★ PS3/Xbox 360ファーストインプレッション★
初の長時間プレイで見えてきた“プレーヤー主導な作り”と“豊富なやりこみ要素”、“「FFXIII-2」というタイトルの姿”
「ファイナルファンタジーXIII-2」
ジャンル:
  • RPG
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • Xbox 360
  • PS3
価格:
7,980円
発売日:
2011年12月15日
レーティング:
CERO:B(12歳以上対象)

 株式会社スクウェア・エニックスは、12月15日に発売を予定しているプレイステーション 3/Xbox 360「ファイナルファンタジーXIII-2」(FFXIII-2)のプレビュー会をメディア向けに実施した。プレビューとは文字通り、“発売前にプレイして評価してもらう”という試みだ。本稿ではそのプレビューによる「FFXIII-2」のファーストインプレッションを伝えていこう。

 今回プレビューとしてプレイした時間は約10時間ほど。プレイに使用したのは10月初旬時点の開発中のROMで、製品版とは当然異なりゲーム開発にとって最も重要な“最終調整”直前の段階となっている。最終調整次第でゲームの手触りは大きく変わることが多々あり、本稿で指摘しているような点も製品では改善されている可能性があるので、そのあたりはご理解頂きたい。

 「FFXIII-2」で多くの人が気になっているのが“「FFXIII」で感じた不満はどれぐらい解消されているのか?”だろう。筆者も「FFXIII」は発売当時にプレイしたが、やはり不満点が少なからずあった。それは多くのファンが感じたものとほとんど同じだと思うが、代表的なものを挙げると以下のようになる。

    「マップが一方通行のものがほとんどであり探索の魅力が薄い」
    「ストーリーの軸が逃亡劇であるため前向きな目的がなく、モチベーションが続かない」
    「休息地点や息抜きになるミニゲーム等の要素が少なく展開の起伏が少ない」
    「そうした構造と性質から、プレーヤー主導なプレイができず没頭できない」
    「NPCとの会話やコミュニケーション等も、逃亡している身ということで少なかった」
    「育成の自由度や、装備品等によるカスタマイズ要素が薄い」
    「ストーリー展開以外の要素が少なく、やりこみ要素が物足りない」

 こうした不満点が「FFXIII-2」でどのように改善されているのか? プレイの手触りや印象を含めつつ、このあたりも重視してお伝えしていこう。




■ ヒストリアクロスで様々な時代を巡る“タイムトラベル物”
  早い段階から“プレーヤー主導”な進み方になる

「FFXIII-2」での主人公セラとノエル。セラは前作主人公ライトニングの妹であり、ノエルは遥か未来の世界から未来を変えるためにやってきた青年だ

 「FFXIII-2」は「FFXIII」の続編で、時系列としても前作のエンディングの数年後から物語が始まる。そのため、「FFXIII」をプレイしているかどうかで「FFXIII-2」の物語にスムーズに入れるかどうかが変わってくるが、タイトルメニューの1つである「初心者の館」という要素で前作のあらすじを振り返ることができるようになっている。

 「初心者の館」では、前作のストーリーがナレーションとテキストで紹介される。シリーズ作品でお馴染みのチュートリアル的な「初心者の館」とは異なるが、前作をプレイしていない人や前作の物語を忘れてしまったという人に嬉しいコンテンツだ。

 また、セーブデータからプレイを再開した時にも、「ここまでのファイナルファンタジーXIII-2」というナレーションとともに、前回展開されたシーンのダイジェスト版が見られるようになっている。ナレーションの声も毎回いろいろなキャラクターが入れ替わりで担当するというサービスつき。プレイを再開するまでに、しばらく期間が開いてしまった時にありがたい要素と言える。

 「FFXIII-2」は一言で言うとタイムトラベルをテーマにした作品。「ヒストリアクロス」という場所に様々な時代へ通じるたくさんのゲートがあり、主人公であるセラとノエルはそのゲートを使って異なる時代へ移動していく。各ゲートから通じる時代(フィールド)で、主人公セラとノエルは新たなゲートを開くための「オーパーツ」を探す。

