【特集】
ASTROのハイエンドゲームコントローラー「ASTRO C40 TR」は運び屋必携のギアとなれるか? 「DEATH STRANDING」で試してみた
2019年12月19日 12:00
「ASTRO Gaming」といえば、ロジクールのハイエンドゲーミングブランドだ。これまで日本にはハイグレードなゲーミングヘッドセットである「A40」と「A50」が投入されているが、この2つのヘッドセットはその値段に見合った音質とカスタマイズ性能を備え、もう一つのゲーミングブランドである「ロジクールG」とは別のベクトルでユーザーに受け入れられている。
このハイエンドブランドの1つとして、11月28日に投入されたのがC40だ。海外ではすでに発売されているので、日本発売を待ち望んでいた人も多いだろう。ハイエンドブランドらしく、C40もかなり豊富な機能が用意されている。有線/無線接続の両方で遊べるほか、トリガーの入力感度を調整でき、各種ボタンの割り当てやスティックの差し替え、接続したヘッドセットのオーディオイコライザ設定、プレートの付け替えと、様々なカスタマイズ機能が備えられている。もちろん、PS4の純正コントローラー「DUALSHOCK 4」が持つ振動機能やスライドパッドといった機能は標準搭載となっている。ただ1点、Bluetoothには対応していないため、C40から電源を入れることはできない。
本企画では、ゲームコントローラー特集記事の1つとしてC40をPS4用アクションゲーム「DEATH STRANDING」でプレイし、「C40」の特徴やその有用性を明らかにしていきたい。
握りこみやすいボディに詰め込まれた機能たち
C40は、PS4の純正コントローラーであるDUALSHOCK 4と比べてひとまわり大きい。とくにグリップ部とL、Rボタン、トリガーが特徴的で、筆者の手では小指から中指まででグリップを握るとちょうどよく握り込める。後述する本体背面のリアボタンを中指で押し、L、Rボタンとトリガーは人差し指で兼用しようというスタイルだ。
本体背面、リアボタンの上部に配された赤いスイッチは、L2/R2トリガーの動きを物理的に制限するものだ。バーをそれぞれ上げることで、トリガーの動きを通常時の半分程度まで制限する。シューティングゲームのプレイ時などに、構成ソフトウェアでの感度調整とあわせてトリガーを押しやすく、また反応しやすくできる。
左右スティックはパッド部分を引き抜くことで、用意されている2種の高さのパッドに付け替えられる。さらにスティックと方向キーはフェイスプレートのネジを取り外すとそれぞれを付け替えることもでき、”Xbox Oneスタイル”の配置にもできる。「PS4を慣れた配置で遊びたい」場合にはDUALSHOCK 4ライクに配置できる。またトリッキーな設定で使う人はいないと思うが、右側に方向キー、左側に両方のスティックを配置することも可能だ。
スティックと方向キーはユニット化されているため、付け替えは簡単だ。フェイスプレートとネジを付属のドライバーで外したら、つまんで引き抜くだけ。ユニットは磁石で固定されていて、正しい取り付け方向は赤いラインと“でっぱり”で示されているのでわかりやすい。またフェイスプレートはネジの脱落防止加工が施されているため、ネジ紛失の心配もない。
C40の設定をする「構成ソフトウェア」
ロジクールG製品や他のASTRO Gaming製品と同じように、「C40」にも専用の「構成ソフトウェア」がある。ソフトウェア上でC40のボタンマッピングをしたり、スティックの感度、トリガーの感度などを設定できるほか、自動的にファームウェアを更新する機能も用意されている。
中でも重要なのがスティック、トリガーの感度調整だ。各設定項目は本体と連動していて、実際に動かしながら感度を調整できる。動かしはじめを0%にしてデッドゾーンにしたり、逆に100%のゾーンを増やして反応しやすくしてもいいだろう。
また、ボタンマッピングも設定できる。設定できるボタンはSHAREボタンとOPTIONボタンをのぞく、すべてのボタンが対象だ。ただ、R2、L2をほかのボタンに割り当てることはできない。UL、URのリアボタンも同様だ。
オーディオイコライザは87Hz~9,650Hzの間を5段階に分けて調整できる。銃声や足音が大事になるシューティングゲームであれば87Hzと9,650Hz、ボイスを楽しみたいゲームであれば中音域である628Hz周辺をブーストする、というように用途にあわせて使い分けるとよい。マイクのノイズゲートや本体スピーカーの設定もできる。
