素晴らしきかな魂アイテム

【魂レビュー】受注締切直前! 強力な装備と連携でダグラムを追い詰めた“改良型”の魅力! 「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」

題字:浅野雅世
【第42回魂アイテム】
「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」、7月発送予定、価格は11,880円(税込)。プレミアムバンダイにて受注締切は4月22日23時まで。劇中では24部隊という精鋭部隊が使用したコンバットアーマーであり、4機が見事な連係攻撃を見せる。今回は試作品3体を使ってレビューを行なった

【ライター:勝田哲也】

超合金と洋ゲーを愛するライター。「HI-METAL R ダグラム」シリーズは手に持ち動かすのが楽しいシリーズだ。開発中から注目していたのだが特に感動したのが座り込む「朽ちたダグラム」のポーズを無改造でできるところ。もちろん今回紹介した商品でもこのポーズが可能だ(絵:橘 梓乃)

 「ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」は、「ソルティックH8 ラウンドフェイサー」の“改良機”である。ラウンドフェーサーはいわゆる“やられ役”で、主役機ダグラムの強さを見せつける弱い敵役だった。

 しかし「コーチマSpl.(スペシャル)」は、機体カラーが違い、背中にターボザックを背負い、そして右腕にはリニアガン。そう、ダグラムと同じリニアガンを装備しているのである。パッと見ただけで“主役機と同じ力を持った強力な敵”というのが伝わる“改良機”なのだ。しかも彼らは4機で見事な連携を見せて襲いかかる。TVアニメ「太陽の牙ダグラム」で最も印象的な敵メカと言ってもいいだろう。

 「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」は、その改良機である「コーチマSpl.」を立体化したものだ。本商品はプレミアムバンダイの専売商品であり、受注締め切りは4月22日23時まで。

 今回はこれまでの魂レビューと異なり、メーカーから試作品を借りた「サンプルレビュー」となる。しかも、「受注が締め切りになる前に、本商品の魅力をさらに伝えて欲しい」ということで、今回は試作品を3体も借りることができた。「コーチマSpl.」は4機のコンビネーションで戦った強敵であり、複数の機体を使うことでより劇中の雰囲気を味わえる。本稿では、その魅力を語っていきたいと思う。


強化武器に機体マーク、“モデラーの改造例”そのままの印象的な敵メカ

 まずは劇中の「コーチマSpl.」、そして原型機たる「ソルティックH8RF ラウンドフェイサー(以下、ラウンドフェイサー)」を語っていこう。ラウンドフェイサーをモチーフとした商品の「HI-METAL R ソルティック H8 ラウンドフェイサー」は、筆者が以前レビューしている。ラウンドフェイサーはその名の通り、“丸顔”が特徴のCB(コンバット)アーマーである。

 ラウンドフェイサーは2足型のCBアーマーの中で地球連邦軍で最初に制式となった機体である。主人公・クリンも地球連邦軍パイロットとしてこの機体で訓練をした。その後クリンは虐げられている惑星デロイアの人々の姿を目にし、地球人でありながらデロイアのゲリラ活動に参加、ゲリラ部隊「太陽の牙」の一員としてダグラムと共に戦っていく。ラウンドフェイサーは地球連邦軍を象徴する存在として何度も敵として立ちはだかる。

「コーチマSpl.」は、一般機であるラウンドフェイサーの改良型。ダグラムと同じリニアガンを持っているところが“強敵の雰囲気”をもたらしている
青いカラーリングが印象的だ

 惑星デロイアでは未知のガス星雲「Xネブラ」の影響でコンピューターの性能が劣化してしまう。ラウンドフェイサーはその対策がされていない。一方ダグラムは「Xネブラ対応型」でありこれが大きなアドバンテージになっていた。ラウンドフェイサーはダグラムの“引き立て役”であり、その後様々なCBアーマーの最新型も出てくる中で、“敵の主力であるが弱い敵”という印象を与える存在だった。