 今回のプレビュー会では第3章まで体験。これまでに紹介された要素に一通り触れることができたが、かなり早い段階から“プレーヤーが自分で進む場所を選べるようになった”のが最も印象的だった。

 実は、「ヒストリアクロス」を使えるようになるのは、それなりに物語が進んでからと予想していたが、実際はかなり早い段階から使えるようになる。それ以降は、その時点で開放されているゲートの中から行きたい時代を自由に選び、そこでの探索の結果、新たな時代へのゲートが開放され行ける場所が増えていく。早い段階から、プレーヤーが自分で考え進む場所を決める“プレーヤー主導な作り”になっているのは好印象だ。

 「ヒストリアクロス」の画面(ゲートを選択する画面)では、ゲートのおおよその数が見られるが、かなり多く、その数だけ異なる時代の異なるフィールドがあることになる。寄り道せずにプレイしてもかなりボリュームはありそうだ。


様々な時代と場所へ通じるゲートが並ぶ「ヒストリアクロス」。左の画像はクロスビュー、右の画像はゲートビュー



■ ゲートの先は異なる時代のある場所という“1エリア”の規模
  人々との会話や買い物もしっかりとでき、サブクエストも多数存在

ゲートの先は前作「FFXIII」に近いフィールドが広がっている。前作に登場した場所もたくさんあるが、決定的に異なるのはそこにいる人々とたくさんのやり取りができること。セラとノエルはその時代の人に追われるような立場ではなく、むしろ頼み事を依頼されたりと頼られるシーンも多い
この画像でもたくさんの人々がいるのがわかる。すれ違うだけで彼らの話が聞こえてくるし、吹き出しマークが出ている人とは会話もできる

 各フィールドは、「FFXIII」での1エリア規模の広さになっている(広い街やダンジョンぐらいの規模)。ゲートごとに場所と時代が決まっていて、例えば「ビルジ遺跡」の「AF005年」という具合だ。

 たどり着いたフィールドによって異なるが、人がたくさんいる場所なら会話もたくさんできる。前作では逃亡劇だったため、主要キャラ以外とはほとんど会話できなかったが、「FFXIII-2」ではたくさんの人々から話が聞ける。世界観を深めてくれる大事なポイントだ。

 その中には、「チョコリーナ」というチョコボっぽい服装をした謎の女性もいて、彼女からは武器、アクセサリー、アイテム等の購入や売却ができた。いわゆるショップだが、彼女は店を構えているわけではなく出張販売人のような存在で、あらゆる時代、あらゆる場所に登場していた。

 独特なところとして、NPCの居る場所が一般的なRPGでの「街」ではない。シームレスに続くフィールドの中で、人々が生活する安全な場所やモンスターが出現する危険な場所があり、安全な場所にはショップNPCのチョコリーナや会話できるNPCたちが存在する。そういう意味ではプレイした範囲には街の一部はあったが、全体が街になっているエリアは見られなかった。伺ったところによるとミニゲームが満載なカジノの世界もあるという。

 話しかけた人物から「依頼」をされるという、いわゆるサブクエストの要素も豊富にあった。前作と比べ、話せる人の数自体がとても多くなっているが、その人達から受けられる依頼も非常に多い。

 依頼には、無くしてしまったアイテムを探して欲しいといったものや、特定の場所にいる特殊なモンスターを倒して欲しいなど様々なタイプのものが用意されている。スタッフの話によると、物語の本編だけを遊んでいたらサクサク先へ進めるかもしれないが、こうしたサブ要素を丁寧に遊ぶと、かなり長い時間遊べるのではとのこと。やりこみ要素がたっぷりあることがわかる。




■ フィールドでは「オーパーツ」探しが主目的
  イベントシーンの会話では「ライブトリガー」という新要素も

ゲートの先の世界で「オーパーツ」を見つけるのが1番の目的。オーパーツによって新たなゲートが開き、また異なる時代へと移動できるようになる
オーパーツ同様にゲートも訪れた場所にある。1つとは限らず複数ある場合もあり、普通には見つからないゲートもあるようだ

 各フィールドでは、セラかノエルを操作して探索する。移動等の操作感覚は、前作とほぼ同じだが、フィールドは起伏が増え、進める場所も分岐が多くなり大きく変わった。ジャンプして段差を登るといった高低差のある場所も非常に多くなっている。

