせる、演出面の充実ぶりも見逃せないポイント。ティーショットなどで、パワーゲージを左端(「MAX」の位置)で止め、なおかつ3回目のボタンを始点の位置にピッタリ合わせて押すと、選手の口元から音符のバルーンが表示されて「ナイスショット!」のボイスが流れる。グリーンにボールを乗せた場合は「ナイスオン!」または「ナイスアプローチ!」、ロングパットをカップ付近まで寄せると「ナイスタッチ!」などとボイスが流れ、プレーヤーを褒めてくれる演出は何度聞いても飽きることがない。

 また本作では、ティーショット(第1打)を打つ前は風の強さが伏せられている。風の強さを知るためには、風の音を聞いたり旗の揺れ具合を見たり、あるいはR2ボタンを押して芝を投げ、その散り具合を見てプレーヤーが判断する必要があるのも、本作ならではの面白いアイデアだ。

良いショットやパット、アプローチを打つたびに褒めてくれる演出も「みんゴル」ならでは
【第1打の前に風向きをチェック!】
ティーショット時は風の強さがわからないので、芝を投げたりして予測する必要がある
ボールを打った後に、自分の予測が当たっていたかを確かめるのもこれまた楽しい

 各ホールでバーディーやイーグルなど、アンダースコアで終えることに成功すると、自動でプレイデータがセーブされ、ステータス画面で「スーパーショット」を選択するとリプレイをいつでも見られるようになるのも嬉しい機能だ。プレーヤーの思い出作りになるのはもちろん、次回以降のラウンド時にも大いに参考になる。

 ほかにも、バーディーやイーグルチャンスを迎えると、緊張感をぐっと高めるBGMに変化したり、ボールがカップに蹴られたり、ギリギリのラインから入ったときには特殊なエフェクトが表示されたりするなど、プレーヤーを楽しませる細かい演出が随所に盛り込まれているのも、今さらながら実に素晴らしい。

 本稿の執筆のため、筆者は久々に(おそらく二十数年ぶり)に本作を遊んだが、今遊んでも十分に面白い。紛うことなき、ゴルフゲーム史上に残る名作であると断言したい。

【数々の楽しい演出も秀逸!】
カップスレスレの際どい一打を放ったときのユニークな演出も必見
スーパーな一打を放つと特殊な演出に加え、経験値がもらえるのもうれしい