 しかし、ラウンドフェイサーは何度か改修や改良を行ないダグラムを苦しめるのだ。身体の装甲をほとんど取り除き、それがばれないように布カバーをかぶった通称“パジャマソルティック”は、高い機動性を発揮してダグラムを苦しめた。そして「コーチマSpl.」である。ダグラムに似たリニアガンを持ち、小さめのターボザックを装備。地球連邦軍精鋭によって構成された「24(ニーヨン)部隊」が搭乗し、その優れた連携でゲリラ軍を撤退させる活躍を見せる。

前腕に取り付けられたリニアガン。ターボザックとケーブルで接続されている
ターボザック。ダグラムのものより小型である

 「コーチマSpl.」の大きな特徴はその武装である。右腕に取り付けられたリニアガン、これはダグラムと同じ武装なのだ。ダグラムのリニアガンと違う点はケーブル式なところ。背中のターボザックとリニアガンがケーブルで接続されている。本体の出力の関係でターボザックという補助がなければリニアガンが使えないのだろうか? それとも接続式だからより強力なのか? といった想像がふくらむ。

 ターボザックはダグラムの「リニアカノン」のような大型火器は装備されていない一方で、ダグラムのものより小型である。24部隊は複数の機体が重なりまるで1機のCBアーマーのように見せたり、優れた機動力でダグラムを翻弄するが、通常のラウンドフェイサーを越える機動力をもたらしたのがこのターボザックだったのではないだろうか?

 もう1つ「コーチマSpl.」の大きな特徴が“マーキング”。腰と肩、ふくらはぎに部隊ナンバーである「24」が描かれている。このナンバーはアニメ本編でも描かれていた。この部隊マーキングが「コーチマSpl.」を“特別な敵”とクリン達に認識させたのだ。「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」でもこのマーキングはしっかりと描かれている。

各部に描かれた部隊マーク。マーキングはアニメでも確認できた。こういった演出はガンプラブームでメカの描写が変わっていく流れを受けてのものだったと思う

 ダグラムが放映されていた1981年はガンプラブームが盛り上がっている中で、モデラー達の改造モデルや、実在の兵器風のカラーリングでロボットを塗る“流行”が出始めていた。当時タカラ(現:タカラトミー)から発売されたプラモデルでも、組み立て説明書にアニメとは大きく異なるカラーリングのイラストが描かれていた記憶がある。

 「コーチマSpl.」はそういった影響を受けた機体なのではないかと思う。一般機とは異なるカラーリング、部隊マーキング、そして非力だったはずの機体を強化装備により強敵へと変える改造プラン。プラモデルを独自のアイディアによって改造していたモデラー達の心に響く機体だったと思う。「コーチマSpl.」はアニメ劇中でモデラー達を後押しするような改造例が示され、そしてドラマでその能力を活かした戦法をきちんと描写された。だからこそ視聴者にしっかり印象に残る敵メカになったのだと思う。


自由度の高い関節と、しっかり重さを支える金属パーツで、ポージングが楽しい!

 「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」の商品としての魅力をさらに深掘りしていこう。本商品は原作と同じように、すでに発売されている「HI-METAL R ソルティック H8 ラウンドフェイサー」をベースとした商品だ。

 「HI-METAL R ソルティック H8 ラウンドフェイサー」は優れた関節設計により見た目以上に動き、随所に使われた金属パーツによりしっかりとポーズを保持できる。手に持つと重量感も感じさせ、精密なディテールと、手に持った人に満足感を与えるアイテムだ。今回発売される「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」もその仕様をそのまま受け継いでいる。「コーチマSpl.」の立体物として、“決定版”とも言える商品である。

股関節や膝関節の自由度で膝立ちも可能。ポージングが非常に楽しい
コクピットハッチは開閉する。パイロットフィギュアも付属
ボーナスパーツとして一般機用の腕アーマーとリニアガンが付属。リニアガンは本体と同じ青いカラーリングで、違和感がない。オリジナルの武器構成を考えるのも楽しい

 本商品はやはり動かすことでその満足感が大きく高まる。筆者が特に気に入っているのは膝と連動する腿の可動ギミックだ。膝を曲げるとその動きに引っ張られて腿の上部がスライドする。これにより膝を折り曲げるように深く曲げても隙間が隠され、膝の自然なラインを維持するのだ。