 探索要素もしっかりとある。それは隠されたアイテムやイベントシーンなどで、アイテムの入った箱は最初に訪れたときは移動できない場所に配置されていることもあるが、物語を進めてから再び来てみると進めるようになっていたり、それによってさらに世界が広がったりと、やり込むことで手に入るものあった。

 イベントシーンもストーリーの展開上必ず発生するもの以外に、特定の場所に行くと発生するようなものもあった。1度目のプレイでは見つけられなかったが、何度か同じ場所をプレイしていると発見できたものがあった。そうした必須ではないイベントシーンを見ることでも、どこかで何らかの変化が起こるのかもしれない。

 イベント等の会話のシーンでは、「ライブトリガー」という新要素がポイントだ。「ライブトリガー」は、会話の返答を4つの選択肢から選べるというもので、4つの選択肢はそれぞれがコントローラーの4つのボタン(◯、×、△、□ / A、B、X、Y)に対応している。この選択によって相手の返答も当然変化し、またその後の展開が変わることもあるようだ。

 「ライブトリガー」で、プレーヤーがセラたちの行動を選べる場面もあった。例えばボスに対して正攻法で戦うのか、それとも何か有利に戦う方法がないか探してみるといった選択だ。これは「ライブトリガー」での選択によって変わってくるし、ゲームをやりこむことで選択肢自体も変化することもあるという。

 オーパーツを見つけるという当面の目的以外に、その時代や場所の矛盾を解決すると手に入る「フラグメント」という特殊なアイテムも確認できた。これは、なにかしらのコンプリート要素になっているようで、手に入れたフラグメントはメニューにリスト化され、場所ごとに手に入る数も表示される。ただし、単純なプレイでは全てを手に入れることはできないようで、その条件は今はわからない。プレーヤーが引き起こした変化によって手に入ることもありそうだ。

 また、これは少し特殊な要素だが、ヒストリアクロスの画面で「ゲートをクローズする」こともできる。ゲートをクローズすることで、1度クリアした時代を初期化できるという。あとから再びプレイすることで、変化した選択肢等を選べるようになり、そこからさらなる変化も生まれていく。

 エリア内を探索する要素がしっかりとあり、さらにライブトリガーによる会話での返答の選択や、行動の選択、そしてゲームをやり込んでからの再探索によっても、様々に変化が起こる。そうしたいろいろな要素によって変わっていくところを発見していくという意味でも、探索の要素が充実していると感じた。




■ 前作の良さをベースにしたバトル
  “シネマティックアクション”や“仲間モンスターと一緒に戦う”といった新要素が登場

キャラを中心とした周囲の地面にサークルが表示され、キャラの足下には時計が現われる。これが、敵モンスターのシンボルが出現したときに発動する「モーグリクロック」だ。モンスターのシンボルに触れるとバトルが始まる

 フィールドではモンスターの姿は見えない。進んでいると周囲に突然出現するという仕組みだ。このとき、一緒に旅をしているモーグリが画面に登場し、「モーグリクロック」と呼ばれるゲージ、および足下周辺を囲むサークルが出現する。

 「モーグリクロック」では、時間が経過するごとにゲージの針がゆっくりと進んでいく。この間に出現したモンスターに素早く○ / Bボタンでアタックを仕掛けると、先制攻撃で奇襲できるなどバトルを有利に始められる。だが、出遅れると通常バトルに、さらに遅れるとモンスターが攻撃を仕掛けてきて不利な条件でバトルが始まってしまう。もちろん、出現したモンスターを無視して逃げることもできるが、タイムアウトになる前に敵から離れ「モーグリクロック」と「サークル」を消さないと、やはり不利な状況からのバトルとなる。

 「モーグリクロック」時のアタックの動きについては、敵が小さかったり高低差があったりするとなかなか当たらないこともあったので、ある程度補正して欲しいと感じた。完全な自動追尾にすると確実に先制攻撃ができてしまうので、適度にストレスを軽減した補正を期待したいところだ。


モンスターのシンボルに素早くアタックできれば、奇襲による先制攻撃が成功し有利に戦いを進められる。だが、判断が遅れるとATBゲージの溜まるスピードが遅くなるなど、こちらが不利な状況から戦闘に突入することになる

