【特集】
【PS Plusクラシックスレビュー】PS「I.Q Intelligent Qube」
迫りくるキューブ、徐々になくなる足場。高まる緊張の中パズルを解くアクションパズルゲーム
2022年6月2日 00:00
- 【I.Q Intelligent Qube】
- プラットフォーム:プレイステーション
- 1998年7月9日発売
- 価格:4,800円(税別)
「I.Q Intelligent Qube」は当時のソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたアクションパズルゲームだ。発売されたのは1997年、プレイステーション向けにユニークなタイトルが多数発売されている時期で、テレビではインパクトのあるCMが多数放映されていた。
筆者は当時プレイステーションを持っていなかったのだが、ステージの上を走る小さな人間と、ステージ奥から迫ってくる多数のキューブというシーンを強調するCMが繰り返し流れていて、「よくわからないが頭を使いそうで面白そうなゲームだ」という印象を受けたのを覚えている。
いつかはプレイしたいと思っていて、アーカイブがプレイできるようになったときは真っ先にダウンロードしたもの。今回は本レビューにあわせて改めて実機でプレイしたのだが、20年以上経っても色あせない魅力がある作品だった。
今回は、プレイステーションの有料サブスクリプションサービス「PlayStation Plus」のリニューアルに合わせて本作のミニレビューをお届けする。「I.Q Intelligent Qube」は新PS Plusの「プレミアム」プランで遊ぶことができるので、合わせてチェックしていただきたい。
シンプルゆえにストイック。緑の「アドバンテージキューブ」が攻略のカギ
本作はパズルとアクションの要素が組み合わさったゲームになっている。
暗闇が広がる空間の中に、マスで仕切られたステージがある。そこにプレーヤーが操作する“人”がポツンと立っている。そして、ステージの奥からは人の身長より高い複数の立方体(キューブ)が一斉に転がりながら迫ってくる。
キューブには灰色の「ノーマルキューブ」、緑の「アドバンテージキューブ」、黒い「フォービドゥンキューブ」の3種類があり、ノーマルキューブとアドバンテージは「捕獲」(方法は後述)して消すことができる。消すことで人は押しつぶされることなく、ステージ上に残り続けられる。フォービドゥンキューブは消すとミスになるため、転がし続けてステージ手前に落とさなくてはならない。
フォービドゥンキューブだけを手前に落とし、残りを完璧に捕獲できれば高得点を獲得。ボーナスとしてステージが少しだけ長くなり、クリア難度が下がる。逆に失敗するとステージが短くなり、難易度が上がる。基本的なルールはこれだけ。見た目のシンプルさも相まって、ストイックさが際立つ内容となっている。
キューブを捕獲するには、捕獲したいマス上に移動してマークをつけ、キューブがマークの上に来たタイミングで「捕獲」すればOK。だが「捕獲」できるのは、キューブ一転がりにつき1マスだけ。この方法だけでは決して効率がいいとは言えないし、最悪クリアすらできない場合もある。
そこでキーになるのがアドバンテージキューブである。アドバンテージキューブを捕獲すると緑のマークがその場に残り、その後1回だけその地点と周囲8マスを一気に捕獲できる。この効果を上手く使えば、一手でキューブを一気に減らすことができる。
攻略の鍵になるのは、このアドバンテージキューブの使い所だ。一気に多数のキューブを沈めることでクリアが楽になるし、効率よく点数を獲得できる。攻略の上では、必須となる強力なキューブだろう。複数のアドバンテージキューブを捕獲すれば、連鎖的に広範囲のキューブを一気に捕獲することもできる。
緊張の中で「パズルを解く頭」と「キャラクターを動かす頭」が強いられる
だが強力が故に副作用がある。まず広範囲を一気に巻き込んでしまうので、フォービドゥンキューブも巻き込みやすい。捕獲するタイミングは自分で調整できるので、フォービドゥンキューブが来る前や、通り過ぎたあとを狙うのが基本になる。
もう1つの弱点が、発動はバラバラにタイミングを指定できないことだ。まず1カ所アドバンテージキューブを捕獲して、そのまま使用せずに別の箇所のアドバンテージキューブも消したとする。するとステージ上に緑のマークが2カ所残ることになるが、その状態で発動すると両方が作動してしまう。
片方は捕獲範囲が適切でも、もう片方がフォービドゥンキューブを巻き込む位置にあるなど、適切ではないことがよくある。両方のタイミングを見計らっていたら、キューブがもう主人公の目の前まで迫りきっている……なんてことも少なくない。ここが非常に難しいところだ。
つまり、キューブが迫ってくる緊張感の中で、頭を使いながら、アクション要素も求められるわけだ。「パズルを解く頭」と「キャラクターを動かす頭」が同時に求められるのが面白い。また追い詰められる緊張感、そしてステージをクリアしたときの安堵感、この交互の繰り返しが緩急がついていて気持ち良いのだ。
そしてビジュアルと演出面も注目して欲しい。確かに今の基準で見るとキャラクターのポリゴンなどには荒さがあるが、プレイしていると特には気にならない。最小限の演出とデザインに徹することで、ゲームの目的やプレーヤーが取るべき行動がシンプルかつストレートに理解できるからだと思う。
黙々とハイスコアを目指してプレイしてもよし、2Pプレイで友達と対戦してもよし。また、オリジナルの問題を作るモードもあるなど、遊び方にも幅がある。ぜひこの機会に遊んで、再評価してみてほしい。