素晴らしきかな魂アイテム

【魂レビュー】合体ギミックと可動を両立させた「HI-METAL R ウォーカーギャリア」登場! 金属パーツを多用した精度や重量感も嬉しい

題字:浅野雅世
【第38回魂アイテム】
「HI-METAL R ウォーカーギャリア」。2月23日発売、価格は17,280円(税込)。「戦闘メカ ザブングル」より、第2の主人公機「ウォーカーギャリア」が満を持して発売に。第26話より登場したイノセントの最新ウォーカーマシンで、「ギャリィホバー」と「ギャリィウィル」の2機による合体機構を持つ

【ライター:稲元徹也】

ゲーム及びホビーを主軸に執筆するフリーライター。決して多いとは言えない近年の「戦闘メカ ザブングル」の製品の中で、今なお強い存在感を放っているのが、2007年発売の「超合金魂 ウォーカーギャリア」に同梱された塗装済みキット「ドランタイプ」。同作プラモデルのリアルタイム世代としては、その立体化に驚喜し、主役のギャリアを開けるよりも先に組み立てたのでした。(絵:橘 梓乃)

 「HI-METAL R」シリーズで展開中の「戦闘メカ ザブングル」のウォーカーマシン「ウォーカーギャリア」が、2月23日に発売となった。同シリーズでは4番目のアイテムで、待望の2代目主人公メカの登場だ。

 ウォーカーギャリアは、初代主人公メカのザブングルと比較すると、合体変形の機構が単純なデザインで、これまで発売された製品でも合体ギミックを実現しているものが多かったが、「変形・ギミック」を売りとしたHI-METAL Rシリーズにおいて、本製品の合体変形がどこまで昇華されているのか、大いに気になったところだ。

 また1/100スケール相当のウォーカーギャリアとしては2008年の「リアルロボットレボリューション(R3) ウォーカーギャリア」以来の発売であり、そのボリュームやプロポーションなども併せてチェックしてみよう。


1/100スケール相当のボリュームを実現した、触って遊べるウォーカーギャリア

 「戦闘メカ ザブングル」という作品や、作中に登場するメカ「ウォーカーマシン」に関しては、【第5回魂アイテム】で紹介した「HI-METAL R ブラッカリィ」の記事にて触れているの割愛し、ここではウォーカーギャリアという機体について述べておこう。

 ウォーカーギャリアは、「戦闘メカ ザブングル」の第26話で初登場したウォーカーマシンで、元々はイノセントからキッド・ホーラに支給される予定だったが、カラス・カラスとの戦いでザブングルを失ったジロン・アモスがそれを強奪。「3日限りの掟」を経て、彼が搭乗する機体となった。ローター付きのホバーマシン「ギャリィホバー」と、3輪のタイヤを備えた車「ギャリィウィル」の2機からなる最新型のウォーカーマシンであり、劇中ではこの1機のみが登場した。

最終回のシーンを描いたパッケージ。右上の窓にはジロンとチルのフィギュアが見えている。イラストは森下直親氏
ブリスターは2枚。本体は合体した状態で納められている

 ザブングルと比較するとずんぐりとした体型の機体で、翼は持たず、ギャリィホバーのローターが背中に位置し、飛行のための推進機構となる。武装は機体に装備された2門の機銃の他、「ライフル」や三日月状のミサイルランチャー「ブーメランイディオム」、ジロンがソルトのトロン・ミランとの取り合いの勝負をした「バズーカ」、そして劇中には未登場の「5連装ミサイルランチャー」があり、この「HI-METAL R ウォーカーギャリア」にも全て付属している。

 ウォーカーギャリアは、古くは番組放映時のスポンサーだったクローバーの「DX変形合体」をはじめとするおもちゃや、バンダイの1/144スケールプラモデルや「ハイコンプリートモデル」、近年では前述のR3や「ウォーカーマシン・イン・アクション!!(WIA)」、「超合金魂」、「スーパーミニプラ」などの各シリーズでも発売され、立体化の機会は意外に多い。変わったところでは、放映当時に1/100スケールのプラモデルが未発売に終わったことに対する提案として、放映終了から2年後の1985年にバンダイの情報誌「模型情報」の別冊として1/100スケールのペーパークラフトが発売されたことがあった。

 冊子扱いなので価格が安く(当時価格600円)、なんと合体変形も実現していたが、組み立ての難易度が非常に高く、切り取り線と折り線のみのモノクロ印刷により、劇中のように仕上げるには全塗装が必要というハードルが高いキットで、作品のファンだった筆者もさすがに閉口してしまった記憶がある。

 プラモデルにおける1/100スケールのウォーカーギャリアは、2008年発売のR3版が決定版的な存在となったわけだが、今回発売された「HI-METAL R ウォーカーギャリア」は、1/100に近いスケールでの“触って遊べる完成品フィギュア”という位置づけとなった。

パッケージ開封時はアンテナと機銃が付いていないので取り付ける。頭部機銃とアンテナは予備が付属
作中では誰よりもジロンになついていて、相棒といってもいい存在のチルのフィギュアも付属
身を乗り出したジロンのフィギュアは、キャノピーを交換して使用する
コクピットの開閉ギミックがあり、フィギュアを載せる。ピンセットがあると楽だ

 パッケージ内のブリスターには合体した状態で入っていて、手に取るとずっしりした重さを感じられる。この重量感は先に発売されたザブングルやブラッカリィ以上だ。特に下半身には多くの金属パーツが使われていて、剛性を上げているだけでなく安定性も高くなっている。

「HI-METAL R ウォーカーギャリア」。設定画と同じ角度での立ちポーズがこれほど似合っうフィギュアは他にない
色は全てパーツの成形色によって色分け。塗装箇所はキャノピーのワイパーや投光器のレンズ、5連ランチャーの一部などかなり少ない
金属パーツは肘や膝の裏、肩などの一部に露出していて、光沢が抑えられた成形色に対するアクセントにもなっている
過去のHI-METAL Rのウォーカーマシンとの対比。厳密なスケール設計はしていないようで、全体の中で1番大きい
左からスーパーミニプラ、超合金魂、HI-METAL Rのウォーカーギャリア。撮影環境にもよるが、実はかなり色味が違ったことがわかる


引き出し関節や豊富なロール軸で、コミカルなポーズも楽しい、!