戦闘システムは前作を踏襲。スピーディーに展開されるバトルで戦術が重要になる
パーティーメンバーの使用コマンドが変化する「ロール(役割)」を、「パラダイムシフト」で切り替えて、バトルの状況に対応していく。名称が前作の「オプティマチェンジ」から「パラダイムシフト」に変わったが基本は同じだ

 戦闘はリアルタイムに進行する「アクティブタイムバトル」(ATB)。時間経過で溜まっていくATBゲージを使ってコマンドを実行するというもので、「たたかう」や「ファイア」といったコマンドを並べ、ATBゲージをMAXまで溜めて一気に連続したコマンドを実行、もしくは小刻みにコマンドを実行することもできる。適切なコマンドを自動で選んでくれる機能もあるため、非常に手軽になっている。前作をプレイした人は、基本的な作りは同じと思ってもらえば問題ない。

 攻撃、防御、回復などの役割を切り替える「ロール」も健在。「ロール」によって、パーティーメンバーが使えるコマンドが変化する。「FFXIII-2」では、ロールの組み合わせを変えることを「パラダイムシフト」と呼ぶ。前作で言う「オプティマチェンジ」だ。物理攻撃を仕掛ける「アサルト」や魔法攻撃をする「バスター」を基本に、回復役の「ヒーラー」、敵を挑発し攻撃をひきつける「ディフェンダー」、弱体化魔法を使う「ジャマー」、味方を強化する「エンハンサー」と種類も前作同様となっている。

 このロールの組み合わせを事前に作っておき、戦闘中にL1 / LBボタンで切り替えていく。敵を“ブレイク”させて大ダメージを与えるという基本も同様で、ブレイクゲージは魔法攻撃で主に上昇し、ゲージが増加することでアサルトによる物理攻撃のダメージが増えていく。ブレイクを狙いつつ、敵の強烈な攻撃のモーションが見えたらディフェンダーやヒーラーの組み合わせにパラダイムシフトし、それが終わったらまた攻撃的なシフトに切り替えていくという流れだ。

 スピーディーな展開のなか、次々にシフトを切り替えモンスターの攻撃に対応しつつ、じりじりとブレイクゲージを高めていく。ブレイクしたらここぞとばかりに攻勢を仕掛け、一気に大ダメージを与えていく。独特な魅力を持った戦闘だ。基本的な操作感覚や魅力は変わらないが、「FFXIII-2」ではよりバランスが練り込まれ、特にボスとの戦闘はより戦略的に深みを増したという印象を受けた。一方雑魚モンスターとの戦いは手軽にサクサクと終わる。

 一部のボスとの戦闘では、「ブラッドダメージ」という新たな要素も盛り込まれていた。これは、パーティーメンバーの最大HPが減少してしまうというもので、かなり強烈だ。この要素により、前作の戦闘でありがちだった“長期戦に持ち込めばなんとかなる”という難点を消している。消しているというか“消極的な戦法では勝てないし敗北がはやく決まるようになった”と表現したほうがいいだろうか。

 例えば前作だと、弱体・補助をしたあとヒーラーを入れつつアサルト・バスターで攻撃するという戦法が消極的ながらもベターなところがあり、レベルでは勝てない相手でもその戦法で長期戦に持ち込むことができた。それで勝てるとも限らないが、どちらにしろとんでもなく長い戦いになることもあったため、長期戦の末負けた時には疲れも相当に感じていた。それを排除する要素が「ブラッドダメージ」というわけだ。安定重視の戦い方よりも、より積極的にチャンスを作っていく戦いをしないと、じり貧の結果ブラッドダメージで敗北する。

 ちょっとえげつない印象を受けた要素ではあったが、このプレビューの時にもブラッドダメージの調整を優先的に行なっている最中ということだった。強敵との戦闘バランスを決定づける要素だけにうまく調整して欲しいところだ。


敵モンスターとのパワーゲームをどう突き崩すのか、パラダイムシフトで戦略的にバトルを組み立てていく。下段の画像は異なる場所でライトニングが戦っている様子だが、オーディンに乗って駆けながらの戦いとなっている。こうしたバトルの演出面もかなり強化された