そしてLEDと左右振動の設定もできる。LEDは明度を、振動は左右別々に強さを設定可能となっており、各機能が気になるからどれもオフ、ということも可能だ。
最後になってしまったが、構成ソフトウェアで設定した内容は2つまでコントローラーに保存できる。本体上部右にあるスイッチで切り替えることが可能だ。複数用意しておいて、シーンに合わせて切り替えることもできるのでとても便利だ。
「DEATH STRANDING」でC40を試す
では、実際に「DEATH STRANDING」を「C40」でプレイしてみよう。なにより実際に遊んでみることが重要だ。
リアボタンは初期設定で左が○、右が×に設定されているが、筆者が「DEATH STRANDING」をプレイしていたところで感じた、アナログコントローラーを押し込んで使う「L3」と「R3」を便利にするためにこれを割り当てた。ゲームではL3がダッシュ、R3が注目/視点変更となっている。
筆者がリアボタンを上記の割り当てにしたのは、遊びやすく作られている「DEATH STRANDING」の中で、ほんのちょっぴり感じるストレスをなくすためだ。DUALSHOCK 4ではスティックの押し込みでのみ使えるボタンとなっているため、押し込むのと同時に進行方向とは逆に移動しようとしてしまったり、関係のない方向を向いてしまったりと暴発してしまうのがもどかしかった。それぞれのボタンは押すのは少々面倒だが、移動しながら、またはカメラを移動させながら同時押ししたいのだ。そうすることで、敵であるミュールやBTからも逃げやすくなる。
なおミッションの中にはBTと戦わなければならないものもあるし、どうしても逃げ切ることができない場合もあるだろう。そのようなときにはサムの血液から作られた「血液グレネード」をBTに食らわせることで倒すことができる。しかしこの操作、十字キーの右を押しながら右スティックでアイテムを選択し、L2で装備、R2で投げるという、かなり面倒な入力となる。
しかしこの場合のキモは、十字キーの右を押すこと、だ。左スティックはキャラクターの移動に使うため、入力し続ける必要がある。しかし十字キーを押すために、一瞬だが左スティックを離すことになるのだ。ここがまずい。できれば左スティックから指を外さずに攻撃したい。
そこで使ったのが、ULに右矢印を割り当てる、ということだ。これであれば移動につかう左スティックから指を外さず、左の中指か薬指でアイテムを表示させ、右スティックで選んでL2で装備、R2で投げるという操作の流れができあがった。これはかなり便利だと思うのでぜひ試してほしい。
なおこの際にはL2、R2トリガーのロック機能を使うとなおよい。構成ソフトウェアで、ロック時にトリガーを最大まで引いた状態を100%の感度にあらかじめ設定しておくことで、深く押し込まなくても武器の構えと発射、荷物の取得などをスムーズに行なえるからだ。
ところでボタン操作とは異なるが、C40にあるオーディオ機能は「A40」などのノウハウがあるからか、イコライザ設定による音域のブーストが容易に行える印象だ。「DEATH STRANDING」においては川の流れをはじめとした環境音をよく聞いていたかったために中音域をブーストしてみたところ、音の厚みが増したように感じた。
リアボタンの設定が戦いを制する!
「C40」は機能が豊富で、自分なりのカスタマイズ性も高い。またASTRO Gamingならではのオーディオ機能であったり、まだ海外でしか発売されていないが、付け替え可能なモジュールも用意されており、今後日本での発売も期待できる方向キーやスティックの予備などもあるので、使いすぎたら交換することもでき、耐久力もある。
またワイヤレス使用時、最大12時間連続使用が可能な点も魅力だ。ドングルを使うのでUSBポートを1つ占有する点は変わらないが、無線というのがいい。コードに縛られない操作ができるのも、ゲーマーにとってはうれしい。
「C40」は約3万円という高価な品であるが、その価格に見合う耐久力と使いやすさを備える信頼性を感じられる製品だ。全体的な感触もマットで高級感を感じられるし、実際に遊んでいるとスムーズに動作するトリガー、孫の手のように便利なリアボタン、イヤフォンを繋いだ際の手軽で優秀なオーディオ機能にカスタマイズ性と、コントローラーひとつに機能が贅沢に盛り込まれている。年末年始、に「DEATH STRANDING」をじっくりとプレイしたいなら、このコントローラーはオススメだ。