 過去にも合体変形するウォーカーギャリアが多数発売されていたが、このHI-METAL R版も、劇中と変わらないプロポーションを実現している。R3版は横幅がありやや太めだったが、こちらはそれよりも若干スリムで、より設定画に近い印象を受ける。

 さらには可動にもかなり気を配って設計されていて、肩や足首などに引き出しし式の関節を備え、派手なアクションポーズも可能としている。

手脚はここまで上がる。二の腕や太ももにロール軸もあるので、ポージングの自由度はかなり高い
肩のブロックは引き出すことで大きく可動。バズーカを正面に向けて構えるポーズもOK
膝は二重の関節で膝立ちも可能。つま先は二つのパーツが独立して90度まで曲げられる
ブーツは根元とソールがを引き出せるので、ポージング時に無理なく接地する
胸部と腰部は変形機構を兼ねたジョイントで接続されている。これを利用すると、大きく後方に反ったポーズを取れる
首は2段階に可動する関節を採用していて、かなり上まで伸ばせる

 以前のブラッカリィの記事でも述べたが、コミカル描写の多い「戦闘メカ ザブングル」において、ウォーカーマシンもそれに準じた動きをすることがあり、主人公機であるウォーカーギャリアはブラッカリィ以上にコミカルなポーズを見せるシーンが多く、かっこよく決めるよりも似合っている気がする。

付属の武器は4種類。奥左から5連ミサイルランチャー、ライフル、バズーカ、手前がブーメランイディオム
ライフルは「HI-METAL R ブラッカリィ」と同じものが付属。バイポッドが動き、マガジンが取り外せる
ウォーカーギャリアの個性を引き立たせる武器、ブーメラン・イディオム。別パーツで弾頭を表現
ウォーカーギャリアといえばこのバズーカ。27話以降のオープニングなどでも見られたポーズも可能だ
バズーカはグリップとトリガー部分に可動部分を設け、ポージングの自由度を高めている
実は劇中に登場しない幻の存在だが、新旧のフィギュアには付属していた5連ミサイルランチャー
フル装備のウォーカーギャリア。バズーカは背負わせることが可能だ
交換用手首は4組が付属。手前のは変形用に使う小さめの手首で、親指以外の4指が可付け根で動する


当時から完成されていた合体変形のデザインをさらに昇華し、変形後のビークルもスタイリッシュに

 そして気になる合体変形に関しては、ギャリィホバーとギャリィウィルに分離後のちょっとした設計により、ビークルのミニチュアとしても楽しめるようになっている。例えばギャリィホバーなら、分離後に肩のブロックをコクピット側に縮められる機構があり、シルエットを劇中のものに近づけている。またローターの下に開閉式のラッチを設け、そこに腕を固定することで、持って遊ぶときに腕が下がってしまうことがない。

 一方ギャリィウィルのほうも、ギャリィホバーが納まっていた溝にもう一つ開閉式の溝が設けられていて、変形時はそこに膝のパーツを差し込むことで、脚を確実に固定できる。変形後はタイヤが全て接地し、それが全て回転するので、ミニカーのようにコロ走行をして楽しめる仕様だ。

分離させたギャリィホバー。腕の蓋を開けてどんでん返しのようにして変形。変形用手首ならそのまま収納できる
肩のブロックをつないだ柱の部分が縮むことで、変形後のシルエットがスリムになる
ホバー裏側のラッチを開いて腕を固定。腕側にある突起を起こすとランディングギアになる
こちらはギャリィウィル。溝にあるパーツを起こすと背中側にも溝ができる。胸部はこのまま後ろに倒す
膝の内側の突起を溝にはめ込んで固定。ブーツは底が水平になるように動かしておく
ギャリィホバーとギャリィウィルが完成。ギャリィウィルはタイヤで走行する
4種類の武器全てを搭載する新ギミックも用意。ライフルのみ、別の固定パーツを使用する

 ウォーカーギャリアが無理のない物理変形をするデザインだったことで、そのギミックを実現しつつ、さらなる工夫を重ねてウォーカーマシン形態とビークル形態の両方でユーザーの満足度を高めていることに好感が持てた。HI-METAL Rシリーズとしては高額の部類に入る価格設定ながら、ボリュームやギミック、付属品の充実などから、価格以上の価値があったと個人的には思っている。

 シリーズとしてはある意味決定版的なアイテムの登場により、今後のHI-METAL Rのラインナップがどうなるのかなぁ、などと想像しながら今回の記事製作を楽しんだ筆者であった。

別売りの「魂STAGE」をギャリィホバーに使うと、雰囲気がグッと劇中に近づく
魂STAGEがあれば、合体時のシーンも再現できる。ただし本体に重量があるので長時間維持するのは難しい
ザブングルとのコンビは本当によく似合う。なおギャリアが持っているコンテナは、超合金魂版に付属したものを使用している
ブラッカリィの相手も画になる。ともによく動くので、劇中のシーンを再現するのが本当に楽しい
理屈云々より、まず触ってみてほしいアイテム。遊ぶ時は挿入歌の「HEY YOU」なんかを口ずさむと、気分が高まるはず