バトルの新要素「シネマティックアクション」。画面に表示された操作を行なう、いわゆるQTE操作でバトルが展開される。通常のバトルよりもさらに豪華な演出バトルが展開される

 戦闘面の大きな新要素には「シネマティックアクション」がある。戦闘画面がイベントシーンのような見せ方に切り替わり、そのところどころで画面に表示されるボタン操作をするという、いわゆるQTE(Quick Time Event)操作でのバトルだ。

 シネマティックアクションのポイントは、イベントシーンのような豪華な演出のなか、QTE操作でバトルを展開するところにある。特定のイベントシーンだけでなく、ボス戦の途中に組み込まれていることもあった。

 QTE操作というと“素早く反応しないと失敗になってしまう気の抜けないもの”という印象があるかもしないが、「シネマティックアクション」の操作はある程度、そのあたりに対する配慮がされていた。まず、ボタン操作は別のボタンを押してもミスにはならない。また、表示されてから一定時間受け付けるようになっているので時間的な猶予もある。落ち着いて見ていれば余裕を持って対応できる。

 それでいて、単調にならないよう工夫もされていた。同時に2つの操作が表示され、物理攻撃をするのか、それとも魔法攻撃をするのかといった行動の分岐をQTEで決定する時もある。それによってバトルシーンの演出や与えるダメージが変化するというわけだ。

 ただ、操作を指示する表示が多少判別しづらいと感じたところもあった。スティックを回すのか押し込むのか、ボタンを押すのか連打するのか、そうした操作のガイドが背景と混じってしまって見づらいところがあった。表示がもう少し大きくわかりやすくなってくれると、より快適かもしれない。


シネマティックアクションでは、2種類の操作が同時に表示されどちらかの行動を選択したり、連続して入力するといった場面もあった

セラとノエル以外に、モンスターが3人目のパーティーメンバーとして戦闘参加!!

 「FFXIII-2」では“モンスターを仲間にできる”のも重要なポイント。基本的にパーティーメンバーはセラとノエルだが、それに3番目のメンバーとしてモンスターを組み込むことになる。この2人+1体がメインだ。モンスターは戦闘後、たまにクリスタルに姿を変えることがあり、クリスタル化すると自動で仲間になる。仲間にするために特別な行動はしなくてもいいが、クリスタル化する確率は当然ながらモンスターによって異なる。

 モンスターはそれぞれ、ロール(役割)が決まっている。例えば“このモンスターはアサルト”、“このモンスターはブラスタ―”というように1つに決まっている。仲間にしたモンスターは最大3体までパラダイムに組み込むことができ、パラダイムシフトすると組み込んだモンスターも入れ替わっていく。

 必殺技を持っているのもモンスターの大きな特徴の1つ。必殺技は、戦闘時間が経過することで溜まっていく「シンクロドライブ」ゲージがMAXになると発動可能。もちろんモンスターごとに使える技が異なる。発動するとシネマティックアクションのような演出が挿入され、QTE操作でダメージや効果が増減していた。

 仲間にできるモンスターは150種類以上とされており、今回のプレイではモンスターごとに性格や成長のタイプ、さらにアビリティの継承といった項目も見られた。モンスターの収集はかなりやり込めそうだ。

 モンスターは戦闘に参加する重要な仲間であり、それぞれにロールや必殺技、ステータスが異なる。強力なモンスターはおそらくクリスタル化させるのも大変なのだろうと思うが、強敵に勝つためにも、コレクション要素としても積極的に仲間にしていきたい。


モンスターはロールが個別に決まっていて、最大3体を組み込める。これを召喚レイドと言い、パラダイムシフトを切り替えると自動で入れ替わる
モンスターはそれぞれが必殺技を使える。時間が経過することで溜まっていく「シンクロドライブ」ゲージがMAXになると発動することができ、シネマティックアクションのようなQTE操作でダメージや効果が変化する




■ 進化したクリスタリウム
  モンスターの育成や装備によるカスタマイズも大幅増

キャラクターの育成は、前作から改良された「クリスタリウム」で行なう。ロールのレベルを細かく上げられるようになったのがポイントで、ロールレベルが上がると新しいアビリティーも習得できる

