素晴らしきかな魂アイテム
【魂レビュー】合体ギミックと可動を両立させた「HI-METAL R ウォーカーギャリア」登場! 金属パーツを多用した精度や重量感も嬉しい
2019年3月19日 12:00
【ライター:稲元徹也】
ゲーム及びホビーを主軸に執筆するフリーライター。決して多いとは言えない近年の「戦闘メカ ザブングル」の製品の中で、今なお強い存在感を放っているのが、2007年発売の「超合金魂 ウォーカーギャリア」に同梱された塗装済みキット「ドランタイプ」。同作プラモデルのリアルタイム世代としては、その立体化に驚喜し、主役のギャリアを開けるよりも先に組み立てたのでした。(絵:橘 梓乃)
「HI-METAL R」シリーズで展開中の「戦闘メカ ザブングル」のウォーカーマシン「ウォーカーギャリア」が、2月23日に発売となった。同シリーズでは4番目のアイテムで、待望の2代目主人公メカの登場だ。
ウォーカーギャリアは、初代主人公メカのザブングルと比較すると、合体変形の機構が単純なデザインで、これまで発売された製品でも合体ギミックを実現しているものが多かったが、「変形・ギミック」を売りとしたHI-METAL Rシリーズにおいて、本製品の合体変形がどこまで昇華されているのか、大いに気になったところだ。
また1/100スケール相当のウォーカーギャリアとしては2008年の「リアルロボットレボリューション(R3) ウォーカーギャリア」以来の発売であり、そのボリュームやプロポーションなども併せてチェックしてみよう。
1/100スケール相当のボリュームを実現した、触って遊べるウォーカーギャリア
「戦闘メカ ザブングル」という作品や、作中に登場するメカ「ウォーカーマシン」に関しては、【第5回魂アイテム】で紹介した「HI-METAL R ブラッカリィ」の記事にて触れているの割愛し、ここではウォーカーギャリアという機体について述べておこう。
ウォーカーギャリアは、「戦闘メカ ザブングル」の第26話で初登場したウォーカーマシンで、元々はイノセントからキッド・ホーラに支給される予定だったが、カラス・カラスとの戦いでザブングルを失ったジロン・アモスがそれを強奪。「3日限りの掟」を経て、彼が搭乗する機体となった。ローター付きのホバーマシン「ギャリィホバー」と、3輪のタイヤを備えた車「ギャリィウィル」の2機からなる最新型のウォーカーマシンであり、劇中ではこの1機のみが登場した。
ザブングルと比較するとずんぐりとした体型の機体で、翼は持たず、ギャリィホバーのローターが背中に位置し、飛行のための推進機構となる。武装は機体に装備された2門の機銃の他、「ライフル」や三日月状のミサイルランチャー「ブーメランイディオム」、ジロンがソルトのトロン・ミランとの取り合いの勝負をした「バズーカ」、そして劇中には未登場の「5連装ミサイルランチャー」があり、この「HI-METAL R ウォーカーギャリア」にも全て付属している。
ウォーカーギャリアは、古くは番組放映時のスポンサーだったクローバーの「DX変形合体」をはじめとするおもちゃや、バンダイの1/144スケールプラモデルや「ハイコンプリートモデル」、近年では前述のR3や「ウォーカーマシン・イン・アクション!!(WIA)」、「超合金魂」、「スーパーミニプラ」などの各シリーズでも発売され、立体化の機会は意外に多い。変わったところでは、放映当時に1/100スケールのプラモデルが未発売に終わったことに対する提案として、放映終了から2年後の1985年にバンダイの情報誌「模型情報」の別冊として1/100スケールのペーパークラフトが発売されたことがあった。
冊子扱いなので価格が安く(当時価格600円)、なんと合体変形も実現していたが、組み立ての難易度が非常に高く、切り取り線と折り線のみのモノクロ印刷により、劇中のように仕上げるには全塗装が必要というハードルが高いキットで、作品のファンだった筆者もさすがに閉口してしまった記憶がある。
プラモデルにおける1/100スケールのウォーカーギャリアは、2008年発売のR3版が決定版的な存在となったわけだが、今回発売された「HI-METAL R ウォーカーギャリア」は、1/100に近いスケールでの“触って遊べる完成品フィギュア”という位置づけとなった。
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パッケージ内のブリスターには合体した状態で入っていて、手に取るとずっしりした重さを感じられる。この重量感は先に発売されたザブングルやブラッカリィ以上だ。特に下半身には多くの金属パーツが使われていて、剛性を上げているだけでなく安定性も高くなっている。
引き出し関節や豊富なロール軸で、コミカルなポーズも楽しい、!
過去にも合体変形するウォーカーギャリアが多数発売されていたが、このHI-METAL R版も、劇中と変わらないプロポーションを実現している。R3版は横幅がありやや太めだったが、こちらはそれよりも若干スリムで、より設定画に近い印象を受ける。
さらには可動にもかなり気を配って設計されていて、肩や足首などに引き出しし式の関節を備え、派手なアクションポーズも可能としている。
以前のブラッカリィの記事でも述べたが、コミカル描写の多い「戦闘メカ ザブングル」において、ウォーカーマシンもそれに準じた動きをすることがあり、主人公機であるウォーカーギャリアはブラッカリィ以上にコミカルなポーズを見せるシーンが多く、かっこよく決めるよりも似合っている気がする。
当時から完成されていた合体変形のデザインをさらに昇華し、変形後のビークルもスタイリッシュに
そして気になる合体変形に関しては、ギャリィホバーとギャリィウィルに分離後のちょっとした設計により、ビークルのミニチュアとしても楽しめるようになっている。例えばギャリィホバーなら、分離後に肩のブロックをコクピット側に縮められる機構があり、シルエットを劇中のものに近づけている。またローターの下に開閉式のラッチを設け、そこに腕を固定することで、持って遊ぶときに腕が下がってしまうことがない。
一方ギャリィウィルのほうも、ギャリィホバーが納まっていた溝にもう一つ開閉式の溝が設けられていて、変形時はそこに膝のパーツを差し込むことで、脚を確実に固定できる。変形後はタイヤが全て接地し、それが全て回転するので、ミニカーのようにコロ走行をして楽しめる仕様だ。
ウォーカーギャリアが無理のない物理変形をするデザインだったことで、そのギミックを実現しつつ、さらなる工夫を重ねてウォーカーマシン形態とビークル形態の両方でユーザーの満足度を高めていることに好感が持てた。HI-METAL Rシリーズとしては高額の部類に入る価格設定ながら、ボリュームやギミック、付属品の充実などから、価格以上の価値があったと個人的には思っている。
シリーズとしてはある意味決定版的なアイテムの登場により、今後のHI-METAL Rのラインナップがどうなるのかなぁ、などと想像しながら今回の記事製作を楽しんだ筆者であった。
(C)創通・サンライズ