 肘の部分の複雑な構造も注目ポイントである。CBアーマーの多くは前腕部に装甲をつけているが、従来の立体物では関節がシンプルなため前腕の装甲を構える方向が限られていた。しかし本商品では肘の自由度が大きく上がっている。このため腕アーマーにリニアガンをつけている「コーチマSpl.」にとって、リニアガンの構えがより自由になっているのだ。他にも腰や足の付け根の可動、肩の引き出しなど、動かすほどに練られた関節設計にうならされるだろう。多彩なポーズをとらせることがとても楽しい商品なのだ。

ポーズをとらせてみる。CBアーマーはジャンプすることができる兵器である。接続パーツで魂ステージなど別売のフィギュアスタンドを活用できる


3体の試作品で24部隊の戦法を再現! 大きく広がる遊びの楽しさ

 そして「複数揃える事で広がる遊び」だ。ぶっちゃけてしまえば「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」は高価な商品であり、複数揃えるのは資金的負担がかなり大きい。しかし「劇中の24部隊を再現するために、4体揃えたい!」という熱心なユーザーもいると思う。今回3体の試作品を使うことで、複数並べることでの独特の体験ができたことは、とても楽しかった。

3体を並べてみる。非常にリッチな雰囲気だ

 24部隊はその優れた連携でダグラムを苦しめる。その最も驚異的な攻撃方法が「複数の機体を1体だと思わせる」という戦法だ。その戦い方は1体が影となり、その期待に後続の機体が隠れ、一糸乱れぬ機動をすることで敵を欺くというものだ。「映像作品ならともかく、立体物では重なって見えないんじゃないの?」というのを、実際に商品を並べて検証できる、これはとてもリッチな実験だ。

縦に並べて立たせる。1体だと幻惑させる作戦だ

 ……結果はこうである。写真を選別するサムネイルでは一瞬この写真を探すのに時間がかかってしまった。もちろん落ち着いてみれば重なって見えるし、立ち位置をもっと調整すればさらにきちんと1体だけに見えるかもしれない。しかし、ただシンプルに3体縦に並べただけでも結構1体だけに見えるのがわかる。戦場で混乱していれば、だまされてしまうのではないか。

 そしてここから24部隊は攻撃に転ずる。走りをずらし、まるで分身したかのように現われる敵の姿は対峙する者に混乱と絶望を与えるだろう。1体が空高くジャンプし、2体が左右に離れるという攻撃も劇中で見られた方法だ。今回映像を見ながら商品を並べてみた。まるで忍者ものの様に敵を幻惑し攻撃する「コーチマSpl.」を立体物で再現できるのはとても楽しい。筆者はダグラムを持っていないためできなかったが、ダグラムと対峙するシーンも作りたくなってしまった。

3体の連続攻撃を意識してのディスプレイ
3体揃えると楽しさが大きくふくらむ

 「HI-METAL R ソルティックH8RF ラウンドフェイサー コーチマSpl.」はとても魅力的な商品だ。まず、手に入れたユーザーが満足感を得られるという意味では、元となる「HI-METAL R ソルティック H8 ラウンドフェイサー」がとてもクオリティの高い商品であることでその完成度とギミックは保証付きである。

 そして「改良されたスペシャルな量産機」という「コーチマSpl.」ならではの魅力はとても大きい。特に主人公機と同じ改造プランというところがグッとくるのだ。“主役と同じ能力を持つ敵”はドラマの定番であり、それを“改良”によって行なっているところにグッとくる。メカのシチュエーションとしてとても楽しい。

 熱心なファンには「複数あることでの楽しさ」も今一度強調しておこう。縦に並べてダグラムを幻惑するシチュエーションを再現するのは、特に面白い体験だった。連携を重視していた「コーチマSpl.」だからこそ、複数揃える面白さは大きい。受注締め切り間近である。ぜひ今一度、本商品を手にすることを検討して欲しい。

【プレミアムバンダイで購入】