 セラとノエルのレベルアップは、前作にもあった「クリスタリウム」で行なっていく。ロールごとに用意された専用の成長ルート上に並んでいるアビリティが「パワーライン」というルートで繋がっており、戦闘等で獲得できる「CP(クリスタルポイント)」を使って「パワーライン」を進めていく。

 「FFXIII-2」では、1マス埋めるごとにステータスなどの能力を高めていくと同時に、ロールのレベルを上げられるようになっている。どのロールのレベルを上げるかは、マス目ごとにプレーヤーが選択する。

 いろいろなロールのレベルをバランス良く上げてもいいし、1つに特化してもいい。また、ロールのレベルが一定以上になると新たな魔法や技などのアビリティーを獲得できる。成長ルートには、次に獲得できるアビリティーが表示されるようになっており、「あ、次はファイラ覚えられるんだ。覚えたいなぁ。でも他も上げたいんだよなぁ……」というように、どのロールのレベルを上げるかを魅力的に悩ませてくれるし、レベルアップへの意欲も高めてくれる。

 さらに、クリスタリウムの成長ルートがある程度埋まると、アビリティや新ロール(エンハンサーやジャマー、ヒールなどの最初は使えないロール)を獲得できたり、アクセサリーの装備に必要なコストを増やすなど特殊なボーナスがもらえるようになっている。ロールは早い段階で獲得しておきたいし、他のボーナス要素も影響の大きいものばかり。重要な選択になる。

 前作のクリスタリウムに新しい要素が加えられ、自由度が高くなり奥深さも増した印象だ。実際、筆者と担当編集の2人で今回のプレビューを行なったが、2人のキャラの育成具合はまるで異なっていたし、それによって戦い方もだいぶ違っていた。重視している戦法やキャラクターのイメージなど優先する要素によってプレーヤーの個性が出てくる。

 1つ気になったのは、クリスタリウムのボーナスを獲得するとき「パワーライン」をボタン連打で進めていると1番上の選択肢が連打で決定されてしまうという場面があったことだ。CPがたくさん貯まっていて育成の方針も決まっていると連打しがちだが、ボーナスの選択は重要で取り返しがつかない。ここには一旦操作の受付を停止するような処理が欲しいところだ。

モンスターのロールのレベルは、専用の育成アイテムで上げる。モンスターもセラやノエル同様に新しいアビリティーを修得できる。育成方面のやりこみもかなりの量があるだろう

 仲間になったモンスターの育成ももちろんできる。こちらはCPではなく、モンスター育成用のアイテムを使ってレベルを上げていく。モンスターごとにロールが決まっているのでロールの選択はないが、レベルが上がることで新しいアビリティーを覚えていくのはセラやノエルと同様にある。育成用アイテムはバトルで手に入れたり、ショップのチョコリーナから購入できる。

 150種類以上も仲間になるモンスターを個別に育成できるというのだから、これはもう途方もないことだ。育成していくとどんなアビリティーを覚えるのかも気になるわけで、お気に入りのモンスターを集中して育成していくもよし、より後半に仲間になった強いモンスターと入れ替えていくもよし。徹底的にやり込むなら、あらゆるモンスターを育成しまくるという道もある。思いがけないモンスターが意外と強力になることもあるかもしれない。

 武器やアクセサリーの種類も豊富になった。ショップのチョコリーナから、武器、アクセサリー、消費アイテム、モンスターの育成アイテムを購入できるようになっており、序盤からどんどん新しいアイテムが追加されていた。むしろギルが足りないという印象で、装備品の選択もたっぷり楽しめるようになっている。

 装備品によるカスタマイズも大幅に増している。セラやノエルは武器のほかにアクセサリーをつけられるのだが、アクセサリーの装備枠は最初から4カ所あった。最大で4個のアクセサリーをつけて、効果を組み合わせられるというわけだ。ただし、アクセサリーにはコストがあり、例えばセラの最大コストが50の時なら、コスト30のアクセサリーと20のアクセサリーを着けたら他はもう着けられない。序盤はそれにより、アクセサリー1個が限界という感じになっていた。

 また、特殊なものとして「モンスターに着ける装飾品のアイテム」というものがあった。これは、タトゥーのプリントや何かの歯車など、モンスターに着けて外見をデコレーションするもの。今回プレイした限りでは能力に影響を与えることはなく、あくまで外見を自分好みに飾れるアイテムだった。デコレーションアイテムもかなり豊富に用意されていそうだ。




■ モーグリ大活躍!?
  フィールドに隠されたものには“時の迷宮”の入り口も

セラやノエルと一緒に旅をするモーグリも大活躍。画面はセラやノエルには見えないものをモーグリが見つけてくれる「モーグリハント」。隠されているだけに特殊なものもあるようだ

 モーグリは、フィールド探索のポイントになる重要な存在。セラやノエルには見えないものを探知すると、頭のポンポンを光らせて知らせてくれる。そこでボタンを押し「モーグリハント」をすると、隠されていたものが見つかる。

 いろいろなものが隠されているようだが、中でも特徴的だったのは「時の迷宮」という時空の狭間にある場所への入り口が見つかったことだ。ここではパズルゲームができるようになっていて、上から見下ろす画面で、落ちていく床をすべてのクリスタルを経由しながら進んだり、時間の経過によって色が変化するクリスタル同士を、最初に表示された星座の形になるようラインでつなげるなどしてクリアする。もちろん、クリアすると報酬がもらえる。

 「FFXIII-2」には、前作にはあまりなかったミニゲームもたっぷりあるようで、時の迷宮のパズルもその1つだろう。時の迷宮にもいろいろな種類のパズルがあるし、他にもまったく違うミニゲームがたくさん用意されているようだ。

 もう1つ、モーグリの重要な役割が「モーグリ投げ」だ。これは、文字通りモーグリを遠くへ投げて、セラたちが行けない場所にあるアイテムを取ってきてもらうというもの。兵士がグレネードを投げるかのように、プレーヤーが投げる角度を調整してモーグリを思いっきり投げる。コミカルな描写だが、モーグリ投げでしか取れないアイテムには、重要なものが多いようで見逃せないポイントだ。


豪快にモーグリを投げる「モーグリ投げ」。ノエルやセラでは移動できない場所にあるアイテムをモーグリに取ってきてもらうというもので、見た目のコミカルさとは裏腹に、普通には取れない重要なアイテムを入手できる手段だ

やりこみ要素として多数のステージが用意されている時の迷宮。詳しくはこちらの記事をご覧頂きたい




■ イベントシーンはリアルタイムレンダリングが中心に
  PS3版とXbox 360版の差もほぼなし

今回プレイした限りだが、イベントシーンはほとんどがリアルタイムレンダリングになっていた。容量の節約になるし、メッセージ送りもできるのでリズムを損なわずにプレイできる

 「FFXIII-2」では、プリレンダリング(いわゆる収録ムービー)ではなく、リアルタイムレンダリング(プレイ中の画面と同様のキャラクターモデルによるシーン)でのイベントシーンが非常に多かった。イベントシーン自体も非常に多いが、そのうち9割ほどがリアルタイムレンダリングのシーンになっていたという印象だ。

 「FFXIII-2」はPS3とXbox 360のマルチタイトルとなっているが、容量の点においてはイベントシーンをリアルタイムレンダリングで展開することにより抑えているというわけだ。プリレンダのムービーとリアルレンダのシーンのクオリティにも大きな差はなく、違和感なく収まっている。

 イベントシーン自体の量はむしろ「FFXIII」よりも多いという印象で、ちょっとした会話シーン等の見せ方もイベントのような展開になることが多く、凝っている。それでいて、リアルタイムレンダリングでのシーンなのでメッセージ送りも可能であり、テンポ良く見ることができた。

 ちなみに、今回のプレビューではPS3版とXbox 360版の両方を用意してもらったのだが、ゲーム内容は当然として、基本的な解像度やフレームレートなどは開発用に表示される数値で見ても、差は無いと言っていい。唯一感じたのは色味の違いで、PS3版は淡く、Xbox 360版は濃く表示されていたところがあった(接続はHDMIでテレビも同じ、設定も同じ状態)。雑感としては、ほぼ違いのないものとして好みと環境で選んで大丈夫だと思う。




■ 全体が“プレーヤー主導でやりこめるもの”に
  個性的な新しい試みをしているタイトル

前作とは違って、自分から目的を持って未知の世界を進んでいく「FFXIII-2」。この作りは、プレーヤーとしてもプレイする意欲が高まる。やり込みによる奥深さが重視されており、その全てがプレーヤー主導になっているのもポイント

 「FFXIII」では、ライトニングたち主人公が次に何をするべきなのか、なぜそれをしなければいけないのかといった目的意識があまり伝わってこなかった。というのは、ストーリーの流れから、迫る脅威から逃げるというシチュエーションが長く続くためで、逃げるように進むのはいいが、ではそこからどうするのかという部分が希薄だった。ある程度追い込まれる展開はいいとして、そこから前向きな目標に向かうようにならないとプレーヤーとしてはモチベーションを保ちづらい。

 「FFXIII-2」では、プレーヤーが達成するべき目的とその意図が明確でわかりやすいのが大きなポイントだ。それは“自分から目的を持って前へ進んでいく”という、前作とは逆のスタンスからもたらされているものだ。

 そして、プレーヤー主導で“会話や行動を選択していく”、“それによって起きた変化をさらに自分から探っていく”というところも大きな魅力になっている。ストーリーの見せ方や世界の広がり方にも、プレーヤー主導のやりこみによって見つかる性質の奥深さが加わっている。

 全体的には、やりこみ要素の豊富さがかなり重視されていると強く感じた。様々な時代と場所での探索、クリスタリウムによる育成、モンスターを仲間にする要素、たくさんのミニゲームのような要素など、あらゆる方面の要素にやりこみを加えている。その量は途方もなくたくさんありそうで、「FFXIII-2」最大のポイントは、ストーリー展開と平行して、ゲームとしてのやり込みの多彩さと奥深さがたっぷりあるところだと思う。やりこみ型のタイトルに仕上がっているのは間違いない。


タイムトラベル物特有の引っかかりも多少感じた。時空や次元といった概念も時々出てきていたし、画像のような次元の狭間から現われるようなモンスターも!!

 一方、物語の冒頭のシーンが長く、その内容もプレーヤーを突き放し気味だったところが少し気になった。話の流れとして最初はあえて突き放し気味に、少しずつゲームを進めるごとにプレーヤーが理解できるようになっていく印象を受けた。2周目のプレイで印象がグッと変わるのかもしれない。

 タイムトラベルをテーマにした作品特有の“時間軸や他の時代への影響を理解する難しさ”を多少感じた。いわゆる「○○の時代が変化したから、こっちの○○の時代にもそれによる影響が起きる」ということだが、こうした変化に矛盾がないかどうしても気になってしまう。

 個人的には、ヒストリアクロスのゲートによる時間移動を登場人物たちが皆わりと平然と受け入れているところにも、テイストの軽さのようなものを感じた。会話のノリも少し独特なライトさになっていて最初は戸惑うところがあり、なじむのに少し時間がかかるかもしれない。

 RPGとして捉えても、「FFXIII-2」は独特なスタイルのゲームだと感じた。いわゆる世界全体が1つで繋がっているようなフィールドマップはなく、ヒストリアクロスのゲートがそれぞれのエリアに繋がっているという形式であり、オーソドックスなRPGとはだいぶプレイ感が異なる。個性的な、新しい試みをしているタイトルと考えたほうがいいだろう。

 最後に。今回のプレビューを終えてまず「色々気になる要素があるので、続きが遊びたい」と思った。読者の皆さんは、「そりゃあそうだろう!」と思うかもしれないが、これはプレイするモチベーションが高いということ。ストーリーの続きは当然として、新しいゲートの先にあるフィールドの探索や育成、後々プレイできるようになるだろうミニゲームへの期待など、“この要素をもっとやりたい、試してみたい”と思うような要素がたくさんある。最初の戸惑いはあるものの、じっくりまったりやり込めるゲームとして、じわじわくる魅力がある。発売を期待して待ちたいところだ。


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(2011年 11月 2日)

[Reported by 山村智美 ]